全青司しずおか全国研修実行委員会

 平成23年7月28日(木)18時30分から、静岡県司法書士会において、全青司しずおか全国研修実行委員会が開催されたので、副会長として参加した。
 実行委員20名と共に全青司の後藤会長も札幌から駆けつけていただいた。
 全国研修会のHPは次のとおり。
 http://www.shizuoka-ssk.org/

 開催まで既に2ヶ月を切ったので、今回の実行委員会では当日の段取りの打ち合わせが主な議題である。
 前日恒例の袋詰め、来賓接遇、開会式・閉会式の段取り、懇親会の流れの確認や当日の備品の確認などを行った。

 なお、上記HPのほか、フェイスブックで、しずおか全国研修会の豆情報、裏情報の情報交換が活発になされている。フェイスブックで私宛にリクエストを送ってくだされば、閲覧が可能となる。
 こちらも、ぜひご覧いただきたい。

保証制度に関する意見

 民法(債権関係)改正に関して、かねてより全青司は保証制度廃止を主張しているところであるが、日弁連消費者問題対策委員会も一定の場合に保証制度を廃止すべきであるとの見解を有していることが明らかとなった。

 法制審議会民法(債権関係)部会のヒアリング資料として公表されている。
  http://www.moj.go.jp/content/000076490.pdf

 意見の趣旨は次のとおりである。
 主債務者が消費者である場合における個人の保証や,主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証などを対象として,その保証契約を無効とすべきであるとする提案については,賛成である。

 民法は、もちろん学者だけのものではない。
 今般の民法改正に向けて、実務家団体があるべき市民社会を見据えて、ほんとうに必要な改正を求め始めている。
 この主張がさらに広がりと深まりをみせていくことを期待している。
 全青司としても、保証制度廃止の主張を、さらにブラッシュアップさせていく必要があろう。

 ところで、民法(債権関係)改正の中間的な論点整理に関するパブリックコメントは8月1日までである。
 募集要項は次のとおりであるので、ふるってご意見を述べていただきたい。
 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080078&Mode=0





民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理パブリックコメント

 静岡県司法書士会制度対策委員会では、民法(債権関係)改正に関する中間的な論点整理パブリックコメントにつき、次の内容の意見を提出した。


第12 保証債務
7 根保証
(1)規定の適用範囲の拡大について

(意見の趣旨)
 民法第465条の2に規定する根保証契約には,建物賃貸借契約に基づく債務を主債務とする保証契約も含めるべきである。

(意見の理由)
1 建物賃貸借に基づく債務を主債務とする保証契約(以下「保証契約」という)の保証人から寄せられる相談の実態
 建物賃貸借契約及び保証契約においては,契約締結後複数回の更新を繰り返し,長期間が経過してから,賃借人が家賃を滞納したことにより,保証人がその支払及び建物明渡しへの協力を求められることがある。つまり,保証人が一旦当該保証契約を締結すると,主債務者である借主が建物賃貸借契約の更新を止めるまでは延々と当該保証契約が保証人の意思とは無関係に更新されることに起因する問題が生じているのである。
 保証契約の保証人から寄せられる相談では,たとえば,20年前に締結した保証契約によって保証人となったものの,その後,保証人へは建物賃貸借契約の更新の際に一切の連絡がなく,自らが保証人となったことを失念するほどの期間が経過し,主債務者である借主との人的関係も断絶した後に,当該保証債務の履行を請求され,困惑するというケースも寄せられている。また,保証期間及び保証金額の制限がなく,債権者である貸主には主債務の履行遅滞が生じても保証人に対する通知義務も明文上ないことから,当初保証人が想定した以上の保証債務の履行を請求されるというケースもある。
さらに,保証契約の保証人に相続が生じた場合では,その保証人の相続人が保証債務の存在に気づかぬまま相続を単純承認してしまい,その後,当該相続人に対して保証債務の履行が履行されるというケースもある。
 一方,予期せぬ額の滞納賃料の請求を受けた保証人からの相談だけではなく,保証人には迷惑を掛けられないという思いから借主が貸金業者による借入によって賃料を支払ってしまい,それが原因で多重債務に陥ってしまったという借主からの相談も当然ながら数多く寄せられている。
 
2 判例法理
 判例においては,一般に,建物賃貸借契約は,契約期間が定められていても正当事由のない限り賃貸人から更新を拒絶することができないため,契約関係が長期に亘って継続するという事情を保証人は想定しているのが通常であるから,家賃債務についての保証契約には,特段の事情のない限り建物賃貸借契約更新後の家賃債務についても保証する意思が含まれると解されている(最判平9.11.13)。
 一方で,賃借人が家賃を長期間滞納し続けているにも拘らず,賃貸人がこれを保証人に告げることなく,いたずらに契約を更新している場合などには,信義則に照らし,または保証契約が終了していたとの認定の下,保証人に対する請求が制限されることとなる(東京地判平6.6.21,東京地判平10.12.28等参照)。
 このように判例法理は,信義則に基づき保証人の救済を判断していると解することができるが,予見可能性を高め,紛争を未然に防ぐためには,保証契約の保証人に関する明文の規定を設けるべきであると考える。

3 衆参法務委員会付帯決議
 平成16年の民法改正の際には,衆参法務委員会において,「個人の保証人保護の観点から,引き続き,各種取引の実態やそこにおける保証制度の利用状況を注視し,必要があれば早急に,継続的な商品売買に係る代金債務や不動産賃貸借に係る賃借人の債務など,貸金等債務以外の債務を主たる債務とする根保証契約についても,個人保証人を保護する措置を検討すること」とする付帯決議がなされている。
 したがって,今般の民法改正の議論において,根保証につき,この付帯決議の趣旨を重く捉え,建物賃貸借契約から生じる債務を主債務とする保証契約の保証人にまで,その適用を拡大すべきである。

