国交省社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会「最終とりまとめ」

 国交省社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会より、賃貸借契約に関するトラブルの未然防止や円滑な解決等に対する諮問に対しての「最終とりまとめ」(案)が公表されている。

 家賃滞納者のデータベース化や定期借家の利用促進に関するとりまとめなど、賃貸人に大きな影響を与えるものと考えられる。批判の多かった「中間とりまとめ」から大きな変化がみられない部分も多々見受けられる。

 一般に賃借人側が団結して意見をいうことは難しいと考えられるが、賃借人側の賃貸トラブルを扱う司法書士は、このようなときこそ、賃借人を代弁して意見を述べていくべきだ。
 
 法案が成立してからでは遅い。

 熟読しなければならない「最終とりまとめ」(案)は、こちら。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house02_sg_000068.html


民法改正の論点整理その8

(履行の請求の限界)

 債務の履行が物理的に不可能となった場合について、明文の規定をおくことが債権法改正の基本方針では、提案されている。
 具体的には、債務の履行を請求することができないという効果を明文化するということだ。
 提案では、不能の基準を「社会通念」という外在的なものではなく、「契約の趣旨」という内在的なものによることとしている。
 すなわち、履行請求権の限界が契約に基づいて画される、ということである。
 債権法改正の基本方針のキーワードのひとつは「契約」である。
 「契約」というキーワードに照らして、提案全体を見渡すことも必要だ。

 ところで、この部分の改正で、たとえば、運搬中に高価な指輪を湖に落とされたら、それを探し出すように命ずることは法的には、できなくなってしまうのかもしれない…。

松下PDP最高裁判決について

 平成21年12月18日に、松下PDP事件の最高裁判決が言渡された。

 高裁で認められた労働者と注文主との間の黙示の労働契約の成立については認められず、業務上必要とは認められない作業に従事させたことに対する損害賠償請求のみが維持された。

 ところで、判決理由において、「(偽装請負が)労働者派遣法2条1項にいう労働者派遣に該当すると解すべきである。そして、このような労働者派遣も、それが労働者派遣である以上は、職業安定法4条6項にいう労働者供給に該当する余地はないものというべきである」と述べられている。
 たしかに、条文上は、労働者派遣法2条1項にいう労働者派遣は職業安定法4条6項に該当しない。
 問題は、労働者派遣法2条1項の定義に関する解釈である。
 違法な労働者派遣や偽装請負が、労働者派遣法2条1項に該当するとなると、すべて労働者派遣法で対応しなければならず、職業安定法の適用局面がなくなってしまう。
 すなわち、派遣法違反のみの適用では、派遣先に対する責任追及も弱くなってしまうこともありえ、違法な労働者派遣や偽装請負を助長してしまうおそれもあるのではないかと危惧されるのである。

 私は、労働者派遣法は、間接雇用を認めないという原則に対する例外的な法律なのであるから、その適用も厳格に解すべきであると考える。

全青司役員会

 平成21年12月19日、20日は、全青司役員会が東京で開催されたので、幹事として参加した。
 前回の役員会で、民法改正について全青司一丸となって取り組んでいくべきであるという提案をさせていただいたところ、執行部が民法改正について意見を述べていくことの必要性・重要性を重く見て、今回の役員会では、民法(債権関係)改正対策に関する特別委員会の設置が会長より提案され、満場一致で承認された。なお、同時に本部長代行も指名された(兵庫のM氏)。
 特別委員会の活動としては、内部的には、1月23日、24日の名古屋代表者会議での民法(債権関係)改正に関するレクチャー、1月31日の神戸での民法(債権関係)改正に関するシンポジウム、2月13日、14日の三重役員会での民法(債権関係)改正に関するレクチャーを実施し、対外的には他団体との民法(債権関係)改正に関する勉強会の開催の呼びかけを行う予定である。
 特別委員会の活動に協力していただける全青司会員も急遽募集している。多数の立候補をお願いしたい。




