民法改正の論点整理その27

(賃借物が消滅した場合における賃貸借の終了)

 現民法では、賃借物が一部滅失した場合には明文をもって賃料の減額請求を認めているが、賃借物が全部滅失した場合には定めがない。そのため、賃借物が滅失したときに、賃借人が賃料を支払い続けなければならない事態も想定しうるところである。

 債権法改正の基本方針では、目的物の滅失等により、賃貸人の債務を履行することができなくなった場合には、賃貸借契約は終了するものと明文をもって定めることが提案されている。

 賃借物が消滅した場合における規律が定められることにより、紛争の防止に資することになると考えられる。

 しかし、目的物の滅失により、賃貸借契約が当然に終了するという債権法改正の基本方針の立場だけではなく、解除の意思表示を要するという立場も考えうる。むしろ、当事者の意思の尊重するという立場や原始的不能の債務でも契約は成立するとの立場においては、解除の意思表示を要するという考えの方がしっくりくるのかもしれない。
 ただし、解除の意思表示を要求するということは、一般的に、紛争当事者に新たなアクションを要求することになり、実務が混乱することにもなりかねないので、個人的には、あまり賛成できない。

 いよいよ、民法(債権関係)改正が具体化していく中、法理論の整合性と実務への影響とのバランスを考慮していくことが求められるのだろう。


 

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