「民法改正に関する日司連フォーラム」準備会

 平成21年7月30日は、8月9日に開催される「民法改正に関する日司連フォーラム」準備会が開催されたので、準備委員として参加した。
 フォーラム当日は、加藤雅信教授の基調講演につづき、債権法に関するパネルディスカッション、物権法に関するパネルディスカッションを行うことになり、私は債権法パネルディスカッションのパネラーとして登壇することになった。
 債権法に関するパネルのコーディネーターは、わが師である小澤吉徳氏である。
 師弟コンビでのパネルは初めてなので今から緊張するとともに、身が引き締まる思いである。

 なお、このフォーラムでは、参加者に「判例タイムズ1281号」を持参していただくよう、呼びかけているところである。参加者は、事前に、この書籍の「日本民法典財産法改正試案」の部分に目を通してきていただきたい。

広報委員会開催

 平成21年7月29日、静岡県司法書士会において、静岡県司法書士会広報委員会が開催されたので、委員として参加した。
 既報のとおり平成21年10月1日のリニューアルを目指して、鋭意打ち合わせを重ねているところである。
 大まかな階層や原稿依頼先も決まり、後は原稿を集めるだけとなった。
 情報蓄積ではなく、「総合相談センターしずおか」へのアクセスを重視したホームページとなる予定である。
 今までにない司法書士会のホームページになる見込みなので、ご期待いただきたい。

 

役務提供型契約の取消による清算関係

 未成年者を理由に役務提供契約を取消したとしよう。
 未成年者の法定代理人が依頼人であるとする。
 この場合、契約の取消であるので、契約代金の返還を請求することになるが、既になされた役務の代償はどうすべきであろうか。
 契約した未成年者の法定代理人からみれば、契約を取消したのだから、代金を返してほしいという請求になるし、その請求は、未成年者を保護しようとした法の趣旨にも合致するように思われる。
 ただし、既に受けた役務が適正な価値のものであれば、役務を受けた分の利益は残存することになり、その清算もしなければ妥当ではないようにも思われる。現にそのような見解にたち、未成年者取消しは認めるものの、業者に代金の返還義務はないと判断した裁判例もある。(詳細は『現代消費者法3号』を参照されたい)
 しかし、そのように解すると、未成年者取消しの意義を没却してしまうことにもなりかねない。(未成年者取消をしても、代金の返還を受けられないのであるから。)
 
 役務提供型の契約取消しの清算につき、これから議論を成熟させていく必要がある。

定期建物賃貸借

定期建物賃貸借につき、引き続き考えてみる。

 派遣切りの際に利用された「就職安定資金融資制度」では、6か月分の家賃が前払いで一括支払いされるが、その際に締結される賃貸借契約の中には、6か月の定期建物賃貸借契約が利用されているものもあることは既に述べた。
この定期建物賃貸借契約を締結すると、家主となる不動産賃貸業者は、6か月経過し、再契約するためには、家賃の滞納するおそれがなくとも保証人を立てなければならないと要求しているケースもあるようだ。
 そうすると、労金から一括で支払われる前家賃の期間だけは暫定的に住まわせてあげるけど、それ以降、身寄りのない人は出てってください、といっているようなものだと評価することもできる。

 さらに、注意しなければならないのは、今回の定期借家契約では、貸主のリスクは一切生じないということである。
 本来、不動産賃貸業を営む場合、家賃の滞納リスク等は考慮して商売をするわけだが、労金からの一括で支払わる分だけ期間限定で貸すのなら、貸主は100%リスク回避ができる。
 これは、不動産賃貸業として、健全な経営といえるのだろうか。

 定期借家契約を利用して、料金一括前払いの利益をあげ、期間経過後は、滞納リスク等をすべて回避する商売はおかしくはないだろうか?

