民法改正の論点整理その16

(債権譲渡の対抗要件)

 債権が2重譲渡されたときの優劣については、判例により債務者への到達の先後によると解されているところである。このように債務者をインフォメーションセンターとした優劣基準においては、債務者に過大な負担を課すために相当ではないとの見解もある。
 そこで、債権法改正の基本方針では、金銭債権の2重譲渡につき、登記制度への一元化を提案している。
 現在も、特例法により、法人を当事者とする債権譲渡については登記をすることができるので、それを自然人にまで拡大するという見方もできる。
 確かに優劣を決するためには、登記を利用したほうが明確である。
 そのため、基本的には、登記一元化の提案を支持したい。
 しかしながら、実現には、いくつかの問題がある。
 一つ目は、登記一元化に向けた技術・コストの問題である。抜本的な変更であるので、自然人の特定方法やら、登記システムの構築やら、制度の周知方法やら、・・・検討しなければならないことは山ほどある。
 二つ目は、少額債権等の取扱いである。当事者が、わざわざ登記するほどもないと判断した債権譲渡については、対抗要件が付与されないことになる。しかし、それでは仮に当該債権が2重譲渡された場合に、優劣を決することができずに紛争を助長してしまうのではないか、という懸念が生じる。
 登記一元化のためには、詳細をさらに深く検討していく必要があろう。
 
 この分野は、登記による対抗要件の付与という、まさに司法書士の専門的知見を生かすべくテーマだといえよう。




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