SFCG民事再生申立て④

 SFCGに、民事再生手続開始決定がでた。
 同時に、今後のスケジュールが示され、再生債権の届出期間が平成21年4月30日までとされた。
さて、この期間内に届出をしないと、再生債権者はもはや保護されず、たとえば過払い債権者であったら、過払い金が失権してしまうのだろうか。
 この問題につき、リーディングケースとなるクレディアの再生計画案では、民事再生法181条1項1号の趣旨を尊重し、過払い債権者は失権していないと考え、未届の過払い債権者を保護する条項が設けられている。
 再生手続は、非常にタイトな手続である。そのために、届出を遺漏する債権者も続出することが予想されるし、とくに過払い債権者は、債権調査を経なければ、自らが債権者であるのか、債務者であるのか、すら判明しないのだ。未届けの過払い債権者も失権しないという判断は妥当である。
 SFCGについても、同様に4月30日までに届出ができなかった過払い債権者であっても、失権せずに保護される、と考えるべきである。

 ただし、SFCGの場合は、債権者説明会での答弁によると、自ら引き直し計算を行うようだ。具体的に、どのような方法で行うのかは不明であるが、わずか2か月で完了するのだろうか。期間の伸長を視野に入れているのだろうか。それとも、一括の引き直し計算が極めて短時間でできるシステムを既に構築しているのだろうか。SFCGがこのような対応をとること自体、意外であるとも考えることができるため、注視していく必要がある。

 ところで、オークスの再生計画案では、未届けの過払い債権者は、認可後1年間に限り、同様の条件で保護するとの条項が設けられているようである。仮に、この再生計画案が認可されたとしたら、1年経過後に、未届けの過払い債権者が過払い請求をしようとするときは、民事再生法181条1号1号を根拠に不当利得返還請求訴訟をすることになろう。民事再生の失権効に関する極めて重要な論点である。民事再生によっては、過払い金の時的切捨てができないという法的判断を早急に確立すべきである。



 

司法書士による派遣労働者のための110番詳細報告

 さる2月15日に開催した「司法書士による派遣労働者のための110番」の詳細な報告が、千葉の司法書士T氏のご尽力により、まとめられたので、次のとおり報告する。

「司法書士による派遣労働者のための110番」結果報告

東京都新宿区四谷1-2 伊藤ビル7階
全 国 青 年 司 法 書 士 協 議 会
       会 長 稲  本  信  広
TEL 03-3359-3513 / FAX 03-3359-3527

 日頃,全国青年司法書士協議会の諸活動にご理解・ご協力を賜り誠にありがとうございます。
 当協議会では,平成21年2月15日(日)「司法書士による派遣労働者のための110番」を実施いたしました。相談件数は当日のみで79件と,大変多くの方から電話をいただきました。
 実際に派遣切りに遭われた方,生活に困窮している方々への法的アドバイスや解決手段の提示,さらには緊急な法的支援の必要がある相談者に対しては最寄りの司法書士による具体的な法的支援を通じて一定の役割を果たす事ができたものと考えております。
 具体的な相談概況は,以下の通りです。

【相談等の概況】
1 相談者の属性
  相談者の性別は男性46件,女性19件,不明14と,男性からの相談  が圧倒的に多かった。
2 相談者の居住地
  東北地方 青森県1名,宮城県1名,岩手県1名
  関東地方 東京都8名,埼玉県2名,神奈川県7名,千葉県2名,茨城県2名,長野県5名,山梨県1名,群馬県4名,栃木県1名,静岡県2名
  中部地方 愛知県6名,三重県1名,福井県1名,岐阜県1名,富山県1名
  近畿地方 大阪府3名,京都府3名,兵庫県5名,滋賀県2名
  中国地方 島根県1名
  四国地方 徳島県1名
  九州地方 福岡県5名,熊本県1名,沖縄県1名
  不  明 11名
3 相談内容
  解雇に関するものが最多で22件,続いて雇用保険に関するものが16件, 生活保護に関するものが14件でした。

