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クレディア(フロックス)対策会議開催

 平成21年10月29日、静岡県司法書士会において、静岡県青年司法書士会有志と全国青年司法書士協議会有志により、クレディア(フロックス)対策会議が開催された。

 今回の会議では、クレディア(フロックス)からの急増する貸金訴訟対策(被告事件)について協議がなされた。
 現在、静岡簡裁では、同社からの膨大な数の貸金訴訟が提起されており、その訴えは、延滞債権のみならず、司法書士等が介入し、任意整理による和解が整わないまま月日がたっている事案(同社は、基本的に元金分割払いの和解に応じない)も含まれている。
 このような状況を放置しておくと、任意整理による解決が困難となり、ひいては多重債務者の救済ができないことになる。
 そのため、このような貸金訴訟に対して相当程度効力があると考えられる2つの対策を実行に移すこととなった。
 その具体的な対策は公表できる段階になったら、ブログにアップさせていただく。

 同社との任意整理が難航している司法書士等の皆様には、このまま放置することなく、ともに対策を実行していただくことを切望する。


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「債権法改正―いま何が問題となっているのか?」受講報告

 平成21年10月29日(木)13時30分から15時まで、東京大学法学部25番教室において、「債権法改正―いま何が問題となっているのか?」というテーマで、東大BLC公開講座が開催されたので、参加した。
 講師は、法務省経済関係民刑基本法整備推進本部参与の内田貴氏である。
 講義は、次の内容で進められた。
1、はじめに
2、債権法改正の現段階
3、改正のあり方をめぐる対立
4、債務不履行による損害賠償をめぐる対立
5、債務不履行による解除をめぐる対立
6、瑕疵担保をめぐる対立
7、消滅時効をめぐる対立
8、消費者をめぐる対立
9、おわりに
 以下、それぞれのテーマに関するコメントを延べる。ただし、内田参与の発言を抜粋することを中心としたため、コメントの主語は内田参与である。また、コメントの内容において聞き間違い、解釈の誤り等もありえることを、あらかじめご了承いただきたい。(文責 司法書士 赤松 茂)

【債権法改正の現段階】
 当初は学者の私的研究会として、民法(債権法)改正検討委員会が設立され、債権法改正の基本方針が公表されたところである。現在、民法(債権法)改正検討委員会は解散した扱いとなっている。
 また、他の学者グループや弁護士会から対案や意見も多く出されている現状にある。(大阪弁護士会の意見書は200頁を超える大作とのことである。)
 なお、既報の法案提出予定年は、法務省の正式な意向ではないと理解している。

【改正のあり方をめぐる対立】
 改正にあたり、現行法を尊重して最小限の手直しをするか、すべての規定を対象に全面的な改正をするかという、大別すると2つに分けることができる。
 現行法は、原則のみが規定され、条文数も、条文の文字数も少ない法典となっている。これは比較法としても、明らかである。
 そのため、今までは、法律のプロによる解釈によって補われていたと考えることができる。これは、一般市民にとって、法律の内容が見えていないということを意味するものである。また、これは法律のプロにもいえることかもしれない。たとえば、損害賠償の範囲に関する予見可能性に関する解釈(【3.1.1.67】)ついても、法律のプロ同士の中で、解釈が異なっているという事実がある。(検討委員会の「提案」にいう予見可能性は、判例法理に足しも引きもしないものであり、何ら実務に影響を及ぼすものではない。また、判例は、相当因果関係そのものを民法416条に定めているので、「提案」は何ら抵触するものではない。)
 これからの世の中は、実務においてなされてきた解釈を条文化し、透明性の高い民法を実現することが求められていると考えている。そして、そのような民法改正を目指すとすると、民法典全体の大きな改正とならざるを得ないものになるといえよう。

【債務不履行による損害賠償をめぐる対立】
 条文にはない無過失免責は問題であると考える。
無過失免責を認めた判例は、近時、ほとんどない。その意味で、無過失責任は裁判規範として実際に機能していないと考えられる。
実際に機能している裁判規範を明文化するために、「提案」では、過失責任基準をとらずに、「債務者が引き受けていなかった事由」という概念を規定した。
 これに対し、免責事由の概念が不明確であるという批判がある。また、このような基準では、免責事由を明確にするために、詳細な契約を誘発することになってしまうという批判もある。
しかしながら、契約の趣旨を合理的に意思解釈し、免責事由の有無を判断することは現在も行われており、「提案」においても、現行の実務と何ら変わるものではない。そのため、契約書が膨大になるということは想定していない。

【債務不履行による解除をめぐる対立】
 解除を、債務者に対するサンクションから、債権者を契約から解放する手段と位置付けることとした。
 そうすると、債務者の帰責事由を考慮することはなく、債権者にとって、「重大な不履行」であるか否かについて検討すればよいことになる。
 また、「重大な不履行」=「要素たる債務」と限定したのは、原則として付随義務違反による解除を認めない趣旨を明らかにしたものである。
 これに対し、「重大な不履行」という規範的要件を解除に要求すると、実務が停滞するとの批判がある。

【瑕疵担保をめぐる対立】
 法定責任説と契約責任説の不毛な論争があり、現在は、どちらの説をとっても、結論はほとんど変わらない。なお、最高裁は、法定責任説を採用はしていないと考えているが、かといって、契約責任説を採用しているとも考えていない。(実務家は、判例が法定責任説をとっていると考えている方が多いようだが。)このように判例理論ですら不明確である。
 そこで、「提案」では、契約責任であることを前提に買主が行使できる権利のリストを明示した。また、債権時効の起算点を統一した。さらに、買主に対し、失権効を伴う通知義務を課し、売主の保護も図った。
 これに対し、買主の通知義務は買主にとって負担が重すぎるのではないかという批判もある。
 しかしながら、通知義務を負うのは、事業者に限定しているので、負担が重いとは考えていない。

【消滅時効をめぐる対立】
 短期消滅時効の合理性に問題があると考えており、また、生命侵害による不法行為の損害賠償債権の時効とも、不均衡であると考えている。
 さらに、時効障害事由にも改善の余地があると考えている。
 「提案」では、これら問題点を中心に、時効制度の見直しを図った。

