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労働審判を扱う裁判所

 最近、労働審判を利用する労働紛争を受託することが多い。
 正社員の解雇に関する相談が増えているためだ。
 労働審判では、柔軟な解決を図ることができるため、解雇の紛争で、相談者が復職に固執しない限り、原則として労働審判の利用を助言するようにしている。
 ところが、労働審判を扱う裁判所は、未だ地裁本庁のみである都道府県が多いようだ。
 静岡も、静岡地裁の本庁でしか運用がなされていないため、沼津に住む相談者は、片道1時間以上をかけて、静岡地裁まで出廷しなければならない。
 個別労使紛争の急増を受け、労働審判は、これからさらに多く利用されると思われるので、早急に地裁の各支部においても、運用を開始してもらいたい。
 なお、同様の意見は、各弁護士会からも多く出されている。
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静岡青司協東部地区勉強会

 平成21年11月26日は、三島において、静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会が開催された。12月に静岡市で予定されている民法改正に関する研修の最終準備を行った。
 既に法制審議会民法(債権関係)部会が開始され、民法改正が具体化されようとしている。
 これから実務家が積極的に意見を述べていく番である。
 全国的にも、民法改正の勉強会を立ち上げているところが増えてきたようだ。勉強会の基盤は、司法書士会、青年会、有志団体、消費者団体、経営団体など、さまざまある。立場が変われば、民法改正への意見も異なってくると思われるので、これから、多くの視点から司法書士が意見を述べていくことが望まれる。
 なお、26日の勉強会には、平成21年度司法書士試験合格者も3名参加いただいた。試験に受かるための法律から、実務で使うための法律へと、その変化に戸惑いもあるかもしれないが、次回も引続き、参加していただきたい。

高校生法律講座(田方農業高等学校)

 平成21年11月25日は、13時25分から14時15分まで、静岡県東部にある田方農業高等学校で、講師として法律講座を行った。
 各40人で5クラスを5人の司法書士で分担し、それぞれ1クラスを担当することとした。
 テーマは、「多重債務に陥らないための契約知識」である。
 事例に基づいて、高校生ができる限り自分の頭で考えてもらうように、随時質問を投げかけるようにした。
 使用した教材は、こちら

 高校生の中には、「破産」、「クーリングオフ」、「マルチ商法」などの用語を知っている者もいるが、正確な知識として理解しているケースは極めて少ない。
 安易な知識を頼りにすると、そこから安易な契約に結びついてしまうことも少なくないだろう。
 
 年に数回担当する高校生法律講座だが、その中で、どれだけのことを伝えることができているのか、講座が終了する度に自問自答する。
 「実施しなければ、伝わらない」ということを確認するためにも。








労働トラブル110番開催報告

 11月23日は、10時から17時まで、静岡において、静岡県司法書士会主催で「労働トラブル110番」が開催されたので、相談員として参加した。
 朝からTV局3社に取材に来ていただき、お昼のニュース等で流してもらった結果、相談件数は30件であった。
 相談内容は、サービス残業6件、賃金未払い2件、退職金3件、解雇3件、ほか、というものであり、相談者の属性は過半数以上が正社員を占めた。
 
 正社員からの相談は、解雇になったなどという労働契約終了の局面での相談のほかに、職場の社員が減少した結果、残された社員が長時間労働をすることを余儀なくされているような相談も見受けられる。
 非正規社員とともに正社員の労働条件にも、目を向けていかなければならないだろう。

 なお、労働トラブルに関する相談は、110番以降も、静岡県司法書士会「総合相談センターしずおか」(TEL054-289-3704)で、継続的に受け付ける。


全青司役員会(大阪)開催

 平成21年11月21日、22日は、大阪において、全青司第11回役員会が開催されたので、後述②の議案提出をするため、参加した。
 役員会では、多くの議案が議論等されたが、その中から2つを紹介する。

① 全青司においても、国交省社会整備審議会住宅分科会民間賃貸住宅部会「中間とりまとめ」に対する意見書を提出することが承認された。意見の趣旨の概要は、次のとおり。

意見の趣旨
1.賃借人(入居希望者)の家賃滞納等の信用情報を入手し、提供できる仕組み(データベース化)を創設すべきではない。

2.家賃債務保証業については、許可制を導入して参入規制をするとともに、違法な取立て及び追い出し等を禁止するため、厳格な行為規制を盛り込んだ業法を定めるべきである。また、業法やその他の法令に違反した業者には行政上及び刑事上の罰則を規定すべきである。

3.定期借家制度の普及・促進を無制限にすべきではない。


② 全青司における民法改正の取組みについて、単年度の一委員会事業としてではなく、民法改正が成立するまで継続的な事業として計画し、全青司会員との民法改正の論点整理の共有を図ること、また外部(市民・消費者団体など)と連携して民法改正に対して意見を述べていくこと、などが今後の検討課題として議論された。

