スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

民法(債権関係)改正における相殺の議論について

 現在、法制審議会民法(債権関係)部会で第2読会と呼ばれる2周目の議論が頻繁に行われており、先日は相殺に関する議論がなされたようだ。
 相殺では、「遡及効の見直し」や「相殺と差押え」といった論点のほか、「第三者による相殺」や「不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止」など実務に非常に大きな影響を及ぼす論点も議論されている。

 ここでは、「第三者による相殺」と「不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止」について考えてみたい。
 個人的には、「第三者による相殺」を認めることは弊害が大きいと思われるので消極、「不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止」に例外規定を設けることは物損交通事故において簡易な解決が期待できるので積極、という考えであったが、両者を組み合わせると、効果的に解決できるのではないかと思われる事例があったからだ。

 具体的には次のようなケースを想定されたい。
 被害車両を運転するC、加害車両を運転するA、被害車両の車両保険会社Bの場合において、車両保険会社Bは被害車両の修理代をCに支払って、Aに対する求償請求権を取得するというケースである。
 このとき、「第三者による相殺」が認められ、「不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止」の例外に一定の例外規定が設けられれば、BがAに対する求償金請求権(被害車両の損害)を訴訟において請求する際、Aが期日に欠席しても、自己の求償権とAのCに対する損害賠償請求権(加害車両の損害)とを相殺できるようになる。

 このようなケースは、今まで相殺合意によって処理されてきていたが(厳密に言えば、当事者が異なるので「相殺」ではない。三者間契約というべきだろう)、「合意」が必要である以上、Aが期日に出頭することが不可欠であった。仮にAが期日に欠席すると、Bは自己の請求権を認容する欠席判決を取得することができても、AのCに対する損害賠償請求権が未解決という片手落ちの解決になってしまい、Bにしてみれば契約者であるCが法的に不安定な状態におかれたままという重大な弊害が生じてしまうのである。

 それが先に挙げたような改正がなされることによって、紛争の一回解決が図られることになるのだから、車両保険を扱う損害保険会社は契約者のためにも、これらの改正に賛成するイニシアチブがあるのではないだろうか。

 と思って、パブリックコメントを見直してみたところ、これらの論点に対して、損害保険会社関連は意見を述べていないようだ。
 もったいない。

 もちろん、これらの改正には冒頭に述べたとおりの弊害もつきまとうので、適切な要件設定は必須であるが、題材として、改正後の活用事例を念頭に置くことができれば、議論も活性化すると思われたので紹介することとした。





コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

赤松 茂

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。