【消費者をめぐる対立】
 現在は、消費者のルールが消費者契約法に規定されており、消費者にとって、民法と消費者契約法の2つを参照しなければならない。
 そこで、「提案」では、不実表示を一般法化し、消費者契約法のその他の意思表示の部分も、民法に統合することとした。
 これに対し、そもそも、消費者契約法を民法に取り込むべきかという批判などがある。
 しかしながら、これからの民法典は、消費者も含めた民事紛争を民法に規定すべきであり、19世紀型のブルジョワジーを想定して規定された民法典とは別物と考えるべきである。
 また、消費者法典を別に定めることについては反対しないが、差し当たり民法典に消費者契約法のルールを定め、民法典の一覧性を高めることが重要であると考えている。ただし、現実には、消費者契約法を民法典に取り込もうという主張に対して、多くの反対意見があることは承知している。

  *

 講義は、現行法の問題、問題を解消するための「提案」、その「提案」に寄せられる批判、さらに批判に対する反論という形式で、コンパクトに解説がなされた。「提案」を一歩踏み込んだ内容であり、充実した講座であった。

静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会

 平成21年10月28日は、三島において、静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会が開催されたので、参加した。
 テーマは、引き続き、「民法改正」である。延々と続いているが、東部地区勉強会においては、終わりが見えてきた観がある。
 今回は、「受領遅滞」、「事情変更」、「交渉当事者の説明義務」、「債務引き受け」、「営業上の地位の移転」、「第三者のための契約」、「時効障害」について検討した。

 東部地区勉強会の成果は、静岡で行われる12月12日開催予定の静岡県青年司法書士会主催の研修で発表される。
 同日、東京では、内田貴参与を招いての日司連主催のシンポジウムも開催されるので、残念ながら、私は東部地区勉強会の研修には参加できないが、よりよい内容のものを発表できるよう、東部地区の司法書士の皆さんにおかれては、充分煮詰めていただきたい。


一般民事事件と司法書士

 私の事務所における個人的経験則に基づくものであるが、最近、多重債務相談が減少し、その代わりに、一般民事事件に関する相談が増加傾向にあるように感ずる。

 最近、裁判書類作成関係業務や簡裁訴訟代理関係業務の受託を前提に相談を受けたものは、たとえば、次のようなものがる。
 解雇無効の相談(3件)、
 既に少額訴訟の判決を得ている売掛金の回収、
 建物明渡請求、
 請負工事の債務不履行による支払済みの請負代金一部返還請求、
 退職時に会社におきっぱなしであった私物の返還請求、
 配偶者の不貞行為による不貞行為の相手方に対する損害賠償請求、
 建物明渡の断行時に貸主が支出した引越代金等請求、
 敷金返還請求、
 パチンコ攻略法に関しクーリングオフに基づく代金返還請求、
 出会い系サイトに関するサイト業者に対する利用料返還請求、
 個人間の貸付金返還請求、
 未成年者のした美容整形の未成年者取消に基づく代金返還請求、
 物損交通事故の修理代金返還請求…などである。

 一般民事も含め、「困ったときは司法書士へ」という意識が、市民に浸透してきているのだろう。
 これからも幅広い分野の相談に応じていきたい。

 


【書籍紹介】民法改正 国民・法曹・学界有志案

 下記の本が出版されている。民法改正研究会の仮案が提示されており、10月25日の民法改正国民シンポジウムの際に資料となったものである。

                       記

 法律時報増刊「民法改正 国民・法曹・学界有志案●仮案の提示」日本評論社

 平成21年8月9日に日司連で行った「民法改正に関する日司連フォーラム」の模様も報告されていおり、司法書士が民法改正に取り組むべき視点も示唆されているので、司法書士の皆さんには、ご一読を勧める(報告者 早稲田大学 山野目章夫教授)。

 詳しくは、こちら

司法書士からみた「民法改正 国民・法曹・学界有志案」

 平成21年10月25日に開催された「民法改正国民シンポジウム」において、次のような意見を述べたので、報告する。

司法書士からみた民法改正

2009年10月25日

日本司法書士会連合会
民事法改正対策部 部委員 
司法書士  赤 松  茂


 日本司法書士会連合会としての意見は、現時点において必ずしも一致しておらず、本報告の意見には、発表者の私見が含まれていることを予めご了承いただきたい。

第1 司法書士の視点
 ① 本人訴訟支援
   ・自己決定権の尊重
   ・紛争当事者との二人三脚による訴訟支援

 ② 登記
   ・市民の権利保護・権利保全
   ・迅速かつ適切な取引

 ③ 少額民事紛争
   ・簡易迅速な解決
   ・裁判によらない紛争解決


第2 総論
 1 わかりやすい民法
 紛争の未然防止、裁判前の解決に資するため、条文の内容等を一層明確なものとする等して行為規範としての価値を高めるべきである。ただし、判例法理を条文化することは慎重に検討すべきである。

 (コメント)
 ・事前規制から事後救済の流れの中、予防司法としての民法を期待する。
 ・たとえば、外見法理などの規定を設けると、濫用的利用が危惧される。

2 消費者法の取り込み
 消費者契約に関する規定は、消費者法典として、別に設けるべきである。一部の消費者法のリファレンスには反対である。

(コメント)
 ・民法典に消費者契約を規定すると、消費者保護の目的に立った解釈によることが困難となるおそれがある。
 ・広義の消費者契約の規定は、消費者契約法・特商法に限られない。


第3 各論
 1 未成年
(1)仮に成人年齢を引き下げる場合には、新成人層に対して未成年者取消権と同等の保護制度を導入すべきである。
(2)未成年者取消の効果となる原状回復につき、民法121条等の一般原則によらず、未成年者保護の制度趣旨に鑑みた制度も検討すべきである。

(コメント)
 ・現行の未成年者取消権は、クーリングオフのような短期の行使期間の制限がなく、取消事由の制限もない。
・役務提供型の取引につき、現在は未成年者取消権を行使したとしても、現存利得=役務提供の客観的対価相当額という結論にもなる。そうすると、取消権の実質的な意義が損なわれてしまう。

2 法人
 (1)法人に関する定款規定等を民法に定めることについては反対である。
(2)「権利能力なき社団又は財団」も社会的実在であることから,一定のルールを明文化することが望ましい。
(3)外国法人については、特別法として切り出すべきである。

(コメント)
 ・会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律との重複規定となるおそれがある。
 ・現行民法第37条第1項本文かっこ書の外国法人は,特殊な存在であり,一般法である民法典に登記に関する規定を置くのは,非常に違和感がある。よって,特別法として定めを置くべきである。