【特徴的な事例】
<解雇に関するもの>
○平成21年3月まで契約期間があるが,契約を打ち切られた。(40代男性)
○平成18年より派遣社員(常用型)として働いている。3月から給料が5%引かれる。また,3ヶ月間派遣先が見つからないときは解雇すると予告されている。
○必ず更新するという条件で,前の会社を辞め,昨年5月から派遣社員となったが,今年3月をもって契約を打ち切られる。(30代女性)

<雇用保険に関するもの>
○2年間派遣労働をしてきたが,今年3月に期間が満了する予定。給料から雇用保険料が引かれておらず,失業手当がもらえないのではないかと心配している。(30代男性)
○3年半程派遣労働をしてきたが,仕事が無くなり雇い止めにあった。雇用保険料の支払いがない。(40代女性)
○2月をもって契約期間が満了する。雇用保険料の支給要件を充たすのかどうか知りたい。(50代男性)
○派遣社員(登録型)であるが雇用保険を掛けてくれない。
○3月いっぱいで派遣切りされる。失業給付の手続きについて知りたい。

<生活保護に関するもの>
○1年前に日雇い派遣の仕事を辞め,現在は無職である。生活保護を考えたい。(50代男性)
○4ヶ月前に解雇され,ホームレス状態。生活保護の申請をしたが,役所に断られた。(50代男性)
○現在日雇い派遣の仕事をしている。仕事がないときは全くなく,生活保護を考えている。(50代)

<賃金に関するもの>
○派遣元が破産し,最後の賃金が出ない。(女性)
○派遣元からの残業代が未払い。(30代男性)
○2月分の給料が派遣元より支給されない(30代男性)

 相談事例が示すように、派遣労働を巡る相談は多岐に及びました。今後,2009年問題,労働者派遣法の改正を控え,新たな相談が増えることが予想されます。当協議会としては,今後も下記の相談窓口において,引き続き電話相談を行って参ります。
 今後ともご協力の程,よろしくお願い申し上げます。

全青司当番司法書士ホットライン
相談電話番号 03-3359-3639
月曜日から金曜日(祝祭日は除く)
午後2時から午後6時まで
生活保護ホットライン
相談電話番号 0120-052-088
月曜日から金曜日(祝祭日は除く)
午前9時から午後5時まで



(本件に関するのお問い合わせ先)
 担当 司法書士 武 田 隆 志
 電話 047-446-1546

SFCG民事再生申立て③

 平成21年2月24日、静岡県司法書士会において、相談事業部会が開催された。静岡県司法書士会の相談事業部は、相談業務推進委員会、多重債務対策委員会、消費者問題対策委員会、犯罪被害者支援委員会とで構成されている。私は、相談業務推進委員会の委員長として出席した。
 相談業務推進委員会では、今年度、10月1日の法の日に行政等の相談窓口対応職員向けに研修を行ない、それ以外にも、「労働トラブル110番」「借主のための賃貸トラブル110番」等の相談会活動を行った。一般民事を中心に幅広い分野に対応することを目指している。
 
 相談事業部会では、各委員会の事業報告と共に、SFCGの民事再生申立てへの対応が議論された。その結果、「司法書士総合相談センターしずおか」で相談を受けることに決まった。具体的には、司法書士O氏とS氏が対策を立てるとのことである。
 SFCGの手口は、一筋縄ではない場合があるので、全国での相談事例を集積し、一丸となって裁判所へ働きかけていく必要がある。そのために、静岡県司法書士会でも少しでも多くの相談の受け皿となっていきたい。

 「司法書士総合相談センターしずおか」への相談は、
 054-289-3704 
 月曜日から金曜日の午後2時から午後5時まで。
 この電話番号は司法書士直通であり、司法書士が直接対応する。


SFCG民事再生申立て②

 SFCGの民事再生申立ては、前述のとおり、利用者が信用情報に傷がつくことをおそれ、調査が難航する可能性が極めて高い。そのため、民事再生のようなDIP型の手続で倒産処理を進めるのであれば、早急に信用情報期間の登録に関する対策を立てなければならない。
 一方、そのような対策が困難であれば、裁判所が職権で調査を行うということも考えられる。そのための方法が現在模索されているといってもよいであろう。(管財人の選任や民事再生を別の手続に移行する等)