4 具体的提案
 このような建物賃貸借契約から生じる債務を主債務とする保証契約の保証人から寄せられる相談,判例法理及び上記付帯決議を踏まえると,保証人が保証契約の際に予定している範囲について,保証期間と保証金額に関する明文の規定を民法に設けることが妥当であると考える。
 具体的には,民法第465条の2に規定する根保証契約には,建物賃貸借契約に基づく債務を主債務とする保証契約も含めるべきである。

5 補足
 なお,上記4の方向で検討を進め,保証期間を主債務の更新期間と同一とすると,建物賃貸借契約の更新の都度,当該建物賃貸借契約から生じる債務を主債務とする保証契約の保証人に対し,保証契約更新の意思確認が必要になる。このような保証人への意思確認は現在の実務慣行を大きく変え,一見,不動産賃貸市場の停滞を招くことになりかねないようにも思われないわけでもない。しかしながら,保証人が主債務者との人的関係によって対価も得ずに,保証人を付けなければ建物賃貸借契約が成立しない仕組みのように保証人の負担を前提として成り立つ市場は,本来,健全な市場であるとは言い難い。保証人の負担に頼った賃貸市場の在り方そのものについても検討を踏まえつつ,十分な経過措置を取るなどにより市場への急激な影響は避け,本来あるべき賃貸市場を今般の民法改正を契機に実現すべきであると考える。


保証被害対策全国会議設立

 平成23年7月24日(日)13時から16時まで、大阪において、保証被害対策全国会議の設立集会が開催された。(私は、同日同時刻に福岡にいたために参加できなかった。)
 テーマは「脱!保証、なくせ!連帯保証~保証人被害を生まない民法改正を目指して~」である。
 当日は、弁護士・司法書士・保証債務被害者・一般市民など多数の方々にご参加いただいたようだ。

 保証被害は多重債務問題で残された最後の大きな課題であるといってもよい。

 折しも民法(債権関係)改正で見直しの気運が高まっている民法の保証債務について、保証人保護のための規定を設けることを要求していくことが当面の課題となろう。

 ところで、「連帯保証制度廃止」と「保証制度廃止」は似て非なるものであることにご留意いただきたい。
 「連帯保証制度廃止」は、連帯保証の特色である①催告・検索の抗弁権がないということ、②分別の利益がないということ、③連帯保証人に対する請求によって主債務の時効が中断するということ、を廃止し、単純保証制度に一本化する、というものである。つまり、責任の程度は弱くなるものの、①の廃止によっても、主債務者に資力がなければ結局全額の責任を負うという点は変わらず、②の廃止によっても、複数の保証人がつくという事情がなければ、保証人の負う額は変わらず、③の廃止によっても、時効が中断しないという利益は主債務に生じるので、保証人への利益となる影響は特段ない、ということになる。

 一方、「保証制度廃止」は、対価性のない保証契約もしくは重畳的債務引受契約を強行的に廃止しようというものである。契約自由の原則から考えると、極めてドラスティックな考え方である。
 対価性のない契約というと保証だけではなく、贈与も考え得るが、「保証制度廃止」という意見について、一部の方からは、贈与が認められるにもかかわらず、保証は何故だけに制限をかけるのか、という反論も寄せられているようだ。
 このような反論に対し、私は、贈与であれば贈与の目的物となる財産を移転することを確定的に覚悟しているので、契約当事者の意思に照らしても問題が生じることはないが、保証では保証債務を現実に負うことになるとは契約締結時に想定しないことが多く、それが現実となったときに当事者が想定していなかった問題が生じるという構造的な違いがあるので、そもそも、贈与と保証とを比較することは妥当ではないと考えている。



全青司ふくおか役員会・代表者会議

 平成23年7月23日(土)24日(日)は、福岡において、全青司役員会及び代表者会議が開催されたので、副会長として参加した。
 今回は、3ヶ月に1度開催される代表者会議も兼ねているので、参加者は100名を超えた。

 役員会では、民法(債権関係)改正に対するパブリックコメントも予定していたものが全て承認されたので、8月1日までに法務省に提出できることとなった。
 会議の合間には、担当する制度委員会も開催することができ、全国研修の分科会の打ち合わせも進めることができた。

 代表者会議では、武富士会社更生手続に関する情報交換や災害対策に関する協議も行われた。

 なお、本年度から、役員会だけでなく、代表者会議も、ユーストリームで生配信をしているので、閲覧希望者は地元青年会の代表者にURL及びパスワードをご確認いただきたい。

 次の代表者会議は、10月に札幌で開催される予定だ。

日司連月報発行委員会任期満了

 平成23年6月に開催された日司連定時総会をもって、月報発行委員会の委員の任期が満了し、再任はしない方向でお願いしていたのだが、この度、私の代わりの新委員が推薦され、これで晴れて月報発行委員会の委員を終えることとなった。
 思えば、月報発行委員会は、私が開業した同月である平成16年9月から足掛け4期も務めさせていただき、「私の司法書士人生のスタート」=「月報発行委員会の委員」であった。
 月報発行委員会に所属していると、日司連総会や全国会長会の取材をすることができるので、司法書士制度の最先端の議論や全体像をつかむのに最適である。
 私自身、委員でなければ、未だに「日司連総会って何?」という意識しかなかったかもしれない。
 委員会活動を通じて、多くのものを学ばせていただいた。
 まさに、司法書士としての今の私があるのは、この委員会のおかげであるといっても過言ではない。

 しかし、委員といっても、本職は司法書士なのだから、最初は、月報司法書士の編集の要領は全く分からない。校正などもズブの素人である。
 だからかもしれないが、この委員会は1期で終わることが難しい。1期目は試行錯誤しながら、先輩委員の編集を真似ながらの勉強であり、委員として機能するのは大抵2期目以降だからだ。

 原稿の校正だけでなく、自分で執筆する機会が増えるのも、自らの文章力の向上に非常に役立つ。
 ちなみに私が委員の間に月報司法書士に寄稿した原稿は10を超えていた。

 円満に委員を終えることができる今、委員会には感謝の気持ちとともに、新委員への期待で一杯だ。
 この委員会で多くのものを学び、いろんなところへ是非フィードバックしていただきたい。

