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横浜マラソンの中止から代金不返還特約について考える。

 平成29年10月29日に開催が予定されていた横浜マラソンが台風22号の接近により、中止された。
http://www.yokohamamarathon.jp/2017/
 参加者2万8000人、参加費1万5000円と大規模大会だったため、その影響も大きいものとなった。中止の発表が前日の17時前後だったことも混乱に拍車をかけたように思われる。(その前の発表では台風が近づいても開催を前提とする発表をしていた。状況が変わったのであれば、もっとリアルタイムに状況を公表しておくべきだっただろう。)

 さて、横浜マラソンの中止を受けて、丹後ウルトラマラソン等と同様に、参加費の返還が問題となるが、この参加費不返還特約が法的には不安定である点は、丹後ウルトラマラソンの際に述べたとおりである。
 今回は、現実的な問題について考えてみよう。

 参加費の法的性質を「大会に参加することの対価」と定義づけるとしたら、大会が開催されない以上、危険負担の原則により、参加費の返還を求めることができることになる。
 しかし、この結論にも違和感がある。
 大会の開催に向けて、相当額の準備費用が既にかかっているからだ。
 大会の半年前にコースを利用できなくなったなどの都合により開催ができなくなったケースと今回のように前日に急きょ開催できなくなったケースとでは現実に要した準備費用が異なるのは当然である。
 大半の参加者は、前日に急きょ開催できなくなったケースでも、参加費の全額を返してほしいとは思っていないだろう。
 そうすると、参加費の法的性質を「大会に参加することの対価(大会の開催費用の負担を含む)」とすべきことになる。

 このように定義するとしたら、次に問題となるのは、大会の開催に向けて現実に要した準備費用の額である。
 これが、ほとんどの大会では公表されていない。だから、有事の際には参加者の不信のもととなる。
 大会の健全運営を示すために、多くの大会では収支を公表し、参加者がエントリーする際の指標のひとつとできることが望まれる。

 ちなみに、収支を公表している数少ない大会の一つである「いわきサンシャインマラソン」によると、平成28年度は、1億4000万円の予算に対し、当日のエイドの飲食サービス費は410万円、警備等の安全対策費は798万円であり、この2つの合計額は予算の10%にも満たない。これらの費用も、前日では支出を余儀なくされるものもあるだろうから、前日の大会中止となると、現実には10%も予算が浮くことはないだろう。収入においても、中止となると企業等からの大会協賛費が減少するおそれがあるから、支出が10%減ったとしても、それ以上に収入が減れば当然赤字となる。したがって、前日の大会中止の際に返金できる額はあっても非常に少額になると思われる。

 重要なのは、返金の額ではなく、主催者は「規約だから一切返金しない」と法的に不安定な規約をたてに参加者に説明するのではなく、実質的な説明をすべきであり、収支の公表など、その体制づくりが急務であるという点である。
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プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

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【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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