 それ以外にも、債権譲渡が大量に行われており、その債権の帰属がはっきりしないものも相当数あると思われる。

 実質として一体経営であると思われるSFCGとアセットとの関連についても、調査を深める必要がある。

 上記以外にも検討課題が大量にある。

 高利貸金業者一掃の最後の詰めを誤るわけにはいかない。
 そのためには、全国の弁護士・司法書士で一致団結して取り組む必要がある。

SFCG再生申立て

 本日、SFCGが民事再生の申立てをしたと報じられた。
 ついに来るべきものが来たか、という観である。

 グレーゾーン金利での営業を行っていたので、SFCG利用者の基本的な対応は、クレディアと異なることはない。
 迅速に利息制限法に基づく残高調査を行ない、過払いとなっていれば、再生債権者として債権届をすることになるし、残があれば、元金分割払等の申入れをすることになる。既に過払い状態であるにもかかわらず、それに気づかずに弁済を続けていると、後から取り返すことは非常に困難となる。つまり、過払い状態であったら、もう支払わない、という選択が合理的な判断となる。
 ところが、SFCGの場合は、クレディアと異なる問題がある。
 それは、利用者のほとんどが事業者であるということに起因する。
 すなわち、債権調査のために、支払いを一時中断すると、その取引状況等が信用情報機関に登録されてしまう可能性がある。その記録が、金融機関によっては、不利益情報と判断されることも予想され、そうなってしまうと、利用者は、メインバンクからの融資を断たれるというおそれも生じるからだ。
 そのために、今までも利用者の多くは、債務整理をすることを躊躇ってきたという経緯がある。
 この「信用情報」の問題をクリアしなければ、事業者ローン被害の本質的な解決には結びつかないのだ。 

 債務整理する前の約定残高を抱えたまま事業を続けているより、債務整理して支払額を圧縮したほうが事業の信用力も高まるという考え方もできると思うのだが…
 金融機関の柔軟な対応にも期待したい。

書籍紹介『悪質商法被害救済の実務』

 民事法研究会より『悪質商法被害救済の実務』が出版された。
 著者は、いずれも消費者問題に対する第一人者である。
 割販法・特商法の改正に完全対応しており、今後の実務の指針となることは間違いない。
 かなり、レアな事案にまで、踏み込んで検討しているようであり、事例研究の書籍としても興味深いものとなろう。

 残念ながら、今回の書籍には司法書士Y氏の挿絵の掲載はないようである。

 詳細は、こちら

 

静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会

 平成21年2月19日の夜は、静岡県青年司法書士協議会東部地区勉強会があった。ほぼ毎月1回行われている。
 今回のテーマは、「実務における困難事例」である。
 登記事件、家事事件、裁判事件等、幅広い分野の困難事例がディスカッションされた。
 私からは、近時連続する「貸金業者の倒産事件の比較」を行った。
 クレディア、アエル、オークスのそれぞれの再生計画案を比較すると、「ある傾向」が見えてくるし、自ずと執るべき対策も浮かび上がってくる。弁済率の高低だけで論ずることはできないのだ。
 「依頼人の利益」と「総債権者の利益」という2つの視点で分析をする必要がある。
 これに関しての詳細は、また後日…

 他にも、伊豆市の司法書士Y氏の家事事件など、興味深い報告が多かった。
 (なお、同氏は「司法書士の生き方」(「生き様」?)という書籍を年内中に加除出版から出す予定だとのことである。詳細が判明次第、改めて紹介させていただく。)
 

オンライン申請について考える

 登記業務は、近年、オンラインによる申請が可能となっている。
 法改正に加え、実際の申請業務も、スムーズに行われるほどの事例の集積が図られてきている。

 登記の種類によっては、オンライン申請であれば、登録免許税の減税も受けることができるので、依頼人のために、これを利用しない手はない。

 また、依頼人側のメリットのほかにも、司法書士には、オンライン登記を利用する重大なインセンティブがある。
 「順位の確保」である。

 以前は、①決済場所、②司法書士事務所、③管轄法務局という3段階を経て、登記申請をしており、決済場所が遠い、管轄法務局が遠い等のときは、司法書士にとって回避できないリスクがあった。(決済の宣言をしたにもかかわらず、登記申請が遅くなり、その間に当該物件に他の登記申請がなされてしまった場合等)
 ところが、オンライン申請を行なうことによって、①決済場所、②司法書士事務所でオンライン申請という2段階で登記申請を行うことが可能となり、司法書士のリスクは相当軽減されたといえる。
 そのため、当事務所では、すべての登記申請をオンラインで申請している。