 司法書士になったばかりのころ、「『おかしいものは、おかしい』と言うことができる。そこが司法書士の魅力だ。」と尊敬する先輩から言われ、私もそうなろうと心に決めた。
 
 少なくとも私は、上記のような定期建物賃貸借契約は、おかしいと思うのだ。

全青司平成21年度第2回代表者会議

 平成21年7月25日は、仙台において、全青司役員会と代表者会議が開催されたので、幹事として参加した。
 役員会では、フロックスへの対応も協議され、今後の方向が決められた。
 なお、定期借家契約をめぐる住居の問題につき、私の所属する司法アクセス委員会から議案が提出されたが、議論が紛糾した結果、継続審議となった。
 定期借家契約とは、①契約更新がない、②正当事由制度の適用がない、など、極めて貸主側にたった借家制度であり、そのため、貸主には、事前説明文書による説明が義務付けられている。
 定期借家契約は、この説明が適切になされたうえで、契約当事者双方が対等な立場で締結されなければならない。
 しかしながら、この制度が今般、厚労省主導の「就職安定資金融資制度」における住宅供給において利用されているケースもあるのだ。
 「就職安定資金融資制度」は、派遣切りにあった方々のための制度であり、社員寮の退去を要求された方が全国の労働金庫から融資を受けて生活を立て直すことを目的とする制度である。融資の内容のひとつとして、敷金等と家賃の「6か月分」が含まれており、それらは一括して労働金庫から、貸主に支払われる。
 この「就職安定資金融資制度」適用の局面で、「6か月間」の定期借家契約が利用されているのである。
 社員寮を早急に退去しなければならない状況で、借主となるべき失業者は、定期借家契約成立の要件とも言える「対等な立場」で貸主と借家契約を締結することなどできるだろうか。
 本来であれば、通常の借家契約を締結し、更新も原則として従前と同様の内容で行われ、借家人として借地借家法の保護を受けることができるにもかかわらず、定期借家契約であるがゆえに、6か月後に、これらの保護を受けることができなくなってしまう。
 これを契約自由の原則として許容してしまってもよいのだろうか、という点が、司法アクセス委員会の問題意識のひとつである。
 派遣切りの対策は問題の先送り型で処理されており、派遣切りのピークであった2月から3月の6か月後である、この8月から9月に再度顕在化するおそれがある。
 この問題につき、司法書士として注視していく必要があると私は考えている。

民法改正に関する日司連フォーラム準備会

 平成21年7月24日は、東京において、民法改正に関するフォーラムの準備会が開催されたので、準備委員として参加した。
 このフォーラムは、既報のとおり平成21年8月9日に日司連主催で開催されるものである。
 今回は、多数債権者の債権債務関係、意思表示等について検討を加えた。
 「なぜ今、民法改正か」
 最初のうちは、よくわからなかったが、学者たちのさまざまな提案を検討していくうちに、現行法の不十分な部分がみえてきて、「やはり今こそ民法改正をすべきである」という気になってくる。
 来週、再来週もこの準備会は開催され、非常にタイトな日程で準備が進められる。
 市民のため、とくに消費者のための民法、という視点で、このまま分析を続けていきたい。

出会い系サイト利用料金の高額請求

 出会い系サイトは、近時、女性向けのものも多い。
 有名タレントや社長などを名乗り、有料メールのやりとりを継続させる手口である。
 この代金の支払い方法には、決済代行業者を利用し、クレジットカードで支払う方法とサイト運営会社の指定口座に直接振り込む方法等がある。
 決済代行業者を利用するケースでは、決済代行業者と交渉することによって、事案により、支払い拒絶や代金の返還を受けることができることがある。
 また、サイト運営会社へ直接支払ったケースであっても、サイト運営会社との交渉により、返金を受けることができることもある。サイト運営会社は、サイトの運営・宣伝に一定の投資をしており、容易に撤退することができないという事情がある場合もあるからだろう。
 したがって、出会い系サイトで数十万の請求を受けて困ったら、まずは司法書士等に相談することをすすめる。
 契約締結の事情や契約内容が公序に反するような場合は、代金の支払い拒絶・返還請求をすることになる。
 ただし、すべての出会い系サイトで交渉がスムーズにいくわけではない。
 今でも実態のしれない会社が大多数であるので、むしろ、交渉すらできないというケースの方が多いかもしれない。
 それでも、泣き寝入りする前に、できるだけのことはやっておいたほうがよいだろう。




 