民法改正の論点整理その7

(法定利率)

 民事法定利率5%についても、改正することが検討されている。つまり、訴状の「~訴状送達の日の翌日から支払い済みに至るまで年5%の割合による金員を支払え。」という定型文言が変わってしまう可能性も強いのだ。
 確かに、現在の低金利時代で年5%は非常に高い運用率であるといえる。
 そのような社会情勢の変化もあり、今後も柔軟に対応を図ることができるよう、固定性から変動性への変更が重要な改正論点となる。訴状起案の度に、その時点の変動利率をチェックしなければならなくなってしまうのかもしれない。
同様に、過去の貸金請求をするときにも、当時の利率を調査することが最初にすべきことになるのだろうか。
 このように細かな実務が激変する可能性を秘めた論点であるといえよう。

 また、実務家の観点からは、法定利率の改正にあたり、利息制限法も民法に取り込むことを望みたい。ただし、この点は、債権法改正の基本方針によると、政策的な観点から消極のようである。

 

民法改正の論点整理その6

(短期消滅時効の廃止と消滅時効制度の全般的な見直し)

 現民法には、数多くの短期消滅時効が規定されているが、その分類やそもそも短期消滅時効を設ける必要性に合理性がない等の批判がなされているところである。
(たとえば弁護士報酬と司法書士報酬の消滅時効期間も異なるようだ。そうなると、通常、いずれかの士業は不公平感をもつだろう。)

 そこで、今般の民法(債権関係)改正では、短期消滅時効を廃止し、時効期間の統一を図ることが検討されているようだ。
 時効期間は3年から5年の間とする提案がなされているが、起算点を主観的に変更することにより、実務上の弊害を生じさせない工夫をしている。

 また、時効障害についても、今までの「時効の中断」と「時効の停止」という2つの概念ではなく、①時効の更新、②時効の停止、③時効期間の満了の延期、という3つの概念を導入することが検討されている。時効の更新は、「時効の中断」に該当するものであり、時効期間の満了の延期は、「時効の停止」に該当するものといえる。今回、新たに導入が検討されているのが、時効の停止、であり、これは、時効障害事由が生じている間、時効期間を一旦停止させるものだ。
 たとえれば、①に該当する時効障害事由が生じるとストップウォッチがリセットされる、②に該当する障害事由が生じるとストップウォッチを止め、事由がなくなると止めた時点からストップウォッチが再開される、③に該当する障害事由が生じるとストップウォッチは止まらないものの時効完成というゴールラインをまたぐことはない、といった違いであろうか。

 消滅時効の主張は、多重債務事件でも重要な手続のうちの一つである。債権者の主観によって起算点がずれるとなると、債務者に弊害が生じないとも言い切れない。そのような視点から、この分野の検討を深めていく必要もあろう。



民法(債権関係)の改正検討事項の一例

 現在、このブログにおいて民法改正の論点整理をしているところであるが、既にお気づきの方も多数いるように、元ネタは、法務省より示された「民法(債権関係)の改正検討事項の一例(メモ)」である。
 これは、31の論点が取り上げられ、検討の指針が示されているものである。
 債権法改正のどこから手をつければよいかわからないという方は、これらの論点を参考にしていくとよいだろう。

 31の論点は、こちら。
http://www.moj.go.jp/SHINGI/091124-1-3.pdf

 民法(債権関係)改正を検討するにあたって、とても重要な資料である。

民法改正の論点整理その5

(代理権の濫用)

 代理人が自己または他人の利益をはかるために、客観的にはその権限内になる行為をする代理権の濫用について、現民法下では、民法93条但書を類推適用して向こうという結論を導き出している。
 受験時代には、とても興味深い法律の使い方だと感心したものだが、やはり技巧的にすぎることは否めない。
 そこで、今般の民法改正では、代理権の濫用は効力が生じないことを明文をもって規定することが検討されている。

