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司法書士からみた民法(債権関係)改正―中間試案に向けて編―その3

その3 各論 -保証-

 日司連の意見書の中から、保証に関する論点の一つを参考までに紹介する。
保証人の要件に関する意見だ。この意見の背景には、主債務者には、一定の場合に総量規制等の制限が課せられることがあるにも関わらず、保証人には何ら制限が課せられないという現状は保証人にとって好ましいものでないことはもちろん適切な金融市場の形成にも障害となるのではないかとの問題意識がある。

(意見の趣旨)
 債権者の指名に関わらず、保証契約によって負う見込みのある債務につき、一括して弁済する資力を有しない者を保証人とすることを認めない、との規定を置くことを検討すべきである。

(意見の理由)
 保証被害の実態は、主債務が不履行となったときに、保証人が自らの資力で弁済することが困難となって生活破綻を招き、果ては自殺にまで追い込まれるというものである。
 主債務者との深い人的関係により保証人となる者は、保証人となることを断る自由を有していない場合が多いことを鑑みると、仮に債権者から保証の意味及び保証契約の内容や主債務者の資力に関する情報について十分な説明を受けても、保証契約を締結するかしないかを自由に選択することができないことが想定される。
 したがって、保証被害の防止の観点からは、債権者の説明義務の規定の創設に加えて、さらに保証人の資力に関する要件を保証人の視点に立った規定として定めるような見直しも検討すべきである。
 保証人の要件を定める規定としては、「弁済をする資力を有すること」と規定する現民法第450条があるが、この規定は、保証人の要件を示すことによって、債権者を保護しようとする規定であると解されており、同条第2項により債権者が保証人を指名した場合には適用されない。
 しかしながら、現代社会においては、このような債権者の視点に立った規定が保証被害の要因となるとの見方も必要である。弁済資力のない者が保証人となれば、主債務に不履行があったときに、保証人が資力以上の弁済を求められ破綻するのは当然の理である。
 保証人を保護する視点からは、保証本来の機能を、保証人の「現に有する資力」によって主債務者の信用力を高めて経済活動を活性化させることに求めるべきところ、保証人の「将来の信用力」によって主債務者の信用力を高めるものとして保証契約が締結されていることから保証被害をより深刻なものにしているとも考えられる。
 もっとも、債権者は、与信管理を誤り資力のない者を保証人としたときは、回収不能というリスクを負うのだから、保証人の要件は債権者の選択に委ねればよいという考えもあると思われる。しかしながら、現実には、多額の保証債務を長期分割払いで支払い続け、延々と保証債務の履行を続けている保証人も多く見られる。債権者が回収不能のリスクを負うとしても保証人の要件を私的自治の原則に委ねることが相当であるかどうか、つまり保証人の要件を、債権者のための規定から、保証人を保護する規定へと大きく転換させる必要があるのではないかという点を検討すべきである。
 具体的には、例えば、現民法第450条の「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」という限定を外し、同条第3項を廃止した上で、保証契約締結にあたり債権者に保証人の資力調査を求めることが考えられる。
「弁済をする資力」については、保証額全額を一括で弁済する資力とするか、あるいは保証額を分割して弁済する際の一定期間内(例えば、一カ月)の負担額を継続的に弁済する資力とするか、検討を加える必要がある。
 なお、仮に保証人保護の規定が導入された場合、「併存的債務引受契約」や「連帯債務契約」等の保証と同様の機能を持つ契約を締結することによって、それらの規定を免れようとすることも考えられるため、保証契約と実質同視しうる契約に対して保証の規定を適用することも検討すべきである。


 すなわち、この意見は、現民法第450条を強行規定とし、弁済をする資力のない者を保証人とすることを禁止すべきである、というものである。債権者のための規定であると解されている現民法第450条を保証人保護のための規定へと転換させることによって実現を図ることを提案している。
 既に述べたとおり、わが国においては、既に貸金業法で主債務者となる借主に対しては総量規制という形で類似の規定が立法化されている。
 比較法的にみると、類似の規定はフランスにもあり、比例原則等とも言われている。
 規制の在り方については、債権者の保証人に対する説明義務を強化するという方法もあろうが、それのみでは債務者と保証人との人的関係に基づく断りきれない保証依頼を防止することはできないと考えられる。
 このような情宜的関係を考慮すると、保証人の意思に関わらず、弁済をする資力のない者を保証人とすることを強行規定において禁止することが実効的となるのではないだろうか。
 一方、保証人は特別法で保護すれば足りるという考え方もあろうが、法人代表者の保証を念頭におくと理解しやすいように、保証契約を消費者契約等の一定の範囲で制限するとなると、その範囲から保証人が漏れるケースが多発することが容易に想像される。保証人となる者は消費者に限られないという保証人被害の実態に鑑み、そのような漏れは避けられなければならない。
 したがって、適用範囲の制限のない一般法たる民法で、保証人に対する然るべき制限を加えることが妥当であると考えているところである。

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赤松 茂

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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