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第264回金融法務懇話会参加報告

 平成23年5月25日(水)14時から17時まで、東京・きんざい本社ビルにおいて、第264回金融法務懇話会が開催され、参加したので報告する。
 演題は、「経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直しに関する監督指針の改正と法制審議会民法(債権関係)部会における「保証」を巡る議論について」である。
 講師は、金融庁監督局総務課課長補佐である笹尾一洋氏と金融庁総務企画局企画課調査室専門官粟生香里氏が努められた。

 まず、「経営者以外の第三者による個人連帯保証等の慣行の見直しに関する監督指針の改正」についての説明がなされた。
 経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、また、保証人の資産・収入を踏まえた保証履行時の対応を促進するため、民間及び政府系金融機関に対し監督上の措置を実施するということは、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ~」でも早期実施事項として掲げられているところであり、これを受け、金融庁も、平成22年12月24日には、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン~新成長戦略の実現に向けて~」においても同趣旨の検討事項を掲げ、その後、「主要行等向けの総合的な監督指針(本編)」が、次のように改正された(Ⅲ-7-1)。
「一般に、多くの中小企業(個人事業主を含む。)においては、家計と経営が未分離であることや、財務諸表の信頼性が必ずしも十分でないなどの指摘があることから、こうした中小企業に対する融資においては、企業の信用補完や経営に対する規律付けの観点から、経営者に対する個人保証を求める場合がある。他方、経営者以外の第三者の個人保証については、副次的な信用補完や経営者のモラル確保のための機能がある一方、直接的な経営責任がない第三者に債務者と同等の保証債務を負わせることが適当なのかという指摘がある。
 また、保証履行時における保証人に対する対応如何によっては、経営者としての再起を図るチャンスを失わせたり、社会生活を営む基盤すら失わせるという問題を生じさせているのではないかとの指摘があることに鑑み、金融機関には、保証履行時において、保証人の資産・収入を踏まえたきめ細やかな対応が求められる。
 こうした状況に鑑み、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(平成22年12月24日公表)において、「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、また、保証履行時における保証人の資産・収入を原則とする融資慣行を確立し、また、保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえた対応を促進」することとしたところであり、金融機関においては、こうした趣旨を十分に踏まえた対応を行う必要がある。」
 このような意義を踏まえ、保証人に対する説明責任や保証履行時における保証人の履行能力等を踏まえた対応の促進についても新たに指針が定められた。
 また、信用保証協会においては、既に第三者保証人を徴収することを原則として禁止にしており、同指針においても参考として示されている。
 この監督指針に基づき、金融機関の実務においては、今後益々第三者保証人を求めなくなるのではないかと思われる。民法(債権関係)改正における保証制度の在り方の検討の際、このような実務慣行を広く周知していく必要があるだろう。
なお、民法(債権関係)改正の方向性によっては、監督指針のさらなる改正もあり得るとの補足説明もなされた。

 次に、法制審議会民法(債権関係)部会における「保証」を巡る議論についての説明がなされた。
 法制審議会民法(債権関係)部会では、平成22年3月23日に開催された第6回で審議され、先般公表された「中間的な論点整理」において、「第12」の論点として掲げられているところである。
 今後は、二巡目の審議がなされてから、「中間試案」が公表された後、再びパブリック・コメントが実施され、それを踏まえて、「要綱案」が公表される見込みであるとのことである。
 金融の円滑化と保証人保護の観点から、中間的な論点整理をみると次の論点が重要であるとのことであった。

①保証に関する論点
 ・主債務者と保証人との間の契約による保証債務の成立
  ⇒併存的債務引受契約とのバランス
  ⇒保証引受契約の成立を認めることで、併存的債務引受にも一定の規制をかけることもできるといえるかもしれない
 ・保証契約締結の際における保証人保護の方策
  ⇒一方的に保証人がリスクを負うという特殊な契約であることは事実
  ⇒債権者に十分な説明義務は当然必要
  ⇒機関保証と情宜的保証とは区別して検討する必要がある
 ・保証契約締結後の保証人保護の在り方
  ⇒主債務者の支払状況を保証人に通知したり、保証人独自に期限の利益を与えたりなどの考え方は、現在の監督指針にも一定の手当がなされているところ
 ・適時執行義務
  ⇒現民法第455条の適用を拡大したもの
  ⇒連帯保証は射程になるか(現民法第455条は連帯保証には適用されない)
  ⇒債権者が債務者のリスケジュールに応じることが、この義務違反に問われるおそれがあり、留意が必要
 ・保証人の求償権
  ⇒委託を受けた保証人の事前求償権と適時執行義務とを組み合わせて考えることも重要
  ⇒物上保証人とのバランスも考慮しなければならない

②連帯保証に関する論点
 ・連帯保証制度の在り方
  ⇒連帯保証人に対する履行請求が主債務の時効中断となることが見直される可能性があるので、留意が必要
  ⇒消費者系の団体は、連帯保証制度について否定的な意見が述べられている
  ⇒情宜的保証人は説明義務の強化で救済することは困難との意見も述べられている
  ⇒しかし、金融庁では、連帯保証を廃止することで、それらの問題が抜本的に解決するのか、という問題意識もある

③根保証に関する論点
 ・規定の適用範囲の拡大
  ⇒貸金等根保証債務に限定しないことを検討
  ⇒平成16年改正の積み残し
 ・根保証に関する規律の明確化
  (特別解約権、元本確定前の履行請求、随伴性)
  ⇒平成16年改正との整合性を考慮する必要がある
  ⇒明確な規律が少ないので、名文ルールの必要性は感じている

 保証人保護とともに金融の円滑化という視点もバランスよく持つことが重要であるとの指摘が最後にあった。
           *
 保証制度の改正は金融機関に及ぼす影響も非常に大きく、金融庁や金融機関の動向によっても改正の方向性が左右されることも想定されるので、それらの動向や見解にも留意しつつ、今後の保証制度の改正に向けて、司法書士としての意見を形成していく必要があると感じた。

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赤松 茂

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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