司法書士としての生き方 その3

 司法書士になるまでの回想記の続きである。

 さて、ある大学の経済学部で何となく大学生活を送っていたものの、大学に行くのは定期試験のときだけであった。3年からゼミが始まるのだが、ゼミの申込締切日前日に友人から教えてもらい、あわてて申込みをしたほどだ。あのとき友人からの留守番電話への吹込みがなければ、きっと卒業はなかっただろう。後から知ったのだが、そこは倍率の高い人気ゼミであったらしい。そんなことも知らずに当選し、金融論のゼミに所属することになった。抽選に漏れた真にやる気のある学生に申し訳ない、と今にして思う。
 4年になり、このままでは大学生活で何も得たものがないことに、ようやく気づき、やっとケインズなどをぼちぼち読むようになった。ゲーム理論の基礎に触れたのも、ちょうどこの頃だ。「経済学も面白いかな」と、卒業も間近になり、少し思い始めていた。
 ところが、4年のゼミ旅行のとき、ちょうど、その年で退官される教授から、懇親会の席で直々に、こう言われた。

  「経済学は社会に出たら役に立たない。それよりも民法や刑法をしっかり勉強しなさい。」と。

 教授の真意は定かではない。ゼミで一生懸命勉強していなかった私に対する嫌味だったのかもしれないし、人生の大半を経済に捧げてきた(であろう)ご自分の本心なのかもしれない。
 しかし、真意はどうであれ、経済学部の教授から最後にそう言われると、「自分の学部選択が誤っていたのでは…」という疑問も湧いてくる。
 そのときから、「法学部に入っておけばよかった」という後悔を抱くようになった。ある意味、自己否定である。

 ただし、時、既に遅し。

 私は、既にある金融機関に内定を得ていたのだ。

 教授生活最後に、教授が、最もできの悪かった学生である私に言った言葉は、そのまま、ずっと私の頭の片隅に残り、以降、漠然とした法律への憧れとなった。
 それが、後に資格試験を目指した際に、司法書士という資格が候補となった理由のひとつである。

 

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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