アエル再生計画の履行

 先週、アエルから再生債権者に対し届出額の5%相当額が支払われた。
 追加で提出した債権届出の分は、まだのようである。

 再生計画によると、アエルは、貸付事業を継続するのではなく、事業清算に向けてソフトランディングしていくようであるので、未届けの過払債権は、早めに届け出る必要がある。

 以前アエルと取引をしていたという方は、もよりの司法書士会等にご相談していただきたい。

第2東京弁護士会仲裁センター夏季勉強会

 平成21年7月18日は、東京の霞ヶ関において、第2東京弁護士会仲裁センター夏季勉強会が開催され、国内外のADR機関がテーマだったので、認証ADR機関側として参加した。静岡県司法書士会は、認証ADR機関である「調停センターふらっと」が既に立ち上がっているからである。
 ADRを専門的知見を生かした紛争解決機関とするのか、対話促進を重視した紛争解決機関とするのかによって、様々なところが変わってくるということが、他の認証ADR機関や認証を検討中の団体の考えを聴くことによって実感できた。

 専門的知見を生かした評価型の紛争解決機関とメディエーションを重視した対話促進型の紛争解決機関のどちらが正しいということもない。
 いろいろなタイプの紛争解決機関があったほうがよいだろう。
 そして、市民がどちらのタイプの紛争解決機関を求めているかが重要なのだ。

静岡県司法書士会広報委員会、相談事業推進委員会開催

 平成21年7月16日は、17時より、静岡県司法書士会において、広報委員会が開催されたので、委員として参加した。
 今年度の広報委員会のメインテーマは、10月1日の静岡県司法書士会ホームページリニューアルである。新ホームページは、コンテンツを絞り、「市民」と「司法書士総合相談センターしずおか」とのアクセスを重視した作りこみとなる予定である。なお、「労働問題」のコンテンツも設けられることになった。

 同日、18時30分からは、同所において、相談事業推進委員会が開催されたので、担当常任理事として参加した。
 10月に実施予定の司法書士出張相談会や、11月実施予定の労働トラブル110番、12月以降実施予定の相談センターしずおか相談員向研修会、3月実施予定の賃貸トラブル110番など、多くの事業が具体的に計画されていった。

 ところで、会議が続くため、また今日も早出である。

静岡県司法書士会常任理事会から日司連民法改正フォーラム、静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会まで

 平成21年7月14日は、15時より、静岡県司法書士会において、5会合同会議(本会、公嘱、リーガル、政治連盟、青司協)が開催され、16時より常任理事会が開催されたので、常任理事として参加した。
 常任理事会では、新年度がスタートし各事業部も具体的事業計画がほぼ決まってきたので、それら事業内容の確認が主な議題である。
 相談事業部では、さっそく消費者問題対策委員会が静岡県と消費生活相談の取り組みについての協議を行っており、「連携」を重視した事業が具体化しようとしているところである。

 平成21年7月15日は、13時より、日司連において、民法改正フォーラムの打ち合わせが行なわれたので、担当委員として参加した。
 既にお知らせしたとおり民法改正フォーラムは、8月9日に日司連において開催される予定である。民法改正に向けて、司法書士の視点から、ディスカッションを行なった。この打ち合わせは、フォーラム当日まで、週に1回というハイペースで開催される。日程調整は苦しいものの、非常に充実したディスカッションであるため、今後も意欲的に取り組んでいきたい分野である。

 同日の19時からは、三島において、静岡県青年司法書士協議会主催で、同じく、民法改正の勉強会が行われたので東京からの帰り道に参加した。
 私の担当部分である「債権者代位権・詐害行為取消権」についても、発表させていただいた。
 この勉強会は、毎回20名弱が参加してくれており、静岡県東部地区の司法書士が活気づいているのを肌で感じることができる。

 今週は、会議がとても多いが、事務所をおろそかにするわけにもいかない。
 こういうときは、早出して事務処理をしている。

民法改正に関する日司連フォーラム

 平成21年8月9日(日)13時から17時まで、日司連主催で、東京の日司連ホールにおいて、「民法改正に関する日司連フォーラム」が開催される。対象は、司法書士会員のみ。

