加藤新太郎判事との座談会

 平成24年11月25日(日)14時から16時30分まで、東京の民事法研究会において、司法書士の被告事件に関する書籍掲載のために、座談会を行った。
 登壇者は、加藤新太郎判事、山田茂樹司法書士、鈴木修司司法書士だ。おそれ多くも司会を務めさせていただいた。

 司法書士の裁判関係に関する書籍は数多くあるものの、被告事件受任に特化した書籍は見当たらない。とくに少額の被告事件は請求原因を争うことがない事件が多いからだろう。
 しかしながら、司法統計などの公表データからみると、司法書士の関与率は弁護士と比べ著しく低く、事件の性質によるという見方だけでは、この関与率の低さを説明することができない。
 被告事件の関与率を相対的に高め、もって一般民事事件への関与をさらに高めていくということが本書の狙いだ。

 加藤新太郎判事からは、日本人の法意識にまで踏み込んだ深いご意見をいただき、今後の司法書士の被告事件への取組みについて、とても示唆に富む座談会となった。
 来年の6月までには、出版することを目指して、書籍の他の部分も書き上げていく予定である。


明治大学法科大学院「民法(債権法)改正の動向寄付講座」

 平成24年11月24日(土)13時30分から17時まで、明治大学において、「民法(債権法)改正の動向寄付講座」を受講した。今回の講義では「時効」のテーマを明治大学の林幸司教授、「不当条項規制」のテーマを早稲田大学の後藤巻則教授が担当された。

 今回の講義テーマの一つとなった不当条項規制は、①不当条項アプローチ、②消費者契約アプローチ、③約款アプローチという、それぞれの視点から検討することができるが、現在、法制審議会では、とくに③について議論されている。
 以下、講義内容ではなく、私見である。
 法制審議会では、①の不当条項アプローチは、対等当事者が交渉を行い、利害を計算した上での合意などの場合にも、用いられた条項の内容が不当であれば効力が否定されることにもなってしまい、妥当ではないとの指摘もあるので、この考え方を採用することは難しいと評価されているようだ。②の消費者契約アプローチは、消費者契約法8条から10条に既に不当条項規制が設けられているとの理由で取り上げられていない。

 ③の約款アプローチでは、約款を用いた契約であれば当事者は問わないという考え方であるので、主に事業者間契約に影響が生じることになる。そのため、経済界などからは強い懸念が示されているようだ。
 司法書士が相談を受けることの多い消費者トラブルについては、②の消費者契約アプローチを充実させ、約款を用いた契約の際にも適用することを念頭においた規定を設けることで消費者保護の視点に立った対応が可能であるとも思われる。
 消費者にとって問題となるのは、②の消費者契約アプローチで、どこまで充実した規定群を設けることができるか、だ。
 民法(債権関係)の改正の検討作業において、消費者・事業者の定義や消費者の特則について検討するのであれば、消費者契約アプローチによる不当条項規制についても、同様の深度で検討するべきではなかろうか。

 今回の講義を受講しながら、そのようなことを考えた。

大分での民法(債権関係)改正に関する研修

 平成24年11月17日(土)13時から15時まで、大分・司調会館において、大分県司法書士会主催で、民法(債権関係)改正に関する研修会が開催されたので、講師を務めた。
 参加者は80名程であり、全会員の半数ほどにご出席いただいた。

 2時間という短時間であったが、改正に関する総論的な話のほか、債権譲渡、債権者代位、時効、保証などというように、司法書士業務に大きく影響しそうな論点を重点的に取り上げて講義させていただいた。

 質問も活発に出され、大分の司法書士の関心も相当高いという印象を受けた。

 この時期の研修開催は、来年の2月に公表される予定の中間試案へのパブリックコメントへの準備として、ちょうどよいといえるだろう。
 大分の司法書士の皆様からも、積極的な意見が出されることを期待したい。

日司連「保証制度に関する意見」公表

 日司連が民法(債権関係)改正における保証制度に関する意見を公表した。
 http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/opinion/opinion_detail.php?article_id=103

意見の要旨は、おおむね次のとおり。
・弁済できるだけの資力を有していることを保証人の要件とするべきである。
・説明義務、情報提供義務を設け、効果を取消しとするべきである。
・主債務の履行が遅滞したら、保証人にも通知しなければ、保証債務の期限の利益は喪失しないとするべきである。
・主債務の履行が遅滞していない段階で保証人が死亡した時は、保証人の相続人へ保証債務を請求することはできないものとするべきである。