 なお、このブログを愛読してくださっている日司連月報担当事務局員S氏には、委員会活動の内外で非常にお世話になった。お礼申し上げる。

司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その5

4 これからの取組み
 筆者が書類作成をし、申し立てられた損害賠償命令は、その裁判所では制度始まって以来の本人訴訟とのことであったが、弁護士代理による申立ても今までに3件しかなかったようだ。
 この制度の良さが利用者・代理人、そして書類作成者である司法書士に周知されていないと思われる。実際に利用してみると、この制度は、早く・軽く・安い、という、まるで魔法のような制度であると感じた。
 求める損害賠償の額が簡裁の事物管轄の範囲である本事案において、司法書士が代理して簡裁に訴訟を提起していたとしたら、解決に相当の時間を要し、刑事被告事件の記録も全て添付してゼロから立証活動をしなければならなかった。
 そのようなことを考えると、簡裁の事物管轄の範囲内の民事紛争であっても、あえて裁判書類作成関係業務として受任することの意義は大きいと思われる。 
 今後、犯罪被害者支援の手法のひとつとして、司法書士が、この制度の申立てにも積極的に関与することによって、犯罪被害者の被害回復に役立てていくことが重要である。


司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その4

(2)いくつかの検討課題
筆者が同制度を利用した過程で筆者が検討した課題は次のとおりである。 
 ① 刑事被告事件の進捗状況の把握
犯罪被害者が損害賠償命令申立制度を利用する際には、当該刑事被告事件の公訴提起時から弁論終結時までに申立てなければならないために、当該刑事被告事件の進捗状況を把握しておく必要がある。
起訴前は警察の被害者連絡制度、起訴後は検察庁の被害者等通知制度を利用する。たとえば被害者等通知制度では、犯罪被害者が検察官に対して申し出ると、次の事項が犯罪被害者に対し通知される。
・事件の処分結果(公判請求、略式起訴、不起訴、家庭裁判所送致等)
・裁判を行う裁判所及び裁判の行われる日
・裁判の結果(裁判の主文と上訴、確定の有無)
・犯人の身柄の状況、起訴事実、不起訴の理由の概要など上記に準ずる事項
 損害賠償命令申立後は、犯罪被害者保護法20条2項に基づき、公判期日が通知される。
 本事案においては、X及びAが事前に検察官に対して申し出ていたために、Yが起訴された日にその事実を知り、Xが即日司法書士へ相談する契機となった。
 司法書士が犯罪被害に関する相談を受けた際には、犯罪被害者が検察官に対して、この申し出をしているか否かの確認をし、刑事被告事件の進捗状況を早期に把握する必要がある。

  ② 犯罪被害者の個人情報の保護
 裁判の際に、犯罪被害者の氏名等の個人情報が公開されると、犯罪被害者にとって不利益が生じるおそれがあるので、書類作成として関与する司法書士にも、その点に関する知識及び配慮が求められる。
従前は、裁判所・検察官・弁護人三者の合意により、犯罪被害者の氏名を後悔しないという運用がなされることもあったようだが、平成19年刑事訴訟法改正において、一定の場合には、氏名等の被害者特定事項を秘匿できることが制度上認められた(刑事訴訟法290条の2)。
 また、刑事被告事件終了後の民事裁判では、口頭弁論は任意である(法23条)。
 本事案において、刑事被告事件の法廷で、Xの氏名等が公開されることはなく、民事裁判においても、口頭弁論はなされなかったので、氏名等が公開されることはなかった。

  ③ 刑事事件記録の閲覧謄写
 損害賠償命令制度においては、当該刑事被告事件の起訴状を援用することができるので、改めて刑事被告事件の記録を閲覧謄写した上で裁判所に提出する必要はない。
 しかしながら、損害賠償をするにあたって、自分の供述がどのように記録されているのかを確認しておくことは重要だろう。また、書類作成として関与する司法書士もこれら記録を確認しておくことが望ましいといえるだろう。
刑事被告事件の記録の閲覧謄写は、平成19年改正で、原則と例外を逆転させ、犯罪被害者等は当該刑事被告事件の記録の閲覧謄写ができるのが原則となった(法3条)。
 閲覧謄写が可能となるのは、条文上、第1回の公判期日後からである(法3条)。本事案では、平成22年12月20日である。
 ところで、本事案のYのように被告人が事実関係を認めており、刑事被告事件が1回の公判で弁論終結してしまう場合には、損害賠償命令の申立てが弁論終結時までであるので、損害賠償命令の申立ての時点で当該刑事被告事件の記録を入手することができない。現に、本事案においては、Xが、損害賠償命令の申立てをしてから、平成22年12月下旬に入手した。すなわち、損害賠償命令申立書作成の段階で、司法書士は当該刑事被告事件の記録を読むことができなかった。
 このような問題を解消するために、平成20年9月5日付最高検通達で、第1回公判期日前においても、犯罪被害者からの閲覧謄写請求に弾力的に応じる運用をすることが明示されているところであるが、未だ十分な周知がされていないという印象を受けた。

  ④ 相手方との対面
 犯罪被害者(申立人)が被告人である加害者(相手方)と訴訟手続の過程で直接顔を合わすことによって、一層の精神的苦痛を受けるおそれがある。そのような事態を回避するために、相手方と対面せずに審尋の方法によって手続を進めることができる(法23条2項)。
 本事案では、損害賠償命令申立てを利用する段階で、あらかじめ裁判所に運用を確認し、相手方と対面せずに手続が進む可能性が高いことを確認した上、さらに念のため、申立後Xから、裁判所に対し上申をすることとした。
実際の民事裁判は審尋の方法によって進められ、当日、XとYとが対面することはなかった。

