相殺について

 債務整理事件などでは、依頼人が貸金について不当利得返還請求権を有する(これをA取引という)と同時に、立替金返還債務(これをB取引という)を負っているケースがある。
 この事例を基に、相殺について考えてみたい。
 A取引は、平成23年3月31日に最後の弁済が終了しており、過払い金の計算が終わった日が5月31日とし、過払い元本が50万円、元本に対する5月31日までの利息が10万円とする。(なお、4月30日までの利息は8万円とする。)
 一方、B取引は、平成23年4月30日に立替金が確定し、その額が30万円とする。
 A取引とB取引とを相殺して、不当利得返還請求の訴えを、平成23年6月30日にするとしたら、請求の趣旨は、どうなるだろうか?
 ただし、原告被告間において、明示・黙示による合意は何らなされていないものとする。

 この問題を考えるに当たって、まず、相殺適状日を判断する必要がある。
 上記ケースでは、A取引の弁済日が3月31日、B取引の弁済日が4月30日であるので、双方の債権債務が相殺可能となるのは、それぞれのうち遅い日である4月30日になる。

 次に、相殺充当について判断する必要がある。
 民法512条が準用する民法491条により、利息・元本の順に充当することになるのであるから、B取引の30万円は、A取引の相殺適状日の利息8万円から充当し(30万ー8万)、残額の22万円をA取引の元本に充当することになる(50万ー22万)。したがって、28万円が相殺後の元本であり、これに対する遅延損害金は相殺適状日の翌日である平成23年5月1日から走ることになる。

 このようなケースにおいて、A取引の50万円とB取引の30万円とを対当額で相殺し、20万円の請求をしていることはないだろうか?
 この方法は計算が簡便であるが、相殺適状日と相殺充当について、原告被告間で合意がなければならない。
 また、実は、法定の規律に従った計算をしたほうが一般に元本が大きくなる点にも留意しておく必要があろう。


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プロフィール

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