「日本消費者法学会第2回大会」参加

 平成21年10月31日(土)10時から17時まで、立命館大学朱雀キャンパスにおいて、日本消費者法学会第2回大会が開催されたので、参加した。参加者は300名ほどであろうか。第2回大会は、次の要領で進行した。
1、開会挨拶 日本消費者法学会理事長 松本恒雄氏
2、シンポジウム『民法改正と消費者法』司会 京都産業大学 坂東俊矢氏
                      立命館大学  谷本圭子氏
   報告①「民法改正と消費者法」一橋大学教授 松本恒雄氏
   報告②「契約の締結過程と消費者法」早稲田大学教授 後藤巻則氏
   報告③「契約の内容・履行過程と消費者法」龍谷大学教授 中田邦博氏
   報告④「実務から見た民法改正と消費者法」姫路獨協大学教授・弁護士
 村本武志氏
3、開催校挨拶 立命館大学副総長 上田 寛氏
4、学会総会
5、シンポジウム
   報告⑤「民法における『消費者』の位置」東京大学教授 河上正二氏
    〈総括コメント〉
      法務省民事局参与 内田 貴氏
      上智大学教授   加藤雅信氏
6、パネルディスカッション
    司会 京都産業大学 坂東俊矢氏  立命館大学 松本克美氏

 以下、総括コメントの模様を抜粋する。なお、コメントの記載内容等については、私の聞き間違いや解釈の誤りが含まれている可能性もあることを念のため申し添えておく。(文責 司法書士 赤松 茂)

【総括コメント】
〈内田貴氏〉
 内田氏によると、消費者という概念をつかったまま、消費者契約法を民法に統合するということについては賛否が多い。むしろ、意見としては、反対が多いと感じている。おそらく、提案の中で、もっとも、ご意見をいただいている部分であると感じているとのことであった。
 しかしながら、その反対意見の内容(民法の対等当事者間の原理と消費者契約法の消費者保護の原理は相いれない、民法では機動的な改正ができない、所管の問題、など)は、提案の趣旨が十分伝わっていないことから、反対していると思われるものも多い。
 これに対し、内田氏は、世界的にみると民法典は多様なものであり、なぜ、これから改正しようとする民法が、19世紀の民法にとらわれなければならないのか、疑問であるとの反論が述べられ、現在においては、民法に消費者の原理が入ることによって、原理的なグラデュエーションが民法に内在することになるだろうとのことであった。
 さらに、内田氏は、消費者ルールは、前に進むことこそあれ、揺り戻しはないだろうとの現状認識により、そのような意味では安定していると評価しうるので、民法に取り込んでも、弊害はないと考えているとのことであった。
 また、内田氏によると、消費者法典を別につくるということについては反対するものではないが、消費者法典の創設と民法に消費者契約法を取り込むという問題は別であるとのことであった。なお、消費者法典の創設には非常に多くの困難がつきまとうと予想されるとのことであった。
 最後に、内田氏は、検討委員会の提案は、消費者保護の規定を先駆的に取組んだものであるので、ぜひ精査していただきたいと述べられた。

〈加藤雅信氏〉
 加藤氏の研究会は、民法と消費者契約法とを別の法律とし、民法が消費者契約法等をレファレンスするという体裁をとった。
 消費者私法は、内田氏も述べるように後退することはないと考えられるが、前進するための改正は当然予定されているところであり、その意味においては、機動的な改正がとれる法形態は重要であるとのことであった。
 また、内田氏は、消費者法典を創設したとしても、消費者契約の規定は民法を準用すればよいとのコメントを述べられていたが、加藤氏の考える消費者法典はそのようなものではないとのことであった。行政手続と私法、さらには刑法とをリンクしたうえで、消費者法典は創られなければならないと述べられた。
 ところで、加藤氏によると、本来、一般法化できる規定は限られていると考えているとのことであった。たとえば、公序良俗無効をさらに進めた複合的要素に基づく契約無効について検討したことがあるが、業者側の対応を考えると慎重にならざるを得ないことが多かったという。
 最後に、加藤氏は、これからの民法は、簡明であり、市民のためにわかりやすい民法でなければならないと述べられた。

      *

 パネルディスカッションにおいて、日司連民事法改正対策部部委員の山田茂樹氏から、消費者契約法を民法に取り込むに際し、消費者保護の目的規定を民法に規定することとなった場合、その保護規定は、統合された規定だけではなく、一般法化された規定や詐欺、錯誤等の規定についても適用されるような定め方はできるのか、という質問がなされた。
 これに対し、松本氏からは、そのような解釈は、目的規定の書きぶりに影響されるものと考えられる。(目的規定が「第●条に適用される~では、×」、「消費者規定に適用される~であれば、○」)松本氏は、これから消費者取引全般に目的規定がかぶるような規定を目指していきたいとの回答がなされた。ただし、松本氏からは、一般法化すべき規定を「一般法化」することについては賛成だが、本来「統合」については慎重であり、回答は、仮に「統合」をする場合、目的規定を質問のような趣旨で導入すべきであるという補足説明がなされた。

      *

 日本消費者法学会第2回大会では、消費者契約法を民法に取り組むべきか否かという消費者にとって、もっとも関心事となるべきテーマが取り上げられた。民法改正の試案を公表しているお二人からのコメントもいただき、それぞれの試案を対比するという意味においても、非常に充実したシンポジウムであった。
 また、消費者契約法を民法に取り組むべきか否かという問題に対し、私は、賛成か、反対か、という2つの選択肢をもって、今まで検討してきたが、今般の大会に参加したことにより、そうではなく、少なくとも、①「一般法化」と「統合」の双方について賛成するか、②「一般法化」のみ賛成し、「統合」については反対するか、③「一般法化」も「統合」も反対するか、という3つの選択肢があり、反対した部分については、)現状維持とするか、)別に消費者法典を創るという提案をするか、という、さらに2つの選択肢があるというべきであると理解した。今までの疑問が自分の中で相当整理できたものと考えている。




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