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全青司「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」についての意見

全青司2011年度会発第86号
                        2011年12月28日

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」についての意見

消費者庁消費者制度課 御中
全国青年司法書士協議会
会長 後藤 力哉(公印省略)
東京都新宿区四谷1-2 伊藤ビル7F
TEL03-3359-3513 FAX03-3359-3527
e-mail KYW04456@nifty.com
URL http://zenseishi.com/

私たち全国青年司法書士協議会は、全国の司法書士約3,300名で構成する「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする団体である。
悪質商法等による消費者被害の救済に取り組む法律実務家の立場から、次のとおり意見を提出する。

 提出する意見の概要
意見1 意見の対象 一段階目の手続き(共通争点の確認の訴え)
(1)対象となる権利 について
  意見2 意見の対象 一段階目の手続き(共通争点の確認の訴え)
(1)対象となる権利 について
意見3 意見の対象 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(1)開始決定
①開始の申立て ア について
意見4 意見の対象 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(2)通知・公告
③事業者の協力 ウ について
意見5 意見の対象 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(2)通知・公告
③事業者の協力 ウ について
意見6 意見の対象 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(5)その他
②民事執行・民事保全 イ について
意見1

意見の対象 
一段階目の手続き(共通争点の確認の訴え)
(1)対象となる権利 について

意見の趣旨
 対象となる権利につき,「個人(事業を行う場合におけるものを除く。)の事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人)に対する請求権」と規定されているが,取引当事者間の情報・交渉力に格差の認められる個人事業者の契約被害も対象となるよう規定すべく,本制度につき新たな立法をすべきである。

意見の理由
   本制度が「消費者契約法」の改正ではなく,新たな法律の創設であるならば,消費者契約と同様の特質を有する契約も対象とすべきであって,消費者契約に限定する必要はないところ,骨子では,事実上その対象は「消費者契約」に限定されている。
   消費者契約法は,消費者及び事業者間には,情報の質及び量並びに交渉力に格差(非対称性)があることを根拠として,民事特別ルールを規定する法律であるが,かかる格差(非対称性)が認められるのは,例えば近年の中小個人事業者等をターゲットにする通信機器のリース契約トラブルからも明らかなように,消費者契約に限定されるものではなく,現行消費者契約法の適用対象については,限定され過ぎているとの有力な批判もなされているところである。したがって,本制度において,その適用対象の範囲につき消費者契約法と平仄を合わせる必要性はなく,上記トラブルも含む制度を構築するためには,消費者契約法の改正ではなく,新たに立法をする必要がある。


意見2

意見の対象 
一段階目の手続き(共通争点の確認の訴え)
(1)対象となる権利 について

意見の趣旨
 本件訴訟制度では対象事案が4種類に限定されているが、対象事案を下記の事案も含め、より広く列挙すべきである。
(ア) 事業者の共通した責任原因によって生じた人の生命・身体に対する損害も本訴訟制度の対象とするべきである。
(イ) 「消費者契約の目的に生じた損害」については、個人情報流出事案や有価証券報告書等の虚偽記載にかかる損害についても対象とすべきである。
(ウ) 不法行為に基づく損害賠償請求権については、「契約の締結または履行に際して」に生じた損害に限定させず、製品事故により生命身体財産に対する被害が生じた場合に、欠陥のある製造物以外の財産等に損害が発生した場合にも対象とすべきである。

意見の理由
本件訴訟制度では、「相当多数の消費者と事業者との間に共通する」責任原因の確認を、訴えをもって請求できることとされているものの、対象事案4種類に限定され、また、対象事案③④については、契約の目的に生じた損害にかかるものに限るとともに、人の生命・身体に損害が生じたときの当該損害に係るものを除くとされている。
しかし、この事業者との間に共通する責任原因には、対象事案の4種類に限定されることなく、以下の事案も対象に含めるべきである。
(ア)製品事故や食中毒事案のように、商品・役務が通常有すべき安全性を欠いていたことにより、生命身体または財産に損害が生じた場合は、「事業者との間に共通する責任原因」により生じていた損害といえ,消費者が個別に被害回復のための手続きをとることの困難性等については,骨子が挙げる4種類の対象事案とその問題点の本質は同一であるから、本件訴訟制度の対象とすべきである。
(イ)個人情報漏洩事案については、消費者がインターネットを利用して事業者が求めるアンケートに回答するなどして個人情報を提供し、当該個人情報が漏洩してしまった場合には、「消費者契約の締結」そのものが存在しないが、当該個人情報流出により、相当多数の消費者が、事業者の過失により損害を受けることになる。このような場合も,問題の本質は,骨子対象事案と同様であり,消費者の被害救済対象事案とすべきである。
     さらに、有価証券報告書等の虚偽記載にかかる損害賠償請求事案については、「消費者契約の締結」がないとはいえ、事業者の不法行為による深刻な消費者被害であることから、対象事案とすべきである。
(ウ)不法行為に基づく損害賠償責任や債務不履行責任に基づく損害賠償請求権については、「契約の締結または履行」に対象が限定されているが、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産にかかる被害が生じた場合にも、「相当多数の消費者と事業者との間に共通する責任原因」が存するものであり、これらも広汎で深刻な消費者被害が生じるものであることを鑑みると、契約当事者だけでなく、製造業者等も本件訴訟の被告とすべきであり、また、引き渡された製造物等の欠陥により製造物以外の財産に損害(拡大損害)が生じた場合にも本件訴訟制度の対象とすべきである。
     意見1・意見の趣旨のとおり,本制度は消費者契約法の改正ではなく,新たな立法をすべきであり,本制度に関する新たな立法であれば,同制度の対象は,消費者契約はもちろんのこと,契約を前提としない事案も対象とすることが可能となる。



