最高裁判決を忘れない

 今回の最高裁判決は裁判外の和解に関するものであるため、裁判業務をさほどしない司法書士の中には、関心が高くない方もいるかもしれない。
 しかしながら、司法書士である以上、自分には関係ないでは済まされない。
 この最高裁判決は、司法書士制度の敗北というべきであるからだ。
 繰り返すが、立法当初、適法とされていた解釈が10余年の時を経て、最高裁判所によって覆されたのである。司法制度改革の狭間で、まるで、司法書士制度が揺れ動いているかのように。
 これに司法書士にとって肯定的な意味をあえて持たせるのであれば、それは、この敗北を糧にして、将来的に、司法書士制度が目覚ましい発展を遂げ、失った職域を取り戻すこと、さらには、新たな職域をつかみ取ることである。
 一朝一夕に叶うことではないだろう。
 私自身、この悔しさを胸に秘めながら司法書士として生き、そして、おそらくは無念を晴らす機会に恵まれることのないまま、死んでいくだろう。
 しかし、幾代の後には、司法書士業務のうち、司法判断を仰ぐ場面がまたやってくるはずである。その業務は、裁判業務ではなく、登記業務なのかもしれないし、企業法務、後見業務、31条業務なのかもしれない。
その時まで、司法書士が今回の敗北の悔しさを糧にして絶え間ない努力を続けており、その結果、独自の専門職能として社会から求められる存在であり続けていれば、司法書士制度にとって、きっと今回とは異なる結論が出るだろうと信じている。
 だからこそ、今回の最高裁判決を、裁判業務をする司法書士だけの問題としてはならない。
 すべての司法書士が、この敗北を後世の司法書士に伝えていかなければならないのだ。

受任通知の考え方

 最高裁判決によって、140万円を超える債務に関する任意整理は受任できなくなったので、当然、代理人として受任通知を出すことはできない。
 一方で、複数の債権者からの各々140万円を超える債務があり、破産手続に関する裁判書類作成関係業務として受任する場合に債権者に通知する通知は、個別の債権を、いったん任意整理として受任し、代理人として債権調査をした後、支払い不能状態であることが確定的となってから、あらためて裁判書類作成関係業務として受任しなおすのか、それとも、当初から裁判書類作成関係業務として受任し、裁判書類作成関係業務の一環として債権調査をするのかといったように業務に関する考え方が別れていたところである。
最高裁判決により前者の考え方によることはできなくなったものの、後者の考え方は依然成り立つのだから、これからは後者の考え方に沿った受任通知を出すべきことになるだろう。
プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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