静岡県司法書士会「多重債務整理業務 初学者向事例検討会」開催報告

 平成21年11月20日(金)18時から20時まで、多重債務問題対策委員会主催で、「多重債務整理業務 初学者向事例検討会」が、東部・中部・西部の各会場で開催された。
 3会場で合計42名の申込みがあった。
 貸金業者の破綻、貸金業法の改正、等、多重債務整理業務を取り巻く環境は、激変しており、会員間において、多重債務整理相談の最先端の知識を共有する必要性がより高まっている。
 そのような現状認識のもと、平成21年8月23日及び同年9月6日に「多重債務整理業務 初学者向研修」を県内3会場にて開催したところ、多数の会員に参加していただいた。その際、今後、研修形式だけではなく、できれば事例を取り扱ってもらいたいとの要望があったことから、今般の事例検討会の開催へと繋がった次第である。
 事例検討会では、受講対象を①多重債務整理業務の経験が少ない会員、②多重債務整理業務について、日々生じている疑問等を議論したい会員、③今後多重債務整理業務に取り組みたいと考えている会員、とした。
 講義の内容は、担当講師が実際に経験した事例を題材とした多重債務整理業務に関する講義をした後、受講会員各自が普段の業務で感じている疑問等についてディスカッション形式で行われた。ディスカッションでは、初歩的な内容から難解な内容まで幅広く質問を受け付けることとした。

     *

 私は、東部の会場に参加したので、参考までに、その模様を報告する。
 東部の事例検討会は、多重債務問題対策委員会の杉山圭委員を講師とし、給料差押えを受けた後に訪れた相談者の破産事例を題材として講義が展開された。
 事例をもとに、検討課題として、①管轄(住民票地と居所が異なる場合の管轄の考え方)、②給料差押え(破産手続開始決定後の給料差押えされた額の返還方法)、③免責不許可事由(破産原因にギャンブルが含まれていたケースの考え方)、④非免責債権(破産債権に滞納税等が含まれていたケースの考え方)という論点が抽出され、具体的な説明が付け加えられた。
 その他の日々の業務の疑問点(破産申立後に取立てを辞めない個人債権者への対応、滞納税金と過払い金の関係等々)も挙げられた。
そのような前半の講義の後、受講会員から、それぞれ抱える事件等の疑問点(債権者一覧表の記載の仕方、破産案件の自動車の保有の可否、法律扶助の利用方法、等々)が挙げられ、ディスカッションがなされた。非常に活発に意見交換がなされ、今後の多重債務整理業務の糧となったことと思う。
多重債務整理相談はケースバイケースであり、書籍を読んだだけの知識では、個別の事例に臨機応変に対応できないこともあるので、今回のように会員相互間で意見交換をすることは、相談の質の向上のために、とても良いことであると感じた。

     *

 多重債務被害を取り巻く社会状況は、貸金業法の完全施行を控え、いよいよ詰めの局面を迎えようとしており、近々、総量規制の影響等により、多重債務相談が激増するおそれがある。そのようなときに、わたしたち司法書士がすべからく、相談の受け皿とならなければならない。
 そのためには、一部の司法書士のみが多重債務整理業務を行っているということでは十分ではない。
今回のような初学者向事例検討会を継続的に開催していき、司法書士全員が多重債務整理業務に精通する機会を増やしていきたいと考えている。
 会員各位におかれては、今後も同様の検討会等への積極的な参加をお願いしたい。



悪質商法被害110番開催のお知らせ

 全青司では、次のとおり12月1日に悪質商法被害の110番を開催し、全国からの相談を受け付ける。司法アクセス・ADR推進委員会が担当である。


全青司悪質商法被害110番
~パチンコ攻略法詐欺、出会い系サイト詐欺などの被害について司法書士が相談に応じます~


このたび、当協議会では、改正特商法・割販法の施行日に合わせ、下記のとおり青年司法書士による
悪質商法被害110番(無料電話相談)を実施いたします。
悪質訪問販売やパチンコ必勝法詐欺などの被害でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

              記

1.開催日時 12月1日(火) 午前10時~午後4時

2.電話番号 0120-121-023
        (当日のみの専用フリーダイヤル)

3.対象 悪質訪問販売、パチンコ必勝法詐欺、競馬必勝法詐欺、
  出会い系サイト詐欺などの被害に関するご相談


日司連民事法改正対策部開催、新合格者との懇親会

 平成21年11月17日は、日司連において、民事法改正対策部の部会が開催されたので、部委員として参加した。
 議題は、12月12日に開催予定の民法改正シンポジウムの内容である。
基調講演における事前質疑の検討、パネルディスカッションでの議論テーマの選定などを行った。
法制審部会も11月24日から開催されるので、これからいよいよ全国的に議論が展開されていくだろう。とくに、司法書士界は、他団体も巻き込んで、横断的な意見を述べていくことが期待されているのではないだろうか。このシンポジウムをきっかけに、各地の司法書士が民法改正の勉強会を立ち上げてくれることを強く期待する。

      *

 同日は、東京での会議終了後、静岡での司法書士試験新合格者との懇親会に合流した。
10数名の新合格者が参加していた。新合格者は、司法書士実務のイメージを固めたり、司法書士としての執務姿勢を身につけたりするために、できるだけ多くの先輩司法書士と接することが有益であろうし、いわゆる先輩司法書士も、新合格者と接することで、初心を振り返ることができる。
 今年は、ヤミ金と闘うために、司法書士を目指したという新合格者もいた。
 時代の流れを感じた。



