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最高裁判決当日

平成28年6月27日15時に話を戻そう。
 傍聴席の一番前に座った私は、裁判長が語りだすのを待っていた。
 裁判長は、判決主文のみではなく、判決要旨をも語った。その内容は、私の期待に反して、双方の上告を棄却し、判決要旨において債権者主張額説を認めるものであった。(相手方は、上告受理申立て理由においては、いわゆる総額説の採用を全面に主張しており、控訴審で認められていた債権者主張額説については上告受理申立て理由としていなかった。)
 立法趣旨が最高裁判所によって覆された瞬間である。
 司法書士側の主張と弁護士側の主張が異なるという対立構造で報じられることが多いが、司法書士各位は十分ご承知のとおり、司法書士側の主張である受益額説は、司法書士が独自に考え出した見解ではない。受益額説こそ、法務省立法担当者が執筆した「注釈 司法書士法」に明記された見解であり、受益額説の考え方が、まさに立法趣旨だったのである。実務上も、司法書士は、受益額説により個々の債権が140万円を超えた額を有する多重債務事件を任意整理として数多く受任してきた実績があり、多重債務被害救済に寄与してきたのである。
 すなわち、司法書士側にとっては、勝って当たり前、言い方を変えれば、勝っても職域の範囲という意味においては何も得ることがない争点と言うこともできる。それが公権的解釈によって否定されたのだ。
 いとも簡単に立法趣旨は覆ってしまうものなのだな。
 私は、裁判長の言葉を聞き締めながら、そう考えていた。

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プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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