 ほかには判例法理が確立している「無権代理と相続」についても、明文化が検討されているようだ。

 代理の部分は、他に大きな改正論点は見当たらないものの、わたしたちの業務のほとんどは代理業務(訴訟代理・登記申請代理)であるので、代理は自己の立場で検討しておく必要が高いといえる。

「債権法改正に関する日司連シンポジウム」開催

 平成21年12月12日(土)13時から17時まで、日司連ホールにおいて、「債権法改正に関する日司連シンポジウム~司法書士実務の視点から考える~」が開催された。全国からの司法書士の参加は170名を超え、参加者の数からも、司法書士の民法(債権関係)改正への関心の高さを窺い知ることができた。
 日司連の細田会長から、民法(債権関係)改正は、すべての司法書士の実務に直結することであり、日司連としても、改正の動向を深く注視し、適宜に「市民のためにわかりやすい民法」となるよう意見等を述べていく所存であるとの挨拶があった。
 シンポジウムは、次の内容で進行した。
1、基調講演「債権法改正の課題」(13時10分から15時10分まで)
 法務省 経済関係民刑基本法整備推進本部 参与 内田貴氏
 法務省 民事局 参事官 筒井健夫氏
2、パネルディスカッション(15時15分から17時まで)
 コーディネーター 司法書士 小沢吉徳氏(静岡県会)
 パネラー     東京大学大学院法学研究科 教授 中田裕康氏
  同       京都大学大学院法学研究科 教授 佐久間毅氏
  同       司法書士 鈴木龍介氏(東京会)
  同       司法書士 山田茂樹氏(静岡県会)
 以下、シンポジウムの概要を報告する。

【基調講演】
1、改正論議の対象
 今般の民法(債権関係)改正では、現民法第1編第5章法律行為、第6章期間の計算、第7章時効のうち第1節総則と第3節消滅時効並びに第3編債権のうち第1章総則、第2章契約が対象となり、必要に応じて第3編第3章事務管理及び第4章不当利得を検討することになるとの説明がなされた。
 世界で大きな統一の契約法をつくろうという国際社会の潮流に合わせるためにも、法的インフラのプラットフォームとして契約法を整える必要があるとのことであった。

2、なぜ債権法改正が必要か
(1)国民(市民)のための民法典の必要性
 日本民法典制定の経緯をふりかえると、市民のために民法を制定したとは言い難く、法律家のための民法となっている。その証左として現民法典の条文数の少なさや簡潔な文言となっていることが挙げられる。
 そのため、解釈論への過大な比重が占められるようになり、判例法理によって実務の運用がなされているという現状にある。
ところが、司法制度改革後の市民社会において、民法典の在り方も異なるものとなってきている。一般の方が条文を読んで法律を理解できないというのは問題であると認識されるようになっているのである。今こそ、まさに「法の支配」の貫徹する民主社会の実現に向けて、「国民(市民)のための民法」が求められているとのことであった。

(2)国際的潮流とアジアからの発信
 世界では19世紀型民法典が次々と現代化されようとしている。契約法のグローバルスタンダードができあがる前に、アジアから契約法を発信することによって、日本の民法典がグローバルスタンダードの形成そのものにかかわることを目指しているとのことであった。

3、債権法改正の現段階
(1)学界からの問題提起
 学界では、1993年頃より債権法改正の検討が始まり、近年、民法(債権法)改正検討委員会や民法改正研究会等から、相次いで民法改正の提案がなされている状況にある。

(2)実務界からの意見
 学者からの問題提起に対して、弁護士会や実務家からの複数の意見が出され、民法改正の必要性から疑問が述べられているところである。

(3)法制審議会諮問
 2009年10月28日諮問88号により、法制審議会が開催されることになり、民法(債権法)改正の検討が、いよいよ具体化することになった。

4、改正の論点
(1)判例実務の明文化
 民法90条の暴利行為を明文化したり、民法415条の債務不履行による損害賠償の免責事由につき契約解釈の実務を明文化したりすることの検討がなされている。なお、実務をかえない改正であっても、現民法の条文で規定されていない、もしくは規定が不十分である場合には改正をすべきであろうとの説明があった。