11月23日労働トラブル110番開催

静岡県司法書士会では、次のとおり11月23日に労働トラブル110番を開催する。


勤労感謝の日 司法書士無料相談
11月23日(月・祝)
「全国一斉労働トラブル110番」

~もはや非正規労働者だけではない!
正規労働者の労働トラブルが増加しています!~


 静岡県司法書士会では、働く人々が抱える職場や会社とのトラブルに関する無料相談会「全国一斉労働トラブル110番」を以下のとおり開催いたします。
 昨秋からの経済的不況に伴う雇用情勢の悪化により、派遣社員に対する「派遣切り」をはじめ、非正規労働者の解雇、雇止め等が社会的問題となっておりますが、今般の経済的不況による影響は、もはや非正規労働者にとどまらず、正規労働者(正社員)にまで及んでおります。
 今年2月及び6月に、司法書士による電話相談会を開催いたしましたところ、6月の相談会における正規労働者からの相談件数の割合が、2月の相談会に比べて大きく増加いたしました。
 また、全国の総合労働相談コーナーへの労働相談におきましても、非正規労働者からの相談件数が増加していることは、昨今の経済状況や「派遣切り」等の報道からも容易に推測できるところですが、正規労働者からの相談件数も例年に比べて大きく増加しております。
 今後も、企業の業績悪化にともない、正規労働者に対する違法な賃金未払い・労働条件の引き下げ・解雇等が一層増加していく可能性があります。解雇や賃金の不払いなどから多重債務に発展することも多く、また、長時間・過密労働が心身への疾患を引き起こすなど、労働問題は県民生活にかかわる重要な問題となっております。
 本110番では、未払い賃金、サービス残業、解雇・雇止めの問題をはじめ、その他労働トラブル全般にわたり幅広く相談に応じ、違法な労働環境で働く労働者を救済するとともに、違法な労働実態を広く社会に喚起し、職場環境の改善、労使間の権利意識の向上に寄与したいと考えております。


 開 催 日  平成21年11月23日(月・祝)
 開催時間  午前10時~午後5時
 相談電話  054-289-0310
 面接会場  静岡県司法書士会館
 主  催  静岡県司法書士会
     ※電話相談・面接相談を無料で行います(予約不要)
     ※当日は、約10名の司法書士が対応します。


平成21年度関東ブロック司法書士会協議会 会員研修会

 平成21年11月14日(土)14時から17時まで、東京・ベルサール神田において、平成21年度関東ブロック司法書士会協議会 会員研修会が開催された。テーマは、「民法(債権法)改正の動向」であり、講師は、早稲田大学教授の鎌田薫氏である。なお、鎌田氏は、後述する民法(債権法)改正検討委員会の全体会議の委員長でもあった方である。
 講義は、次の内容で進行した。
Ⅰ はじめに
Ⅱ いま、なぜ民法(債権法)改正なのか?
Ⅲ 民法(債権法)改正検討委員会
Ⅳ 主要な改正提案(検討委員会試案)
Ⅴ 今後の展望

 平成21年10月28日の法制審議会第160回会議において、諮問88号が法務大臣よりなされ、民法(債権関係)部会が平成21年11月24日から開始されることになった。
 鎌田氏は、この部会では、法制審部会開始後1年半を目安に8割程度はまとまった状態で中間とりまとめを公表し、法制審部会開始後2年半を目安に要綱案を作成していきたいとの意向を示された。
 今回の受講生からの事前質問は、なぜ民法改正をする必要があるのか、という総論的な質問が多かったので、総論に力を入れて講義をするが、各論を見渡すことによって、民法改正の必要性がみえてくることもある。本日の研修をきっかけに、司法書士からの建設的な意見が出されることを期待する、とのことであった。
 また、法制審議会において、これから民法改正の議論がはじまるところなので、司法書士には、できれば基本方針を参考にしていただき、活発な意見を述べていただくことを期待する。なお、法制審の中間とりまとめの公表間際に意見を述べても遅いだろう。できる限り早く意見提出の準備にとりかかっていただきたい、との助言が述べられた。

静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会

 平成21年11月12日は、静岡県青年司法書士協議会東部地区の勉強会が三島で開催されたので、参加した。テーマは、引き続き「民法改正」である。静岡では、民法改正について、青年会で12月12日に研修、本会では、東部・中部・西部のブロックごとで、1月から2月にかけて研修を行う。いずれの研修も、東部地区のメンバーが講師を務める。
 司法書士になった以上、業務関連の勉強をするのは当たり前であるが、勉強した内容について、どんどん情報発信することも重要である。

家賃滞納等のデータベース化の中止を求める会長声明

 日司連から、家賃滞納等のデータベース化の中止を求める会長声明がだされたので紹介する。欲を言えば、国交省の「中間とりまとめ」についても、言及すべきであっただろう。

平成21年11月12日

家賃滞納等のデータベース化の中止を求める会長声明

日本司法書士会連合会
会長 細 田 長 司


 財団法人日本賃貸住宅管理協会は、一般社団法人全国賃貸保証業協会を設立し、1~2年後をめどに、家賃滞納や支払状況などの賃借人の信用情報に関するデータベースを構築し、家賃保証委託契約の審査に利用する構想を、平成21年9月29日に発表した。
 また、その後の新聞報道によると、同協会が11月4日に開催した説明会には同協会会員9社以外に参加の意向を持つ保証会社が20社出席しており、さらに、一般の賃貸住宅管理会社なども情報を同協会に提供する構想があるなど、信用情報蓄積の規模が拡大する可能性があるとのことである。