 基調講演として、「日本民法典財産法改正試案についての解説」を上智大学法科大学院教授の加藤雅信氏が行ってくださる予定である。
 その後、民法学者・司法書士を交えたパネルディスカッションが予定されている。

 民法(債権法)改正が検討されている中、幅広い視点で民法を俯瞰することは有意義である。
 
 参加希望の方は、「NSR2」か「各司法書士会」にまでお問合せいただきたい。

調停センターふらっと運営委員会

 平成21年7月10日は、静岡県司法書士会において、調停センターふらっと運営委員会が開催されたので、委員として参加した。
 「ふらっと」をどのように広報していくかということや、調停人候補者のトレーニング方法などを中心に話し合いを行った。
 「ふらっと」には、開設以来、問合せの電話が多数来ているが、調停開始にいたったものは今のところないという。
 その理由は、①広報不足、②料金体系、③業務範囲(140万円の範囲内)のいずれかであると思われるが、開設してまだ数ヶ月であるので、もう少し様子を見なければ的確な分析もできない。
 そもそも、時間をかけて、ゆっくり根付かせていく制度であるので、あせることもないだろう。

法テラス沼津「法律扶助審査」

 平成21年7月9日は、法テラス沼津において、法律扶助の審査を行なった。
法律扶助とは、一定の資力を満たさない方を対象に、裁判費用等を法テラスが一旦立替え、受託弁護士・司法書士に支払い、その後、申込者が法テラスに対し、立替えられた費用の償還を長期分割で行うというものである。立替え費用自体、低廉におさえられており、生活に困窮する申込者が利用しやすいように制度設計されている。
 その審査を弁護士・司法書士が当番で行なっているのである。
 資力要件をはじめ、様々な事項をチェックしなければならない。審査する件数も相当ある。

 ところで、東京の司法書士が法テラス沼津を紹介するケースがあったという。
どのような経緯かというと、伊豆の南部に、東京のある司法書士からのダイレクトメールが投函されており、多重債務に悩む方が電話をすると、「貴方は破産したほうが良いかもしれない。法テラス沼津の電話番号をお伝えするので、そちらに相談してはどうか」と言われ、法テラスに辿りついたというのである。
 東京のある司法書士は、法テラスを紹介するために、わざわざダイレクトメールを自費で打ったのだろうか。そうではなかろう。ある種の事件を受任する目的でダイレクトメールを打っていたのだろうと容易に想像することができる。そして、破産や再生等のように、裁判所の手続になると、管轄の問題もあるので、途端に地元に振るのだ。放置せずに地元に振るだけ、まだましともいえるが…。
 それにしても、そんな仕事の執り方、恥ずかしくないのだろうか。

 やはり広告規制が必要なのかもしれない。

 

月報発行に関する打ち合わせ

 平成21年7月8日は、東京の日司連会館において、月報発行に関する打ち合わせが行なわれたので、委員予定者として参加した。
 日司連は、2年制の任期があり、先日の総会で委員会の任期が全て満了し、その後、次期委員会が組成される。通常、7月の段階では、まだ委員が確定しているところはない。
 しかしながら、月報司法書士は、毎月発行されなければならないものであり、委員会の任期に影響されることは許されない。そのため、例外的に、委員予定者ということで、この次期でも、活動しているのである。
 月報の打ち合わせでは、既に来年1月の特集の企画に入ってきている。
 常に半年先を見据えて動いているのだ。
 
 通常の業務においても、半年先を見据えて動きたいものである。

司法書士事務所の情報管理

 私の事務所では、パソコン6台でデータを共有し、管理をしているが、昨日、突然メインパソコンが起動しなくなった。5年以上使っていたために寿命ではないかと思われる。
 一時、データが全く見れない状態になってしまったために、事務所の機能が中断してしまった。
 幸い、2日前にデータのバックアップをしてあったために、急遽バックアップのデータを共有し、2日分の作業を入力しなおし、何とか復旧することができた。
 今もソフトの入れなおしを業者の方にお願いし、インストールしてもらっているところである。

