日司連第75回定時総会報告

 平成24年6月28日(木)29日(金)の2日間に亘り、千葉・舞浜において、日司連第75回定時総会が開催されたので、代議員として参加した。
 司法書士会100名に1名の割合で(100名未満切り上げ)代議員が選出されるので、会員450名以上を有する静岡県会からは、会長のほか代議員5名の参加となる。
 平成23年度事業報告のほか、議案として、同年度の予算報告承認、平成24年度の事業計画決定、同年度の予算決定が例年の会議の目的である事項について審議された。
 今年度は、ほかに震災対応などのため、市民救援基金特別会計特別会費を創設し、1人あたり月額700円の会費(平成24年10月から5年間)を徴収するための会則改正(修正動議あり)、行政不服審査手続の関与権限を拡充するための法整備を求める決議、東日本大震災の取り組みに関する決議、裁判所の運用改善を求める決議、貸金業法の改悪を許さない決議などが議案となり審議された。
 日司連総会の特徴は、長時間の質疑と質疑に対する答弁の時間が確保されているというところだ。
8時間ほど確保されているのである。
これだけの時間が確保されているのだから、毎年シャンシャンで終わることはない。一般会計として毎年14億円程度の会費が計上されており、この予算を執行する日司連の事業も膨大なものとなるので、これでも時間が足りないくらいだ。
 全国の司法書士会、個々の代議員によっては、司法制度・司法書士制度のあるべき姿の具体像、日司連に期待する事業、各司法書士会の関わり方などに関する考え方が大きく異なるので、実に多岐にわたる視点から質疑がなされる。
 「制度のため」という思いは一緒だとしても、その制度のあるべき姿のイメージが異なったり、仮にイメージが同じであったとしてもあるべき姿に到達するための方法論が異なったりすることは当然であるともいえ、自らの考え方と異なる質疑を聞くだけでも自分にとって多くの発見がある。
 私からは、日司連が訴額の少額な事件について報酬の一部を助成する制度のある司法書士会へ助成する制度を創設するという事業計画をたてていたので、同制度の目的、効果、導入に至る議論の過程を明らかにしてほしいという質疑を行なった。訴額が少額な事件の当事者は、資力があったとしても、その紛争の経済的利益の少なさから、あえて法律実務家に依頼しないという行動をとることが多く、この制度の導入によって、そのような紛争の掘り起こしになってしまうおそれがあると考えたからだ。また、同制度を導入するといっても、予算が300万円程度しか割り当てられておらず、簡裁代理権活用、一般民事事件の受任数増加に向けて実効力があるとも思えないからだ。
一代議員が質疑したとしても、日司連の事業計画が覆るわけではないのだが、質疑内容が的を射たものであれば、日司連の実際の事業執行、また各司法書士会で実際に導入する際に斟酌されることになるだろう。そのような意味で、問題と思われる、もしくは期待する日司連事業について積極的に質疑することには十分意義がある。