  ⑤ 申立ての際の留意事項
 損害の額については、積極損害は算定根拠を基に請求額が妥当なものか否かについて検討することが容易であるが、慰謝料等の消極損害はそうはいかない。  
 「損害賠償額算定基準(いわゆる「赤い本」)」に示された別表を参考にしたり、類似事件の請求額や認容額を参考にしたりすることがあるようだが、慰謝料の相場そのものはない。
 本事案においては、Xの希望する慰謝料の額70万円について、受任前に司法書士が類似事件の調査をしたところ、妥当な額であるように思われた。
 また、損害賠償命令申立ての際には、異議が出された場合に通常の民事訴訟に移行する場合の裁判所を指定することができる。損害賠償命令は地方裁判所に対して行うものであるので、司法書士は当然代理することができないが、求める額が簡裁の事物管轄の範囲内であれば、この異議後の裁判所として、簡易裁判所を指定することもできる。すなわち、異議後、申立人からの新たな委任があれば、手続の複雑な通常の民事訴訟においては、司法書士が代理人となることも可能である。
 本事案においても、異議後の裁判所として、申立人の住所地を管轄する簡易裁判所を指定した。

  ⑥ 示談金の支払い
 被告人である加害者が被害者に示談金を支払ったことが刑事被告事件の審理に影響を及ぼすこともあり、刑事被告事件の公判終了までの間に加害者から被害者へ示談金の支払いの申し出がなされることもあるようだ。
本事案においても、損害賠償命令を申し立てた後、Yの弁護人から、Xに対して、Yの親族が30万円を用意したので、支払いたい旨の申し出があった。Xは、その金額では示談する意思はなかったが、現実問題として引越費用が必要という事情もあったので、示談はせずに事実上同金員を受領することとした。
 このように簡裁の事物管轄に係わる民事紛争において、地裁事件が進行している最中に、司法書士が訴訟外の代理人として業務をすることができるのか、という論点については、現在、公式見解はないと思われるが、今後研究されなければならない重要論点であるといえるだろう。

  ⑦ 命令か和解か
 刑事被告事件の判決言渡しの直後に開始される民事裁判では、刑事被告事件の判決内容について、あらかじめ複数のケースを想定しておく必要がある。被告人である相手方が実刑となるか執行猶予となるかによって、民事の賠償能力も大きく異なることになるからである。
 本事案においては、平成22年12月20日の公判終了のとき、被告人に懲役1年6カ月が求刑されており、判決言渡しでは、実刑になるか、執行猶予となるかの判断を事前にすることが困難であった。
実際には、平成23年1月12日に、被告人に対し懲役1年の実刑判決が言渡された。その結果、資力のないYは、少なくとも1年間は賠償することができないこととなった。被告人に資力があるのであれば、たとえ実刑が言渡されたとしても、命令を求め、その債務名義に基づき、強制執行をすることも考えられるが、本事案では、Yに強制執行するべき財産も見当たらなかったこと、命令よりも和解による合意をした方が履行可能性が高まると思われたこと、などの理由から、損害の全額を分割払いとし、その支払期を1年先とする和解が成立した。

  ⑧ 民事裁判後における留意事項
 民事裁判が命令若しくは和解により終了したとしても、当該刑事被告事件が控訴される可能性は十分ある。
 刑事被告事件の控訴によっても、民事裁判の結論は左右されないことは明らかであるが、民事裁判が和解となった場合には留意が必要である。
検察官の控訴によって、実刑の期間が伸長したときには、和解で約した支払期となっても、また服役中という事態も想定されうるからだ。
 民事裁判は、刑事被告事件の一審終了直後に開始されるため、控訴の有無についての情報が全くない中で、和解の検討をしなければならない。民事・刑事の知識を踏まえての司法書士の助言が必要となることもあろう。
 本事案においては、和解で民事裁判が即日終了した後、一時、Yから刑事被告事件が控訴された。その際に、検察官も控訴したとしたら、支払期にも服役しているおそれが生じたところであったが、結論として検察官は控訴せず、Yもすぐに控訴を取下げたために、民事裁判に対しての影響は特段なかった。

平成23年度全青司関東ブロック茨城研修会

 平成23年7月16日(土)17日(日)は、茨城県水戸市において、全青司関東ブロック研修会が開催されたので、副会長として参加した。

 当日のプログラムは次のとおり。
【報告会】
「茨城・千葉の被災状況及び相談事例報告」
【研修会】
「私道の法律問題について」
「近隣アジアの渉外登記」

 研修会開会式では、主催団体として挨拶をさせていただいた。
 当日の私の挨拶の内容は次のとおり。

 まず、本年度の全青司関東ブロック研修を茨城で開催することができ、主管会である茨城会の皆様に感謝申し上げます。
 言うまでもなく、東日本大震災で甚大な被害があった、ここ茨城の地に関東ブロックをはじめとして全国の司法書士が集い、ともに災害対策や司法書士実務についての議論・研修を行うということは大きな意義があります。
 現地での災害対策に追われ、今回の研修会の開催準備との同時進行は決して容易ではなかったでしょうが、その困難をあえて選択し、研修会の開催を決定していただいた茨城会の実行委員会の皆様には、ほんとうに感謝にたえません。
 さて、本年度の全青司事業も東日本大震災により大きく影響を受けております。すなわち、有事と平時の事業執行双方をいかにバランスよく行っていくか、という課題に直面しております。
 災害対策といたしましては、岩手の陸前高田市などに定期的に相談員を派遣するなどして、相談事例の集積を図り、相談Q&Aを作成するとともに、相談グッズとして全青司ホットラインの電話番号入りのタオルを製作し、全国の司法書士へ販売して災害対策費の捻出をするとともに被災地へのタオル寄付もご依頼しているところであります。災害対策は、長期的に継続的な支援を行うことが重要でありますので、会員の皆様も引き続き、ご協力をお願い申し上げます。
 一方、本年度は、通常の司法書士業務も大きな変革を見せております。すなわち、全国の司法書士の取扱事件数において、顕著な伸びを見せていた裁判上の簡裁代理件数が平成22年には前年に比べ1万3999件減少し、12万5904件、裁判外和解手続においても前年に比べ6万3140件減少し、51万1421件、裁判書類作成関係業務も前年に比べ4124件減少し、8万7205件といずれも代理権付与後初の減少傾向に転じたことが明らかとなりました。このような状況を踏まえ、今後の司法書士業務の方向性についても、登記業務・簡裁代理権活用・裁判書類作成への対応の在り方が鋭く問われ始めているといえますでしょう。
 このように有事・平時ともに大きな課題が差し迫る中、今回の研修会では、バランスのとれた内容で双方とも充実した勉強ができるよう配慮されています。この2日間、大いに勉強し、懇親会ではこれからの司法書士制度について語りあいましょう。
 最後になりますが、全青司では、常に幹事を募集中です。全青司には登記関連・裁判関連・人権関連・制度関連などなど数多くの委員会がありますので、一人でも多くの全青司会員の方に、ぜひ幹事となって、ともに全青司事業に直接携わっていただきたいと期待しています。全青司幹事になりたいという方は地元の青年会代表者もしくは全青司役員にお声がけしていただければ、すぐに幹事承認の手配をさせていただきますので、お気軽にお申し付けください。