 3 意思無能力
 意思無能力の効力を取消しとすることには反対である。錯誤の効力についても同様である。

(コメント)
 ・訴訟の場合は別として、実務的には、法的効果の主張権者が限定されるおそれがある。
 ・第三者対抗要件が具備されることにより、表意者の保護に欠けるおそれがある。

 4 錯誤
錯誤に伴う、相手方の損害賠償責任を明記することには反対である。

(コメント)
 ・表意者が錯誤無効の主張をするにあたり委縮効果が生じる恐れがある。表意者の損害賠償責任は、一般法理で対応すれば充分であると考える。

 5 不実表示
(1)不実表示による取消が取消し得るものであるか否かの立証責任の分担については慎重な検討が必要である。
(2)不実表示による取消しにつき、消費者契約法5条類似の規定を置くべきである。

(コメント)
 ・一般法化することにより、「C」to「C」取引も対象となるので、不実であることのみをもって取消の主張が可能となると濫用のおそれがある。
 ・現在の契約社会は、契約当事者以外の密接な第三者が契約に立ち会う場面も少なくない。

 6 時効
 交渉を継続する旨の書面は、事前の包括的合意を認めるべきではない。

(コメント)
 ・提案趣旨は、そのような意図がないとしても、濫用的活用を防止するため、念のため確認する。

 7 不動産登記
 仮に物権変動の範囲について法律行為に制限する場合には、実務におよぼす影響にも充分配慮すべきである。
 
 (コメント)
・現在、登記実務が円滑に行われているにもかかわらず、登記を必要とする物権変動の対象を変更することについては、慎重に検討すべきであり、取引の安全と迅速性を害するおそれがある。

 8 相隣関係
相隣関係に関する民法の条文を整理したことについては賛成する。ただし、導管等設置権、導管等使用権等の権利の手当てを民法改正において行うのは、慎重に検討すべきである。

(コメント)
・規定の必要性があることは理解できるが、導管等使用権の判例が定着しているとまでは言い難いと考える。
・特別法において、規定することも検討すべきである。

 9 農用地上権
農用地役権の内容については賛成する。ただし、民法に定めるのか、または農地法に定めるのかについては検討の余地があると考える。

 (コメント)
 ・農地をめぐる規制から、農業に対する参入障壁の高さが指摘されているが、この点でも農地法の枠組みの中で、農地の所有権・賃借権・(農用)地上権を考えたうえで、農地の流動化をいかに図るべきかを検討すべきである。

10 人役権
人役権のような新たな物権規定を創設することは原則として賛成できるが、規定される内容が契約によっても代替可能なこともあると考えられるので、市民の需要を見定めて慎重に検討すべきである。

 (コメント)
 ・土地に付随しない権利であることから、あえて人役権なるものを創設する必要性が少ないとも考えられる。

11 債権者代位権
いわゆる「転用型」の債権者代位権につき明文をもって認めたことは賛成できる。

(コメント)
・債権者代位権をもっとも活用しているであろう不動産登記等では、転用型がほとんどであるからである。

12 保証
保証契約の特殊性(保証人は契約の対価を何ら得ない)に鑑み、債権者の保証人に対する説明義務等を規定すべきである。

(コメント)
・保証契約に関するトラブルが増加しているので、保証人を保護する規定を設けるべきである。
 ・説明義務に違反した場合の効力規定、保証人が保証契約から離脱する権利についても検討すべきである。

13 債権譲渡
(1)債権の譲渡について、譲渡禁止特約は認めるべきである。
(2)債権譲渡の対抗要件が複数あるということは、譲受人にとって調査コストの増加を招くこととなるので、対抗要件については整理をすべきである。また、債権の二重譲渡に対する対応も合わせて考えるべきである。
(3)将来債権の譲渡については何らかの法的手当てをすべきである。

 (コメント)
 ・原則として債権譲渡禁止特約を認めないとしても、債務者が個人(消費者)である場合には、特約を認める等の手当てが必要である。
 ・第三者対抗要件が複数あるということは、第三債務者への通知等の有無の確認とともに、登記がなされたことは第三債務者が善意である場合が多いので、債権を譲り受けた者にとって調査コストの増加を招くこととなる。
 ・将来債権譲渡については、判例においても一定の要件をもって認められており、実際に相当数利用されているところであるので、法的に規制を加えることが妥当であると考えられるからである。

14 契約上の地位の譲渡
(1)契約の譲渡を民法に規定することについては賛成する。
(2)契約の譲渡(契約上の地位の譲渡)については、複合的な債権の集合体である場合も考えられることから、第三者に対する対抗要件としては、確定日付ある通知だけでなく、登記等契約形式に応じたものとすべきである。

(コメント)
 ・改正案においては、債権譲渡と同様にその第三者対抗要件を確定日付ある証書による通知等に限定しているが、これが契約形式に合わない場合も考えられるからである。

