クレサラ相談員説明会

 先日、静岡県司法書士会のクレサラ相談員を対象とした説明会等が開催され、会員向けに報告書をまとめたので、他会にも静岡県司法書士会の活動を報告させていただくという趣旨で、下記に引用する。


クレサラ相談員説明会及び第1回多重債務整理業務初学者向研修開催報告

相談事業部部長 赤松 茂

 平成21年8月23日(日)9時から12時まで、多重債務問題対策委員会の主催により、「総合相談センターしずおか」クレサラ相談員説明会が開催された。
 本説明会は、「総合相談センターしずおか」にクレサラ相談員として登録いただいている86名の会員を対象に、東部・中部・西部の3会場で、クレサラ相談の質の向上のために開催されたものである。(クレサラ相談員ではない会員の聴講も可能)また、3会場での同時開催のため、DVD研修とした。
 古橋清二委員長から趣旨説明がなされた後、次のテーマで進行した。

【相談キャンペーンの概要】
小澤吉徳委員より、相談キャンペーンの概要について説明がなされた。今年も、多重債務者対策本部、日弁連、日司連、法テラス等が主催し、「多重債務者相談強化キャンペーン2009」が9月1日から12月31日までの4ヶ月間で実施される。静岡県司法書士会では、9月と12月の毎土曜日にクレサラ110番を実施する予定である。
相談キャンペーンの主な留意点は、次のとおりである。
① 相談者の生活再建のために、適当である場合、特定調停の手続を進める等、相談者の費用負担削減に努める。
② 専門家費用については、その実情に応じ極力低廉な価格に設定し、分割返済を基本とする。
③ 相談者に対し、民事法律扶助の説明を行い、必要な場合はその活用を図る。

【フィードバックシートについて】
小寺敬二委員より、「フィードバックシート」についての説明がなされた。「フィードバックシート」とは、行政との連携を図るために多重債務問題対策委員会が作成したものであり、行政から紹介を受けた案件について、相談者の同意の上、債務整理内容の状況を紹介先である行政機関に報告するための書式である。
相談者の生活再建のためには、債務整理の手続をすれば、それで足りるというものではなく、生活保護、税金減免、母子手当等のようにきめ細やかなフォローが重要となる。そのようなフォローをするには行政との連携が必須である。そのために、相談員の皆様に「フィードバックシート」を有効活用していただき、行政機関との密な連携をお願いするものである。
なお、「フィードバックシート」は、本説明会の資料として説明会参加者に配布されたが、本会HP(司ネットフォーラム)にも掲載される予定であるので、各自ダウンロードしていただきたい。

【相談の直受けについて】
相談の直受けについて、榛葉隆雄委員より説明がなされた。
「総合相談センターしずおか」では、規則上、原則として直受けを禁止しており、例外的に「相談者の要請があり、かつ受任するにつき合理的必要性がある場合」に直受けを認めているところである。
しかしながら、一般に多重債務相談は緊急性が高いと考えられ、たらい回しを避けて、できる限り短いプロセスで受任する必要性があるので、「総合相談センターしずおか」の相談員として多重債務相談を受けた際には、規則上の「合理的必要がある場合」に該当するとの見解が示された。
そのため、「総合相談センターしずおか」の多重債務相談に関しては、画一的に直受けが禁止されていることを理由として直受けを断ることはない。むしろ、事件のタライ回しや受任事件のえり好みと思われるようなことのないよう、一日も早い相談者の救済を相談員の皆様にお願いしたいと考えている。

【法律扶助の資力基準】
 法テラス静岡の伴信彦副所長から、法律扶助の資力基準について説明がなされた。多重債務相談には法律扶助の利用がかかせない。静岡県司法書士会会員の法律扶助利用件数は、全国でもトップクラスではあるが、データからは、少数の会員が大量に利用していることが読み取れる。
法律扶助の利用は決して難しいものではない。
資力基準を熟知することにより、さらに多くの会員の皆様に法律扶助を積極的に利用していただきたい。

【就職安定資金融資制度】
 静岡県労働金庫のご担当者より、「就職安定資金融資」・「訓練・生活支援資金融資」の解説をしていただいた。昨今、「派遣切り」に見られるように、失職や住居喪失などのように、相談者の問題は、多重債務相談にとどまらず、生活相談全般に及んでいる。そのような相談に適切に対処できるよう、わたしたちは、厚労省・全国労働金庫協会が実施している支援制度等についても熟知しておかなければならない。とくに、「就職安定資金融資」・「訓練・生活支援資金融資」は、その制度の過程で相談者が多重債務であることが判明した場合には、司法書士等が任意整理の受任をすることにより審査が開始される。なお、司法書士が受任する際には、所定の用紙(受任済連絡書)を本人に交付しなければならない点に留意をしていただきたい。

【生活保護の実際について】
 生活保護の実際について、羽根田龍彦委員より説明がなされた。
債務整理により、借金の問題を解決しても、相談者の世帯に収入が少ない場合などは、本質的な問題解決にならないことがある。収入と最低生活費を比較し、収入が下回っているときには、破産等の債務整理手続とともに生活保護の申請について助言をすることも求められる。
わたしたちは、多重債務相談に取り組むにあたって、相談者の目の前の借金問題だけではなく、貧困そのものに目を向け、相談者の生活再建を目指すべきである。

【振込詐欺救済法の活用】
 古橋清二委員長より、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振込詐欺救済法)についての説明がなされた。
 この振込詐欺救済法により、振込詐欺や恐喝、ヤミ金等の被害者が振り込んだ相手の預金口座等について、認定司法書士が被害者代理人として、金融機関に対し、預金口座等の取引停止や解約の措置を要請することができるようになった。具体的には、当該司法書士が「振り込め詐欺等不正請求口座情報提供及び要請書」を被害者が振り込んだ金融機関にFAX等をすることになる。この手続による影響は極めて甚大であり、誤った預金口座を凍結等してしまうと損害賠償請求の対象にもなりかねないので、依頼人の被害回復のために、迅速な対応とともに、慎重な判断が求められる。
ヤミ金等の相談は減少しても、無くなることはない。
相談員の皆様におかれては、この制度の内容を熟知し、適切な措置をしていただきたい。

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 同日、13時から19時まで、多重債務問題対策委員会の主催により、同様に3会場で、多重債務整理業務初学者向研修が開催された。溝呂木弁護士の講義による破産、任意整理等の債務整理全般のDVD研修が開催された。
51名の参加申込があった。
本研修は、これから多重債務問題に取り組もうとしている会員を対象に行われた。
 多重債務相談は、今以上に質・量ともに十分な相談体制の整備が必要とされているところであるので、このような初学者向研修等を積極的に受講していただき、一人でも多くの会員に多重債務相談に取組んでいただきたいと考えている。

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プロフィール

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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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