シンポジウム「債権法改正の基本方針」報告①

 平成21年4月29日(水)10時から18時まで、東京の早稲田大学大隅講堂において、民法(債権法)改正検討委員会主催、早稲田大学大学院法務研究科共催で、「債権法改正の基本方針」に関するシンポジウムが催された。以下、概要を報告する。

【開会校挨拶】
 早稲田大学副総長の田山輝明氏より、債権法改正にむけて試案は現行法と同様パンデクテン方式を採用した。本日は、充実した議論を行っていただきたいとの挨拶がなされた。

【総論に関する報告】
 早稲田大学教授の鎌田薫氏より、民法(債権法)改正検討委員会の概要、設立趣旨、メンバー(民法学者25名、商法学者5名、民訴法学者2名、法務省3名ほか)、性格(学者を中心とした純粋に私的な委員会であり、改正試案は当然には法制審議会の審議の原案にはならない。ただし、有力な案として参酌されるものと期待している。)等についての説明がなされた。
 民法(債権法)改正検討委員会は合計260回にもおよび、その審議内容の多くホームページ上で公開されている。
(http://www.shojihomu.or.jp/saikenhou/indexja.html)
 債権法改正を行う必要性につき、「経済や社会は(民法)制定時の予想を超える大きな変化を遂げ、また市場のグローバル化はそれへの対応としての取引法の国際的調和への動きをもたらした。これら前提条件の質的変化は、新たな理念のもとでの法典の見直しを要請している。他方で、法典の解釈適用の過程で判例は条文の外に膨大な数の規範群を形成しており、基本法典の内容について透明性を高める必要性を痛感させている」(民法(債権法)改正検討委員会設立趣意書)との考えによると述べられた。
また、改正試案の基本理念として、①今日の、そしてこれからの社会の実情にあった民法、②分かりやすい・透明性の高い民法、③国際的な動向と調和した民法、が掲げられた。
 改正試案の対象領域は、民法典債権編を中心とし、必要に応じて総則編等にも及ぶものとする。また、消費者契約法や商法商行為編の規定について、その改正の要否等について検討対象に含め、それらのうち「一般化」されたものを民法に取り込むほか、取引社会の基本ルールとして重要なものを民法に「統合」するとのことである。
 改正試案の編成は、①現行民法典における総則・物権・債権・親族・相続の5編編成を維持する、②法律行為に関する規定は、総則編に置く、③債権(ただし、不動産賃貸借は除く)の消滅時効に関する規定は債権時効に再編した上で債権編に置き、その他の権利の消滅時効および取得時効に関する規定は総則編に存置する、④債権編第1部「契約および債権一般」に、現行法の債権総則および契約総則に関する規定を一体のものとして配置する、⑤債権編第2部「各種の契約」に各種の典型契約等を置き、法定債権に関しては第3部に置く、⑥消費者契約に関する規定のうち不当条項規制に関しては約款規制とともに債権編第1部の「契約条項の無効」に関する箇所に置き、意思表示に関する規定と密接な関連を有するものについては、総則編の「意思表示」に関する節を置く、とされた。
 これらを踏まえ、民法(債権法)改正検討委員会によって、平成21年3月末に、「債権法改正の基本方針(以下「基本方針」という)」がまとめられた。鎌田氏によると、これを機会に法務省において法制審議会が立ち上げられ、債権法改正が具体化されることを期待しているとのことであった。
基本方針は、民法典の配列に従い、「提案」「提案要旨」が掲げられている。後日、「提案」に対する「解説」も公表される予定である。
民法(債権法)は膨大であるので、5つの準備会に分け、それぞれ検討を進めたとのことである。

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