(2)不明瞭な基本原則の明確化
 債権者代位権は執行法や保全法の規定が不十分であったフランスから導入された制度であるが、わが国ではドイツから執行法や保全法の制度を導入し、完備されている。よって、制度としての存続する理由は乏しいと考えられるが、制度の廃止には強硬な反対意見もあったので、事実上の優先弁済を禁止して存続することとした。ただし、債権者代位権がもっとも利用されているのは、不動産登記であると思われるので、民法ではなく、不動産登記法に債権者代位権を規定するという考えもあるとのことであった。

(3)制度の現代化
 債権譲渡の対抗要件に関する制度は、確定日付と到達日付に関連がなく、債務者に過度な負担を課すものであり、根本的な欠陥があると考えている。そのため、金銭に関する債権譲渡の対抗要件を登記に一元化することを提案しているとのことであった。

(4)商法(商行為法)との関係の調整
 事業者概念を導入し、商法507条等を一般法化し、商法526条等を統合することを検討している。

(5)消費者についての規律の扱い
 消費者契約法4条1項1号、2項を一般法化し、消費者契約法4条1項2号、3項を統合することを検討している。消費者契約法の目的規定に関しては、民法に消費者規定を導入することで既に消費者保護はなされていると考えられるので、現時点では、特段導入の必要があるとは考えていないとのことであった。

(6)その他の課題
 新たなサービス提供契約の増加にあわせて、典型契約の見直しを検討している。

 最後に、民法改正の残された課題として、数次にわたる民法の全面改正を視野に入れて、編成についても検討する必要があると述べられた。
 なお、民法(債権関係)の法制審議会については、11月24日から部会が開催されており、1年半を目処(平成23年春頃まで)に「中間的な論点整理」を公表し、この「中間的な論点整理」を基に、パブリックコメントをする予定であるとの意向が示された。また、法制審議会では、民法(債権関係)改正の論点整理として31の論点をピックアップしており、法務省のホームページ等での公表を予定しているので参考にしていただきたいとのことであった。

【パネルディスカッション】
 パネルディスカッションでは、主に次の論点につき、民法(債権法)改正検討委員会の債権法改正の基本方針の各「提案」をあてはめる形で議論が展開された。
1、債務不履行と解除、瑕疵担保責任、意思表示
 追完請求権と追完権(新設)、損害賠償(免責事由を契約で引き受けていなかった事由に変更)、解除(契約の重大な不履行を解除要件とする)、瑕疵担保責任(代金減額請求を新設)、不実表示(消費者契約法4条1項1号、2項の適用を拡大し、一般法化)、錯誤(事実錯誤を明文化)、公序良俗(暴利行為の明文化)等について、山田茂樹司法書士から実務に即した疑問が述べられ、教授らから適宜コメントがなされた。

2、債権譲渡、債権時効
 債権譲渡に関し、将来債権譲渡(明文化)、第三者対抗要件(金銭債権については登記による一元化)、消滅時効(時効障害、合意による時効期間の設定)について、鈴木龍介司法書士から実務に即した疑問が述べられ、教授らから適宜コメントがなされた。

    *

 民法(債権関係)に関する議論は始まったばかりである。本シンポジウムを契機に、平成23年春頃に公表される見込みの「中間的な論点整理」の取りまとめに向けて、全国の司法書士が積極的な意見を述べていくために、全国各地で司法書士による民法(債権関係)改正に関する勉強会が立ち上がることを強く期待したい。

(あかまつ・しげる)

民法改正の論点整理その4

(意思表示に関する規定の拡充)