 この家賃滞納等のデータベース化は、賃借人がたった一度の家賃滞納をしたというだけで、家賃滞納に至った経緯や理由を一切考慮せず、一律に「家賃滞納者」というグループに分類して民間賃貸住宅市場より排除するものである。
 また、「家賃滞納者」とされるか否かは、一方的に家賃債務保証会社等がその決定権を有することになるが、このような一方的なデータベースを家賃保証委託契約の審査に利用することは、現在のような経済状況においてやむなく失職した労働者や生活保護者等の社会的弱者に対する入居差別を生じるおそれがある。
 また、住まいを有しない者の就職が極めて困難な現状に鑑みれば、このデータベース化は、更なる貧困率の増加にも繋がると懸念される。
 住まいは、国際規約や憲法等においても居住権が保障されているように、人々のくらしにとって最も根幹的な生活の基盤であり、これを金融分野における信用情報と同様の経済性重視の視点から考えるべきではない。
 我々司法書士は以上の理由から「くらしの法律家」として、人々のくらしの根幹を揺るがすような家賃滞納等のデータベース化には断固反対するものである。



原文は、こちら



司法書士からみた民法改正

1、はじめに 
 本稿では、市民からの相談を受ける司法書士が民法改正を考えるにあたり、最も関心が高いと思われる民法と消費者法契約法との関係を中心に意見を述べることとする。なお、本稿の意見に関する部分は、筆者の私見である。

2、司法書士にとっての民法改正
 民法改正について司法書士が意見を述べる際に、まず、おさえておかなければ、「どのような視点から意見を述べるか」ということである。立場が異なれば、意見も異なるということは当然だ。司法書士に期待されると思われる視点は、次のようなものが考えられる。

  ① 本人訴訟支援
 司法書士が長く取り組んできた業務に裁判書類作成関係業務がある。そして、司法書士は、裁判書類作成を通じ、本人訴訟支援を続けてきた。言わずもがなであるが、本人訴訟支援とは、相談者の民事紛争の生の事実について、どのような法が適用されるのか、相談者に法の趣旨や要件・効果を説明し、最終的に相談者に法的判断をしていただくという過程を経ることになる。すなわち、本人訴訟支援を行う司法書士には、市民と法の間の架け橋となることが要求されているといえる。
 今般の民法改正では、このような業務実績を踏まえ、「市民のために、わかりやすい民法」を目指し、意見を述べていくことが重要になると考える。

  ② 登記
 司法書士の本来的な業務として、登記業務がある。登記には、不動産・商業・法人・成年後見・債権譲渡等があり、いずれの分野においても、司法書士は、登記の専門家として、迅速で安全な取引に寄与してきたという実績がある。
 今般の民法改正においても、民法(債権法)改正検討委員会や民法改正研究会等から、不動産登記や債権譲渡において、重要な試案の提示がなされており、取引実務に大きな影響を及ぼすことも予想される。
 そこで、司法書士には、登記を利用する市民のために、民法改正で影響を受ける登記制度につき、実務的な視点から意見を述べていくことが求められていると考える。

  ③ 少額民事紛争
 平成14年の司法書士法改正により、司法書士は、簡裁を事物管轄とする140万円以内の民事紛争について代理人として関与するようになり、少額民事紛争の専門家という側面をも併せ持つ職能となった。
少額民事紛争の特色として、)簡易迅速な解決を希望する相談者が多い、)費用対効果等からも、できれば裁判を避けたいと考えている相談者が多い、ということ等があげられる。
これら特色から鑑みると、少額民事紛争の当事者は、裁判で争うための法ではなく、紛争を未然に防ぐための予防司法としての法を求めているといえる。すなわち、裁判規範のみならず、行為規範をより明確にした民法である。司法書士には、そのような視点からの意見も述べる責務があると考える。

3、民法に消費者契約法を取り込むべきか否か
(1)消費者契約法の取り込み方
 今般の民法改正に関しては、消費者にとっての最も重大な関心事として、消費者契約法を民法に取り込むか否かというテーマを取り上げることができる。司法書士に寄せられる市民からの相談は、エンドユーザーとして法的トラブルに巻き込まれたというものが経験上、相談件数の大多数を占める。そうすると司法書士が述べる民法改正には、上述の3つの視点に基づき、消費者からの目線で意見を述べることが要求される。
 ところで、民法(債権法)改正検討委員会が公表する試案(以下「検討委員会試案」)によると、民法への消費者契約法の取り込みには、「一般法化」と「統合」という2つの方法がある。以下、それら2つを検討することを通じ、民法と消費者契約法との関係について考えてみたい。