 パソコンに頼ると事務効率が大幅に上昇するが、今回のようなトラブルでは場合によっては取り返しのつかない事態にもなりかねない。
 思えば、メールチェック用に使っているノートパソコンも3ヶ月前に突然壊れてしまったことがあった。
 
 万一に備えてデータをバックアップすることの重要性が身にしみた。

全青司関東ブロック山梨研修会

 平成21年7月4日6日は、山梨において、「全青司関東ブロック山梨研修会」が開催されたので、受講生として参加した。
 基調講演として、ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社支社長の高野登氏が講演された。
サービス業としての接客姿勢等の内容であったが、司法書士業務も接客業という側面があり、応用できる部分も数多くあった。
 基調講演に、接客姿勢というテーマをとりあげた山梨県青年司法書士協議会の発想は斬新であり、とても刺激を受けた。これからの時代、このように柔軟に物事を考えていくことが重要であろう。
 次に、登記業務を中心とした実務のパネルディスカッションが展開された。
 参加者が次々と指名され、発言を求められるタイプのパネルである。これも良い意味で緊張感のあるパネルになったと思う。
 懇親会では、平成23年の「しずおか全国研修」PRも行った。
 来年3月の「みえ全国大会」で、「しずおか全国研修」のテーマが発表されるということだった。
 どのようなテーマになるのか、楽しみである。


高校生法律講座実践報告

 高校生法律講座を実施するにあたり、いつも悩むことがある。
 それは、講座のスタンスである。
 すなわち、①法的思考方法の基礎を身につけるための講義を行うか、②消費者被害や劣悪な労働実態につき事例を交えて紹介し、それら被害防止のための講義を行うか、ということである。
 「法教育」を、「法律専門家ではない一般の人々が,法や司法制度,これらの基礎になっている価値を理解し,法的なものの考え方を身に付けるための教育」(法務省法教育研究会「報告書」参照)と定義づけるのであれば、もちろん講座のスタンスは前者で臨むべきである。
 ところが、実際に高校の教諭と話をしてみると、思いのほか後者の需要が多いことに驚かされる。たびたび、「ヤミ金の怖さを教えてやってください」、「内定取消しの実態を教えてやってください」等とリクエストされるのである。これは私に限ったことではないようだ。
 このように、法教育の「理想」と「現場の需要」との間には隔たりがあるということを、まずは認めたうえで、それらの調和を図らなければ、法教育を広めていくことはできないだろう。
 そのために、できるだけ高校生に身近な題材を選び、それらのテーマにつき、高校生が自ら考えるような仕掛けをつくって、講義を進めていくわけである。
 そのようなことに試行錯誤しながら、私は今年も高校生法律講座を続けている。
            *
 平成21年7月3日は、M高校において、19時30分より21時まで、高校生法律講座を行った。テーマは、高校側の希望により「労働問題」である。昨年、F高校で同様のテーマの講座を行ったところ、好評だったようで、その噂を聞いたM高校から、講座の申込みがあった次第である。
 さて、当日、教室には20名の生徒がいた。
 定時制なので、生徒のほとんどは昼間働いている。ただし、正社員で働いているものはいなかった。
 講義では、まず、司法書士の自己紹介として、今までに取り扱った労働事件の話をしたり、近時マスコミを賑わしたマクドナルド事件の概要を紹介したりした。高校生相手の講義は、つかみが重要なので、開始時は、いつも気が抜けない。高校生は、最初の5分で、講師の本質を見抜く。つまり、聴くに値する講義か、居眠りをするか、という判断を即時にするのである。
 今回は、いきなり具体例から入ったので、生徒の興味を引くことができた。
 続いて、非正規社員の説明に入る。非正規社員とは、法律上の定義はないが、便宜、①終身・有期という契約期間、②フルタイム・パートタイムという労働時間、③直接・間接という雇用形態に分別することができる。①に対応する非正規が契約社員、②に対応する非正規がパート社員、③に対応する非正規が派遣社員ということになる。そのように、できるだけ具体的に説明して、生徒に非正規社員のイメージをもってもらう。
 そこから、派遣契約の3面構造について講義を展開する。
 なぜ派遣社員の賃金は低いのか、なぜ派遣社員は安易に解雇されてしまうのか、なぜ派遣社員には失業保険が支給されないのか、について3面構造の図を用いて説明し、図を示しながら、生徒に、それらの理由を考えてもらった。
 次は、パート社員について講義を行った。パート社員であっても、有給休暇が取れるということを具体的に説明し、パート社員と正社員が同じ仕事をしていた場合、賃金が異なるのはおかしいのではないか、ということについても考えてもらった。
 最後は、解雇と退職についての講義を行った。
 退職の場合は、通常、労働者は退職に備えて生活費や就職活動等の準備を経たうえで退職の意思表示をする。ところが、解雇の場合は、使用者からの一方的意思表示であるので、労働者には準備期間がない。だから、解雇の場合は、労基法等で労働者を保護しているのだ、ということを説明した。生徒には、法の結論だけでなく、法の趣旨を理解してもらいたい。
 また、解雇の有効性や手続要件である解雇予告手当についても紹介した。労働トラブルは、労働契約終了時に顕在化することが最も多い。そのため、生徒が万一そのような労働トラブルに巻き込まれた時のことを想定すると、解雇予告手当の紹介や未払い賃金で退職した時のために未払賃金立替払制度の紹介をはずすわけにいかない。
 ところで、講義の締めくくりでは、いつも、「労働者は働くことによって賃金を得る。それが労働者にとって労働契約を締結する目的でもある。だが、それだけだろうか。働くことによって、達成感や充実感を得るという掛け替えのない体験をすることも、きっとあるだろう。すなわち、『働く』ということは『生きる』ということなのだ。だから、安易に職を探すのは賢明ではないのだ」と言っている。実は、このメッセージが最も伝えたいことでもある。
 

