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債権法改正と保険契約

平成21年10月20日(火)18時から20時まで、財団法人損害保険事業総合研究所主催で、東京・損保会館において、「債権法改正と保険契約」というテーマで、債権法改正に関する講座が開催されたので、参加した。参加者は、主に保険関係の法務部などであろうか、200名以上は参加していたと思われる。
 一橋大学教授の沖野眞巳氏が講師を務め、沖野氏は、はじめに民法改正の総論的な解説をした後、「契約締結過程における情報提供義務・説明義務その他の諸義務」、「約款規制と不当条項規制」、「履行期、履行遅滞、債務不履行責任」、「法定利率」、「債権時効」、「各種の契約の規定」、「その他の個別項目」、「対象と編成」というテーマで講義を展開した。
 以下、各テーマにおける債権法改正の基本方針に関する解説等を抜粋する。

【契約締結過程における情報提供義務・説明義務その他の諸義務】
・交渉当事者の情報提供義務・説明義務を一般法化した。
・当該取引に応じた義務を定める。
・効果は、損害賠償であるが、不実表示等の意思表示の規律による取消しの可能性がある。
・被用者のみのらず、独立的補助者の行為についても責任を定めた。
・当該第三者を契約交渉ないし契約締結に関与させたかどうかを基準とする。
・不実表示として、消契法4条1項1号を一般法化した。なお、重要事項による絞りはかけないこととした。
(不実表示に不利益事実の不告知を取り込み、第三者による不実表示についても規定した。)
・情報提供義務があったにもかかわらず、情報を提供しなかった場合等に適用される沈黙による詐欺を明文化した。
・消契法の断定的判断の提供に基づく誤認は、統合することとした。なお、「将来における変動」から「不確実な事項」へと対象を広げた。
・消契法の不退去・監禁類型は、例示とし、統合することとした。
・公序良俗に、現代型暴利行為を明文化した。
・契約の成立につき、承諾の発信主義から、到達主義に変更した。
・不特定多数に対する「申込み」か、「申込みの誘因」かにつき、「申込み」とする推定規定を置いた。

【約款規制と不当条項規制】
・約款に関する一連の規定を設けた。約款とは契約の内容を律するものである。約款を契約内容として構成するために、約款を開示し、合意することを必要とした。
・約款の内容を規制するために、一般的な不当条項規制と、個別の不当条項リストを設けることとした。原則として条項の全部無効、損害賠償を効果として定めた。
・約款に対する不意打ち条項については、規定しないとの提案をだしたが、委員内でも議論が紛糾したところである。
・複数の解釈可能性が残る場合、条項使用者に不利な解釈を採用する。また、消費者契約の場合、事業者に不利な解釈を採用する。
・消費者契約における条項と約款の二本立てで内容を規制する。
・約款を用いて消費者契約を締結した場合は、約款・消費者契約共通のブラック・グレーリスト以外に、消費者契約のブラック・グレーリストも適用となる点に留意すべきである。

【履行期、履行遅滞、債務不履行責任】
・「契約によって何が引き受けられたか」という判断枠組みで免責をする。
・金銭債務の特則の絶対無過失責任を廃止する。
・法定利率を変動利率制に変更する。
・利息を超える損害についても賠償を可能とする。
・解除の要件を帰責事由から重大な不履行へと変更した。
・催告解除も、催告+一定期間の経過が、重大な不履行と評価できるかどうかで決する。ただし、事業者間契約については、重大な不履行の推定規定を設ける。

【法定利率】
・固定方式性から変動方式へ変更する。
・短期法定利率と長期法定利率の2種類を設ける。

【債権時効】
・短期消滅時効が廃止された。
・債務不履行と不法行為の統一を図った。
・時効の効果は債権の消滅か、それとも履行拒絶権か。
・時効については、起算点・期間等につき、合意による変更を認めた。
・時効障害事由を「時効期間の更新」、「時効期間の進行の停止」、「時効期間の満了の延期」の3種とした。

【各種の契約の規定】
・損害保証契約はおかない。
・役務提供契約、委任契約、継続的契約は、保険契約や代理店契約と大きく関係するのではないかと思われる。

【その他の個別項目】
・錯誤が取消しとなった。形成権一般について、抗弁権の永久性が認められる。
・債権者代位権は存続する方向である。
・債権譲渡ついては、金銭債権の第三者対抗要件の登記一元化を提案している。

【対象と編成】
・編別、構成、全体像については割愛。

《受講を終えて》
 実務家向けの講座のため、非常にわかりやすい講義内容であった。保険契約に関する問題ということで、契約締結時や成立時の諸問題について、詳細に講義がなされたが、その講義の内容は、保険契約に限らず、会社法務として、すべての業種に通じるものであった。

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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