(2)「一般法化」の是非
  ① 消費者契約法4条1項1号
 検討委員会試案では、消費者契約法4条1項1号(不実告知)の規定を消費者契約に限定しない形で、民法に規定すると提案されている。(適用対象を拡大することも提案されているが、ここでは、その点については触れない。)
このように「BtoC」のみならず、「BtoB」、「CtoC」、「CtoB」という取引形態も対象にした形で、民法に取り込むことを「一般法化」という。
 消費者契約法の規定の「一般法化」により、これまでは消費者の定義を拡大解釈することや民法の規定によって解決を図ってきた零細個人事業主を当事者とする契約トラブルにつき、当該規定を直接適用対象とすることができるようになるので、「一般法化」については原則として賛成することができる。
 しかしながら、「一般法化」により、本来であれば意思表示の判断に通常影響を及ぼす事項ではないような消費者の不実表示に対し、事業者から取消しが主張されるという事例(保険契約に基づき、保険会社が保険金を支払う局面を想定されたい)のような紛争が増加するといった事態が想定されなくもない。
 また、消費者からの取消しの意思表示をする際においても、意思表示の判断に通常影響を及ぼす事項であるか否かにつき評価がわかれそうな事例において、消費者契約法に規定が存置されていれば、同法の目的規定により、消費者に有利に解釈するよう主張を展開することもでき得るが、対等当事者間を前提とする民法に規定がある場合、消費者有利に主張する解釈の拠り所がなくなってしまう。
以上のような懸念もあり、「一般法化」については原則として賛成であるものの、様々な事例を想定したうえで慎重に検討すべきと考える。

(3)「統合」の是非
  ① 消費者契約法4条1項2号及び3号
 検討委員会試案では、消費者契約法4条1項2号(断定的判断)及び3号(困惑)を消費者契約に限定したまま、民法に規定を移すと提案されている。このような消費者契約法の規定の移行を「統合」という。
 将来的に「一般法化」することを視野に入れて、消費者契約法の規定を民法に「統合」するというのであれば、そのような発想自体は評価することができる。
 しかしながら、消費者保護の目的規定が不存在のまま、消費者契約法の規定を民法に移行すると、消費者保護の目的規定の不存在ゆえに事例によっては解釈が必要となる局面で消費者に有利に解釈することが困難となることも想定し得る。そうすると、消費者契約法に規定のある現在よりも、むしろ消費者保護が後退してしまうといった事態が生じてしまうことにもなりかねない。
 他方で、「統合」には、「一般法化」のように零細個人事業主が直接適用対象となるというメリットも考えられないので、目的規定の不存在という不安が解消されない限り、「統合」に賛成することはできない。

② 消費者契約法8条乃至10条
 検討委員会試案では、消費者契約につき、当該条項が存在しない場合と比較して、条項使用者の相手方の利益を信義則に反する程度に害するものは無効とするという規定が提案されており、参考として「みなし例(ブラックリスト)」、「推定例(グレーリスト)」が挙げられている。これらの規定は、)約款と消費者契約、)消費者契約のみに、それぞれリストを挙げているので、4つに分類することができる。このうち、消費者契約にかかる部分については、消費者契約法8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)、同法9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)、同法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)を、より具体化して、民法に「統合」したものと評価することができる。
 ブラックリストやグレーリストのように、不当条項リストを設けることは、契約内容の違法性の判断を容易にし、紛争の予防に資することは間違いない。したがって、このような不当条項リストを設けることについては、積極的に賛成することができる。ただし、不当条項リストを、民法に設けるか、消費者契約法に設けるかという検討は、なお残されている。
 また、検討委員会試案では、前述のとおり、不当条項リストを、消費者契約に限らず、約款にも適用されるケースがあるという前提で提案されているので、消費者契約法に不当条項リストを設けると仮定した場合、約款に関する不当条項リストの存置場所についても検討する必要が生じる。

(4)目的規定の導入
 さて、以上みてきたとおりであるので、私見としては消費者契約法の規定の「一般法化」については、原則として賛成できるものの、「統合」については、特段、賛成する理由がないということになる。
仮に、「統合」に賛成すべき理由があり、「統合」を導入するとしても、新しい民法には、消費者保護の規定が設けられなければならないと考える。そうでなければ、前述のとおり規範的要件の事実のあてはめや解釈が必要となる局面において、消費者保護が後退することもあり得るからである。
 さらにいうならば、この目的規定は、消費者契約に限定した「統合」規定についての目的ではなく、消費者契約であれば、「一般法化」された規定や既存の規定に対しても適用される規定となることを強く希望するものである。消費者を保護すべきであるのは、消費者契約法に規定された意思表示に限らないと考えるからである。
 したがって、「統合」が見送られたとしても、「一般法化」が導入されるのであれば(極論をいえば、「一般法化」が見送られたとしても)、民法に消費者保護の目的規定は必須であると考える。
 そのような目的規定が導入されることによって、民法は、まさに「市民のための民法」と変容を遂げることができるのではないだろうか。

4、おわりに
 民法改正は、これから実務家や市民団体を巻き込んで議論されるべきステージを向かえる。1つでも多くの団体、1人でも多くの実務家、市民が積極的に意見を述べ、真の「市民のための民法」が実現されなければならない。私も、これからも1人の実務家として意見を述べていく所存である。