15 金銭消費貸借
 諾成契約を明文化するにあたり、実務の運用についても十分注視すべきである。

(コメント)
 ・金銭消費貸借契約と担保権設定契約を先に締結し、担保が設定された後、現実には融資が実行されないというようなケースも想定しうるからである。

民法改正国民シンポジウム

 平成21年10月25日は、明治大学において、民法改正研究会、「民法改正を考える」研究会、市民のための民法改正研究会、企業法務に役立つ民法改正研究会主催、明治大学法科大学共催により、「民法改正国民シンポジウム」が開催されたので、登壇者として参加した。
 当日の次第は、次のとおりである。
1、はじめに 開会の辞、青山善充氏(明治大学)
2、基調報告「民法改正 国民・法曹・学会有志案(仮案)」の提示のために、加藤雅信氏(民法改正研究会代表・上智大学)
3、国民各層からみた民法改正
 ① 学界からみた「民法改正 国民・法曹・学界有志案」、椿寿夫氏(民法学者)
 ② 経済界からみた「民法改正 国民・法曹・学会有志案」、阿部泰久氏(日本経済団体連合会・経済基盤本部長)
 ③ 労働界からみた「民法改正 国民・法曹・学会有志案」、長谷川裕子氏(日本労働組合総連合会・総合労働局長)
 ④ 消費者からみた「民法改正 国民・法曹・学界有志案」、田澤とみ恵氏(全国消費生活相談員協会常任理事)
4、実務家からみた民法改正
 ① 弁護士からみた「民法改正 国民・法曹・学界有志案」、岡正昌氏(第一東京弁護士会)、鹿島秀樹氏(東京弁護士会)、三原秀哲氏(第一東京弁護士会)、奏悟志氏(第二東京弁護士会)
 ② 司法書士からみた「民法改正 国民・法曹・学界有志案」赤松茂(日本司法書士会連合会・民事法改正対策部)
5、各種研究会からみた民法改正
 ① 市民法務からみた「民法改正 国民・法曹・学会有志案」、杉山真一氏(市民のための民法改正研究会・弁護士)
 ② 企業法務からみた「民法改正 国民・法曹・学会有志案」、北澤正明氏(企業法務に役立つ民法改正研究会・弁護士)
 ③ 「民法改正を考える」研究会からみた「民法改正 国民・法曹・学会有志案」、円谷峻氏(「民法改正を考える」研究会・明治大学)
6、討論
 ① パネルディスカッション
    司会 池田眞朗氏(慶応大学)、沖野眞己氏(一橋大学)
    パネリスト 裁判官・弁護士の視点から、島川勝氏(元裁判官・弁護士・大阪市立大学)
           司法書士の視点から、初瀬智彦氏(日本司法書士会連合会・民事法改正対策部)
           銀行法務の視点から、吉田氏(元三和銀行・神戸学院大学)
           商社法務の視点から、堀氏(元日商岩井・早稲田大学)
 ② フロアーディスカッション
7、謝辞、加藤雅信氏(民法改正研究会・上智大学)

静岡県司法書士会・改正貸金業法の早期完全施行を求める会長声明

 静岡県司法書士会が次のとおり、貸金業法の早期完全施行を求める会長声明を出したので、紹介する。

 平成18年12月、深刻化する多重債務問題解決のため改正貸金業法(以下、「改正法」という)が成立した。改正法は段階的に施行され、残すは改正の本丸ともいうべき出資法の上限金利の引き下げや総量規制等を含む第四段階施行分のみとなり、平成21年12月から翌年6月までの間に施行されることになっている。
 ところが、近時、「改正法の完全施行先送り」を求める動きが一部に見られ、その主な理由として、①改正法附則に完全施行前の「見直し規定」があること、②総量規制により与信審査が厳格化され、貸金業者から借りられず生活が成り立たなくなった人がヤミ金から借り入れ、結果としてヤミ金被害の増加が危惧されること、③中小企業の短期的資金ニーズに貸金業者が応えられず、そのため中小企業の倒産増加が見込まれること等があげられている。
 しかし、多くの貸金業者がその新規契約につき金利引き下げ、与信審査の厳格化を既に実施しているにもかかわらず、平成16年以降のヤミ金被害の減少傾向は改正法成立後も継続している(平成20年警察白書統計による)のであり、与信審査の厳格化を伴う総量規制の実施がヤミ金被害を増加させるとの主張は客観的根拠を欠いているといわざるをえない。また、「借りなければ生活が成り立たない」ケースは、高金利での借入に頼るべきではなく、社会保障制度としての各種給付や低利の公的貸付制度等、いわゆる「セーフティーネット」の利用により対応されるべきである。さらに、高金利での借入が中小企業の負債拡大の要因となることはあっても、その倒産を回避する有効な薬となることはない。
 そもそも、改正法附則の「見直し規定」は全方位的な見直しを認めるものではなく、あくまでも多重債務問題の終局的解決を図ることを指向した変更のみを認めるものであり、多重債務問題解決のための根本施策を先送りし、改正法の基礎を揺るがし、或いは骨抜きにするような改悪を許すものではない。第四段階施行分の出資法の金利引き下げや総量規制は、まさに多重債務問題の解決並びに予防の具体策として改正法の根幹をなすものであり、その先送りや改悪は「見直し規定」の認めるところではない。
 長年にわたり多重債務問題に取り組んできた当会としては、改正貸金業法の早期かつ完全なる施行こそが多重債務問題の終局解決に寄与するものと確信し、ここに、国に対しその実現を強く求めるものである。


静岡県司法書士会会長 早 川 清 人

日司連民事法改正対策部会開催

 平成21年10月21日は、日司連会館において、民事法改正対策部会が開催されたので、部委員として参加した。
 主な議題は、平成21年12月12日の「債権法改正に関する日司連シンポジウム」の内容について、である。このシンポジウムは、基調講演に内田貴参与を招き、司法書士にとっての債権法改正を考えるというものである。基調講演、質疑応答、パネルディスカッションという流れで進むことが確認された。
 私の担当は、第一準備会担当領域の部分である。
 追完請求権と追完権、債務不履行、解除と危険負担をメインに、質疑応答やパネルディスカッションのテーマ作りをすることになる。
 
 シンポジウムの申込書は、月報司法書士10月号に掲載される予定である。
 奮って、ご参加いただきたい。



 

債権法改正と保険契約

平成21年10月20日(火)18時から20時まで、財団法人損害保険事業総合研究所主催で、東京・損保会館において、「債権法改正と保険契約」というテーマで、債権法改正に関する講座が開催されたので、参加した。参加者は、主に保険関係の法務部などであろうか、200名以上は参加していたと思われる。
 一橋大学教授の沖野眞巳氏が講師を務め、沖野氏は、はじめに民法改正の総論的な解説をした後、「契約締結過程における情報提供義務・説明義務その他の諸義務」、「約款規制と不当条項規制」、「履行期、履行遅滞、債務不履行責任」、「法定利率」、「債権時効」、「各種の契約の規定」、「その他の個別項目」、「対象と編成」というテーマで講義を展開した。
 以下、各テーマにおける債権法改正の基本方針に関する解説等を抜粋する。

