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司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その2

2 損害賠償命令申立制度の概要
 平成19年に「犯罪被害者等の権利利益の保護を図る為の刑事手続に付随する措置に関する法律(以下、「法」という)」が改正され、損害賠償命令制度が創設された。同制度は、大要、一定の対象犯罪については刑事被告事件の判決言渡しの直後に原則として同じ裁判官によって当該刑事被告事件の被告人に対する慰謝料請求等の民事裁判が開始するという簡易迅速な解決を目指したものである。同制度を活用することによって、犯罪被害者は、当該犯罪事件に関する民事訴訟に費やす時間・立証負担・費用負担の大幅な軽減を図ることができるようになった。
 この制度の概要は次のとおりである。
〈対象犯罪〉
 故意の犯罪によって、人を死傷させた罪又はその未遂(危険運転致死罪を含む)、強制わいせつ、強姦、逮捕監禁、略取誘拐、人身売買等の罪又はその未遂(法17条1項)が対象となる。
〈当事者〉
 対象犯罪に関する刑事被告事件の被害者又はその一般承継人が申立人となり、当該被告事件の被告人が相手方となる(法17条1項)。
〈管轄〉
 原則として当該刑事被告事件の係属する地方裁判所が管轄裁判所となる(法17条1項)。ただし、異議後の訴訟は、当該申立てをした者が指定した地(その指定がないときは、当該申立ての相手方である被告人の普通裁判籍の所在地)を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に提起があったものとみなされる(法28条)。
〈申立期間〉
 当該刑事被告事件の公訴提起時から弁論終結時までに申立てる必要がある(法17条1項)。
〈手数料〉
 請求額にかかわらず、一律2000円である(法36条1項)。ただし、異議により通常の民事訴訟に移行した場合には、通常の請求額に応じて納付する手数料から2000円を控除した額を納付する必要がある(法36条3項)。
〈申立書の記載事項〉
 損害賠償命令申立書には、次の事項を記載しなければならない(法17条2項、28条、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する規則18条)。
・表題
・裁判所の表示
・年月日
・申立てに係る刑事被告事件の表示
・当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
・申立人の申立人又はその代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)
・送達場所の届出及び送達受取人の届出をするときはその旨
・請求の原因及び刑事被告事件に係る訴因として特定された事実その他請求を特定するに足りる事実(訴因として特定された事実については、当該刑事被告事件の起訴状を引用することができる。)
・損害額の内訳
・適法な異議の申立てがあった場合に移送される地方裁判所又は簡易裁判所の指定があるときは、その旨
 予断排除の原則に従い、申立書には法定記載事項以外の事項を記載してはならない(法17条3項)。
〈証拠〉
 予断排除の原則に従い、申立ての時点で、申立書に証拠をつけることはできない。刑事被告事件の公判終了後に提出ができるようになる。
〈送達〉
 申立ての際には副本も提出し、当該副本が相手方である被告人に送達される(法18条)。被告人が拘置所等に拘留されている場合、拘置所への送達を求めることができるし、被告人が保釈中などの理由により所在が知れない場合、公判期日等における出会送達を求めることもできる。
〈審理〉
 損害賠償命令の申立てについての審理及び裁判は刑事被告事件についての終局裁判の告知があるまでは行われない(法20条)。当該刑事被告事件について対象犯罪に係る有罪の言渡しがあった場合には、直ちに、損害賠償命令の申立てについての審理の期日が開始される(法24条)。
 損害賠償命令の申立てについての裁判は、任意的口頭弁論であり、審尋により裁判することができる(法23条)。
 審理の期日は、原則として4回以内で集結される(法24条3項)。
〈裁判〉
 損害賠償命令の申立てについての裁判は決定によってなされる(法26条1項)。決定書の作成に代えて、当事者が出頭する審理の期日において主文及び理由の要旨を口頭で告知する方法によっても裁判を行うことができる(法26条4項)。口頭で告知する方法による場合、裁判所書記官が調書を作成する(法26条5項)。
 審理期日において、請求の放棄又は認諾がなされ、あるいは和解が成立したときは、それが調書に記載された時点で確定判決と同一の効力を有することになる(法34条、民訴法267条)。
〈異議〉
 当事者は、損害賠償命令の決定に対し、送達又は口頭の告知を受けた日から2週間の不変期間内に異議の申立てをすることができる(法27条)。異議申立ての際の手数料は500円である(法36条2項)。適法な異議申立てにより、仮執行を付した損害賠償命令を除き、損害賠償命令の裁判の効力は失効し(法27条4項)、損害賠償命令に係る請求について通常の民事訴訟手続における訴えの提起があったものとみなされる(法28条)。
 なお、通常の民事訴訟手続に移行するケースとしては、適法な異議の申立てがなされた場合のほか、損害賠償命令を終了させる旨の決定があった場合もある(法32条1項)。
 仮執行の宣言を付した損害賠償命令に係る請求については、当該訴えについてすべき判決が損害賠償命令と符合するときは、その判決において、損害賠償命令が認可される(法31条1項)。当該訴えについてすべき判決が損害賠償命令と符合しないときは、損害賠償命令が取り消される(法31条2項)。

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赤松 茂

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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