 また、近時目覚しいインフラの整備により、ノートパソコンと無線通信とハンディスキャナーを利用することによって、わざわざ司法書士事務所にまで戻る前に、決済場所で直ちに申請を行うことも可能である。すなわち、①決済場所の段階での申請である。
 決済の宣言後、直ちにオンライン申請を行うことが既にできるのだ。
 (正確には、決済の宣言後、着金確認をしてからの申請となろう。)

 いかに安全に、安い費用(税金)で、正確な登記申請を行うことができるかという視点をもち、業務に取り組むことは、リーガルサービサーでもある、わたしたち司法書士にとって、極めて重要な課題である。

愛知派遣切り抗議集会

 下記のとおり、派遣切りに関する集会が開催される。
製造業のメッカともいえる愛知での開催だ。派遣法の抜本的改正を求めるために世論を高める必要がある。ご都合のつく方は、参加を検討してみていただきたい。当日の飛び込み参加も可能とのことである。

愛知派遣切り抗議大集会

 日   時  2009年2月22日(日)午後1時~4時
 場   所  テレピアホール  ※ 入場無料(会場カンパ歓迎)
      (地下鉄栄駅4番出口徒歩7分)
   名古屋市東区東桜1-14-27  TEL :052-954-1165
   http://www.tokai-tv.com/event/telepia/index.html 
 集会の趣旨
 「派遣切り」・雇い止めにより、数万人規模の非正規労働者が仕事と住まいを奪われ、帰る家がない大半の非正規労働者がホームレス状態に追い込まれようとしています。雇用促進住宅等への入居が進められていますが、受け皿としては圧倒的に不足しています。
 「派遣切り」・雇い止めなどにより職を失う非正規労働者は、現段階で、2009年3月末までに12万人を超え、愛知は全国の都道府県で最多の2万人を超えると言われています。その多数を占めるのが、愛知県に本拠を置く自動車関連企業、電気関連企業などの製造業大企業です。3月末には、大量の「派遣切り」・雇い止めにより失業者がさらに増大することが予想されており、わたしたちは事態を黙認しているわけにはいきません。
 本集会は、このような現状に歯止めをかけるために、解雇・雇い止めを行っている大企業に対して雇用責任、経営責任を追及するとともに、有効な対策をとらない政府、行政に対して緊急対策を求める集会とすることを考えています。昨今の危機的状況に鑑み、是非ともご参加の程、お願い申し上げます。

一.集会内容
1.「派遣切り」・雇い止め当事者の訴え
2.労働者派遣法に対する緊急対策について
3.年越し派遣村実行委員会(湯浅誠氏)、名古屋生活保障支援実行委員会(藤井克彦氏)等からの報告、緊急要請
4.緊急行動提言ー「派遣切り」・雇い止めに対してどう闘うか
5.大企業、政府・行政に対する緊急要請

二.集会後、名駅ミッドランドスクエアまでデモ(2.8km)

 主   催  愛知派遣切り抗議大集会実行委員会
TEL:052-916-5080
          実行委員長 宇都宮健児(反貧困ネットワーク代表)
 後   援  東海労働弁護団、
東海生活保護利用支援ネットワークほか

 

日司連市民公開講座『対話のチカラ』シンポジウム打ち合わせ

 以前から案内をしている日司連市民公開講座「対話のチカラ~納得・解決・話し合い~」の開催が迫ってきた。
 そのため、平成21年2月16日は、実行委員長のN氏とパネルのコーディネータのN氏とともに、会場のしずぎんホール「ユーフォニア」で、当日の打ち合わせを行った。
 会場の設備は整っており、立地条件もよい。
 具体的な段取りを確認し、後は当日を迎えるばかりとなった。