 研修会には、おおむね200名前後の司法書士にご参加いただいた。

 この場をお借りして、参加者および主管会実行委員会の皆様方に改めて御礼申し上げる。

司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その3

3 損害賠償命令申立ての実務
 この損害賠償命令申立制度について、司法書士がどのように関与することができるのか、以下、実際に筆者が担当した損害賠償命令申立てを基に紹介する。
(1)事案の概要
 平成22年11月24日、過去の依頼者(A)より、新規の相談の電話が入る。
 相談の内容は、過日Aの配偶者(X)が損害賠償命令制度の対象となる犯罪に巻き込まれ、加害者(Y)が本日、起訴されたが、示談が進んでいないので、Yに対して慰謝料等の請求をしたいというものであった。
 請求の内容は、Yが近隣の住人であったために、現実問題として、Xが引越しをしなければならない状況に追い込まれており、その引越費用相当額と、犯罪事実後、仕事を数日間休まなければならなかったので、その休業損害相当額と、犯罪事実によってXに生じた然るべき慰謝料相当額を請求したい、とのことである。
 Xの主張するそれらの額の合計は併せて120万円ほどである。
 本事案の特殊性としては、①相談者が損害賠償命令申立ての対象となる重大犯罪の被害に遭遇したこと、②加害者が起訴された当日に司法書士へ相談されたこと、が挙げられる。
 このように損害賠償命令申立ての対象となる重大犯罪において、慰謝料等の額が簡裁の事物管轄の範囲内で収まると想定され、かつ、当該刑事被告事件の弁論の終結までに犯罪被害者が司法書士のもとに相談に訪れたケースにおいては、その解決方法として、簡易裁判所に対する民事訴訟を提訴もしくは提訴を視野に入れつつ訴訟外の代理人として示談交渉をするという方法と、裁判書類作成関係業務として損害賠償命令申立制度を利用するという方法とがある。
 本事案においては、平成22年12月8日にXと面談し、両方の解決方法を提案した上で、民事訴訟に費やす時間、立証負担、訴訟費用を考慮し、裁判所との協議の結果、犯罪被害者が加害者と顔を合さずに手続を進めることができ得ることが確認できたので、Xの意向により、簡易迅速な制度である損害賠償命令申立制度を利用することとした。
 裁判書類作成業務として受任後、速やかに平成22年12月10日に損害賠償命令申立てを○○地方裁判所刑事部に提出した(資料1)。この申立書は、刑事被告事件への予断排除の原則から、必要事項以外は記載することができないので、定型的な申立書を作成することになる。
 平成22年12月20日に、刑事被告事件の公判があり司法書士が傍聴した。傍聴の結果、Yには、ほとんど資力がないことが判明した。なお、XはYと顔を合わすことを避け、傍聴をしなかった。
 Yは、公判において、自らの犯罪事実を認めていたために、即日、弁論が集結し、判決言渡日が平成23年1月12日に指定された。なお、刑事被告事件の弁論が終結した日以降は損害賠償命令申立てができない点に留意しておくべきである。
 平成23年1月4日、Xは、○○地方裁判所刑事部に、本事案の慰謝料の立証のために、詳細な準備書面と証拠説明書を提出した(資料2及び3)。平成22年12月20日に公判が終了し、同日をもって予断排除の原則の趣旨が喪失するので、損害賠償請求の立証の追完ができるようになる。平成23年1月12日の刑事被告事件の判決言渡後に民事裁が開始されてから追完してもよいが、本事案では、より迅速な解決を期待し、少しでも早いタイミングで立証活動を行うこととしたのである。
 なお、この段階で、念のため、XとYとが民事裁判の際に対面しないように上申を行なった(資料4)。
 平成23年1月12日の刑事被告事件の判決が言渡された。その直後(3分後)に別室で同じ裁判官により損害賠償に関する民事裁判が開始される。別席調停の形式だ。XとYが交互に審尋され、相互に顔を合わすことはなかった。なお、Xの審尋の際には、Xの配偶者の同席は認められたが、司法書士は室外で待機していた。数回の交互審尋の後、請求額満額の分割和解が成立した。民事裁判が開始してから40分後である。非常に早い。