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 日司連総会は、会長や代議員だけでなく、一般会員も傍聴できるので、とくに、これからの制度を担う若手は事務所を休んででも参加してみるべきだ。
 来年度は、多数の会員に傍聴していただきたい。
 また、代議員は100名分の会員の責任を背負っているということを強く自覚し、日司連総会に参加するだけでなく、日司連総会の意義、日司連総会で議論された内容を会員に伝えることは当然、それのみならず、各議案における自らの賛否までを、つまびらかにするべきである。
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 各議案の概要及び各議案における私の賛否は次のとおりである。
報告第1号  平成23年度事業報告の件
 ⇒ 総会資料のとおりの事業報告とともに、平成23年度は全国的には不動産登記事件数が増加したが、商業登記事件数、裁判業務事件数が大きく減少した旨も報告された。
 ⇔ 報告のため、賛否の決議なし。
議案第1号  平成23年度一般会計収支決算報告承認の件
議案第2号  平成23年度研修事業特別会計収支決算報告承認の件
議案第3号  平成23年度会館建設等特別会計収支決算報告承認の件
議案第4号  平成23年度会館管理運営合同会計収支決算報告承認の件
議案第5号  平成23年度市民救援基金特別会計収支決算報告承認の件
議案第6号  平成23年度特別研修事業特別会計収支決算報告承認の件
議案第7号  平成23年度会員業務整備・地域事業推進等特別会計収支決算報告承認の件
議案第8号  平成23年度地域司法拡充基金特別会計収支決算報告承認の件
 ⇒ 議案第1号から第8号までは予算についての関連議案である。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。適正な予算執行と考えられるから。
 ∴【結果】全て可決
議案第9号  市民救援基金特別会計特別会費創設のための連合会会則一部改正承認の件
 ⇒ 震災対応のための特別会費徴収に関する議案である。月700円の内訳は、東日本大震災対策452.9円、その他の震災対策238円とのことである。これからも長期の支援が必要となるため、5年という期間が設定されている。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。震災対応の財源は必要であるし、金額・期間とも妥当なものであると考えられるから。
 ∴【結果】可決
議案第10号 外国人登録制度廃止及び外国人住民票制度創設に伴う連合会会則一部改正承認の件
 ⇒ 外国人登録証明書の廃止に伴う既定会則の形式的な文言の改正である。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。形式的な改正であり、内容も妥当なものであるから。
 ∴【結果】可決
議案第11号 「行政不服審査手続の関与権限を拡充するための法整備を求める決議」承認の件
 ⇒ 国が設置している行政救済制度検討チームにおいて、行政不服審査法の改正として司法書士を代理人とすることも検討対象とされていることなどを理由に、行政不服審査手続に関し司法書士の権限を拡充することを求める決議である。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。今までに行政不服審査に関する実績があるのか、これから業務として取り組むのか、という疑問はあるが、それが積極的に反対する理由とまではならないと考えられたから。
 ∴【結果】可決
議案第12号 平成24年度事業計画決定の件
 ⇒ 執行部より、総会資料のとおり事業計画についての説明がなされたが、冒頭、司法書士法改正において家事事件に力を入れていきたい旨が述べられたことが印象的であった。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。総論としては妥当な計画であると考えられるから。
 ∴【結果】可決
議案第13号 平成24年度一般会計収支予算決定の件
議案第14号 平成24年度研修事業特別会計収支予算決定の件
議案第15号 平成24年度会館建設等特別会計収支予算決定の件
議案第16号 平成24年度会館管理運営合同会計収支予算決定の件
議案第17号 平成24年度市民救援基金特別会計収支予算決定の件
議案第18号 平成24年度特別研修事業特別会計収支予算決定の件
議案第19号 平成24年度地域司法拡充基金特別会計収支予算決定の件
 ⇒ 議案第13号から第19号までは予算についての関連議案である。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。適正な予算計画と考えられるから。
 ∴【結果】全て可決
議案第20号 平成25年度一般会計収支暫定予算決定の件
議案第21号 平成25年度研修事業特別会計収支暫定予算決定の件
議案第22号 平成25年度会館建設等特別会計収支暫定予算決定の件
議案第23号 平成25年度会館管理運営合同会計収支暫定予算決定の件
議案第24号 平成25年度市民救援基金特別会計収支暫定予算決定の件
議案第25号 平成25年度特別研修事業特別会計収支暫定予算決定の件
議案第26号 平成25年度地域司法拡充基金特別会計収支暫定予算決定の件
 ⇒ 議案第20号から第26号までは暫定予算についての関連事案である。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。適切な予算計画と考えられるから。
 ∴【結果】全て可決
(以上議案第1号から第26号議案までが執行部提案)
議案第27号 「東日本大震災による被災者ならびに東京電力福島第一原子力発電所事故による被害者に対する適切かつ継続的な救済を求める決議」承認の件
 ⇒ 国に対し、原発に関する損害賠償の時効期間を見直すこと、被災者の不動産に関する登録免許税の見直しを図ることを求めるというものである。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。被災地の問題として対応する必要があるから。
 ∴【結果】可決
(組織員提案、本議案は福島県会の会長より提出された。)
議案第28号「裁判所における、申し立て等代理人の有無による取り扱いの差異につき、改善を求める決議」承認の件
 ⇒ いわゆる20部問題。国に対し、代理人が付くと裁判所の対応が異なるという運用について改善を求めるというものである。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。国民の利便性の向上のために改善は必要であると考えられるから。
 ∴【結果】可決
(組織員提案、本議案は東京会の代議員より提出された。)
議案第29号「改正貸金業法の再改正を許さず、多重債務問題改善プログラムの更なる前進、残された課題への対策に取り組む決議」承認の件
 ⇒ 貸金業法の改悪を許さず、多重債務プログラムの充実、利息制限法の引下げなどの事業をするといものである。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。求めている内容は正論だと考えられるから。
∴【結論】可決
修正動議第1号 議案第9号「市民救援基金特別会計特別会費創設のための連合会会則一部改正承認の件」を修正する動議
 ⇒ 月700円の特別会費の徴収について、平成24年10月からの5年間ではなく、1年間とするべきというものである。
 ⇔〈私の賛否〉反対。1年という期限では、あまりに安定性に欠けると考えられるから。
 ∴【結果】否決
(組織員提案、本議案は群馬会の代議員より提出された。)
修正動議第2号 議案第10号「外国人登録制度廃止及び外国人住民票制度創設に伴う連合会会則一部改正承認の件」を修正する動議
 ⇒ 文言の修正漏れのある箇所の修正を形式的に求めるものである。
 ⇔〈私の賛否〉賛成。形式的な修正の追加であり、内容も妥当なものであるから。
 ∴【結果】可決