 申込みも既に相当数きているとのことである。
 残り座席も少なくなってきているようであるので、参加を希望される方は、お早めに。
 申込みは、こちら

 また、当日、両N氏らにより、今回のシンポのテーマでもある「調停センターふらっと」の記者会見も行われた。
 「調停センターふらっと」とは、近所でのトラブルや職場内でのトラブルなど、相手方を訴えるには通常躊躇するような案件を、じっくり話し合い、お互いのしこりを残したくない場合などに適した紛争処理機関である。
 既に法務省の認証も下りているので、「調停センターふらっと」への相談を希望する方は、
054-282-8741まで、問合せを。

司法書士による派遣労働者のための110番開催

 平成21年2月15日(日)10時から16時まで、派遣労働に関する相談を全国から受け付けた。
 フリーダイヤルということもあり、80件以上の相談が寄せられ、6本の電話回線は常に埋まり続けていた。
 相談の内容は、登録型派遣社員からの相談が多く、雇用保険に加入しておらず、失業保険の給付すら受けることができないというものも相当数あった。
 登録型の派遣は派遣法改正で見直しが議論されているが、この登録型は不安定雇用を生み出す制度となっており、撤廃が必要であることが、この相談会に寄せられた相談内容からも裏づけされたといえる。
 他にも、2重雇用と請負をミックスさせたと思われる複雑な雇用形態や、退職の際に派遣元が離職票を交付しない等の切実な相談も多数寄せられた。

 詳細な相談内容の分析は、おって報告する。
 本日は速報まで。

第45回日栄・商工ファンド対策全国弁護団IN川崎

 平成21年2月14日(土)は、川崎で行われた日栄・商工ファンド対策全国弁護団の会議に参加した。
 SFCG・ロプロをめぐる動向は、めまぐるしいものがあり、自分の把握している情報が最新のものであるのか、常にチェックしておかなければならない。
 また、本年1月22日の最高裁判決についての解釈をめぐる議論もなされ、非常に有益な会議であった。
 とくに冒頭、木村団長の「43条の主張には、もはや紛争性はない」との主張には深く頷いた。

 今までの貸付金すべてに、みなし弁済が成立しないということは、どうなるのか・・・
 専門家が関与しないと引き直し計算をしないというのは、おかしくないのか。
 引き直し計算を要求すると、「契約見直し」情報が登録されるのは、おかしくないのか。

 …高金利を巡る諸問題は、いよいよ最終ステージに突入しようとしている。

アエル再生計画案について考える

 アエル再生事件に関し、議決票が送付されているようだ。
 3月18日に開催される債権者集会で決がとられる。

 依頼人から、アエル再生計画案に、賛成したほうがよいのか、反対したほうがよいのか、との相談を既に何件もされているが、依頼人の立場から言うと、「再生計画案が認可されれば5%の弁済を受けることができるので、弁済額のみをみた場合、賛成したほうが利益となる」という助言を行うことになる。
 そのような助言を行った後、私はいつも「ただし・・・」と続ける。
 「アエルの再生計画案は、『貸付債権の回収を継続』することにより事業再生を目指すとのことであるが(再生計画案4頁)、既存債権の回収を行うだけでは先細りになるのは目に見えており、これは事業の継続を前提とした再建とはいえない。債権回収後アエルはどうなってしまうのだろう…。再生計画案の中で形式的に潜在過払債権者が保護されていたとしても、アエルの継続的な存続が前提とされていない限り、実質的には保護されたとはいえないのではないか。そうであれば、破産手続で、管財人による全件引き直しを求め、すべての過払債権者に対し、何らかの形で通知をし、手続参加のための機会を保障すべきではないか。この再生計画案に賛成するということは、そのような潜在過払債権者の機会の保障を奪いかねない、と私は考えている。」と…
 これは、個人的意見であり、依頼人は自らの自由意志で議決権の行使を行っている。
 私が権利行使をするわけではないので、言いたいことをいえるのかもしれない。
      *
 私が司法書士となったときに誓ったことがある。
 「おかしいものは、誰が何と言っても、おかしい。」と言えるようになろう、と。
 司法書士である以上、そう言うべきであるし、言わなければならない。
 だから、私はおかしいと思ったことを言い続けるのだ。

司法書士による派遣労働者のための110番開催(再掲)

