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民法の危険負担制度の改正について

 民法の危険負担制度の改正について、法制審議会民法(債権関係)部会において、議論されている。

 とくに、債務不履行解除につき債務者の帰責事由を不要とした場合、従来は帰責事由の有無で適用範囲が画されていた債務不履行解除制度と危険負担制度との関係について、危険負担制度を廃止し解除に一元化するか、それとも両制度を併存させたままとするか、という論点について大きな議論がされている。

 しかしながら、検討の順番としては、このような制度比較(というか解除制度の改正による帰趨)という形で危険負担制度を検討する前に、実務上、もっとも適用される危険負担の債権者主義の改正から検討するべきではないか、と私は考えている。

 つまり、「特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合」には、物の引渡し等の債務であれば、契約締結後引渡し(もしくは登記)がされるまでの間に、目的物が滅失したときのことを定めている民法534条1項の規定だ。

 民法534条1項では、現在、危険の移転の時期を「契約締結時」と解されているのだが、この時期を「引渡し(もしくは登記)時」と改正することによって、今まで特約がなければ買主(債権者)が危険を負担すると考えられていた契約締結時から引渡し(もしくは登記)時までの間に目的物の滅失があったとしても、それは今まで危険負担の対象になると考えられていた後発的不能ではなく、原始的不能の問題となる。
 すなわち、物の引渡し債務においては、危険負担の問題は生じないことになると考えられる。

 不特定物にあっては、目的物が特定された時点が引渡し(もしくは登記)よりも先であれば、上記の原始的不能の問題となるし、目的物の特定が、引渡し(もしくは登記)の時点でもされていなければ、そもそも危険負担の問題とはならない。

 そうすると、危険の移転の時期が明文をもって変更されることによって、事実上、危険負担の債権者主義が廃止されることになり、「特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合」という実務上みられる大多数の契約において危険負担を考慮する必要はなくなるのではないだろうか。

 不動産の売買契約をした後、引渡し(もしくは登記)の前に、その不動産が自然災害等によって滅失したというケースがこれにあてはまる。現民法の危険負担制度では、特約がなければ買主(債権者)の代金債務は残るという不合理とも思える結論になってしまう制度であったが、危険の移転の時期が変更されるということになれば、引渡し(もしくは登記)の前の滅失であれば、買主(債権者)の代金債務は生じない、ということになる。

 このように(ほとんどが特約によって実務上排除されていたとはいえ)今まで債権者主義が適用されていた契約では、危険負担が適用されることが無くなり得るという前提を基にすると、危険負担制度と解除制度の議論も、実務上の意見は若干違ったものとなるのではないだろうか。



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赤松 茂

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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