【契約締結過程における情報提供義務・説明義務その他の諸義務】
・交渉当事者の情報提供義務・説明義務を一般法化した。
・当該取引に応じた義務を定める。
・効果は、損害賠償であるが、不実表示等の意思表示の規律による取消しの可能性がある。
・被用者のみのらず、独立的補助者の行為についても責任を定めた。
・当該第三者を契約交渉ないし契約締結に関与させたかどうかを基準とする。
・不実表示として、消契法4条1項1号を一般法化した。なお、重要事項による絞りはかけないこととした。
(不実表示に不利益事実の不告知を取り込み、第三者による不実表示についても規定した。)
・情報提供義務があったにもかかわらず、情報を提供しなかった場合等に適用される沈黙による詐欺を明文化した。
・消契法の断定的判断の提供に基づく誤認は、統合することとした。なお、「将来における変動」から「不確実な事項」へと対象を広げた。
・消契法の不退去・監禁類型は、例示とし、統合することとした。
・公序良俗に、現代型暴利行為を明文化した。
・契約の成立につき、承諾の発信主義から、到達主義に変更した。
・不特定多数に対する「申込み」か、「申込みの誘因」かにつき、「申込み」とする推定規定を置いた。

【約款規制と不当条項規制】
・約款に関する一連の規定を設けた。約款とは契約の内容を律するものである。約款を契約内容として構成するために、約款を開示し、合意することを必要とした。
・約款の内容を規制するために、一般的な不当条項規制と、個別の不当条項リストを設けることとした。原則として条項の全部無効、損害賠償を効果として定めた。
・約款に対する不意打ち条項については、規定しないとの提案をだしたが、委員内でも議論が紛糾したところである。
・複数の解釈可能性が残る場合、条項使用者に不利な解釈を採用する。また、消費者契約の場合、事業者に不利な解釈を採用する。
・消費者契約における条項と約款の二本立てで内容を規制する。
・約款を用いて消費者契約を締結した場合は、約款・消費者契約共通のブラック・グレーリスト以外に、消費者契約のブラック・グレーリストも適用となる点に留意すべきである。

【履行期、履行遅滞、債務不履行責任】
・「契約によって何が引き受けられたか」という判断枠組みで免責をする。
・金銭債務の特則の絶対無過失責任を廃止する。
・法定利率を変動利率制に変更する。
・利息を超える損害についても賠償を可能とする。
・解除の要件を帰責事由から重大な不履行へと変更した。
・催告解除も、催告+一定期間の経過が、重大な不履行と評価できるかどうかで決する。ただし、事業者間契約については、重大な不履行の推定規定を設ける。

【法定利率】
・固定方式性から変動方式へ変更する。
・短期法定利率と長期法定利率の2種類を設ける。

【債権時効】
・短期消滅時効が廃止された。
・債務不履行と不法行為の統一を図った。
・時効の効果は債権の消滅か、それとも履行拒絶権か。
・時効については、起算点・期間等につき、合意による変更を認めた。
・時効障害事由を「時効期間の更新」、「時効期間の進行の停止」、「時効期間の満了の延期」の3種とした。

【各種の契約の規定】
・損害保証契約はおかない。
・役務提供契約、委任契約、継続的契約は、保険契約や代理店契約と大きく関係するのではないかと思われる。

【その他の個別項目】
・錯誤が取消しとなった。形成権一般について、抗弁権の永久性が認められる。
・債権者代位権は存続する方向である。
・債権譲渡ついては、金銭債権の第三者対抗要件の登記一元化を提案している。

【対象と編成】
・編別、構成、全体像については割愛。

《受講を終えて》
 実務家向けの講座のため、非常にわかりやすい講義内容であった。保険契約に関する問題ということで、契約締結時や成立時の諸問題について、詳細に講義がなされたが、その講義の内容は、保険契約に限らず、会社法務として、すべての業種に通じるものであった。

静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会開催

 平成21年10月20日は、三島市において、静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会が開催されたので、参加した。
 勉強会テーマは、引き続き「民法改正」である。エンドレス状態である。
 昨日は、「解除と危険負担」、「約款と不当条項」、「保証」、「消費貸借」、「相殺」などを中心に提案の整理および検討を重ねた。

 ところで、12月12日(土)に、日司連主催で、民法改正に関するシンポジウムが開催される。
 基調講演に、元民法(債権法)改正検討委員会事務局長・現法務省経済関係民刑基本法整備推進本部参与の内田貴氏を向かえる予定である。
 司法書士を対象に200名定員である。シンポジウムの案内および申込書は、近々発送される「月報司法書士10月号」に掲載されているので、詳細はそちらをご参照いただきたい。

静岡県司法書士会主催「消費者問題シリーズ研修」開催

 平成21年10月15日は、13時30分から16時30分まで、三島市民文化会館において、消費者問題シリーズ研修の第2回が開催された。司法書士以外の申込みが14名、司法書士の申込みが9名であった。
 さて、消費者問題シリーズ研修は、本年度より、多くの行政機関等に気軽に参加していただくため、東部・中部・西部の三会場で順番に同内容の研修を開催していくという方式をとっている。
講義内容は、第1講を「生活保護の実際と問題点」として羽根田龍彦会員、第2講を「敷金返還請求の実際」として齋藤毅会員が務めた。
 消費者問題シリーズ研修は、11月19日に浜松で今回と同じ内容のものを実施した後、1月からは「ポイント整理『改正特商法・割販法』-民事効力規定を中心に‐」というテーマで、中部・東部・西部の順に開催される。
 ますます切実となる相談内容(生活相談といっても過言ではないケースも多い)に適切に対応するために、消費者問題シリーズ研修等を通じ、行政機関等との連携を深めていくことは重要である。

国交省社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会「中間とりまとめ」に対する静岡県司法書士会の意見

 平成21年10月14日に開催された静岡県司法書士会の常任理事会で、国交省社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会「中間とりまとめ」に対する意見を提出することが承認されたので、意見書の全文を紹介する。


静司第222号
平成21年10月14日

国土交通省社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会 御中

                              静岡県司法書士会
                            会 長 早 川 清 人

社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会「中間とりまとめ」に対する意見

去る8月12日に国土交通省社会資本整備審議会住宅宅地分科会及び民間賃貸住宅部会から「中間とりまとめ」が提示された。今後、年内の答申に向けて、審議が進められることになるが、当会は、下記の趣旨が答申に反映されるよう、以下の2つに論点を絞り、意見を表明する。

