民事訴訟法学会聴講

 平成25年5月19日(日)9時30分から16時30分まで、上智大学において、第83回民事訴訟法学会2日目が開催され、シンポジウムのテーマが「債権法改正と民事手続法」であったので聴講した。
 シンポジウムの司会は京都大学の山本克己教授で、第一報告を早稲田大学の勅使河原和彦教授が「将来債権譲渡と執行・倒産手続」、第二報告を大阪大学の名津井吉裕教授が「債権者代位訴訟と第三者の訴訟参加」、第三報告を東京大学の畑瑞穂教授が「詐害行為取消訴訟の構造と転得者に対する取消しの効果」、第四報告を「否認要件から見た詐害行為取消しの要件」とし、コメンテーターは大阪弁護士会の赫高規弁護士、東京大学の中田裕康教授であった。

【第一報告】
 将来債権の効力はどこまで及ぶのか。具体的には、次の点について検討された。
(1)建物賃貸借契約の契約上の地位の承継人(建物譲受人)のもとで生じた賃料債権に差押えの効力が及ぶか。
(2)建物賃貸借契約(取引契約)の契約上の地位の承継人(建物譲受人、事業譲渡を受けた者)のもとで生じた賃料債権(売掛債権)譲渡の効力が及ぶか。
(3)将来債権を含む債権の譲渡後に倒産手続が開始された場合における管財人又は再生債務者の下で発生する債権に債権譲渡の効力が及ぶか。

【第二報告】
 代位債権者と債務者との関係(同格主義か債務者優先主義か)、また、その関係における第三者への影響について。具体的には、次の説例に基づいて検討された。
(1)代位債権者と第三債務者との間で代位訴訟係属中に債務者が訴訟参加できるか。
(2)代位債権者と第三債務者との間で代位訴訟係属中に他の代位債権者が訴訟参加できるか。
(3)債務者と第三債務者との間で訴訟係属中に代位債権者・他の代位債権者が訴訟参加できるか。

【第三報告】
 従来の状況や近時の立法論を踏まえて上で、次の点について検討された。
詐害行為取消訴訟の構造等について
(1)否認権との比較
(2)他の形成訴訟との比較(裁判上の行使を要する実体法上の形成権という構成の可能性)
(3)訴訟告知活用の諸相
転得者に対する取消しの効果について
(1)詐害行為取消権・否認権の「相対効」の意味
(2)担保責任による処理の限界
(3)手続的な側面

【第四報告】
 中間試案の詐害行為取消権の要件の各論的な論点のうち、次の点について検討された。
(1)特定の債権者を利する行為の特則
(2)対抗要件具備行為

冒頭、司会の山本教授から、民事手続法からの視点としては、中間試案を規定の実体法とみた場合に民事手続法に及ぶ影響を考えるというアプローチと、民事手続法に及ぶ影響を踏まえつつ、中間試案を批判するというアプローチがあり得、各報告において、それぞれ適切と考えられるアプローチ方法を採用したとの説明があった。こういったアプローチそのものにおいても民法改正と民事手続との関係を考える上で参考になった。

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赤松 茂

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