簡易裁判所における本人訴訟支援の実務 その1

1 少額民事紛争に直面した当事者のニーズ
 司法書士の紛争への関わり方は、裁判書類作成を通じ、本人訴訟支援をするという従来からの関わり方に加え、10年程前から訴額が簡裁の事物管轄に収まるというような一定の場合には、代理人となって紛争に関与するという関わり方も選択できることとなった。
 このように書類作成業務もできるし、代理業務もできるという紛争に対し、司法書士は、どのように関わっていけばよいのだろうか。
 ここでは、主に簡易裁判所における紛争解決事例を基にして、この問いかけについて考えてみたい。
なお、本稿においては、司法書士が代理人となって関与することのできる紛争を便宜、「少額民事紛争」と呼ぶこととする。
 ところで、少額民事紛争に直面した当事者には、通常額の紛争に比して、その紛争額の少なさから、紛争解決に向けた方法を選択する際に、いくつかの特徴を見出すことができる。その特徴とは、紛争額の少なさゆえ、大層なことをしてまで解決したのでは割に合わないという当事者の心情によるものだ。
 すなわち、「簡易」、「迅速」、「低コスト」に解決したいという特徴である。
 少額民事紛争に直面した当事者は、通常、これらの特徴を意識するために、できることなら、極力、自分で紛争の相手方と交渉して解決してしまいたいという思いが先に立つことが多いし、自らでは解決せず、やむを得ず法律実務家に示談交渉を依頼する際にも、「示談が無理なら、それで諦める。裁判をすることまでは考えていない。」と紛争解決方法に制限を加えられる方々も多い。
 私たち司法書士の基に寄せられる相談も例外ではなく、少額民事紛争の当事者が裁判までは望まないというケースでは、まず、当事者の期待に応えるために示談交渉による解決を図ることとなる。そのため、少額民事紛争においては、ことさら示談交渉のスキルが求められるということがいえるだろう。相談を受けた司法書士に、このスキルがなければ、裁判までは望まないという少額民事紛争の当事者は、その時点で泣き寝入りとなってしまう。
 もっとも、少額民事紛争であっても裁判をするというケースも少なからずある。しかしながら、裁判を検討する際においても、当事者は「簡易」、「迅速」、「低コスト」に解決したいという気持ちを強く持たれていることが大半である。
 そこで、裁判の局面における「簡易」、「迅速」、「低コスト」という特徴について一つずつ考察してみよう。

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