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SFCG債権2重譲渡事件から考える

 SFCG(A)が貸付債権を新生信託銀行(X)と日本振興銀行(Y)に2重譲渡していた事件につき、XがYに対して、債務者ら(B)から弁済を受けた金員についての不当利得返還請求が提訴されていたが、その請求を全面的に認める判決が平成22年7月27日に言い渡された。

 事案としては、Xの債権譲渡登記がYの債権譲渡登記に優先しているもののYはBから民法上の承諾を得ていたというもののようだ。
 争点は、信託契約の成立やYの相殺の可否などであったようだが、ここでは債権譲渡登記に絞って検討を加える。

 結論として、Xが先に第三者対抗要件を備えていた場合、Yが遅れて第三者対抗要件と債務者対抗要件を備えて、Bから弁済を受けたとしても、Bの債務は消滅するものの、YはXに対して、当該弁済金相当額につき、不当利得として返還しなければならない。
 よって、今回の判決は、この論点については、極めて妥当な判断であるといえる。

 ここで、Yの視点から債権譲渡登記制度そのものについて考える。
 Yが債権譲渡登記を申請しようとしたときに、Aの債権譲渡登記記録を調べたところ、先行してXA間の債権譲渡登記がなされていることが判明したとしよう。
 このときに、Yは、XA間の債権譲渡登記が、これから譲渡を受けようとする自己の債権と同一であるか否かを調べるにはどうしたらよいだろうか。
 民法上は、債務者をインフォメーションセンターとして、債務者に尋ねることになるのだが、債権譲渡登記制度では債務者対抗要件と第三者対抗要件の制度そのものが区別されており、第三者対抗要件を備えても債務者対抗要件は留保しておくという、いわゆるサイレント型も多く見受けられるところである。
 このサイレント型の場合には、債務者に尋ねても、債権譲渡の債権の特定はもちろん、債権譲渡の有無も分からないのである。
 また、Aは2重譲渡を企てたものであるし、XにはYの照会に応じる法律上の義務がないのみならず、事実上のメリットもない。
 つまり、先行する疑わしい取引が登記されていた場合、Yはその真偽を確認する方法がないのである。

 債権譲渡登記の制度は、疑わしい取引が既に登記されていた場合、その後の債権譲渡の取引を止めるという選択をするほかない。つまり、債権譲渡登記制度とは、真の取引だけでなく疑わしい取引までを含めた登記制度だと整理する必要がある。

 この制度設計を維持するのか、真の取引のみ公示または調査できる制度として新たに構築しなおすのか、登記の専門家として司法書士も、より深く検討しかなければならないだろう。
 特に民法(債権関係)改正の大きな論点となっているだけに尚更だ。

 なお、上記問題意識は、福岡のK弁護士からご教示いただいたものであることを念のため申し添える。


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赤松 茂

Author:赤松 茂
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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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