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司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その3

3 損害賠償命令申立ての実務
 この損害賠償命令申立制度について、司法書士がどのように関与することができるのか、以下、実際に筆者が担当した損害賠償命令申立てを基に紹介する。
(1)事案の概要
 平成22年11月24日、過去の依頼者(A)より、新規の相談の電話が入る。
 相談の内容は、過日Aの配偶者(X)が損害賠償命令制度の対象となる犯罪に巻き込まれ、加害者(Y)が本日、起訴されたが、示談が進んでいないので、Yに対して慰謝料等の請求をしたいというものであった。
 請求の内容は、Yが近隣の住人であったために、現実問題として、Xが引越しをしなければならない状況に追い込まれており、その引越費用相当額と、犯罪事実後、仕事を数日間休まなければならなかったので、その休業損害相当額と、犯罪事実によってXに生じた然るべき慰謝料相当額を請求したい、とのことである。
 Xの主張するそれらの額の合計は併せて120万円ほどである。
 本事案の特殊性としては、①相談者が損害賠償命令申立ての対象となる重大犯罪の被害に遭遇したこと、②加害者が起訴された当日に司法書士へ相談されたこと、が挙げられる。
 このように損害賠償命令申立ての対象となる重大犯罪において、慰謝料等の額が簡裁の事物管轄の範囲内で収まると想定され、かつ、当該刑事被告事件の弁論の終結までに犯罪被害者が司法書士のもとに相談に訪れたケースにおいては、その解決方法として、簡易裁判所に対する民事訴訟を提訴もしくは提訴を視野に入れつつ訴訟外の代理人として示談交渉をするという方法と、裁判書類作成関係業務として損害賠償命令申立制度を利用するという方法とがある。
 本事案においては、平成22年12月8日にXと面談し、両方の解決方法を提案した上で、民事訴訟に費やす時間、立証負担、訴訟費用を考慮し、裁判所との協議の結果、犯罪被害者が加害者と顔を合さずに手続を進めることができ得ることが確認できたので、Xの意向により、簡易迅速な制度である損害賠償命令申立制度を利用することとした。
 裁判書類作成業務として受任後、速やかに平成22年12月10日に損害賠償命令申立てを○○地方裁判所刑事部に提出した(資料1)。この申立書は、刑事被告事件への予断排除の原則から、必要事項以外は記載することができないので、定型的な申立書を作成することになる。
 平成22年12月20日に、刑事被告事件の公判があり司法書士が傍聴した。傍聴の結果、Yには、ほとんど資力がないことが判明した。なお、XはYと顔を合わすことを避け、傍聴をしなかった。
 Yは、公判において、自らの犯罪事実を認めていたために、即日、弁論が集結し、判決言渡日が平成23年1月12日に指定された。なお、刑事被告事件の弁論が終結した日以降は損害賠償命令申立てができない点に留意しておくべきである。
 平成23年1月4日、Xは、○○地方裁判所刑事部に、本事案の慰謝料の立証のために、詳細な準備書面と証拠説明書を提出した(資料2及び3)。平成22年12月20日に公判が終了し、同日をもって予断排除の原則の趣旨が喪失するので、損害賠償請求の立証の追完ができるようになる。平成23年1月12日の刑事被告事件の判決言渡後に民事裁が開始されてから追完してもよいが、本事案では、より迅速な解決を期待し、少しでも早いタイミングで立証活動を行うこととしたのである。
 なお、この段階で、念のため、XとYとが民事裁判の際に対面しないように上申を行なった(資料4)。
 平成23年1月12日の刑事被告事件の判決が言渡された。その直後(3分後)に別室で同じ裁判官により損害賠償に関する民事裁判が開始される。別席調停の形式だ。XとYが交互に審尋され、相互に顔を合わすことはなかった。なお、Xの審尋の際には、Xの配偶者の同席は認められたが、司法書士は室外で待機していた。数回の交互審尋の後、請求額満額の分割和解が成立した。民事裁判が開始してから40分後である。非常に早い。

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赤松 茂

Author:赤松 茂
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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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