平成21年度関東ブロック第1回総合法律支援対策担当者会議開催

平成21年11月10日(火)午後3時から午後5時まで、東京司法書士会会議室において、平成21年度関東ブロック第1回総合法律支援対策担当者会議が開催されたので、静岡県司法書士会相談事業部長として参加した。
 会議には、関東ブロック11単位会のうち10単位会の担当者が出席した。
 各単位会における法テラス問題・ADR問題・多重債務事件以外の裁判事務受託促進問題が議題となり、各単位会からの活動が報告された。

 司法書士の団体は、地元単位会と日本司法書士会連合会のほかに、全国をブロック分けした各ブロックの協議会がある。静岡は、なぜか関東ブロックに区分されている。司法書士全体の組織として、ブロックで協議すべきこと、実践すべきことを、より明確にするための議論も必要なのかもしれない。

相談事業部から新合格者の皆さんへ

 来週、静岡県司法書士会において、新合格者向けにガイダンスが開催されるので、相談事業部から伝えたいことを文章にまとめた。他会の新合格者にも、同様のことを伝えたいので、参考までに掲げる。


皆さん、合格おめでとうございます。
 さて、司法書士の業務は、近年、登記だけではなく、多重債務問題等をはじめとして消費者事件、また、依頼者も相手方も市民である一般民事事件、成年後見等、実に幅広い分野が対象になっています。
 このような業務の拡大を受け、静岡県司法書士会でも、「相談事業部」という部を設置し、市民からの相談の需要に応えるべく、日々、相談業務を行っているところです。
 相談事業部内には、「多重債務問題体躯委員会」、「消費者問題対策委員会」、「相談事業推進委員会」、「犯罪被害者支援委員会」があり、それぞれ活発な相談活動をしています。
 たとえば、「クレサラ110番」、「労働トラブル110番」、「賃貸トラブル110番」等という年に複数回開催している無料相談会や、「総合相談センターしずおか」という常設の相談機関には市民から数多くの相談が寄せられています。このような事業には、新合格者の方の見学も受けつけておりますので、これから積極的に参加するよう心がけてください。先輩司法書士の相談現場をみるのが、一番の勉強になります。また、勉強すればするほど、自分の財産が増えるのは、受験時代も、これからも変わりません。
 新合格者の皆さんの現時点での能力は、ほとんど一定であると思います。ただし、私の経験や今までの合格者のその後を振り返ってみると、これからの研修の受け方、また、とくに配属研修で業務姿勢をどのように学ぶかによって、司法書士としての生き方は大きく変わってくるようです。
 これからの期間は、受験期間以上の大きな経験を積み、皆さんが、それぞれの司法書士としての生き方の礎を築きあげてください。

 最後に個人的なお知らせになりますが、これから、中央新人研修や関東ブロック新人研修でも、お会いすることになりますので、気軽に声をおかけください。


「民法(債権法)改正と現代における契約」受講報告

 平成21年11月6日(金)は、18時から21時まで、東京大学において、
財団法人民事紛争処理研究基金主催で、「民法(債権法)改正と現代における契約」というテーマで第24回講演会が開催されたので受講した。
 講義は、前半に東京大学大学院法学政治学研究科教授の中田裕康氏の「債権法改正と契約自由」、後半に一橋大学法科大学院法学研究科講師・弁護士の沢口実氏の「債権法改正と企業における契約実務」と、それぞれのテーマで行われた。以下、講義内容の概要を報告する。(なお、講義内容の聞き間違い・解釈の誤りがあり得ることをご了承いただきたい。文責 司法書士 赤松 茂)

【債権法改正と契約自由】
 講義では、①概要、②契約自由の原則とその規律、③契約の基本構造に関する合意とその限界、④契約債権における合意の尊重とその制約原理という4つの論点について解説がなされた。

【債権法改正と企業における契約実務】
 澤口氏の講義では、BtoB取引分野の検討により「提案」による契約実務を考えるという内容であった。近年の上場企業間の契約責任に係る裁判例をもとに、関連する「提案」をあてはめて解説がなされた。
 ①契約の解釈、②契約の合意、③交渉当事者の情報提供義務、④損害賠償の免責事由、⑤損害賠償の範囲、⑥契約自由の原則と信義則、強行法規という論点が取り上げられた。

 実務界では、その規定が、強行規定か、任意規定かということに強く興味を示されることが多い。任意規定であれば、特約で排除することができるからである。今般の民法改正についても、一部には、そのような視点から債権法で何を規定されても、任意規定であればかまわないという風潮があるようにも思われる。
 しかしながら、それで良いのだろうか、と中田氏は述べる。市民社会のニーズ、また国際社会の潮流は、新たな債権法を求めているといえるのではないか、とのことである。
 なお、澤口氏から、実務上、強行法規であるか、任意規定であるかは極めて重要であるので、条文時には、それぞれの条文が強行法規であるか否かを特定できるように条文の文言等の配慮をしていただきたいとの要望が述べられた。

   *

 任意規定だから、特約で排除するという発想は、企業間同士等の契約書作成・契約締結業務に精通する立場から述べられることが多いと思われる。
 私が取り扱うことの多い、消費者事件では、契約当事者が「BtoC」の関係にあることが通常であり、契約締結時に消費者が条項を精査し、交渉するということが、ほとんどない。そのため、任意規定は特約で排除することができるという視点から、実務の講義を聴くことは、とても新鮮であった。