保証制度の問題点

 法制審議会民法(債権関係)部会の部会資料36によると、保証人の保護の拡充の必要性について、次のように説明されている。

「保証契約については,平成16年の民法改正によって,書面でしなければ効力を生じないものとされた(民法第446条第2項)。これは,保証契約が無償で,情義に基づいて行われる場合が多いことや,保証契約締結の際には保証人に対して現実に履行を求めることとなるかどうかが不確定であり,保証人において自己の責任を十分に認識していない場合が少なくないことなどを考慮し,保証契約が慎重に締結されるようにすることが必要であるとされたものである。
もっとも,現在では,上記の考慮を踏まえ,なお一層の保証人保護の拡充を求める見解が主張されている。」


 端的にいうと、保証契約においては、①無償性、②情義性、③軽率性が問題となりえ、民法(債権関係)改正の論点として、それらへの対応策を検討する必要があるといえよう。

 もっとも、部会資料には掲げられていないが、保証契約に関する問題点は上記3点に限られない。
 すなわち、保証契約は、主債務が履行されている間は、保証人に履行請求されることが事実上ほとんどなく(連帯保証では理論上ありうるのだが)、長期間経過後は保証人自身が失念していることも多く、とりわけ、保証人の相続人は、主債務が履行されている間は、保証債務の存在を知るきっかけすらないことが多い、という問題だ。
 これを、④非公示性として掲げることを提案したい。

 司法書士に寄せられる相続絡みの相談であっても、被相続人の死亡後、単純承認をして相当期間経過してから、主債務の履行が滞り、債権者から保証人の相続人に請求される段階で、はじめて保証債務の存在が判明したというものが往々にしてある。
 相続人が既に単純承認している場合においては、相続放棄等の相続法の問題として処理することが困難となることもあるのだから、保証債務の非公示性に着目して、財産法の分野で一定の対応策を検討してみてはどうだろうと考えている。

静岡県司法書士会制度対策委員会主催「民法(債権関係)改正に関するシンポジウム」開催

 平成24年6月16日(土)13時から17時30分まで、静岡県司法書士会において、私が委員長を務める制度対策委員会の主催で「民法(債権関係)改正に関するシンポジウム」を開催した。
 参加者は178名(うち他会の会員・有資格者は35名)であり、静岡での開催としては近年稀にみる大盛況のシンポジウムとなった。
 なお、本シンポジウムは日司連からの後援もいただいている。

 当日の内容は次のとおり。
1 基調講演
 「民法(債権関係)部会の審議状況」法務省大臣官房参事官 筒井健夫 様
 「民法(債権法)改正の課題と方向性について」法務省経済関係民刑基本法整備推進本部参与 内田貴 様

2 パネルディスカッション
 「民法(債権関係)改正と司法書士実務」
 コーディネーター 静岡県司法書士会制度対策委員会委員長 赤松 茂
 パネラー             同委員会   委員  野々垣守道
          日司連民事法改正対策委員会  委員  齋藤 毅
          静岡大学大学院法務研究科   教授  宮下修一 様

 基調講演では、第2ステージの成果物として、「中間試案」を来年の2月を目安にまとめる予定ということの他、次の第3ステージでは「改正要綱」をまとめることを目標とするという意向が示された。
 また、パネルディスカッションでは、登記関係と裁判関係にグループ分けしたうえで、各グループにおいて複数の論点を抽出し、司法書士実務に引き付けた形で論点の提示をさせていただき、さらにそのうちのいくつかの論点については、日司連意見と静岡県司法書士会制度対策委員会検討中意見とを対比させる形で紹介させていただき、それらについて、宮下教授からコメントをいただいた。