司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その2

2 損害賠償命令申立制度の概要
 平成19年に「犯罪被害者等の権利利益の保護を図る為の刑事手続に付随する措置に関する法律(以下、「法」という)」が改正され、損害賠償命令制度が創設された。同制度は、大要、一定の対象犯罪については刑事被告事件の判決言渡しの直後に原則として同じ裁判官によって当該刑事被告事件の被告人に対する慰謝料請求等の民事裁判が開始するという簡易迅速な解決を目指したものである。同制度を活用することによって、犯罪被害者は、当該犯罪事件に関する民事訴訟に費やす時間・立証負担・費用負担の大幅な軽減を図ることができるようになった。
 この制度の概要は次のとおりである。
〈対象犯罪〉
 故意の犯罪によって、人を死傷させた罪又はその未遂(危険運転致死罪を含む)、強制わいせつ、強姦、逮捕監禁、略取誘拐、人身売買等の罪又はその未遂(法17条1項)が対象となる。
〈当事者〉
 対象犯罪に関する刑事被告事件の被害者又はその一般承継人が申立人となり、当該被告事件の被告人が相手方となる(法17条1項)。
〈管轄〉
 原則として当該刑事被告事件の係属する地方裁判所が管轄裁判所となる(法17条1項)。ただし、異議後の訴訟は、当該申立てをした者が指定した地(その指定がないときは、当該申立ての相手方である被告人の普通裁判籍の所在地)を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に提起があったものとみなされる(法28条)。
〈申立期間〉
 当該刑事被告事件の公訴提起時から弁論終結時までに申立てる必要がある(法17条1項)。
〈手数料〉
 請求額にかかわらず、一律2000円である(法36条1項)。ただし、異議により通常の民事訴訟に移行した場合には、通常の請求額に応じて納付する手数料から2000円を控除した額を納付する必要がある(法36条3項)。
〈申立書の記載事項〉
 損害賠償命令申立書には、次の事項を記載しなければならない(法17条2項、28条、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する規則18条)。
・表題
・裁判所の表示
・年月日
・申立てに係る刑事被告事件の表示
・当事者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所
・申立人の申立人又はその代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)
・送達場所の届出及び送達受取人の届出をするときはその旨
・請求の原因及び刑事被告事件に係る訴因として特定された事実その他請求を特定するに足りる事実(訴因として特定された事実については、当該刑事被告事件の起訴状を引用することができる。)
・損害額の内訳
・適法な異議の申立てがあった場合に移送される地方裁判所又は簡易裁判所の指定があるときは、その旨
 予断排除の原則に従い、申立書には法定記載事項以外の事項を記載してはならない(法17条3項)。
〈証拠〉
 予断排除の原則に従い、申立ての時点で、申立書に証拠をつけることはできない。刑事被告事件の公判終了後に提出ができるようになる。
〈送達〉
 申立ての際には副本も提出し、当該副本が相手方である被告人に送達される(法18条)。被告人が拘置所等に拘留されている場合、拘置所への送達を求めることができるし、被告人が保釈中などの理由により所在が知れない場合、公判期日等における出会送達を求めることもできる。
〈審理〉
 損害賠償命令の申立てについての審理及び裁判は刑事被告事件についての終局裁判の告知があるまでは行われない(法20条)。当該刑事被告事件について対象犯罪に係る有罪の言渡しがあった場合には、直ちに、損害賠償命令の申立てについての審理の期日が開始される(法24条)。
 損害賠償命令の申立てについての裁判は、任意的口頭弁論であり、審尋により裁判することができる(法23条)。
 審理の期日は、原則として4回以内で集結される(法24条3項)。
〈裁判〉
 損害賠償命令の申立てについての裁判は決定によってなされる(法26条1項)。決定書の作成に代えて、当事者が出頭する審理の期日において主文及び理由の要旨を口頭で告知する方法によっても裁判を行うことができる(法26条4項)。口頭で告知する方法による場合、裁判所書記官が調書を作成する(法26条5項)。
 審理期日において、請求の放棄又は認諾がなされ、あるいは和解が成立したときは、それが調書に記載された時点で確定判決と同一の効力を有することになる(法34条、民訴法267条)。
〈異議〉
 当事者は、損害賠償命令の決定に対し、送達又は口頭の告知を受けた日から2週間の不変期間内に異議の申立てをすることができる(法27条)。異議申立ての際の手数料は500円である(法36条2項)。適法な異議申立てにより、仮執行を付した損害賠償命令を除き、損害賠償命令の裁判の効力は失効し(法27条4項)、損害賠償命令に係る請求について通常の民事訴訟手続における訴えの提起があったものとみなされる(法28条)。
 なお、通常の民事訴訟手続に移行するケースとしては、適法な異議の申立てがなされた場合のほか、損害賠償命令を終了させる旨の決定があった場合もある(法32条1項)。
 仮執行の宣言を付した損害賠償命令に係る請求については、当該訴えについてすべき判決が損害賠償命令と符合するときは、その判決において、損害賠償命令が認可される(法31条1項)。当該訴えについてすべき判決が損害賠償命令と符合しないときは、損害賠償命令が取り消される(法31条2項)。

司法書士による損害賠償命令申立ての実務 その1

 月報司法書士9月号に掲載予定の犯罪被害者支援に関する原稿を書いたので、推敲前であるが、今回から5回に亘りアップする。原稿の最終稿の前に、同職からのご意見をいただき、校正に反映させたいという狙いがある。ご意見は、コメント・DMでお願いしたい。


1 司法書士による民事手続に関する犯罪被害者支援
 昨今、司法書士の犯罪被害者支援への取組みが期待されてきたように感ずる。
 司法書士法上は検察庁に提出する書類作成業務が司法書士の業務と定められており(司法書士法3条1項4号)、総合法律支援法上も司法書士に総合法律支援法の基本理念ののっとり、総合法律支援の実施及び体制の整備のために必要な協力をするよう努める責務があると定められている(総合法律支援法10条)ことなどが、その期待の法的根拠となろう。なお、司法書士は裁判員になることができず(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律15条1項)、検察審査員にもなることができない(検察審査会法6条13号)ことも司法書士が犯罪事件に関与すべきであることを裏付けていると考えることができるだろう。
 そのような期待を受けてか、犯罪被害者支援に関する専門委員会等を設置する司法書士会も徐々にではあるが増えてきたようだ。平成23年度より日司連においても、犯罪被害者支援に関する専門委員会が設置されたとのことである。
 犯罪被害に関する相談を受託する司法書士も徐々に増えてきた。
 しかし、今のところ、多くの司法書士にとって、司法書士が犯罪被害に取り組むイメージが湧きづらいのではないかとも思われるところである。
 司法書士が犯罪被害への関与の在り方を大まかに分類すると、犯罪被害者の精神的側面への支援、犯罪被害に関する刑事事件そのものへの関与、犯罪被害者の加害者に対する慰謝料請求等の民事事件としての関与、の3つが考えられる。
 そこで、これらの3つの関与の在り方をそれぞれ具体的に紹介することによって、多くの司法書士が犯罪被害者支援に関心を持っていただくことになるのではないかと思われる。
本特集においては、犯罪被害者の精神的側面への支援、刑事事件そのものへの関与は別稿で紹介されることとなっているので、本稿では犯罪被害者の加害者に対する慰謝料請求等の民事事件として司法書士が裁判書類作成関係業務として関与することが可能な損害賠償命令申立制度の概要について述べた後、筆者が実際に受任した事案を基に損害賠償命令申立ての実務例を紹介し、その事案に照らし、いくつかの検討課題を示すことによって、今後の司法書士の犯罪被害者の加害者に対する慰謝料請求等の民事事件への関与の在り方を考えてみたい。

