静岡県司法書士会「武富士」「東京地裁」への要望

静岡県司法書士会は、平成22年10月7日、武富士および東京地裁に次のとおりの要望をした。

                  *

             要 望 書

株式会社武富士 御中

                         静岡県司法書士会  
                        会長 早 川 清 人


 本年9月28日、貴社は東京地方裁判所に対して更生手続開始の申立てを行い、同日受理された(平成22年(ミ)第12号)。
 平成19年の株式会社クレディア(静岡市)の経営破綻は約16万人の顧客に対し多大な混乱をもたらし、当会開催の緊急相談には、最初の1週間で1000件を超える相談が寄せられた。一方、貴社の平成23年3月期第1四半期報告書によれば本年6月末時点の貸付件数は約96万人とされ、平成19年9月に経営破綻し民事再生申立を行ったクレディアの約6倍にのぼっており、今般の貴社の経営破綻は、全国に存在する貴社の顧客に大きな不安、混乱をもたらしているに違いない。
 現在まで、貴社に対し過払金の返還を請求していない顧客の多くは、過払いとなっていたにもかかわらず過払金の返還を受けないまま取引を終了したため、あるいは現在も取引継続中のため、自身が過払債権者であるとの認識を有していないと思われる。よって、貴社は、このような顧客が不利益を被らないよう最大限の措置を講ずるべきである。
 また、貴社は、本件申立ての理由として「いわゆる過払金返還請求が徐々に増加し当社のキャッシュフローに悪影響を及ぼ」し経営を圧迫したことを第一に挙げているが、貴社の旧経営陣が利息制限法及び貸金業規制法を遵守し、顧客から違法な利息を徴求するようなことがなければ、本件申立てに至ることはなかった可能性が高いと推測されるものであるから、旧経営陣の経営責任も厳しく追及されるべきである。
 そこで、当会は、貴社の会社更生手続に際し、次のとおり要望する。
 

                記

1.更生計画認可決定が確定するまでは、混乱を避けるため、全顧客につき信用情報機関へ「完済」以外の情報を登録しないこと

2.顧客への告知を徹底するため、貴社ホームページのトップページに、目立つ文字で下記の各事項を掲載すること
① 貴社が現在、全顧客(完済した顧客を含む)との取引につき、利息制限法制限金利による引直し計算を進めていること
② ①により、債務額が減少したり、過払いとなったりする場合があること
③ ①②により、減少した債務だけを支払ったり、過払い金について更生債権としての届出をしたりした場合も、信用情報機関に不利益な情報が登録されないこと
④ ①により、すでに過払いとなっている顧客(完済した顧客を含む)は、更生債権の届出ができること、並びに債権届出の方法

3.前項①により、過払いとなっている顧客(完済した顧客を含む)に対し、過払いである旨及び今後の支払いを行う必要がない旨を通知し、債権届出書を速やかに発送すること

4.貴社が、第2項①によりすでに過払いとなっている顧客から、更生手続開始申立て以後、開始決定までの間に受けた弁済相当額については、共益債権として直ちに当該顧客に返還すること

5.旧経営陣の責任を調査するため、第三者による調査機関を設置すること


                   *


             要 望 書

東京地方裁判所 御中

                         静岡県司法書士会  
                        会長 早 川 清 人


 本年9月28日、消費者金融大手の株式会社武富士(以下「武富士」という)が御庁に対して更生手続開始の申立てを行い、同日受理されました(平成22年(ミ)第12号)。
 武富士は、平成14年3月期には貸出残高1兆7666億円を誇っていた消費者金融業界の牽引者であり、同社の平成23年3月期第1四半期報告書によれば本年6月末時点の貸付件数は約96万人とされ、平成19年9月に経営破綻し民事再生申立を行ったクレディアの約6倍にのぼります。したがって、今般の武富士の経営破綻は、全国に存在する同社の顧客に大きな不安、混乱をもたらしているに違いありません。
 多重債務被害救済に長く取り組んできました当会は、武富士の会社更生手続に重大な関心を持っており、9月28日以降、緊急の相談窓口を設置して武富士の顧客からの相談に連日応じており、10月6日までに寄せられた相談件数は383件に及びました。
 ところで、平成18年1月13日最高裁判決(第二小法廷、平成16年(受)第1518号)により、貸金業規制法第43条のみなし弁済が成立するには、要件の具備が厳格に求められている現状の下、武富士の顧客の中には、利息制限法制限利率による引き直し計算を行うことにより、同社に対して過払債権を有する顧客が多数存在するものと思われます。平成22年9月29日付日本経済新聞朝刊によれば、武富士に対し、既に請求されている未払いの過払債権だけで約1万件(1700億円)に上り、未請求の過払債権を含めると約200万件(1兆~2兆円)に膨らむ可能性があるとのことです。現在まで武富士に対し過払金の返還を請求していない顧客の多くは、過払いとなっていたにもかかわらず過払金の返還を受けないまま取引を終了したため、あるいは現在も取引継続中のため、自身が過払債権者であるとの認識を有していないと思われます。よって、このような顧客が不利益を被らないよう最大限の措置を講ずるべきであると考えます。
 また、武富士は、本件申立ての理由として「いわゆる過払金返還請求が徐々に増加し当社のキャッシュフローに悪影響を及ぼ」し経営を圧迫したことを第一に挙げていますが、貴社の旧経営陣が利息制限法及び貸金業規制法を遵守し、顧客から違法な利息を徴求するようなことがなければ、本件申立てに至ることはなかった可能性が高いと推測されますから、旧経営陣の責任も厳しく追及されるべきです。
 そこで、当会は、御庁に対し、武富士に対する全ての過払債権者が手続参加の機会を奪われることのないよう下記のとおり要望します。

               記

1.現在、武富士が進めている全顧客(完済した顧客を含む)との取引に関する利息制限法制限金利による引直し計算の結果、過払いであることが判明した顧客(完済した顧客を含む)に対し、更生手続開始決定の通知をし、更生債権届出の機会を保障すること

2.調査委員の調査の結果により、役員等の責任を追及する必要があると認められるときは、更生手続開始決定後速やかに会社更生法第99条1項の保全処分をすること

3.会社更生法第42条第1項に定める更生債権等の届出をすべき期間を4か月とすること

4.会社更生法第42条第1項に定める更生債権等の届出をすべき期間経過後においても、過払債権者からの更生債権の届出に関しては、会社更生法第139条第1項に定める更生債権者等がその責めに帰することができない事由があるとして届出期間経過後の届出を受理すること

5.更生手続開始申立て以後、開始決定までの間に過払債権者がした弁済相当額については、共益債権とするなど過払債権者が不利益を被ることのない措置をとること 

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

カテゴリ