 現民法には、心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺及び強迫などの意思表示に関する規定が置かれているが、今般の民法改正では、次のとおりそれぞれの意思表示の規定を改めることが検討されそうだ。
1、心裡留保を①確信的に相手を騙そうとする意思のあるものと、②相手が真意でないことを気づいてくれることを期待する意思のあるもの(いわゆる冗談)、に分け、それぞれの要件も分ける。
2、心裡留保に第三者保護規定を設ける。
3、錯誤については、いわゆる動機の錯誤を「事実錯誤」ととらえ、明文をもって、錯誤の効果を認める。
4、錯誤の効果を取消しとする。
5、電子消費者契約法の錯誤の規定を民法に取り込む。
6、詐欺については、沈黙による詐欺を明文をもって、認める。

 以上のような現民法の意思表示の変更だけではなく、意思表示類型に新たな規定の導入も検討されそうだ。
1、消費者契約法の不実告知の要件を緩和して「不実表示」として、消費者契約に限定されない形で民法に取り込む。
2、消費者契約法の断定的判断や困惑による取消しの規定を、消費者契約に限定したまま民法に移行する。
 なお、上記1を「一般法化」、2を「統合」という。

 意思表示に関する規定は、実務に直結する部分であるので、「BtoC」に限られず、さまざまな事例を想定した上で、市民間紛争の解決に資する規定を目指していく必要がある。
 そして、この部分は、「消費者契約法を民法に取り込むか、否か」という、消費者の立場からは、今般の民法改正での最大のテーマといえる論点を含んでおり、要チェック論点であるといえよう。



日司連月報発行委員会

 平成21年12月9日は、東京の日司連において、月報発行委員会が開催されたので、委員として参加した。
 特集テーマは、既に7月以降の企画検討である。
 アンケートを基に、できる限りタイムリーな特集となるよう知恵を絞るものの、何分出版されるのが半年先のことなので難しい。また、「月報司法書士」は、司法書士の広報誌であるので、登記関係の特集は、既にやりつくされた観もあり、毎回異なったアプローチとなるよう四苦八苦して特集を組んでいる。
 このように、ある意味苦しみながら、企画をたてているのだが、読者からのアンケートが届くと、斬新なアイディアもあり、新鮮な発想で誌面を創ることができる。
 月報発行委員のためにも、月報司法書士購読者各位におかれては、ぜひアンケートへの回答に、ご協力いただきたい。

民法改正の論点整理その3

(錯誤)

 現民法95条の錯誤の主張をできるのは、原則として表意者に限られており、効果は「無効」であるものの、通常の無効と比較して「相対的無効」と解されているところである。
 また、錯誤に陥ることになった動機に基づいて錯誤を主張できるかという点についても、判例法理による解釈が定着している状況にある。
 そこで、今般の民法改正では、①錯誤の効果を(相対的)無効から取消しに変更する、②いわゆる動機の錯誤を、事実錯誤として一定の場合に明文で認める、③効果が取消しに変更されることと連動して第三者対抗について規定する、などが検討される見込みだ。【1.5.13】

 錯誤の主張は、実務的にみると、立証負担などの観点から詐欺よりも使い勝手がよいといえ、特別法の適用が困難な事案で、詐欺と錯誤の主張が競合するときには、錯誤の主張を選択することが多い。
 より主張しやすい「錯誤」となるよう実務的な視点からの意見も述べていく必要がある。


民法改正論点整理その2

(任意規定と異なる慣習がある場合)

 現民法92条は、任意規定と異なる慣習につき、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」と規定し、「慣習+当事者の意思」が要求されているところであるが、兼ねてから、慣習と任意規定の優先関係、法の適用に関する通則法3条との整合性などについて、問題があるといわれている。
 今般の民法改正においては、この点につき、「原則として、慣習があるときは慣習に従う。例外的に当事者の意思によりこれを覆すことができる。」という修正をし、法の適用に関する通則法の改正までが検討されているようだ。