いよいよ開催である。

 全国青年司法書士協議会では、派遣労働者の地位が極めて不安定である現状に鑑み、次のとおり、派遣労働者のための相談会を開催する。当日は、全国からの電話相談を受け付ける。私も相談員として参加する。緊急を要する事案では行政等の手続を利用し、派遣労働者の生活の安定を図ることが最優先事項である。その後に、派遣労働者の意向により、請求が可能である事案については、派遣元・派遣先に対する法的請求等を行っていく。雇用調整のために、派遣社員から切り捨てていくという労働市場には構造的問題がある。その問題提起も、今回の相談会の狙いだ。

  
司法書士による派遣労働者のための110番
       実 施 要 領

開  催  日  平成21年2月15日(日)
電話番号 0120-285-289(通話料無料)
開 催 時 間  午前10時00分~午後4時00分


相 談 内 容
■労働相談全般
・派遣元への解雇予告手当請求や損害賠償請求、解雇無効の主張の可否
・派遣先への雇用継続の主張の可否
等派遣問題を中心とする労働問題全般の相談を受け、法的主張の必要があれば紹介先の司法書士が代理人となり(※)、訴えの提起や裁判外交渉を行う。
■住居問題
 派遣元からの社員寮の退去勧告等住居の問題は切り離せないため、住居問題の相談にも応じる。必要があれば、紹介先の司法書士が代理人として、派遣元に対する社員寮の居住継続や家賃相当額の補償請求を求めたり、さらには未払い賃料の減額や明渡期間の猶予を求めていく。
■就職安定資金融資制度の紹介
 社員寮の退去を余儀なくされた相談者に対しては、就職安定資金融資制度を紹介し、手続きについて説明する。派遣元が労働契約終了を証する書面の交付に応じないなど非協力的な場合は、派遣元に対する法的主張を行う。
■借金問題
 消費者金融等から借金がある相談者に対しては借金問題の相談に応じ、必要があれば、紹介先の司法書士が債務整理にあたる。
■生活保護制度の紹介、申請同行
 明日の生活さえままならない相談者に対しては生活保護制度を紹介し、必要があれば、紹介先の司法書士が役所に申請同行する。
■その他
 法律扶助制度の紹介等

※ 相談者の代理人となることができる司法書士は、法務大臣の認定を受けた司法書士に限られ、また、金額が140万円以下の事件に限られ、司法書士が代理人となることができない事件に関しては、書類作成を通じて法的支援を行う。




悪質商法

 ある役務提供契約の代金返還に関する相談を受けた。
 クーリングオフの適用がなく、消費者契約法等の取消事由もないようである。
 ところが、契約締結後、一度も役務の提供を受けていないので、債務不履行に基づく契約解除の主張が可能であると考えることもできた事案であった。
 交渉の筋道がたったので、役務提供会社に電話をすると・・・

 既に不通であった。

 先月までは、電話が繋がっていたようである。
 情報が少ないので、本件における役務提供会社が直ちに悪質商法を行う会社であるとまでは断言できないが、このように交渉すらできない事案というのは少なくない。
 このようなときに、もう少し早く相談に来てくれていれば・・・と思わずにいられない。
 一定期間経過後行方をくらますことを前提に商売をくりかえしている確信犯は別であるが、資金繰りに窮し、ぎりぎりまで経営しながら力尽きる会社も案外多く、そのような場合は、力尽きる前に迅速に交渉することによって回収を図ることもできるからだ。


 以前、私の事務所と別の事務所とが、悪質商法の被害者を依頼者とし、同じ悪質商法の会社にクーリングオフの代金返還請求を行なったことがある。
 結果、私の依頼者だけ、被害回復ができた。
 私の事務所の依頼者が相談に見えたのが、1か月早かったからである。  
 どの段階で相談に見えるかによって、事件解決の難易度が格段に変わる。困ったら、ひとりで悩まずに、すぐに専門家に相談していただきたい。

無料合同相談会

 2月7日は、静岡県士業種連絡交流会主催による「無料合同相談会」が開催され、私は、東部地区の相談員として参加した。東部地区は、ブケ東海で行われ、開催時間は午前10時から午後3時までであった。この相談会は、司法書士のほかに、弁護士・不動産鑑定士・土地家屋調査士・社会保険労務士・税理士・公認会計士等の士業が一同に介し、同時に無料相談を行うものである。
 さまざまな問題をワンストップで解決するための試みとして注目できる。
 当日は、司法書士には、土地や相続の問題など、多くの相談が寄せられた。
 


