民事紛争処理研究基金第27回講演会 「債権法改正と消費者契約法」

 平成24年11月9日(金)18時から21時まで、東京大学山上会館において、財団法人民事紛争処理研究基金主催で「債権法改正と消費者契約法」というテーマの講演会が開催されたので受講した。

 講演会は、前半と後半に分かれ、前半は「債権法改正と消費者」というテーマで一橋大学の松本恒雄教授、後半は「集団的消費者被害回復のための裁判手続きについて」というテーマで一橋大学の山本和彦教授が講演された。

当日の講演内容の概要は次のとおりである。

【債権法改正と消費者】
・法制審議会の動向に関する説明
債権法の改正がされなかったのは、ほとんどが任意規定であり、実務で修正可能であったせいではないか。また、一般条項を緩やかに解釈することで対応することもできた。(保証は、債権法というよりも、担保法という性質なので別)
法制審の委員幹事の学者の中では、松本教授のみが、どこの債権法改正提案のグループにも所属していなかった。
内田参与は、①人概念と消費者との調整、②一般市民がわかる民法、③民法の空洞化を回復、④債権法の世界的統一傾向に対処、⑤国家戦略としての日本の国際的プレゼンスを示す、という目的のもとに債権法の抜本的改正に取り組まれている。
第1読会では債権総論から議論したが、第2読会では民法典の順番にしたがって議論されている。債権総論の配列に対する事務当局の意識が変わったのではないかと推測される。
中間試案では多くが「~ものとする。」という断定形となり、一部には「別の考え方もある。」という注意書きが入ることになる。つまり、「~ものとする。」といえるほどまでに部会内でコンセンサスが得られた論点でなければ、今後の検討論点として落とされる、と考えたほうがよい。
・消費者契約法の見直し
 平成10年の中間報告から平成11年の報告の段階で後退し、見直し課題が施行当初からあったものの、未だ見直しが進んでいない。
 一方、判例の集積は順調に進んでいるとの評価。
 一階が民法、二階が私法の効果を持つ業法とすれば、消費者契約法は中二階型といえる。
 格差と消費者・事業者について検討し直さなければならない。(消費者の団体が事業者となってしまうのは、おかしい。)
 今の消費者契約法は、不当勧誘類型が限定的すぎる。

・民法の人概念
 現在の民法改正においては、事業者間取引を念頭においたビジネス法化の傾向が見られる。また、合意が強調されている点も特徴である。
 民法における人のデフォルトは、「人」から「事業者」へとなると感じている。だからこそ、消費者保護の特則の導入が議論されているのだろう。

【集団的消費者被害回復のための裁判手続きについて】
・集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案
実体法における消費者保護が検討されている中、手続法における消費者保護にも気を配っておく必要がある。
 消費者庁の公表資料に基づき、制度の解説が行われた。

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