「民法(債権法)改正と現代における契約」受講報告

 平成21年11月6日(金)は、18時から21時まで、東京大学において、
財団法人民事紛争処理研究基金主催で、「民法(債権法)改正と現代における契約」というテーマで第24回講演会が開催されたので受講した。
 講義は、前半に東京大学大学院法学政治学研究科教授の中田裕康氏の「債権法改正と契約自由」、後半に一橋大学法科大学院法学研究科講師・弁護士の沢口実氏の「債権法改正と企業における契約実務」と、それぞれのテーマで行われた。以下、講義内容の概要を報告する。(なお、講義内容の聞き間違い・解釈の誤りがあり得ることをご了承いただきたい。文責 司法書士 赤松 茂)

【債権法改正と契約自由】
 講義では、①概要、②契約自由の原則とその規律、③契約の基本構造に関する合意とその限界、④契約債権における合意の尊重とその制約原理という4つの論点について解説がなされた。

【債権法改正と企業における契約実務】
 澤口氏の講義では、BtoB取引分野の検討により「提案」による契約実務を考えるという内容であった。近年の上場企業間の契約責任に係る裁判例をもとに、関連する「提案」をあてはめて解説がなされた。
 ①契約の解釈、②契約の合意、③交渉当事者の情報提供義務、④損害賠償の免責事由、⑤損害賠償の範囲、⑥契約自由の原則と信義則、強行法規という論点が取り上げられた。

 実務界では、その規定が、強行規定か、任意規定かということに強く興味を示されることが多い。任意規定であれば、特約で排除することができるからである。今般の民法改正についても、一部には、そのような視点から債権法で何を規定されても、任意規定であればかまわないという風潮があるようにも思われる。
 しかしながら、それで良いのだろうか、と中田氏は述べる。市民社会のニーズ、また国際社会の潮流は、新たな債権法を求めているといえるのではないか、とのことである。
 なお、澤口氏から、実務上、強行法規であるか、任意規定であるかは極めて重要であるので、条文時には、それぞれの条文が強行法規であるか否かを特定できるように条文の文言等の配慮をしていただきたいとの要望が述べられた。

   *

 任意規定だから、特約で排除するという発想は、企業間同士等の契約書作成・契約締結業務に精通する立場から述べられることが多いと思われる。
 私が取り扱うことの多い、消費者事件では、契約当事者が「BtoC」の関係にあることが通常であり、契約締結時に消費者が条項を精査し、交渉するということが、ほとんどない。そのため、任意規定は特約で排除することができるという視点から、実務の講義を聴くことは、とても新鮮であった。





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