全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会IN愛媛 分科会「民法(債権法)改正と保証人保護」

 平成23年11月26日(土)13時より15時20分まで、愛媛において、全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会IN愛媛が開催され、そのうちの分科会のひとつが、法制審議会民法(債権関係)部会幹事の山野目章夫教授が講師を務め、「民法(債権法)改正と保証人保護」というテーマで設けられたので参加した。
 この分科会は、クレサラ・ヤミ金被害者交流集会の参加者を対象に、山野目章夫教授が保障をめぐる法制審議会民法(債権関係)部会の動向および保証人保護のための保証制度のあり方について述べる、という趣旨のものだ。
法制審議会民法(債権関係)部会で行われていた保証に関する議論では、山野目章夫教授の立場は中立であるようにも思えたが、今回の分科会のように一般の方もおり、しかも保証人保護の立場の参加者のみの分科会で、どのような切り口で持論を展開するかが気になるところである。
 分科会では、山野目章夫教授より、主に次のテーマに基づき、それぞれ、法制審議会民法(債権関係)部会における賛否の代表意見が紹介され、さらに山野目章夫教授の私見がコメントされた。

1 保証成立に際しての説明義務
2 保証成立に際しての情報提供義務
3 保証成立後の情報提供義務
4 保証人の期限の利益の保持
5 適時執行義務
6 根保証
7 個人保証の禁止という問題提起
8 経営者保証の例外としての許容
9 消費者信用保証の禁止
10個人保証禁止の根拠

                *

 山野目章夫教授が登壇して11月10日に日弁連主催で同テーマでシンポジウムが開催されたが、今回のレジュメは、そのときに指摘があった「消費者概念の導入」と「許容される経営者の定義」について検討が加えられたものである。
 
 研修内容は、賛成と反対の意見を照らしあわせつつ、基本的には保証人保護の規律を設けるためのヒントを私見として述べるという方式で進められ、山野目章夫教授は心情的には保証人保護に傾くところもあるのだが、研究者として偏った視点から意見を述べることはできないとのことであった。
 ただし、根保証については、範囲の限定という論点だけでなく、「個人根保証」の廃止についても検討してはよいのではないか、という私見も示された。
 「個人保証」の廃止については、経済取引の有用性についても検討しつつ、冷静に検討したほうがよいという私見が示され、これからの改正作業においては、「運動」ではなく、「政治」を意識したほうがよいとの助言がなされた。
 また、「個人保証」は廃止を求めつつ、経営者保証は許容するというのが日弁連意見であるが、日弁連の中でも消費者問題対策委員会や保証被害対策会議などの意見は経営者保証に関する例外を認めておらず、鋭く意見が対立しているところである。なお、山野目章夫教授は「経営者」という定義を民法に普遍的に定めるのは難しいのではないかと述べていた。
 ところで、「個人保証」廃止の要件を更に加重し、主たる債務者が消費者である場合の個人保証を廃止するという提案もあるが、現時点において、この論点も含め、「消費者概念の導入」についての検討が深められているとは思えないとのことであった。
 最後に、「個人保証」廃止の根拠として、「情宜性」のみに頼っているのでは、これからの議論に立ち向かっていくことができないだろうとのことであった。

 なお、余談であるが講義中に山野目章夫教授が同じ部会の道垣内教授のモノマネを連発し、あまりにも似ているので驚いた。「芸」の域である。


全青司熊本役員会

 平成23年11月19日(土)20日(日)に、熊本で、全青司役員会が開催されたので、副会長として参加した。
 今回は、議長を担当した。
 全青司の事業年度は1月から12月の暦年であり、定時総会は例年3月に開催される。
 そのため、今は、事業年度後半の事業計画の追い込みとともに、次年度事業の準備を始める、といった時期だ。

 主な議題は次のとおり。
・武富士会社更生に対する要望書
・SFコーポレーション破産に対する要望書
・定時総会上程予定の会費減免規定に関する協議
・震災対応(原発問題含む)

 また、役員会の最後の時間で、役員会活性化についての協議も行った。
 事業が活発に動いていれば自然と役員会も活性化されるはずではあるが、昨今、事業の多面化その他の事情により、役員が全部の事業を見渡すことができず、縦割り事業になっているのではないか、その結果、委員会活動が重視されるあまり、役員会での議論がおろそかになっているのではないか、との指摘もなされていたからである。
 議案として出席役員に意見を求めると、役員会活性化のための意見が様々な視点から数多く寄せられ、これであれば今年度後半が活気づくであろうと予感させる議論であった。