 とくに、保証人の相続人への請求制限は司法書士独自の視点の提案であり、他団体・各司法書士会からも注目を浴びている。



明治大学法科大学院『民法(債権法)改正の動向』寄付講座

平成24年11月10日(土)13時30分から17時15分まで、明治大学において、『民法(債権法)改正の動向』寄付講座が開催されたので受講した。

前半は、一橋大学の滝沢昌彦教授による『契約の締結に関する基本原則』、後半は、慶応義塾大学の鹿野菜穂子教授による『法律行為の通則・意思表示』の講座であった。

後半では、『無効と取消し』についての解説もあった。
実務では、既履行契約の場合、無効や取り消しを主張して、それで終わりということにはならない。
既履行部分の返還まで請求しなければ意味がないからだ。
商品売買であれば、売買代金と引き換えに、その商品の返還をすればよいのだが、とくに、役務提供契約などでは受けた役務を返還することができないため、問題となる。
具体的な事例としては、未成年者が単独でエステ契約を締結し、エステの施術を受けた後に親権者が未成年者取消しを主張した場合を想起するとよいだろう。
講座では、この無効や取り消しの結果生じる原状回復についての鹿野教授の意見も聞くことができ、有益であった。

民事紛争処理研究基金第27回講演会 「債権法改正と消費者契約法」

 平成24年11月9日(金)18時から21時まで、東京大学山上会館において、財団法人民事紛争処理研究基金主催で「債権法改正と消費者契約法」というテーマの講演会が開催されたので受講した。

 講演会は、前半と後半に分かれ、前半は「債権法改正と消費者」というテーマで一橋大学の松本恒雄教授、後半は「集団的消費者被害回復のための裁判手続きについて」というテーマで一橋大学の山本和彦教授が講演された。

当日の講演内容の概要は次のとおりである。

【債権法改正と消費者】
・法制審議会の動向に関する説明
債権法の改正がされなかったのは、ほとんどが任意規定であり、実務で修正可能であったせいではないか。また、一般条項を緩やかに解釈することで対応することもできた。(保証は、債権法というよりも、担保法という性質なので別)
法制審の委員幹事の学者の中では、松本教授のみが、どこの債権法改正提案のグループにも所属していなかった。
内田参与は、①人概念と消費者との調整、②一般市民がわかる民法、③民法の空洞化を回復、④債権法の世界的統一傾向に対処、⑤国家戦略としての日本の国際的プレゼンスを示す、という目的のもとに債権法の抜本的改正に取り組まれている。
第1読会では債権総論から議論したが、第2読会では民法典の順番にしたがって議論されている。債権総論の配列に対する事務当局の意識が変わったのではないかと推測される。
中間試案では多くが「~ものとする。」という断定形となり、一部には「別の考え方もある。」という注意書きが入ることになる。つまり、「~ものとする。」といえるほどまでに部会内でコンセンサスが得られた論点でなければ、今後の検討論点として落とされる、と考えたほうがよい。
・消費者契約法の見直し
 平成10年の中間報告から平成11年の報告の段階で後退し、見直し課題が施行当初からあったものの、未だ見直しが進んでいない。
 一方、判例の集積は順調に進んでいるとの評価。
 一階が民法、二階が私法の効果を持つ業法とすれば、消費者契約法は中二階型といえる。
 格差と消費者・事業者について検討し直さなければならない。(消費者の団体が事業者となってしまうのは、おかしい。)
 今の消費者契約法は、不当勧誘類型が限定的すぎる。

・民法の人概念
 現在の民法改正においては、事業者間取引を念頭においたビジネス法化の傾向が見られる。また、合意が強調されている点も特徴である。
 民法における人のデフォルトは、「人」から「事業者」へとなると感じている。だからこそ、消費者保護の特則の導入が議論されているのだろう。

【集団的消費者被害回復のための裁判手続きについて】
・集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案
実体法における消費者保護が検討されている中、手続法における消費者保護にも気を配っておく必要がある。
 消費者庁の公表資料に基づき、制度の解説が行われた。

日司連執務問題検討委員会

 平成24年11月9日(金)11時から17時まで、日司連において、執務問題検討委員会が開催されたので、委員として参加した。

 いよいよ、本人訴訟支援に関するガイドラインのようなものを委員会でまとめる作業に入り始めた。

 司法書士の裁判業務として、簡裁の事物管轄におさまる紛争でなければ関与できないという認識を持つことは誤りであるし、簡裁の事物管轄におさまる紛争は代理業務で関与しなければならないという認識もまた誤りである。

 司法書士の裁判業務の基礎は本人訴訟支援にあるからだ。

 年度中には、委員会内で骨子をまとめてしまいたい。

プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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