日弁連主催シンポジウム 「これからの保証制度を考える~保証被害のない社会を目指して~」

平成23年11月10日(木)17時30分から19時30分まで、日弁連17階において、シンポジウム「これからの保証制度を考える~保証被害のない社会を目指して~」が開催されたので参加した。
 日弁連では、保証制度について、主債務者が消費者である場合における個人の保証の禁止及び主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証の無効等の提言を行なっているところであり、これからの保証制度の在り方を考える機会とすべく、本シンポジウムの開催を企画したとのことである。
 シンポジウムの概要は次のとおり。
1 第三者保証に関する金融庁の監督指針について
2 日弁連の民法(債権法)改正に対する意見書(保証関連)について
3 フランス保証制度視察報告
4 保証制度に関する法制審議会の議論の状況と日弁連意見書に対する意見
5 今後の法制審議会における保証制度に関する議論について
6 総括

 各報告の詳細は次のとおり。
1 第三者保証に関する金融庁の監督指針について
 金融庁監督局総務課監督調査室課長補佐の前島晋介氏より、金融庁の「個人連帯保証にかかる監督指針」についての解説がなされた。
 平成23年7月14日に、同監督指針において、①経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立、②保証履行時における保証人の履行能力等を踏まえた対応の促進の見直しを中心とする改正が施行されているところである。
 同監督指針の改正によって、①のために、貸付に関する基本的な方針(クレジットポリシー)等に規律する、金融機関に対し説明態勢の強化を求める、この原則に対する例外は経営者に準ずるものとして限定的に考えるなどの方針を示しており、②のために、金融機関に対し、保証人の責任の度合いに留意しつつ、保証人の生活実態を十分に踏まえて判断される各保証人の履行能力に応じた合理的な負担方法とするなどきめ細やかな対応を求めるとの方針を示しているところである。
 今後も実態に応じて必要な施策を講じていきたいとのことであった。

2 日弁連の民法(債権法)改正に対する意見書(保証関連)について
 日弁連消費者問題対策委員会副委員長の平井宏和氏より、日弁連の保証債務に関するパブコメ意見についての解説がなされた。
 とくに留意すべきは、「主債務者が消費者である場合における個人の保証を禁止すべきである。また、主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証について、保証契約を無効とするべきである。」という意見であるとのことであった。
 この意見は、日弁連が平成15年に公表した「統一消費者信用法要綱案」でも述べられているところであり、以降も同様の視点で意見が公表されている。
 金融庁の監督指針にも示されているように、実務においては、保証人をとらない融資慣行が確立しつつあるのだから、保証制度は抜本的な見直しをすべきである。
 この日弁連の意見を実現するための契機とすべく、本シンポジウムが企画されたとのことである。
 また、保証人紹介業問題被害者の会代表の鈴木俊志氏より、保証をめぐる貧困ビジネスに関して、①就職保証被害、②賃貸借保証被害、③進学保証被害、④保証人紹介登録被害などの具体例も紹介された。

3 フランス保証制度視察報告
 消費者問題対策員会委員の千綿俊一郎氏より、日弁連が平成23年9月に行ったフランス保証制度視察についての報告がなされた。
 フランスの保証制度には次のような特色があるとのことであった。
・「脱個人保証」、「保証会社対応」が進行している。
・企業代表者についても個人保証に頼らない運用が模索されている。
・保証人保護規制が積極的に評価されている。
・「手書要件」が実効性のある規制として評価されている。
・保証責任の限定化が図られている。
・「解除権」が機能するための運用が工夫されている。
・保証人に対する保証契約締結後の「情報提供」方法も充実している。
・「比例原則」が金融機関の実務において定着している。
・金融機関の責任、警告義務という考え方が明定されている。
・保証人の家族の保護も重視されている。
・判例が、法改正や実務運用の先駆けとなっている。
 フランスでは保証に関する規制が厳しいと言えるが、個人保証廃止まではなされていない。先進国においても、個人保証廃止がなされている国は今のところ見当たらないが、日弁連意見の達成に向けて今後とも鋭意取り組んでいく所存であるとのことであった。

4 保証制度に関する法制審議会の議論の状況と日弁連意見書に対する意見
 早稲田大学大学院法務研究科教授の山野目章夫氏より、次の論点についての法制審の議論状況と山野目氏の意見が示された。
 ①保証成立に際しての説明義務
 ②保証成立に際しての情報提供義務
 ③保証成立後の情報提供義務
 ④保証人の期限の利益の保持
 ⑤保証人の権利を制限する特約の効力
 ⑥適時執行義務
 ⑦根保証
 ⑧個人保証の禁止
 また、日弁連の保証債務に関する意見に対して、山野目氏は口頭で次のような意見を述べられた。
 「主債務者が消費者である個人の保証を禁止すべきである。また、主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証について、保証契約を無効とするべきである。」との日弁連意見については、基本的に賛成だが、次の気になる点がある。
 まず、消費者という概念を民法に導入して良いのか。次に、兄弟などの親族が主債務者となる場合であっても、保証を禁止するという結論で良いのか。
 後段については、経営者とは何か。その定義を明らかにする必要があるのではないか。
また、そもそも経営者保証については許容するという内容でよいのか。
 最後に、保証人保護の目的達成のために、この論点一点では早い段階で摘まれてしまうおそれもあるので、別の論点もブラッシュアップする準備をしておいたほうがよいだろうとのことであった。

5 今後の法制審議会における保証制度に関する議論について
 法制審議会民法(債権関係)部会幹事の深山雅也氏より、法制審議会の動向についての説明がなされた。具体的には、第2読会の進み具合、到達目標である中間試案を平成25年2月頃に公表することを目指しているなど、である。
 また、パブリックコメントでも、保証債務に対する意見が非常に多かったとのことである。
 なお、深山氏からは日弁連の保証債務に関する意見が全国の弁護士会の意見と一致しているのかという疑問がないわけでもないが、意見を述べる際には条文を意識した立法提案が求められることになると思うとのことであった。

6 総括
 日弁連副会長の新里宏二氏から日弁連意見の達成に向けて頑張ろうと述べられた。 

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プロフィール

Author:赤松 茂
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