福岡県青年司法書士協議会・福岡県司法書士会共催「労働トラブル研修」

 平成21年11月4日は、19時より21時まで、福岡において、福岡県青年司法書士協議会・福岡県司法書士会共催で、「労働トラブルに関する研修」が開催されたので、講師として参加した。
 70名前後に受講していただいた。
 講義の内容は、①労働審判制度を利用した解雇事案、②管理監督者と定額残業代の抗弁がでてきたサービス残業代の事案、を取り扱った。
 
 なお、司法書士が労働審判の申立てに書類作成者として関与するケースが増えてきていると思われるが、福岡では、既に司法書士に対して労働審判法16条但書の傍聴許可が下りたケースがあるという。
 
 さっそく、地元静岡の労働審判期日でも、参考にしていただくよう、その旨を報告したいと思う。

平成21年度司法書士試験最終合格発表

 11月2日に、平成21年度司法書士試験最終合格発表があった。

法務省によると、同試験の結果の概要は、下記のとおりである。


                  記


試験日 筆記試験(7月5日),口述試験(10月13日)
出願者数 32,558名
受験者数 26,774名(午前の部及び午後の部の双方を受験した者の数をいう。)
合格者数 921名(男714名・77.5% 女207名・22.5%)
筆記試験合格点 満点280点中221.0点以上

午前の部の試験(多肢択一式問題)については満点105点中87点に,午後の部の試験のうち,多肢択一式問題については満点105点中75点に,記述式問題については満点70点中41.0点に,それぞれ達しない場合は,それだけで不合格とされた。

 詳しくは、こちら

 なお、静岡受験による合格者は、19名とのことだ。
 この19名には、静岡県司法書士会から今後の研修等について連絡をすることになっているが、他の受験地で合格した方で、静岡での開業・研修を希望する方は、静岡県司法書士会に直接連絡をいただきたい(054-289-3700研修担当部長花田司法書士もしくは担当事務局望月まで)。
 静岡に縁も所縁もない方が、静岡での開業をするという、Iターンも大歓迎である。



ロプロ(旧日栄)が会社更生申立て

 商工ローンであるロプロ(旧日栄)が、本日、会社更生の申立てをした。

 詳細は、こちら

 利用者に対する債権届出の促進など、早急な対応を図る必要がある。


 

全青司悪質商法110番事前研修会および開業フォーラム開催

 平成21年11月1日は、東京の日司連ホールにおいて、午前中に全青司悪質商法110番事前研修会、午後に司法書士試験合格者と受験生を対象にした全青司開業フォーラムが開催されたので、参加した。
 悪質商法110番事前研修会は、12月1日に予定されている全国悪質商法110番のための事前研修である。静岡の司法書士山田茂樹氏による決済代行業者などの利用によるカード被害救済をテーマにした講義と東京の司法書士関根圭吾氏によるパチンコ攻略法被害救済をテーマにした講義が行われた。
 いずれも悪質商法被害救済の実務に基づいた実践的な講義であり、いつもながらにすばらしい講義であった。割販法・特商法が改正され、今後、個別クレジット方式を利用した悪質商法は減少するものと想定されるが、その代わりに総合カード方式を利用した悪質商法が蔓延する可能性も否定できない。そのような意味においても、最新の情報を常に収集しておく必要性はあろう。

 全青司開業フォーラムには、多くの試験合格者と受験生が参加し、関東ブロックの司法書士による実務紹介がなされた。
 受験時代は、自分の経験に基づいても、試験対策が中心であり、司法書士の具体的業務に思いをよせることは少ない。その時期に、司法書士の具体的業務に触れることは有益であり、受験生にとっても、受験勉強のモチベーションの維持に資するものとなろう。とくに試験合格したばかりの時期に、多くの業務内容の存在を知っておくことは、その後の司法書士人生の方向付けをするにあたり、重要である。開業フォーラムは、関東圏の試験合格者や受験生がほとんどであったが、静岡での開業希望者もおり、懇親を深めることができた。
 試験合格者とは、これから中央新人研修(労働問題と司法書士)、関東ブロック研修(クレサラプレゼミナールなど)で、顔を合わすことになる。
 新人にとって重要な講義とは、知識の教授のみならず、市民に支持される業務姿勢などを伝えることであると考えている。
 そのような講義を行うべく、現在、鋭意講義内容を練っているところである。



「日本消費者法学会第2回大会」参加

 平成21年10月31日(土)10時から17時まで、立命館大学朱雀キャンパスにおいて、日本消費者法学会第2回大会が開催されたので、参加した。参加者は300名ほどであろうか。第2回大会は、次の要領で進行した。
1、開会挨拶 日本消費者法学会理事長 松本恒雄氏
2、シンポジウム『民法改正と消費者法』司会 京都産業大学 坂東俊矢氏
                      立命館大学  谷本圭子氏
   報告①「民法改正と消費者法」一橋大学教授 松本恒雄氏
   報告②「契約の締結過程と消費者法」早稲田大学教授 後藤巻則氏
   報告③「契約の内容・履行過程と消費者法」龍谷大学教授 中田邦博氏
   報告④「実務から見た民法改正と消費者法」姫路獨協大学教授・弁護士
 村本武志氏
3、開催校挨拶 立命館大学副総長 上田 寛氏
4、学会総会
5、シンポジウム
   報告⑤「民法における『消費者』の位置」東京大学教授 河上正二氏
    〈総括コメント〉
      法務省民事局参与 内田 貴氏
      上智大学教授   加藤雅信氏
6、パネルディスカッション
    司会 京都産業大学 坂東俊矢氏  立命館大学 松本克美氏

