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「司法制度改革審議会意見書」を振り返る

 司法制度改革審議会意見書が公表されてから、10年以上が経過している。
 とくに司法書士に関係するのが、意見書中「III 司法制度を支える法曹の在り方 第3 弁護士制度の改革 7. 隣接法律専門職種の活用等」だ。
 http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/iken-3.html

 この意見書が公表されたのが、平成13年6月12日のことだから、最近の合格者は読んだことがないかもしれない。
 しかしながら、今、当然のように行使している簡裁代理権が、どのような経緯で付与されたものか、常に意識しておく必要がある。
 そうしなければ、今後の司法書士のあるべき姿もみえてこず、司法書士法改正に向けた現実的な議論もできないだろう。

 意見書をご覧になっていただければ明記されているとおり、「利用者の視点から、当面の法的需要を充足させるための措置」という暫定的な措置として、司法書士の簡裁代理権は付与されているのだ。
 この「暫定的な措置」を「恒久的な措置」とすべく、私は司法書士の簡裁代理権を活用することを強く意識し、その活用方法をできる限り広めようと文章にまとめてきた。

 司法制度改革審議会意見書で述べられている「当面」のリミットである弁護士大増員がほぼ達成され、この10年間で司法書士の簡裁代理権の活用において唯一客観的な実績があるといえる債務整理事件も終息しつつある今こそ、あらためて、この司法制度改革意見書を振り返らねばならないだろう。

 司法書士に簡裁代理権があるのが当然という意識は非常に脆い幻想に基づくものだ。
 これを先輩司法書士は後輩司法書士に伝えていかなければならない。




プロフィール

Author:赤松 茂
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(平成26年5月に事務所移転しました。)

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