意見の趣旨
1.賃貸人及び民間事業者からなる団体等が賃借人(入居希望者)の家賃滞納に関する信用情報を入手、提供できるシステムは構築すべきではない。

2.賃借人が契約更新を伴う長期間の居住を予定しているケースについては、定期借家制度の普及、利用を促進するべきではない。

意見の理由
1.近時、世界的な経済不況により滞納家賃を抱えた賃借人に対する家賃債務保証業者等による反社会的な取立行為や「追い出し」被害が後を絶たない。このような家賃債務保証業者は、連帯保証人を立てるあてのない賃借人の増加とそうした者の家賃の滞納を避けたい賃貸人側の需要により近年急激に増加している。帝国データバンクが平成21年4月に行った把握可能な29社の家賃債務保証業者に関する調査結果によれば、平成20年度の売上は、前年比43%増の約217億6000万円に上っている。また、最近では、賃貸人と賃貸物件の管理委託契約を締結した不動産管理業者や貸金業者が賃借人の家賃債務を保証するケースも確認されており、これら業者の増加とともに賃借人の滞納や家屋明渡しを巡る紛争も増加しているのが実情である。
このような紛争は、失業や病気、低賃金、家族などの問題を背景に賃料の滞納という事実が出発点になるのだが、「中間とりまとめ」で提案されているような滞納に関する信用情報を賃貸人や保証業者等が入手し、提供できるシステムを構築することには賛成できない。
賃借人の信用情報の共有化は、収入の安定しない窮迫状況にある低所得者層などの民間賃貸住宅の確保を著しく困難にする危険性を孕むものであり、憲法第25条の精神に反するものである。住居は、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要不可欠なものである。したがって、賃貸物件の外観的な情報の入手、提供と賃借人の滞納等の信用情報のそれとは明確に区別する必要があり、賃貸人や保証業者等の保証機関や不動産管理業者、一部の賃借人の利益を図る結果として賃料を滞納した賃借人のその後の居住する権利が侵害されることはあってはならない。
家屋の明渡しを巡るトラブルを未然に防止するための施策を検討するにあたっては、契約当事者間の問題として賃貸市場に委ねるのではなく、社会福祉及び社会保証的な観点から国民の住生活の安定・向上に資するための法整備や検討を加えるべきである。

2.定期借家契約は、契約で定めた期間の経過により、更新されることなく借家契約が終了する契約であるため、通常の建物賃貸借契約のように更新拒絶や解約申し入れに対して正当事由を必要としない。そのため、一定期間利用しない不動産や高齢者の保有する空不動産などの有効利用や母子家庭、高齢者などの入居段階で選別が厳しくなると考えられる賃借人の居住に資する面がある一方で、長期間にわたり居住を希望する賃借人にとっては、定期借家契約を締結するメリットは少なく、賃借人にとっては、不利な契約であることが多い。
国土交通省の「定期借家制度実態調査(平成19年3月)」によれば、建物の借家契約のうち定期借家契約の占める割合は、5%程度に留まっている。また、定期借家契約の実績のない事業者及び賃貸人に対する今後の活用意向についての回答のうち、「今後積極的に活用したい」と回答した事業主は2.5%、賃貸人は4.0%であるのに対し、「活用する意向がない」と回答した事業主は25.4%、賃貸人は33.2%である。そして、「場合によっては活用したい」と回答した事業主は72.1%、賃貸人は68.1%と最も多い。
  また、定期借家制度を活用したくない理由として、「賃借人にとって魅力が乏しく空家になる可能性がある」(事業主45.8%・賃貸人11.3%)や「普通借家契約に特段の不都合がない」(事業主44.4%・賃貸人32.3%)、「制度が煩雑で正確に理解するのが難しい」(事業主21.6%・賃貸人41.9%)などの回答が目立った。
上記のとおり、定期借家制度は、日本の賃貸市場において定着していないことは明らかである。また、事業主及び賃貸人は、定期借家契約に関して、「場合によっては活用したい」との回答が多くを占めるように、限定的に利用するものという認識を有していると考えられる。そのような実情のなかで、国があえて積極的に定期借家制度の普及・促進を進める必要性は見出し難い。
普通借家制度における「正当事由」が賃貸人による不当な解約申し入れから賃借人を保護するための制度であるのに対し、定期借家制度は、「正当事由」が要求されることへの弊害から賃貸人を解放する制度である。賃貸人及び賃借人は、平成12年3月に定期借家制度が導入されて以降、普通借家契約を締結するのか、定期借家契約を締結するのかの自由を有し、その状況のもとで現在の賃貸市場を形成してきたのである。
したがって、一般的に賃借人にとって不利に働くことが多い定期借家制度を普及・促進させることは、賃貸人及び賃借人の双方に混乱を招き、また、賃借人の住居の安定性を甚だ害することにも繋がりかねない。
経済状況の悪化に伴い職と同時に住居を失う「ハウジングプア」という者達が増大する現状では、先ず居住の安定を確保する住宅セーフティーネット等の整備を充実させる方向で検討を加えるべきである。

新型インフルエンザとADR

 週末より発熱し、40度を超える勢いであったので、「いよいよ新型インフルエンザにかかってしまったか」、「こんなことなら、あのとき韓国に行っておけばよかった」などと思いつつ、簡易検査を受診した。
 ところが、検査結果は陰性。
 発熱後、1日以上経過しているので、精度はかなり高いという。
 病院側からは、陰性である旨の説明を受けた後、イソジン、喉の炎症を防ぐ抗生物質、総合感冒薬の処方をしてもらい、受診は終了である。
 あまりに素っ気ない…。
 
 しかし、よく考えてみると、新型インフルエンザではなくとも、40度前後の高熱が出ているというのは、当の本人にとっては異常事態である。
 医師の診断や処方に誤りはないと信じているが、できれば新型インフルエンザではない発熱者へのフォローも期待したいものだ。
 そのようなフォローにADRの手法が役に立つのかもしれないと、ふと思った。
 (いまだ微熱状態が続いているので、的外れかもしれないが・・・)

金融法学会第26回大会参加報告

 平成21年10月10日(土)10時から17時まで、東京大学法文1号館25番教室において、金融法学会第26回大会が開催され、民法(債権法)改正が主たるテーマとして取り上げられたので、聴講した。以下、当日の模様を報告する。

【午前の部】
 10時から13時10分まで、「債権法改正と金融取引」というテーマで、シンポジウムが開催された。司会を近畿大学教授の安永正昭氏、神戸大学教授の山田誠一氏が務めた。
 シンポジウムは、次の6つのテーマの報告を中心に行われた。なお、報告の詳細は、「金融法務事情1874号」に掲載されている。