意見3

意見の対象
   二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(1)開始決定
①開始の申立て ア について

意見の趣旨
対象消費者に対する個別通知や公告については,対象消費者が確実に二段階目の手続きに参加できるように,通知を確実に行うことができるように手当すべきであり,それが困難である場合もより多くの消費者に認識できる方法による公告をする規定とすべきである。

意見の理由
   特定適格消費者団体は,被告事業者からの情報提供によるなどして知り得た対象消費者に対して個別通知をし,また,インターネットの利用などにより公告しなければならないものとされている。
すなわち,事業者から契約者名簿等が入手できないなどの場合は,事実上,対象消費者への周知は,公告に頼らざるを得ないことになる。
このような場合,例えばインターネットによる公告方法などをとった場合は,パソコンやスマートホンを利用しない消費者には,当該公告がなされていることを認識することが困難であり,二段階目の個別請求権の確定訴訟に参加する機会を逃してしまう消費者が現れることが予想される。
そうであるならば,対象消費者すべてに対しては個別通知をすることを原則とすべきであり,仮に困難であるとしても公告方法については上述の問題点を踏まえた方法を検討する必要がある。


意見4

意見の対象
 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(2)通知・公告
③事業者の協力 ウ について

意見の趣旨
 情報開示命令に従わない事業者に対する過料制裁ではなく,より厳格な罰則を規定すべきである。

意見の理由
   二段階目の手続きにかかる,特定適格消費者団体の個別通知の宛先については,事実上,事業者が有する顧客名簿等に頼らざるを得ないことが想定されるのであり,公告方法によっては,通知がなされない結果,手続きに参加する機会を失うことも考えられることからすれば,事業者からの情報提供は極めて重要な意義を有する。
よって,被害者情報開示命令に違反した場合,厳格な罰則規定を設けるべきである。


意見5

意見の対象
 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(2)通知・公告
③事業者の協力 ウ について

意見の趣旨
 事業者が顧客の情報管理等を外部委託している場合,当該事業者に対しても,情報提供義務を課すように規定すべきである。

意見の理由
 契約の一方当事者である事業者は,いわゆる取次店などの第三者に販売等を委託している場合がみられるところ,当該事業者に対し,情報開示命令を申し立てても,同人は顧客に関する情報を保有していないとの理由で情報開示に応じない場合が想起されるところである。
そこで,当該事業者から事業の委託等を受けている第三者も,情報開示命令の対象となるよう規定すべきである。


意見6

意見の対象
 二段階目の手続(個別請求権の確定訴訟)
(5)その他
②民事執行・民事保全 イ について

意見の趣旨
「個別請求権を保全するため」の仮差押え命令の申立は,一段階目の訴えの提起前から可能とするか,あるいは別途保全制度を構築することにより,早期に相手方事業者の財産の散逸あるいは隠匿を防ぎ,被害救済の実現をはかるための規定をすべきである。

意見の理由
   本制度は,消費者被害の回復を図ることを目的としていることから,相手方事業者から実質的に財産を取り戻すことが重要である。現在提案されているスキームでは,相手方事業者が,一段階目の訴訟係属中に財産を散逸させてしまうことは容易に想起されることである。
そこで,仮差押え等の保全手続きについては,一段階目においても,速やかに行うことが可能とすべきであるが,一段階目の訴訟が共通争点の確認訴訟であるスキームを前提にすると,理論的に困難であることも否めない。したがって,仮に一段階目においては,個別請求権を保全するための仮差押は認められないとしても,いわゆる振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結などの手続きを参考に,行政を主体とする手続き等により,別途保全手続きを規定すべきである。

以上

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プロフィール

赤松 茂

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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