民法改正の論点整理その10

(債務不履行による損害賠償の要件)

 現民法において、債務不履行による損害賠償を請求する際には、
① 債務内容の確定
② 債務不履行の存否判断
③ 帰責事由なしの抗弁
という判断プロセスを辿ると説明されることが多い。

 債権法改正の基本方針では、上記のプロセスのうち、免責事由③の内容を変更し、「契約で引き受けていなかった事由」を免責事由とすることが提案されている。

 「契約で引き受けていなかった事由」とは、一見、契約で定められていなければリスクを負担しないという意味ではないかと考えることもできる。
そうすると、契約時において、一般に優位な立場にある債権者は、契約書に膨大なリスク引受条項を要求することにもなりかねない。ひいては契約書の冗長を招くことになる。

 しかしながら、提案の趣旨は、そうではない。
 結論として、現民法下の実務と、ほぼ変わらないことになると立案担当者からは説明がされているところである。
 (その結論の説明にいたるには、結果債務や手段債務などについても考察する必要があるので割愛する。)

 ここで、また疑問がわく。
 実務が変わらないのであれば、そもそも立法事実がないのであるから、少なくとも、その部分については改正する必要はないのではないかという疑問である。

 そのような疑問に対する回答としては、民法そのものが古くなっているため、全体のオーバーホールが必要だと説明されることがある。

 確かに、そのとおりかもしれない。
 ただし、立法事実がない規定も改正するという、通常の法律改正では考えられない改正が検討されているということは、今以上に周知が図られなければならないだろう。

 そのためにも、全国各地で異業種を含めた民法改正の勉強会を開催する必要がある。

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