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刑事事件と司法書士

 先日、刑事事件の被害者から加害者に対する慰謝料請求の相談を受けた。
 請求額は簡易裁判所の事物管轄の範囲内である。類似事例の請求額を調べても、その額が妥当であるように思われた。
 このような相談に司法書士は、どのように関与していくことができるだろうか。

 簡裁代理権の付与された司法書士であれば、示談交渉を試みてから、民事訴訟を提起するという方法での解決がすぐに頭に浮かぶだろう。
 私も同様である。

 しかし、相談を受けた段階が一定の類型の刑事事件(殺人、傷害、危険運転致死、強制わいせつ、強姦など)であり、「起訴直後」であった場合は別だ。
 それらの刑事事件が進行している場合には、その弁論の終結までであれば、犯罪被害者保護法17条に基づく、損害賠償命令の手続を利用することができるからである。
 この手続は、刑事事件1審が係属している地方裁判所に対して申立てることになるため、司法書士は裁判書類作成関係業務として関与することになる。
 特長は次のとおり。
① 刑事事件の有罪判決のあった後、直ちに損害賠償に関する民事裁判がスタートするので、迅速な解決を図ることができる。
② 期日も原則として4回以内の審理で終結させる制度設計になっており、手続スタート後も終了までの間が短い。
③ 損害賠償命令を審理する民事裁判では、刑事被告事件の訴訟記録のうち、必要でないものを除いて取り調べられるので、被害者の立証負担が軽減する。
④ 申立費用が一律2,000円と、低廉である。

 また、司法書士が関与する際の留意点としては、犯罪被害者が本人訴訟を行うということについての十分な配慮を裁判所に求めていくべきである、という点である。
 すなわち、同手続は、「決定」手続であるので、公開の口頭弁論を経ずして、当事者の審尋により審理を進めることができるので、被害者と加害者が極力顔を合わすことのないよう要望していくべきだろう。

 なお、決定に異議のあった場合、4回以内の審理期日で解決することが困難である場合、申立人の移行を求める申述もしくは当事者の移行を求める申述と相手方の同意があった場合には、民事訴訟手続へ移行するので、これらの要件を満たしたときには、簡裁の事物管轄の範囲内の請求は地裁刑事部から簡裁へ移送される可能性もある。

 刑事事件と民事事件は、手続上、全くの別事件であるが、被害者にしてみれば一つの事件であることに変わりない。民事紛争に関わる司法書士も、刑事事件は分かりません、では通用しないのだ。新しい手続や手薄の分野の知識など常に勉強していかなければならない。




コメント

No title

あかまつさんこんばんは。

私もこのような相談を受けるようになりました。
傷害事件ばかりです。
喧嘩が発端なので加害者側も被害者意識が強く、お互いに批判しあいなので本当に頭が痛いです。
特に裁判所の決定があった後は、加害者は知らん顔になるのでさらに難航します。
やりたかったのこういうのじゃないのに~と思いながらも交渉し続ける私がいます。

しんどいなぁ~

うりぼうさん、ルパンシリーズの更新頑張ってください。

 うりぼうさん、コメントありがとうございます。

 司法書士に簡裁代理権が付与されて、7年が経過し、寄せられる相談も多種多様なものとなりつつあります。

 刑事事件と同時進行の民事事件の手法も検討していかなければなりませんね。
 ご指摘のとおり、刑事事件では示談を急いでも、いざ刑事事件が終わると、分割示談金の支払いが滞るといったケースには、犯罪被害者保護法13条の刑事和解も利用できるのではないかと思います。
 現実には利用例が少ないようですが、刑事の制度研究も、ほんとうに重要ですね!

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赤松 茂

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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