民法改正の論点整理その21

(相殺と差押え)

 現在、判例では、弁済を禁止された第三債務者と差押債権者との関係につき、第三債務者が差押えを対抗するためには、第三債務者の自動債権・受動債権の弁済期の先後を問わないという無制限説が採用されている(最判昭45.6.24)。また、非常時には自動債権の弁済期を繰り上げる特約、いわゆる相殺予約も実務上広く認められているところである。
 このような解釈・運用により、第三債務者の保護が図られてきた。

 一方、債権法改正の基本方針では、第三債務者の立場を尊重し、第三債務者は原則として差押え後に、取得した自動債権をもってする相殺のみを禁じられることとし、受動債権の弁済期の先後を問わないことで、現在の無制限説と大きくは変わらない規律とした。
 ただし、相殺予約については、原則として禁じられ、銀行預金のような特定の継続的取引によって生じるものに限って例外的に認めることが提案されている。

 債権法改正の基本方針の提案に従うと、実務上、銀行預金のような特定の継続的取引以外で相殺予約を利用している場合、第三債務者に不利益が生じないだろうか。たとえば売掛金などを多く持つ商社等の相殺予約の取引実態について検討する必要があると思われる。
 

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