①「金融取引における債権法改正および弁済」報告者 神戸大学教授 山田誠一氏
 債権法改正を、「預金」、「貸付」、「為替」、「約款」、「セキュリタイゼーション(証券化)」、「プロジェクト・ファイナンス」などの金融取引実務の視点から概観がなされた。
 また、とくに金融実務に影響を及ぼす改正として、「弁済」が取り上げられた。中でも「債権の準占有者への弁済」について、受領する者の要件、弁済をする者の主観的要件、債権者の帰責性を要件とするか等について検討すべきであるとの提案がなされ、「弁済による代位」について、誰が弁済による代位をすることができるか、代位前は原債権を被担保債権としていた担保権の処遇(担保権の被担保債権を原債権とするか、求償権とするか)について検討すべきであるとの提案がなされた。

②「相殺」報告者 三井住友銀行法務部長 三上徹氏
 差押えと相殺の抗弁につき、無制限説と制限説等の見解があるが、債権法改正においては、加藤グループは法定相殺について制限説をとり、内田グループは、無制限説に近い立場であると理解している。三上氏は、金融実務から、さまざまな場合分けを検討した結果、無制限説を維持すべきではないかとの意見を述べられた。
 また、「受動債権の譲渡・転付命令と相殺の抗弁」について、金融実務の立場から、いくつかの問題点を提示された。とくに、第三者による相殺については、金融機関に及ぼす影響が極めて大きく、濫用的な利用も想定され得るところであるので、何らかの対策が必要であるとのことであった。
 
③「保証」報告者 三菱東京UFJ銀行法務室長 中原利明氏
 「保証人の解約権」、「元本確定前の保証人に対する保証履行請求」、「元本確定前の被保証債権の譲渡と保証債務の随伴性」について、金融実務の立場から、具体的提案がなされた。すなわち、)保証人は、解約権を行使することはできない、)債権者は、根保証契約の元本確定前であっても、保証債権を行使することができる、)根保証契約の主たる債権が、元本確定前に譲渡された場合には、保証の効力が及ばない、というものである。
 また、典型契約のひとつに、金融実務上多用されている「損害担保契約」を規定することが提案された。
 なお、提案の「適時執行義務」、「連帯保証における請求の絶対効の制限」については、実務的見地から批判を述べられた。

④「決済という問題と債権法改正」報告者 早稲田大学教授 山野目章夫氏
 まず、「決済」について債権法改正について検討する意義について述べられ、集中決済方式としての新しい概念である「一人計算」についての解説がなされた。現在でも類似のスキームによる集中決済方式はなされているところであるが、いくつかの理論上の問題点(債務引受に法的瑕疵があった場合において債権取得が被る法的影響が判然としない、新しく取得される債権の発生原因の説明には疑義がある)があるので、債権法改正にあたり「一人計算」は提案されたとのことである。
また、「流動性預金口座の諸問題」として、預金債権の時効や振込についての提案内容の解説がなされた。

⑤「金融取引から見た債権譲渡法制のあり方」報告者 弁護士 井上聡氏
 「将来債権譲渡」については、現行法の解釈通り、それが譲渡されたものであるか否かを認識できる程度に特定できれば有効と認めるべきでるとの意見が述べられた。また、将来債権を対価を得て売却した者は、買主に対し、別段の合意がない限り、正当な理由なしに当該将来債権の発生を阻害しない義務を負うと解すべきであるとも述べられた。
 「債権譲渡禁止特約」については、譲渡禁止特約付債権であってもその譲渡は有効であり、ただ、債務者は譲渡禁止特約をもって譲受人に対抗できるという原則を示した提案の内容について一応賛成できると述べられた。
 「債権譲渡における対抗要件」については、金銭債権の譲渡に係る第三者対抗要件を債権譲渡登記に一元化することは、金銭債権の譲渡に関する公示性を高めるものと評価をすることができるとのことであるが、金銭債権と非金銭債権の取扱いの相違などに関し、若干の意見も述べられた。
 「債務引受」に関する提案については、おおむね妥当なものと評価するとのことであった。

⑥「詐害行為取消権」報告者 一橋大学教授 沖野眞巳氏
 現行の詐害行為取消権には、ルールの見通しの悪さ、事実上の優先弁済権、否認権との不整合などの問題があり、改正の必要があると考えた。
 そのため、提案にあたり、要件・効果について明確さの確保、否認権との関係への配慮、詐害行為取消権の法的性質や効果について重点的に検討をしたとのことであった。
 具体的には、明文をもって、取消債権者に対し、一定期間経過後、相殺を認めた。また、受益者の反対給付については優先的弁済権を付与した。訴訟手続として提案では、債務者をも被告とすることとした。

【午後の部】
14時30分から17時まで、質疑応答を中心としたシンポジウムが行われた。質疑応答は、質問内容に該当する午前の部の報告者がそれに対する回答を行う形式で質疑応答は行われた。会場からの質問は30通以上に及んだ。


【参加をおえて】
 金融法学会において、民法改正を検討するということは、金融実務の現場、すなわち、金融会社の立場から、実務に影響をおよぼすであろう論点を抽出し、その論点に対する分析をし、その分析結果に基づき意見表明をするということである。
 一方、司法書士は民法改正に意見を述べるにあたり、司法書士を利用する市民の立場にたつことが必要であると考えられる。
 しかしながら、司法書士の関与する射程が広範であることもあり、金融法学界における意見表明のように偏った意見になることは認められまい。
まずは、わたしたち司法書士は、どのような視点でアプローチしていくかにつき、早急に議論を重ねるべきであると感じた次第である。


民法改正に関する日司連フォーラム準備委員会開催

 平成21年10月8日は、日司連において、民法改正に関する日司連フォーラム準備委員会が開催されたので、委員として参加した。

 今回の議題は、10月25日に開催される民法改正国民シンポジウムで発表する意見の検討である。
 3時間に亘り、詳細な論点につき、ディスカッションを重ねた。
主な論点は次のとおりである。
1、わかりやすい民法
2、消費者法の取り込み
3、未成年
4、法人
5、意思無能力
6、錯誤
7、不実表示
8、時効
9、不動産登記
10、相隣関係
11、農用地上権
12、人役権
13、債権者代位権
14、保証
15、債権譲渡
16、契約上の地位の譲渡
17、金銭消費貸借