 講義終了後、パネルディスカッションの内容が難しすぎるとのご意見を複数いただいたが、それはひとえにコーディネーターである私の力不足ゆえである。
 次回、同様のシンポジウムを開催する機会に恵まれたら、基礎講座を設けるなどして、今回の反省点を生かしていきたい。
 難易度はおいておくとして、論点の取り上げ方や内容そのものは非常に充実したものであったと思う。

 他会でも同様のシンポジウムを企画中のところが複数あるようなので、今年は司法書士の民法(債権関係)改正に対する取組みも一層加速することだろう。


平成24年度司法書士試験出願状況

 平成24年7月に行われる司法書士試験の出願状況が法務省から公表された。

  http://www.moj.go.jp/content/000098639.pdf

 平成19年度 32,469人
 平成20年度 33,007人
 平成21年度 32,558人
 平成22年度 33,166人
 平成23年度 31,227人
 平成24年度 29,379人

  平成24年度は、2年連続で出願人数が減少し、ついに3万人を割ったことが特徴である。

  出願者とは、司法書士試験を受験する予定の人、すなわち、司法書士を目指している人であり、その出願人数は、司法書士試験の人気のバロメーターであるということもできる。
 もちろん、合格するためには、1年ないし2年は人生の最優先事項に司法書士試験受験を位置づける必要があるので、司法書士を目指すには相当の覚悟が必要であるから、単純に「人気のバロメーター」と言い切ることはできないが、一つの目安にはなるだろう。

 それが減少傾向であることに、私たち一足先に司法書士となった者は留意しておかねばならない。

 

関東ブロック「日司連代議員会」

 平成24年6月2日12時30分より16時まで、新潟において、関東ブロック定時総会と日司連代議員会が開催されたので関ブロ構成員兼日司連代議員として参加した。
 日司連の代議員は、関東ブロックの構成員にも自動的になるのだ。

 定時総会では関東ブロックの平成23年度事業報告と平成24年度の事業計画について承認があり、その後、日司連代議員会で日司連定時総会での関東ブロック推薦・指定の質疑が決定された。

 ところで、私は日司連総会では、次のような質疑をすることを考えている。

 総会資料171ページには、次のような記述があります。                    
 「訴額が少額な事件については、その報酬額から依頼者も司法書士も事件の受託が敬遠されていることが予想される。それでは、司法書士は真に法律家とは言い難いというのは簡単であるが、僅少な報酬での事件受託を会員に奨励するのも現実的ではない。そこで、訴額が少額な事件について、報酬の一部を助成する制度を設けている司法書士会に対し助成する制度を新設し、一般民事事件の受託促進とその普及を図る。」                       
 本質疑は、まず、この制度は誰のための制度かということを確認するものです。すなわち、訴額が少額な事件では、本来、その経済的利益に見合った低廉な紛争解決方法が当事者によって選択されるべきであり、だからこそ、実務上は、資力のある当事者であっても、わざわざコストをかけてまで紛争解決を法律実務家に依頼しないという選択も多くみられるところです。その意味で、資力のない方に報酬援助する法律扶助とは根本的に意義が異なります。むしろ、この制度による報酬援助によって、本来であれば法律実務家に依頼されなかった事件の掘り起こしになってしまうのではないかという危惧があります。つまり、この制度は、一般民事事件の受任件数拡大のための苦肉の策であり、司法書士界のための自己都合といった制度なのではないかという懸念があります。             
 次に、仮にそのような制度であったと割り切ったとしても、司法書士会への助成金100万円程度の上積みでは、助成金利用件数は全国で数十件程度しか見込めないと思われますが、この制度の導入によって、執行部の期待する効果をお尋ねいたします。                             
 また、訴額が少額な事件への助成制度を導入している司法書士会のみ助成するという「一部」・「間接的」というスキームにも疑問を感じます。
 それならば、一般民事事件の受任件数拡大のために、他にもっと効果的な予算の使い道があるのではないでしょうか。
 それともこのような制度に頼るしかないほど、既に万策尽きたといった状態なのでしょうか。
 最後に、総会資料において、「真に法律家」という非常に重い言葉が安易に用いられているとしか思われない記述があり、この制度の導入について真剣に議論した後がうかがえません。どのような意図をもって、このような重要な用語を用いたのかもお尋ねいたします。                           
 以上の次第ですので、どのような趣旨で、どのような効果を期待して、どれぐらい真剣な議論をしたうえで、この制度を導入しようとしているのか、執行部の答弁を求めます。 
                  

 日司連総会において、明快な答弁があることを期待している。


 
プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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