 原則、例外の逆転は、立証負担に直結することが多く、訴訟上の請求原因・抗弁のように紛争を立体的に捉えて、検討していく必要がありそうだ。

全青司一般民事シンポin徳島

 平成21年12月5日は13時から17時過ぎまで、徳島市において、全青司主催で「一般民事シンポ」が開催された。
 このシンポは、今回で5回目であり、司法書士が幅広い事件類型を受託するために、一般民事にもっと取り組んでいこうという趣旨で開催している。
 今回は、前半に伊豆のY司法書士による悪質商法被害の講義と徳島の消費者情報センターのご担当からの事例報告をいただき、後半、全青司会長も交えてパネルディスカッションが展開された。
 徳島は、若手の司法書士が活発に活動しており、全青司の当委員会にも、幹事としてK氏に就任いただいている。
 次回は、2月に民法改正の講義で、また徳島に訪問させていただく予定である。

民法改正論点整理その1

〈意思無能力〉

 現民法では、意思能力を欠く状態でなされた法律行為の効力は無効と解されている。
 一方、民法(債権法)改正検討委員会の債権法改正の基本方針では、意思能力を欠く状態でなされた意思表示は取消すことができるとされ、取消し構成となっている。【1.5.09】
 ここで、無効と取消しの特徴を比較したい。

「無効の特徴」
・意思無能力者側であれば、無効の主張ができる。
 (具体的には、ご本人が認知症の場合の消費生活相談員や民生委員の方など)
・幼児がした契約などは、一応有効と解する余地はなく、やはり無効と解するべきである。
・悪質商法被害の際、無効主張の方が交渉しやすい。
・無効の主張がいつまででもできる。
(ただし、原状回復の請求には時効がある。)

「取消しの特徴」
・主張権者が限られる。
・成年被後見人との平仄が整えられる。
・有効にしたい契約であれば、法定追認をすることができる。
・時効により取消しの主張ができないこともある。
(逆にいえば、法的安定性は高まる。)


 まだまだありそうである。
 法律論だけではなく、実務上の視点からも、それぞれの特徴を俯瞰していく必要がある。
 上記以外の特徴等についても、随時ご意見をいただきたい。


全青司「悪質商法110番」の模様

平成21年12月1日に実施された悪質商法110番では、全国で163件以上の相談が寄せられた。
下記、URLにて、当日の相談の模様を垣間見ることができる。
(伊豆のY司法書士の素顔を見ることもできる。)

http://www3.nhk.or.jp/news/k10014117881000.html

 なお、この110番は、開催直前に、消費者庁の後援を得た。
 全青司と消費者庁の連携が実現した事業という意味においても、高く評価することができよう。





日司連民事法改正対策部開催

 平成21年12月1日は、朝8時30分より、静岡駅前にて、静岡県主催の消費者被害防止キャンペーンのビラ配りをした後、日司連に向かい、民事法改正対策部の会議に参加した。
 12月12日に、内田貴参与を招いての民法改正シンポジウムがあるため、その内容を煮詰めることが主な議題だ。
 シンポジウムで取り上げる予定の論点をディスカッションすると、新たな視点での疑問が次々と湧いてくる。
 年明けからは、司法書士向けに民法改正研修を講師として、いくつか実施する予定であるので、それまでには疑問点を整理しておきたい。

 (備忘録)
①【3.1.7.02】につき、保証引受契約の場合、債権者には本提案の努力義務は課されないのか。同提案の〈2〉もしくは〈3〉の「債務者」は、いずれかが「債権者」の誤植か?
②【3.2.1.16】につき、契約責任説に基づいていると解すると、「代金減額請求」以外の救済手段は、あくまで、債務不履行の一般原則によるものであり、同提案の記載は確認規定と解するべきか?
③免除に合意を求めたのは、債権者の受領拒絶に対する債権者の責任をより明確にしたことと関係はあるのか?


プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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