全青司しずおか全国研修実行委員会

 平成23年7月11日18時30分から、静岡県司法書士会において、全青司しずおか全国研修の実行委員会が開催されたので、副会長として参加した。

 懇親会の催しや開会式・閉会式の段取りなどについての協議がされた。
 しずおか会の会員による当日スタッフも、いよいよ本格的に募集していかなければならない。

 開催まで日が迫ってきたので、今月下旬には、また実行委員会が開催される。

 全国研修会は、今年の9月17日(土)18日(日)に浜松で開催される。
 http://www.shizuoka-ssk.org/

 既に申込が開始しているので、司法書士の方々は、ぜひ申込をお願いしたい。

山梨県司法書士会民法(債権関係)改正に関する研修

 平成23年7月9日(土)14時から17時まで、山梨県司法書士会において、民法(債権関係)改正に関する研修があり、講師として登壇した。
 参加者は山梨の司法書士35名ほどである。
 法務省より「中間的な論点整理」が公表された5月下旬より、日司連から各会に対して、民法(債権関係)改正に関する研修会を開催していただきたいとの要請を回付したところ、既に10会以上から研修開催の連絡及び講師派遣の依頼がなされている。
 山梨での開催を皮切りに、これから数ヶ月かけて、日司連前民事法改正対策部部委員で分担して全国行脚をする予定だ。

 今回は、まず、総論的な話を20分ほど、以降は、中間的な論点整理に沿って、法定利率、債務不履行の損害賠償、解除、危険負担、債権者代位、保証、債権譲渡、相殺、意思表示、取消しと無効、消滅時効、消費者と事業者、
という各論の大まかな概要を講義させていただいた。

 最後に、できれば今回の第一次パブコメに1テーマでもよいので意見を述べてもらいたいということと、第二次パブコメは是非意見を述べていただきたい、という要望を伝えて講義を終えた。
 この要望を伝えるために、全国行脚するのだ。

調停と仲裁

 示談交渉が決裂すると、訴訟提起に至るというケースが多い。
 ところが、訴訟と言っても全てが判決までになるかというと必ずしもそうではない。
 訴訟の進行の過程で随時和解が試みられることがあるからだ。
 そうはいうものの和解とは、当事者双方が合意しなければ成立しないものであるので、和解を試みるために、調停に付されても、それまでの示談交渉が決裂しているという事情を踏まえると、なかなか上手くいかないことも往々にしてある。
 しかし、当事者の合意形成に至ることがなくとも、裁判所が一定の解決案を示すのであれば、その解決案には服すという姿勢を示される当事者もいらっしゃる。
 非常に大雑把に言うと、調停による解決は困難であっても、仲裁であれば応じるというものだ。

 紛争の解決方法は多種多様であり、裁判所に求められる役割も実に様々だ。
 当事者の代理人としても、裁判所には、事案に応じて、柔軟に解決案の提示などをしていただけることを期待している。


法律扶助審査員担当日

 平成23年7月6日は午後から、法テラス沼津において、法律扶助の審査員を担当した。
 法律扶助とは、一定の資力要件を満たす方が裁判手続をする際に、その費用を立て替える制度だ。
 司法書士の行う裁判書類作成関係業務も適用される。

 詳しくは、法テラスのHPをご参照いただきたい。
  http://www.houterasu.or.jp/service/hiyoutatekae/

 さて、審査員の際は、資力要件を満たすかどうか、勝訴の見込みがないとはいえないと言えるかどうか、などをチェックする。疎明資料が不足していたり、記載事項が不足しているケースもあるので、丁寧に見なければならない。

 時間はかかるが、司法書士が法律扶助の利用を数多くしているのだから、司法書士が審査に携わるのは当然だ。
 これからも、鋭意取り組んでいきたい。


司法書士としての生き方 その19

 司法書士になるまでの回想記の続きである。バックナンバーは、左欄の「司法書士新人研修」からご覧いただきたい。なお、バックナンバーを遡るには左欄「司法書士新人研修」をクリックした後、下段に表示される「ホーム」の右の矢印をクリックすると閲覧ができる。

 さて、いよいよ私が合格した2回目の本試験直前のくだりである。
 本試験の数カ月前からは、受験勉強以外の時間で、想定外の事項をなくすシュミレーションを立てることが多くなった。

 たとえば、「本試験の最中に腕時計が止まってしまった!」という不測の事態を想定し、その対策として「時計を2つ用意して、さらにそれぞれの電池を新しく交換しておく。」、それでも最悪両方が止まってしまったら、やむを得ず「試験監督員に借りる。」などのシュミレーションを立てるのである。

 「前日に親族の誰かが緊急入院してしまった!」という不測の事態の対策は、なかなか立てづらかったので、情報をシャットアウトするしかないと考え、「本試験の前日は、電話に一切でない。」などという防御策を立ててみたりもした。