 以下、総括コメントの模様を抜粋する。なお、コメントの記載内容等については、私の聞き間違いや解釈の誤りが含まれている可能性もあることを念のため申し添えておく。(文責 司法書士 赤松 茂)

【総括コメント】
〈内田貴氏〉
 内田氏によると、消費者という概念をつかったまま、消費者契約法を民法に統合するということについては賛否が多い。むしろ、意見としては、反対が多いと感じている。おそらく、提案の中で、もっとも、ご意見をいただいている部分であると感じているとのことであった。
 しかしながら、その反対意見の内容(民法の対等当事者間の原理と消費者契約法の消費者保護の原理は相いれない、民法では機動的な改正ができない、所管の問題、など)は、提案の趣旨が十分伝わっていないことから、反対していると思われるものも多い。
 これに対し、内田氏は、世界的にみると民法典は多様なものであり、なぜ、これから改正しようとする民法が、19世紀の民法にとらわれなければならないのか、疑問であるとの反論が述べられ、現在においては、民法に消費者の原理が入ることによって、原理的なグラデュエーションが民法に内在することになるだろうとのことであった。
 さらに、内田氏は、消費者ルールは、前に進むことこそあれ、揺り戻しはないだろうとの現状認識により、そのような意味では安定していると評価しうるので、民法に取り込んでも、弊害はないと考えているとのことであった。
 また、内田氏によると、消費者法典を別につくるということについては反対するものではないが、消費者法典の創設と民法に消費者契約法を取り込むという問題は別であるとのことであった。なお、消費者法典の創設には非常に多くの困難がつきまとうと予想されるとのことであった。
 最後に、内田氏は、検討委員会の提案は、消費者保護の規定を先駆的に取組んだものであるので、ぜひ精査していただきたいと述べられた。

〈加藤雅信氏〉
 加藤氏の研究会は、民法と消費者契約法とを別の法律とし、民法が消費者契約法等をレファレンスするという体裁をとった。
 消費者私法は、内田氏も述べるように後退することはないと考えられるが、前進するための改正は当然予定されているところであり、その意味においては、機動的な改正がとれる法形態は重要であるとのことであった。
 また、内田氏は、消費者法典を創設したとしても、消費者契約の規定は民法を準用すればよいとのコメントを述べられていたが、加藤氏の考える消費者法典はそのようなものではないとのことであった。行政手続と私法、さらには刑法とをリンクしたうえで、消費者法典は創られなければならないと述べられた。
 ところで、加藤氏によると、本来、一般法化できる規定は限られていると考えているとのことであった。たとえば、公序良俗無効をさらに進めた複合的要素に基づく契約無効について検討したことがあるが、業者側の対応を考えると慎重にならざるを得ないことが多かったという。
 最後に、加藤氏は、これからの民法は、簡明であり、市民のためにわかりやすい民法でなければならないと述べられた。

      *

 パネルディスカッションにおいて、日司連民事法改正対策部部委員の山田茂樹氏から、消費者契約法を民法に取り込むに際し、消費者保護の目的規定を民法に規定することとなった場合、その保護規定は、統合された規定だけではなく、一般法化された規定や詐欺、錯誤等の規定についても適用されるような定め方はできるのか、という質問がなされた。
 これに対し、松本氏からは、そのような解釈は、目的規定の書きぶりに影響されるものと考えられる。(目的規定が「第●条に適用される~では、×」、「消費者規定に適用される~であれば、○」)松本氏は、これから消費者取引全般に目的規定がかぶるような規定を目指していきたいとの回答がなされた。ただし、松本氏からは、一般法化すべき規定を「一般法化」することについては賛成だが、本来「統合」については慎重であり、回答は、仮に「統合」をする場合、目的規定を質問のような趣旨で導入すべきであるという補足説明がなされた。

      *

 日本消費者法学会第2回大会では、消費者契約法を民法に取り組むべきか否かという消費者にとって、もっとも関心事となるべきテーマが取り上げられた。民法改正の試案を公表しているお二人からのコメントもいただき、それぞれの試案を対比するという意味においても、非常に充実したシンポジウムであった。
 また、消費者契約法を民法に取り組むべきか否かという問題に対し、私は、賛成か、反対か、という2つの選択肢をもって、今まで検討してきたが、今般の大会に参加したことにより、そうではなく、少なくとも、①「一般法化」と「統合」の双方について賛成するか、②「一般法化」のみ賛成し、「統合」については反対するか、③「一般法化」も「統合」も反対するか、という3つの選択肢があり、反対した部分については、)現状維持とするか、)別に消費者法典を創るという提案をするか、という、さらに2つの選択肢があるというべきであると理解した。今までの疑問が自分の中で相当整理できたものと考えている。




プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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