 発表内容の詳細は、10月25日以降に公表させていただきたい。

静岡県司法書士会法教育委員会開催

 平成21年10月7日は、静岡県司法書士会において、法教育委員会が開催されたので、委員として参加した。
 法教育の取り組み方について、委員から様々なアイディアが披露され、ディスカッションが行われた。今回の委員会によって、今後の方向性を基礎づけることができたと思う。

 なお、短期的な目標として、教材の一新、講師トレーニングの実施がある。
 これらは、10月中に目処をたてなければならない。

 静岡県司法書士会では、上記のとおり高校生法律講座を中心とした法教育に力を入れて取り組んでいる。
 興味のある教育担当者の方は、ぜひ、静岡県司法書士会事務局(054-289-3700)にまで、お問合せいただきたい。


日司連月報発行委員会開催

 平成21年10月5日は、日司連会館において、月報発行委員会が開催されたので、委員として参加した。
 平成22年以降の特集テーマが、「ロイヤリング」、「ネット社会とプライバシー」、「司法書士と家裁調停員など」、「環境問題」、「憲法」など、続々と決まっている。
 なお、お気づきの方は少ないかもしれないが、月報司法書士のアンケート謝礼が、今まで毎月1名に図書カードを贈呈であったものが、最近、毎月3名に贈呈と変更されている。倍率が一気に3倍になったので、これを機にアンケート回答にも、ご協力をいただきたい。


民法改正学際シンポジウム

 平成21年10月4日は、民法改正研究会主催で、上智大学において、「民法改正学際シンポジウム」が開催されたので受講した。
 民法改正研究会は、上智大学の加藤雅信教授が代表となり、改正試案を練り上げているところであり、今回は、商法学者・民事訴訟学者・行政法学者などが招かれ、各界から民法改正に関する意見が発表された。
 民法は、司法の一般法であり、改正がなされたときには、実務に及ぼす影響は計り知れない。そのため、このように民法学者以外の意見も取り入れることは有益であると考えられる。今回のシンポジウムの内容は次のとおり。
 「民法内部の対話」
 「民法と他法との対話」
   商法学者からみた民法改正
   民事訴訟法学者からみた民法改正
   行政法学者からみた民法改正
 「討論」

 さて、民法改正研究会では、最終試案を平成21年10月25日に開催される「民法改正国民シンポジウム」で公表するとのことである。このシンポジウムでは、司法書士からみた民法改正というテーマで、司法書士の民法改正に関する意見を発表する予定であり、日本司法書士会連合会民事法改正対策部から私が登壇する予定である(汗)。関心のある方は、ぜひご参加いただきたい。詳細は下記のとおり。

            記
 「民法改正国民シンポジウム」
  日時 10月25日(日)9時~18時30分
  場所 明治大学アカデミーコモン3階
  主催 民法改正研究会、「民法改正を考える」研究会、市民のための民法改正研究会、企業法務に役立つ民法改正研究会
  共催 明治大学法科大学院
  内容 基調講演「民法改正 国民・法曹・学会有志案(仮案)の提示のために」
      「国民各界からみた民法改正」
      「実務家からみた民法改正」
      「各種研究会からみた民法改正」
      「討論」
  参加無料・予約不要


  
 

調停センター「ふらっと」ホットライン開催

 平成21年10月3日は、静岡県司法書士会において、調停センター「ふらっと」のホットラインが開催されたので、相談員として参加した。
 このホットラインは、近所同士のトラブルなど、継続的な関係を壊したくなく、紛争当事者が話し合いによる解決を望んでいる事案について、調停センター「ふらっと」を紹介することが目的である。
 面談相談と電話相談を受け付けた。
 相談件数は6件ほどであったものの、相隣関係や会社とのトラブルなど、さまざまな相談が寄せられた。
 一定程度、裁判以外でも紛争を解決することができるという制度広報につながったものと思われる。
 

静岡県司法書士会広報委員会開催

 平成21年10月2日は、静岡県司法書士会において、広報委員会が開催されたので、委員として参加した。
 広報委員会が担当して静岡県司法書士会のホームページを10月1日にリニューアルしたばかりであるが、休む間もなく今回の委員会開催である。
 議題は以下のとおり。
1、各委員会の対外的事業、会長声明等のホームページへの掲載ルールについて
2、静岡県司法書士会の広報誌である「HO2」次号の企画について
3、静岡県司法書士会の広報媒体である「ニュースレター」の次号企画および在庫の活用について
4、外部誌である「ビジネスレポート」原稿の趣旨について再確認
5、静岡県司法書士会の蔵書検索について

 将来的には、広報委員会が会の事業の窓口として機能すべく、大幅な増員や組織変更(委員会から部会へ)も検討すべきであるとの意見も出された。
 
 司法書士会は、「広告」ではなく、「広報」を行っていくことが重要であると私は考えているので、その実現のためにも広報委員会の格上げは重要な問題である。

静岡県司法書士会消費者問題対策委員会開催

 平成21年10月1日は、静岡県司法書士会において、消費者問題対策委員会が開催されたので、担当常任理事として参加した。
 主な議題は次のとおり。
1、9月のクレサラ110番実施報告
2、12月のクレサラ110番実施計画
3、改正貸金業法完全施行等を求める会長声明起案
4、アイフル事業再生ADRへの対応
5、「消費者問題ネットワークしずおか」との連携
6、地方消費者行政活性化計画への関与
7、クレサラ再生通信の原稿校正

 内容が盛りだくさんであり、議論も白熱したので、19時から2時間開催の予定であったが、1時間ほど延長し、22時に終了した。遅くまで熱心に取り組んでくださり、消費者問題対策委員会の皆様には、感謝申し上げる。

静岡県司法書士会ホームページリニューアルのお知らせ

 本日より、静岡県司法書士会のホームページがリニューアルされた。

 私も広報委員会委員として、「労働問題」のコーナーを設けていただいた。

 静岡県司法書士会のホームページは、こちら

 リニューアル検討の際、「Q&A」の量を増やし、ホームページに知識をストックすることを目指すか、大まかな疑問だけ提示し、そのような悩みは、できるだけ早く直接司法書士へ相談できるようアクセスを重視することを目指すか、という方針について、広報委員会内で議論が紛糾していた。
 最終的には、後者を選択し、リニューアルすることとなった。

 リニューアルに関するご意見等、お気軽にお寄せいただきたい。

プロフィール

赤松 茂

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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