【全青司】武富士の会社更生手続開始決定を受けての会長声明

 武富士の会社更生手続の開始決定を受けて、全青司は、平成22年11月1日、下記のとおり会長声明を出したので掲示する。


                     記


 私たち全国青年司法書士協議会は、全国の司法書士約3,100名で構成する「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする団体である。

 本年10月31日、午前10時、東京地方裁判所より株式会社武富士(以下「武富士」という)の会社更生法に基づく手続開始決定がなされた。
当協議会は、日頃より多重債務問題の抜本的解決に取組み、多重債務被害者救済活動をしている現場の法律家として、以下のとおり声明を発表する。

【声明の趣旨】
 今回、東京地裁民事第8部は武富士の会社更生法手続申立代理人である小畑英一弁護士を更生管財人に選任した。しかし、会社更生手続においては手続の公正性・透明性の確保が強く要請されるところであり、それを疑わしめるような利害関係を有する者を手続の適法性保持を職務とする法律家管財人に選任することは避けるべきである。この点会社更生手続きの申立代理人弁護士(今般選任された更生管財人)は、会社更生手続の申立代理人であるから実質的には申立人が推薦する者であり、利害関係のある者と言わざるを得ない。
 武富士の創業者や役員等については、違法行為の調査・責任追及・責任財産の確保を適正に行うことは、更生手続きにおいて犠牲を強いる事になる更生債権者等の納得と協力を得るため、また会社財産の充実を得るために重要である。また、自らが債権者であることを知らない潜在的過払債権者に個別直接の通知をして債権届出を促すこと、更生計画の中で過払債権者の債権の弁済率をどれだけ確保できるのかは、公正・公平な適任者が管財人に選任されるか否かにかかっていることは言うまでもない。
 したがって、今回の武富士会社更生手続き開始決定において利害関係人である会社更生手続申立代理人が更生管財人に選任されたことは重大な問題である。
 今回の武富士会社更生における主要な債権者は過払債権者であるが、過払金は、高金利、過酷な取立てにより他社から借り入れた借金の返済、それらの返済のために滞ってしまった生活費や教育費、滞納していた公租公課等の支払いに充てられるものであり、公正・公平な管財人によって、武富士の創業者や役員等についての違法行為の調査・責任追求・責任財産の確保を適正に行い潜在的過払債権者を含めた全ての過払債権者に対する手続き参加の機会の確保及び弁済原資の充実を図ることが必要である。しかし、創業者や役員等への責任追及が利益相反ともみられるような会社更生手続申立代理人である管財人の関与のもと、武富士が債権者と認識しているにもかかわらず、自ら債権者であることを認識できない過払債権者が権利行使の機会を奪われることになるような手続きは、公正性・透明性を欠き、更生裁判所への信頼を失墜させるものである。
 武富士の会社更生開始決定にあたり、そこに至る背景には、高金利・過剰融資・過酷な取り立てにより、実に数多く多重債務被害を生じさせていたことや、盗聴問題で当時武富士会長であった創業者武井保雄氏の逮捕及び同社の有罪判決並びに違法取り立てやそれを隠匿するための不正な取引記録の作成等による業務改善命令等、武富士の経営自体に様々な問題が指摘されていたことを忘れてはならない。
 また裁判所の関与の下、直接意見をすることができる財産状況報告集会が開催されないのは、会社更生申立代理人という利害関係人を管財人に選任したことに加えて、甚だ遺憾であり、武富士の会社更生手続きの不公正さと不透明性を感じざるを得ない。当協議会は、日頃より多重債務問題の抜本的解決に取組み、被害者救済活動をしている現場の法律家として今後も今回の武富士会社更生手続きを注視し、被害者の声を届け続けることを宣言するとともに、今後の武富士の更生手続きについては、武富士利用者の保護の視点から、特に下記の点に留意して手続きが進められるよう強く求めるものである。
                     記
1.管財人を利害関係のない人材に変更すること。
2.現在の利用者のみならず完済後10年以内の利用者も含め自ら利息制限法の上限利率による引き直し計算を行った結果、過払金が判明した過払債権者に対して、既に権利行使を行っている者及び債権届出をする意思がないことが明らかであると認められる者以外は全て、個別に、過払金が発生していること及び届出に関する通知を直接行うこと。
3.潜在的過払債権者を含めた全ての過払債権者への弁済率を高めることを優先するため創業者・役員等への違法行為の調査・責任追及・責任財産の確保を適正にかつ徹底して行うこと。
4.引き直し計算の結果、残高のある債権の利用者については債務者の経済的更生を妨げないよう経過利息・将来利息を付さない分割弁済等に応じること。
                                            以上

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