平成21年度司法書士試験

 平成21年度の司法書士試験が7月5日に実施される。
 今年は、配点がかわり、記述式のウエイトが高くなるようだ。
 詳しくは、こちら

 さて、私が司法書士試験に合格したのは平成14年である。
 7年という年月が日々の相談業務に追われ、一気に過ぎ去ってしまったような気がする。

 しかしながら、司法書士試験受験の経過で学んだことは後に大きく影響している。
 とくに、法律知識はもとより、司法書士試験を通じ、集中力を養うことができたことが。

 司法書士試験は、合格レベルに達している一定の受験者層の人数よりも、実際の合格者数が明らかに少ない。そのため、当日のケアレスミス一問が合否に大きく左右する。
 すなわち、司法書士試験に合格するためには、取りこぼしのできない問題をいかに間違えないか、ということが重要であり、ミスを防止するために集中力をどこまで高めることができるかということが試されるといっても過言ではない。
 そのために、より確実に合格するためには、集中力を高めるトレーニングがかかせないものとなる。
 受験時代の、このトレーニングは、後々大いに役立つことになった。

 さて、今年は、どのような合格者が出てくるだろうか。
 
 なお、来年の中央新人研修では、いよいよ「労働」をテーマにした講義が設けられる予定であり、 私が講義をさせていただく予定である。
 労働分野をはじめとした一般民事に一人でも多くの新人が興味をもって取り組んでいただけるような講義を行ないたい。


債権法改正の基本改正に関する勉強会

 平成21年7月1日は、三島において、静岡県青年司法書士協議会東部地区の勉強会が行われたので、会員として参加した。
 勉強会のテーマは、ひきつづき「債権法改正の基本方針」である。
 第4準備会の担当部分のうち、前回できなかった「ファイナンスリース契約」と「役務提供契約」をみたので、第2準備会の担当部分について「提案」および「提案要旨」をみた。
 第2準備会の担当部分は、今回の提案の目玉のひとつでもある「消費者のための民法」という要素が多く盛り込まれているところである。
 今まで、民法は対等当事者間を規律していたといえるが、改正案は事業者対消費者のような力関係の不均衡な当事者間をも規律しているのである。
 そのような不均衡な当事者間の規律を、一般法たる民法で定めるべきか、消費者契約法のような特別法で定めるべきか、議論のわかれるところであろう。

 今月中には、すべての準備会の担当部分を一巡し、いよいよ来月からは、「提案」の内容に深く入っていく予定である。

プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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