 毎月、全国各地を行脚する全青司役員会は他団体をみても類をみない精力的な会議方法であり、精神的にも、時間的にも、経済的にも、そうとうなタフネスさが要求される。
 役員会には、それに参加するに見合っただけの充実した議論が展開されていることが求められるのだろう。

 全青司一般会員の方々も、オブザーバー参加が可能であるので、近隣でこの役員会が開催される際には、ぜひ気軽に参加してほしい。


 

日弁連主催シンポジウム 「これからの保証制度を考える~保証被害のない社会を目指して~」

平成23年11月10日(木)17時30分から19時30分まで、日弁連17階において、シンポジウム「これからの保証制度を考える~保証被害のない社会を目指して~」が開催されたので参加した。
 日弁連では、保証制度について、主債務者が消費者である場合における個人の保証の禁止及び主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証の無効等の提言を行なっているところであり、これからの保証制度の在り方を考える機会とすべく、本シンポジウムの開催を企画したとのことである。
 シンポジウムの概要は次のとおり。
1 第三者保証に関する金融庁の監督指針について
2 日弁連の民法(債権法)改正に対する意見書(保証関連)について
3 フランス保証制度視察報告
4 保証制度に関する法制審議会の議論の状況と日弁連意見書に対する意見
5 今後の法制審議会における保証制度に関する議論について
6 総括

 各報告の詳細は次のとおり。
1 第三者保証に関する金融庁の監督指針について
 金融庁監督局総務課監督調査室課長補佐の前島晋介氏より、金融庁の「個人連帯保証にかかる監督指針」についての解説がなされた。
 平成23年7月14日に、同監督指針において、①経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立、②保証履行時における保証人の履行能力等を踏まえた対応の促進の見直しを中心とする改正が施行されているところである。
 同監督指針の改正によって、①のために、貸付に関する基本的な方針(クレジットポリシー)等に規律する、金融機関に対し説明態勢の強化を求める、この原則に対する例外は経営者に準ずるものとして限定的に考えるなどの方針を示しており、②のために、金融機関に対し、保証人の責任の度合いに留意しつつ、保証人の生活実態を十分に踏まえて判断される各保証人の履行能力に応じた合理的な負担方法とするなどきめ細やかな対応を求めるとの方針を示しているところである。
 今後も実態に応じて必要な施策を講じていきたいとのことであった。

2 日弁連の民法(債権法)改正に対する意見書(保証関連)について
 日弁連消費者問題対策委員会副委員長の平井宏和氏より、日弁連の保証債務に関するパブコメ意見についての解説がなされた。
 とくに留意すべきは、「主債務者が消費者である場合における個人の保証を禁止すべきである。また、主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証について、保証契約を無効とするべきである。」という意見であるとのことであった。
 この意見は、日弁連が平成15年に公表した「統一消費者信用法要綱案」でも述べられているところであり、以降も同様の視点で意見が公表されている。
 金融庁の監督指針にも示されているように、実務においては、保証人をとらない融資慣行が確立しつつあるのだから、保証制度は抜本的な見直しをすべきである。
 この日弁連の意見を実現するための契機とすべく、本シンポジウムが企画されたとのことである。
 また、保証人紹介業問題被害者の会代表の鈴木俊志氏より、保証をめぐる貧困ビジネスに関して、①就職保証被害、②賃貸借保証被害、③進学保証被害、④保証人紹介登録被害などの具体例も紹介された。

3 フランス保証制度視察報告
 消費者問題対策員会委員の千綿俊一郎氏より、日弁連が平成23年9月に行ったフランス保証制度視察についての報告がなされた。
 フランスの保証制度には次のような特色があるとのことであった。
・「脱個人保証」、「保証会社対応」が進行している。
・企業代表者についても個人保証に頼らない運用が模索されている。
・保証人保護規制が積極的に評価されている。
・「手書要件」が実効性のある規制として評価されている。
・保証責任の限定化が図られている。
・「解除権」が機能するための運用が工夫されている。
・保証人に対する保証契約締結後の「情報提供」方法も充実している。
・「比例原則」が金融機関の実務において定着している。
・金融機関の責任、警告義務という考え方が明定されている。
・保証人の家族の保護も重視されている。
・判例が、法改正や実務運用の先駆けとなっている。
 フランスでは保証に関する規制が厳しいと言えるが、個人保証廃止まではなされていない。先進国においても、個人保証廃止がなされている国は今のところ見当たらないが、日弁連意見の達成に向けて今後とも鋭意取り組んでいく所存であるとのことであった。

