シンポジウム 「民法(債権法)改正における個人保証規制と債権譲渡の譲渡禁止特約等の制度の行方」 受講報告

平成25年4月23日(火)18時から20時30分まで、東京・弁護士会館17階1701会議室において、「民法(債権法)改正における個人保証規制と債権譲渡の譲渡禁止特約等の制度の行方」というテーマでシンポジウムが開催されたので参加した。

日弁連は、平成24年1月20日付で「保証制度の抜本的改正を求める意見書」を採択し、保証制度を抜本的に改正することを求めており、債権譲渡については、債権担保による事業者の資金調達の円滑化等の観点から、譲渡禁止特約について絶対的な効力を認める現行法の考え方の見直し等が議論されており、人的担保中心から物的担保中心への切り替えを行うために制度のあり方を検討するべきであるとのことである。

基調講演として、「保証人保護の方策拡充についての民法(債権法)改正の現状と問題点」というテーマで早稲田大学大学院法務研究科の山野目章夫教授からの講義があった。
山野目教授からは、中間試案の保証債務の部分につき、解説が行われた。
保証の中でも、とりわけ根保証については、平成16年改正で積み残しとなった論点について決着をつけていかなければならないということが示された。
また、個人保証の制限については、「いわゆる経営者」が除かれている点、保証被害が顕著と思われる部分についてのみ制限されている点に留意しつつ、検討を深めていく必要があるとのことであった。
説明義務・情報提供義務については、その効果が取り消しとなっていることに着目し、検討を深めていく必要があるとのことであった。
主債務の履行状況に関する情報提供義務についても、その効果が遅延損害金を請求できないとなっていることに着目し、検討を深めていく必要があるとのことであった。
なお、山野目教授からは、説明義務・情報提供義務等については規定がないよりはあった方がよいだろうが、保証被害の抜本解決にはならないだろうとの私見が述べられた。重要なのは、「その他の方策」で示されている裁判所の減免と比例原則に関する規定だ、とのことである。裁判所の減免と比例原則は効果がかぶる部分もあるので、いずれもこのまま規定されるということは考えにくいので、これからは、それぞれの規定を充分詰めて検討を深めていく必要があるだろうとのことであった。
最後に、保証債務の論点で重要になるのは、個人保証の制限とその他の方策の2つであることを意識して、それ以外の論点も詰めていくことが重要だとの意見が述べられた。

来賓の前川議員の挨拶によると、民主党から提出予定の第三者保証の禁止に関する民法改正の法案は、早ければ25日に提出する予定とのことであった。将来の改正に向けて、今、議案として取り上げて議論することによって実績を積んでおくことが重要であるとの見解が示された。
なお、民主党案で、法人の代表者を除くとした意図は、いわゆる経営者を表現した一案であるとのことであった。これに対し、中井弁護士からは限定範囲としては素晴らしいと考えるので、各方面からの反論に耐えて成案を目指していただきたいとの意見があった。

後半は、パネルディスカッションとして、民法における個人保証と債権譲渡の譲渡特約禁止等の制度のあり方について議論された。
コーディネーターは日弁連司法制度調査会副委員長の児玉隆晴弁護士、パネリストに山野目章夫教授、福岡県中小企業家同友会の中村高明代表理事、法制審議会民法(債権関係)部会委員の中井康之弁護士、日弁連消費者問題対策委員会委員の千綿俊一郎弁護士が登壇された。

日本司法書士会連合会からは平成24年10月23日付で「民法(債権関係)改正における保証制度に関する意見」を公表しているところであり、その中では、保証債務の相続について問題提起をしている。この意見書は、法制審議会第61回会議(平成24年11月6日開催)で机上配布され、委員の中井弁護士からは、次のとおり紹介されている。(以下、引用)
「司法書士会連合会の意見書を拝見して、今まで全く議論になっていなかった、しかしやはり検討しなければならないと思ったことは、意見書の最後の6ですけれども、結論としては10ページに出ていますが、保証人が死亡したときに相続人に対して保証債務の履行請求ができる、現行法はそうですけれども、死亡時点で主債務について履行がなされていて、延滞が発生していなかったら、保証人の相続人が全く気付かないまま単純承認をする場面が容易に想定されます。そういう事案において、その後延滞が発生して保証債務の存在を知ったときに、もはや放棄ができないで困る、こういう場面が現実にあるからという御指摘なのかと思います。この問題は今まで全く議論に出ていませんでしたけれども、時機に遅れているのかもしれませんが、検討に値する御指摘だと思いました。」(引用終わり)

パネルディスカッションの最後に、会場発言の時間が設けられたので、日本司法書士会連合会の上記意見を紹介させていただくことができた。

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