 また、「急にトイレに行きたくなってしまった!」という不測の事態を極力回避するために、食生活を安定させて、トイレに行く時間を毎日ほぼ固定させるようにしたりもした。本試験中に、この事態が生じた場合は、対策としては「試験中に走ってトイレに行く。」しかないので、いかに回避するか、という視点での対策が重要だと考えたのだ。

 もっとも、いくらシュミレーションを立てても、想定外の事態は生じうるものであり、そのような事態が生じたときにこそ、試験対応力に関する真価が問われるのかもしれない。しかし、試験対応力にさほど自信のない私は、事前のシュミレーションを重ねることによって、少しでもリスクを減らすことを重視したのである。

 司法書士試験は集中力が大きな鍵を握る試験だと私は考えていたので、このようなシュミレーションを立てることによって、不測の事態の発生というリスクを少しでも減らすとともに、リスクを検討することを経て本試験に向けての集中力を高めていくことにも役立った。

 司法書士になってからの実務においては尚更「想定外」は許されない。
 常に最悪の事態を想定し、対策を講じておくという姿勢は、実務についてからも、とても役に立っている。
 ただし、対策を講じておかなかったほどの事態が生じた時に、私にその対応力があるかどうかということについては未だ自分でもわからない。幸か不幸か、未だ、そのような事態に遭遇していないからだ。


第40回全青司静岡全国研修HP開設

 平成23年9月17日(土)18日(日)に静岡県の浜松において開催される全青司全国研修のHPが開設された。

         http://www.shizuoka-ssk.org/

 以下、HPより研修案内を抜粋する。

 全国青年司法書士協議会(以下、全青司)が主催する第40回全国研修会が、平成23年9月17日・18日にアクトシティ浜松で開催されます。
 全青司静岡全国研修会は、平成に入って以降、平成3年と平成13年に行われ、今回平成23年開催により、奇しくも10年というサイクルを経ることになります。
 今回の静岡全国研修会のテーマは、「突破」です。

 思い起こせば、20年前の全国研修会のテーマは、「フロンティア」でした。
 このテーマには、司法書士が自らを法律家と自負して久しいものの、果たして司法書士は法律家としての必要条件である、国民全体に十分な法的サービスを提供しうる存在であるのか、という自責の念がありました。
 そして20年前の全国研修会は、社会のあらゆる病理的現象が法律家たる我々司法書士の関わるべき事柄であることを自覚させ、小さくとも確実な一歩を踏み出す決意をさせたと自負しています。

 それから10年後、平成13年全国研修会のテーマは、「正念場」でした。
 当時は、国民への十分な司法サービスを、を合言葉に司法制度改革のもと、我々司法書士が社会において果たしていかなる役割を担うのか、担えるのかという期待と不安の中にいたように思います。
 そのような司法制度改革の中、10年前の全国研修会は、我々司法書士は内外に司法書士としてのアイデンティティを発信しなければならないという決意と覚悟を促し、これは後の代理権の獲得の一助になったものと思っています。

 そして、司法制度改革は裁判員制度施行により一応完了し、現在検証と見直しの時期に入っています。
 我々司法書士にとっても、この状況は無関係ではありません。司法書士法の改正により、司法書士を取り巻く状況は大きく変わるかもしれません。
 ここで我々はあらためて、司法書士は、国民全体に十分な法的サービスを提供する存在でなければならないという20年前の信念に立ち返り、司法書士の存在意義を考えます。
 10年後、司法書士という資格が今以上に、国民全体に十分な法的サービスを提供する存在であるために司法書士の業務について専門性を確立し、揺るぎないものにしていきたいと考えています。

 今回の全青司静岡全国研修会のテーマを「突破」としたのは、そんな我々の決意の表れです。


 全国の司法書士各位は、ふるってご参加いただきたい。
 

全青司消費者取引被害対応委員会合宿IN愛媛

 平成23年7月2日(土)10時から18時まで、3日(日)9時から12時まで、の2日間に亘り、愛媛において、全青司消費者取引被害対策委員会の合宿が開催されたので、担当副会長として参加した。
 委員10名前後が参加した。

 当委員会では、9月に開催される全青司全国研修において、「サイト詐欺事案に対する実務的対応~回収困難・立証困難を突破セヨ!」というテーマで分科会を担当するため、その発表内容の協議が今回の合宿の主な議題だ。

 サイト詐欺は、イタチごっこの様相もあり、現実の被害回復が困難となるケースが多い。
 今回の分科会では、当該事業を営んでいた法人だけでなく、代表者、カード会社、広告会社、インターネットプロバイダなどなどが、どのような責任を負うのか、徹底的に検証するというものだ。

 この合宿を経て、発表内容の骨子がまとまり、後は発表に向けて、最新情報を織り込みつつ、ブラッシュアップしていくことになる。

 全国研修に参加される司法書士各位で悪質商法に関心のある方々は、ぜひ当分科会への参加もご検討いただきたい。
 必ず得るものがあるはずだ。

 なお、愛媛には現在青年会がないのだが、今回の合宿には、愛媛の青年司法書士も数名参加して下さり、懇親を深めることができた。これを機会に愛媛の青年司法書士の活躍にも期待したい。



気仙沼法律相談報告会

 平成23年6月30日(木)18時から21時まで、静か県司法書士会において、静岡県青年司法書士協議会主催による「気仙沼法律相談報告会」が開催されたので参加した。
 全国から50名前後の司法書士や精神保健福祉士が参加した。

 静岡県青年司法書士協議会では、3月から定期的に気仙沼に相談に行っており、寄せられた相談内容の報告や、今後の相談体制についての協議がなされた。
 毎回次週以降の相談会のアポイントをとり、相談会を数珠つなぎで継続していくというのが基本態勢だ。
 相談員として訪問するチームは毎週異なるので、相談資料などを毎週引き継いでいくなどの事務作業も入念に打ち合わせておく必要がある。

 相談の概要は「被災地法律相談レポート」や「オレンジ瓦版」として定期的に外部に発信されている。

 
プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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