4 保証制度に関する法制審議会の議論の状況と日弁連意見書に対する意見
 早稲田大学大学院法務研究科教授の山野目章夫氏より、次の論点についての法制審の議論状況と山野目氏の意見が示された。
 ①保証成立に際しての説明義務
 ②保証成立に際しての情報提供義務
 ③保証成立後の情報提供義務
 ④保証人の期限の利益の保持
 ⑤保証人の権利を制限する特約の効力
 ⑥適時執行義務
 ⑦根保証
 ⑧個人保証の禁止
 また、日弁連の保証債務に関する意見に対して、山野目氏は口頭で次のような意見を述べられた。
 「主債務者が消費者である個人の保証を禁止すべきである。また、主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証について、保証契約を無効とするべきである。」との日弁連意見については、基本的に賛成だが、次の気になる点がある。
 まず、消費者という概念を民法に導入して良いのか。次に、兄弟などの親族が主債務者となる場合であっても、保証を禁止するという結論で良いのか。
 後段については、経営者とは何か。その定義を明らかにする必要があるのではないか。
また、そもそも経営者保証については許容するという内容でよいのか。
 最後に、保証人保護の目的達成のために、この論点一点では早い段階で摘まれてしまうおそれもあるので、別の論点もブラッシュアップする準備をしておいたほうがよいだろうとのことであった。

5 今後の法制審議会における保証制度に関する議論について
 法制審議会民法(債権関係)部会幹事の深山雅也氏より、法制審議会の動向についての説明がなされた。具体的には、第2読会の進み具合、到達目標である中間試案を平成25年2月頃に公表することを目指しているなど、である。
 また、パブリックコメントでも、保証債務に対する意見が非常に多かったとのことである。
 なお、深山氏からは日弁連の保証債務に関する意見が全国の弁護士会の意見と一致しているのかという疑問がないわけでもないが、意見を述べる際には条文を意識した立法提案が求められることになると思うとのことであった。

6 総括
 日弁連副会長の新里宏二氏から日弁連意見の達成に向けて頑張ろうと述べられた。 

神奈川県司法書士会労働研修

 平成23年11月8日19時から21時まで、神奈川県司法書士会において、労働問題に関する研修会が開催され、講師をさせていただいた。
 神奈川県会の司法書士60名前後にご参加いただいた。

 テーマは「労働審判制度の活用事例」である。
 同様のテーマで今年の6月に兵庫県司法書士会にも講師として呼ばれており、全国的に労働審判制度に関する注目が高まっていると感じる。
 数年前より、労働トラブル110番の開催が全青司・日司連を通じて、全国に呼びかけられているところであり、具体的な労働相談の受任が増えてきているのだろう。
 労使紛争が最も顕在化するのは、労働契約終了の局面であり、とくに解雇が問題となる。
 この解雇に関する紛争において、労働者が復職を求めず、一定の金銭解決を望むのであれば、労働審判制度の利用を優先的に進めることが多い。
 簡易迅速な手続であり、柔軟な解決案が示されるといのが、その理由だ。

 労働問題に取り組む司法書士は、労働審判制度を熟知しておかなければならないといえるだろう。
 

丸和商事再生計画案の概要

 丸和商事の再生計画案の概要が公表された。

 100%減資をして、増資については、スルガ銀行が募集株式の割当てを受けるというスキームのようだ。
 このスキームでいくと、丸和商事はスルガ銀行の100%子会社になることになりそうだ。

 ただし、法人格は別であるので、このままでは銀行法の適用を受けることはないと考えられる。
 つまり、丸和商事は、貸金業法下での貸金業者として事業継続を図る方針だといえるだろう。

 http://www.maruwa-s.co.jp/privacy/20111104youshi.pdf

 これから債権者による投票が行われる。
 1.65%という弁済率に対し、債権者がどのような反応をするか注視しなければならない。

武富士更生計画認可決定

 会社更生手続中の武富士の更生計画が10月31日東京地裁の認可決定を受けた。

 過払い債権者の同意率は88.07%とのことである。
 第1回目の弁済は12月中旬頃なされる模様だ。

 3.3%という極めて低い弁済率であっても、「ないよりは、まだまし」という過払い債権者の意向が結果として現れたことになる。
 これが、貸金業者の倒産に拍車をかけ、さらに低い弁済率の提示が続かないことを祈っている。

 ちなみに、丸和商事は、1.65%の弁済率を提案した再生計画案を既に東京地裁に提出しており、近日、書面投票がなされる見込みだ。
プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

カテゴリ