クレディア再生事件~認可後の実務~

 平成20年12月中旬までに、クレディアは再生計画に従い、届出のされた再生債権の一括弁済をし、クレディア再生事件は終了したかのようにみえるが、クレディアには過払債権者からの新たな請求が今も続いている。
 これは、クレディアが債権届出期限までに届出がなされない潜在的過払利息返還請求権につき、過払債権者からの請求があれば、債権届出が行われた再生債権と同様の条件で弁済するという条項を再生計画に設けたことによるものであり、同条項はクレディア利用者を保護するものであるとの評価ができるものの、同条項に基づく権利実現に際し、実務上の新たな問題も生じている。

 過払金に対する減額要求である。

 再生計画が認可されるや否や過払金の減額を要求するという企業姿勢に眉を顰めるということも当然あるが、そればかりでなく、過払金の減額要求をしなければならないほど経営状態が悪いのであれば、やはりクレディアは再生すべき会社ではなかったのではないかとの思いも頭をよぎる。
 一方、利限残のある債権につき、クレディアは、少なくとも本稿執筆時までは分割払いに応じるという姿勢を見せておらず、一括払いができるもののほかは、一切交渉がまとまらない状態である。
 このように再生計画案認可後のクレディアに対する任意整理は、過払金請求・利限残のある分割払い交渉のいずれも難航する現状にあるが、本稿では、過払金請求に絞って問題提起することとする。
 さて、債権届出を行っていない過払債権者が新たに請求する際は、今のところ平成19年9月21日(以下「再生手続開始決定日」という)の前後に分けて考える必要がある。以下、それぞれの場合に分けて整理する。

① 再生手続開始決定日前の過払債権
 債権届出がなされなかった再生債権は原則として失権するが(民再178条)、潜在過払利息返還請求権については、過払債権者の責めに帰することができない事由が生じているものと考えられ、民事再生法181条1項1号の趣旨を尊重して失権せず、過払債権者からの請求があれば再生債権額の確定を行った上で、債権届出を行った債権と同じ条件にて弁済を行うとの扱いが再生計画において定められているところである。そのため、潜在過払利息返還請求権も、再生手続開始決定日前の部分については、再生計画で定められたカット率に従うことになるものと考えられる。
 また、再生計画には、全再生債権に対する弁済義務について、かざかファイナンス及びフロックスは重畳的に債務引受を行うとの条項も設けられており、潜在過払利息返還請求は届出の行われた再生債権と同条件で弁済すると定められているのだから、潜在過払利息返還請求についても、当然に同条項は適用されるものと考えられる。
 したがって、潜在過払債権者は、再生手続開始決定日前に生じた部分については再生手続で定められたカット率に従った額を、クレディアのほか、ネオラインキャピタル(旧かざかファイナンス)及びフロックスをも合わせて請求先とすることができる。

② 再生手続開始決定日以後の過払債権
 再生手続開始決定日以後に生じた過払債権は共益債権になるとの扱いである(民再119条6号)。共益債権は再生計画の弁済条件の変更の適用は受けないため、全額の返還請求ができる。理論上は、再生手続開始決定日以後、フロックスが事業を承継した平成20年10月1日まではクレディアに対し、平成20年10月1日以降はフロックスに対し、返還請求を行うことになると考えられるが、実務上はフロックスが返還請求の窓口となっているようである。内部で債務承継に関する定めがあるのかもしれない。
 フロックス(クレディア)は、この②の部分につき大幅な減額を要求しているのである。(5割程度を提示してくることが多いようである。)
 しかしながら、再生債権の大幅なカットという大きな犠牲を代償にして、クレディアは再建したのであるから、クレディアは共益債権について法律上根拠のない減額を要求すべきではないし、わたしたちも安易な減額に応じることがあってはならない。根拠のない減額要求については、①の部分を含め、不当利得返還請求訴訟等の法的手続をとるべきであろう。
 クレディア再生事件は、まだ終わっていない。クレディアの実務対応を注視していく必要がある。


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