簡易裁判所における本人訴訟支援の実務 その4

4 簡易裁判を利用した少額民事紛争の解決事例
(1)代理型
 ① 「簡易」、「迅速」、「低コスト」に解決したいという要望によって代理が選択された事例
 ◆クーリングオフにより既払いのエステ代を請求するという事例において、「迅速」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、事前交渉によって請求額の支払いを認めさせたうえ、履行を確実なものとするために、訴え提起前の和解が選択されたもの
 ◆不貞行為の事実を認める配偶者の相手方に対して慰謝料を請求するという事例において、「迅速」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、事前交渉によって請求額の支払いを認めさせたうえ、履行を確実なものとするために、訴え提起前の和解が選択されたもの
 ◆スキー場での衝突事故によって、見知らぬ相手に怪我を負わされ、その加害者に対して損害賠償の請求をするという事例において、被害者自らが交渉したり裁判をしたりするエネルギーをかけたくないと「簡易」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの
 ◆業者間で請負代金の未払いが生じ、相手方業者に対して請負代金を請求するという事例において、経営者として自らが交渉したり裁判をしたりするエネルギーをかけたくないと「簡易」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの
 ◆自分が加担していた販売勧誘がマルチ商法であったことに気がつき、クーリングオフにより、業者に対して既払いの代金を請求するという事例において、交渉に時間がかかると相手方会社が行方をくらましてしまうといったおそれがあると「迅速」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの(現に、同会社に対する別の顧客が一か月遅れて提訴したときは所在不明となっていた。)
  ☞ ここでの「迅速」とは、訴訟手続の迅速さというよりも、訴訟に迅速に着手するという意味合いである。
 ◆インターネット通販において代金を支払っても商品が送られてこないので、販売会社に対して既払いの代金を請求するという事例において、「迅速」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、少額訴訟、少額訴訟債権執行が選択されたもの
 ◆通信教育の役務が提供されないため、業者に対して既払いの教材費を請求するという事例において、「迅速」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、少額訴訟、少額訴訟債権執行が選択されたもの
 ◆事前交渉により使用者が未払賃金の存在を争わない意向であることが判明しているという事例において、使用者が遠方に居住していたとしても、「低コスト」な解決が意識され、裁判費用を抑えるために、司法書士を代理人とし、遠方の簡易裁判所に対する支払督促が選択されたもの
  ☞ 「簡易」、「迅速」な解決を図るために司法書士を代理人としつつ、裁判費用は少しでも「低コスト」に抑えたいという要望である。
◆自動車保険会社が被害者である契約者に車両保険の保険金を支払い、加害者に対して求償請求するという事例において、弁護士に委任するよりもコストを抑えたいという「低コスト」な解決が意識され、司法書士を代理人とし、訴訟や支払督促が選択されたもの
  ☞ 代理人に依頼するとしても、司法書士の報酬の方が相対的に安いだろうという期待が「低コスト」という要望につながっている。

 ② 採算を度外視してでも解決したいという要望によって代理が選択された事例
 ◆職場内での上司から暴力をふるわれ、傷害を負ったことにより上司に対して慰謝料請求するという事例において、相当な慰謝料額について司法判断を仰ぎたいという要望が意識され、コストを考慮せずに、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの
 ◆双方に保険の適用のない物損交通事故で加害者に損害賠償請求するという事例において、それまでの加害者の対応に不満を持っており、相手方の出頭を促すために、コストを考慮せずに、司法書士を代理人とし、遠方の裁判所への支払督促が選択され、異議後の訴訟まで進んだもの
 ◆労働者が退職した後に退職金請求をしたところ、会社より、当該労働者は既に相当期間前に定年退職し、その後に嘱託職員として再雇用したことになっており、正社員としての退職金は時効にかかり、嘱託職員としては退職金の支給規定はないと退職金の支給を拒まれたので、当該労働者が会社に対して退職金の支払いを請求するという事例において、定年退職の不存在を証明するために司法判断を仰ぎたいという要望が意識され、コストを考慮せずに、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの
 ◆アパートの賃貸人より賃借人の保証人に対し、数年分の未払い賃料の請求がされたという被告事件において、賃借人の賃貸借契約には期間があるにもかかわらず、保証人の保証契約は期間がないという契約内容は消費者契約法10条に反する可能性があるとして司法判断を仰ぐために、コストを考慮せずに、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの
 ◆被害者の過失がゼロの物損交通事故で加害者が保険未加入であったために被害者が直接加害者に損害賠償請求するという事例において、過失がないために被害者の保険は利用できないが、弁護士、司法書士特約を利用することができたために、コストを考慮せずに、司法書士を代理人とし、訴訟が選択されたもの
 ☞ 保険や法律扶助などを利用することにより、コストを考慮する必要がなくなったために代理を選択することができたという意味合いである。

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プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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