月報発行委員会(平成21年2月開催)

 本日は、午前中、県民生活相談の司法書士相談の当番であり、終了後直ちに東京へ。
 日司連で行われる月報発行委員会に参加するためである。リニューアルの評判が気になるところであったが、アンケート結果は、おおむね好評であった。
 月報司法書士4月号からは、好評であった本山教授の家族法に関する連載が再開するので、ご期待いただきたい。

クレディア再生事件~認可後の実務~

 平成20年12月中旬までに、クレディアは再生計画に従い、届出のされた再生債権の一括弁済をし、クレディア再生事件は終了したかのようにみえるが、クレディアには過払債権者からの新たな請求が今も続いている。
 これは、クレディアが債権届出期限までに届出がなされない潜在的過払利息返還請求権につき、過払債権者からの請求があれば、債権届出が行われた再生債権と同様の条件で弁済するという条項を再生計画に設けたことによるものであり、同条項はクレディア利用者を保護するものであるとの評価ができるものの、同条項に基づく権利実現に際し、実務上の新たな問題も生じている。

 過払金に対する減額要求である。

 再生計画が認可されるや否や過払金の減額を要求するという企業姿勢に眉を顰めるということも当然あるが、そればかりでなく、過払金の減額要求をしなければならないほど経営状態が悪いのであれば、やはりクレディアは再生すべき会社ではなかったのではないかとの思いも頭をよぎる。
 一方、利限残のある債権につき、クレディアは、少なくとも本稿執筆時までは分割払いに応じるという姿勢を見せておらず、一括払いができるもののほかは、一切交渉がまとまらない状態である。
 このように再生計画案認可後のクレディアに対する任意整理は、過払金請求・利限残のある分割払い交渉のいずれも難航する現状にあるが、本稿では、過払金請求に絞って問題提起することとする。
 さて、債権届出を行っていない過払債権者が新たに請求する際は、今のところ平成19年9月21日(以下「再生手続開始決定日」という)の前後に分けて考える必要がある。以下、それぞれの場合に分けて整理する。

① 再生手続開始決定日前の過払債権
 債権届出がなされなかった再生債権は原則として失権するが(民再178条)、潜在過払利息返還請求権については、過払債権者の責めに帰することができない事由が生じているものと考えられ、民事再生法181条1項1号の趣旨を尊重して失権せず、過払債権者からの請求があれば再生債権額の確定を行った上で、債権届出を行った債権と同じ条件にて弁済を行うとの扱いが再生計画において定められているところである。そのため、潜在過払利息返還請求権も、再生手続開始決定日前の部分については、再生計画で定められたカット率に従うことになるものと考えられる。
 また、再生計画には、全再生債権に対する弁済義務について、かざかファイナンス及びフロックスは重畳的に債務引受を行うとの条項も設けられており、潜在過払利息返還請求は届出の行われた再生債権と同条件で弁済すると定められているのだから、潜在過払利息返還請求についても、当然に同条項は適用されるものと考えられる。
 したがって、潜在過払債権者は、再生手続開始決定日前に生じた部分については再生手続で定められたカット率に従った額を、クレディアのほか、ネオラインキャピタル(旧かざかファイナンス)及びフロックスをも合わせて請求先とすることができる。

② 再生手続開始決定日以後の過払債権
 再生手続開始決定日以後に生じた過払債権は共益債権になるとの扱いである(民再119条6号)。共益債権は再生計画の弁済条件の変更の適用は受けないため、全額の返還請求ができる。理論上は、再生手続開始決定日以後、フロックスが事業を承継した平成20年10月1日まではクレディアに対し、平成20年10月1日以降はフロックスに対し、返還請求を行うことになると考えられるが、実務上はフロックスが返還請求の窓口となっているようである。内部で債務承継に関する定めがあるのかもしれない。
 フロックス(クレディア)は、この②の部分につき大幅な減額を要求しているのである。(5割程度を提示してくることが多いようである。)
 しかしながら、再生債権の大幅なカットという大きな犠牲を代償にして、クレディアは再建したのであるから、クレディアは共益債権について法律上根拠のない減額を要求すべきではないし、わたしたちも安易な減額に応じることがあってはならない。根拠のない減額要求については、①の部分を含め、不当利得返還請求訴訟等の法的手続をとるべきであろう。
 クレディア再生事件は、まだ終わっていない。クレディアの実務対応を注視していく必要がある。


司法書士業務における「囚人のジレンマ」

 「囚人のジレンマ」という命題がある。
 2人の当事者が、それぞれ、「協調」と「裏切り」という戦略の選択肢をもつ場合、
 一方が「裏切り」、もう一方が「協調」という戦略を選択したときが、裏切った当事者の利得がもっとも高い。このとき、「協調」の戦略を選択した当事者の利得は、すべての戦略の中でもっとも低い。
 双方が「協調」という戦略を選択すると、双方とも一定の利得はあるが、次善の利得となる。
 双方が「裏切り」という戦略を選択すると、双方ともさらに利得は低くなるが、一方が「裏切り」、自らが「協調」したときよりは、まだましな利得となる。
 このような事案のときに、2人の当事者が、それぞれ協議することができず、同時に意思表示を行うとしたら、どのような戦略を選択するのがよいか、という命題である。
 一方が裏切れば、裏切った方は、もっとも利得が高いのであるから、相手の出方を合理的に予想するときには、相手方が裏切るだろうとの予想をたてるほかない。
 相手方も同様に考えるだろうから、この場合、双方「裏切り」という戦略を選択することになる。
 その結果、次善の策である双方「協調」という戦略は選択されない。
 自己の利益を追求するあまり「裏切り」という戦略を選択すると、2当事者間の利得の総和が減少してしまうのである。(双方「協調」より、双方「裏切り」の方が利得の総和は少ない。)

 このような場合は、実は、司法書士業務においても散見される。
 同一の振り込め詐欺の被害者AとBが、それぞれ別の司法書士に相談した場合を想定してもらいたい。
 このとき口座には50万円ロックされていたが、Aが50万円、Bも50万円を同日に振り込んでいたと仮定しよう。
 被害者が「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)」に基づき、被害回復分配金請求をすれば、按分で被害額が分配される。手続が簡便であるので、おそらく、司法書士の費用も相談料だけで足りるだろう。これを「協調」戦略とする。
 一方、被害者が裁判を起こし、ロックされた口座を差し押さえた場合、「振り込め詐欺救済法」の手続は開始しないから(振り込め詐欺防止法4条2項)、執行裁判所で配当される。競合すれば按分配当であるし、競合していなければ全額の配当を受けることができる。ただし、司法書士の訴訟費用・差押え費用は、相当額要するだろう。これを「裏切り」戦略とする。
 この場合、一方「裏切り」・一方「協調」であれば、「裏切り」の戦略を選択した方が相当額の訴訟費用を要するものの全額回収を図ることができる。「協調」の戦略を選択した方は全く配当を得ることはできない。
 双方「協調」であれば、訴訟費用はかからず、按分で分配される。
 双方「裏切り」であれば、訴訟費用はかかるし、配当も按分されてしまう。
 この場合も、双方「協調」よりも、双方「裏切り」の方が、訴訟費用がかかる分、当事者の利得は少なくなる。にもかかわらず、相手方の「裏切り」をおそれ、自らも「裏切り」を選択することになってしまうのである。
 つまり、振り込め詐欺救済法に基づく被害救済と、強制執行に基づく被害救済を、ゲーム理論として分析すると、合理的な当事者は強制執行を選択するという結論になる。
 あくまで、経済的な合理人を前提とし、当事者間で情報交流がないという事案のモデルであるので、実際にこのようなことを考えて、訴訟行為の意思決定をすることは少ないかもしれないが。

 ただし、少なくともゲーム理論は、経済的に当事者の満足を得ていただくためには興味深い理論であり、わたしたち司法書士実務とも密接に影響しうるものといえよう。

「司法書士のための法律相談NAVI」(第一法規)執筆

 千葉の司法書士のI氏より連絡があり、第一法規から出版されている「司法書士のための法律相談NAVI」の改訂があり、雇用問題についても大幅に加筆が予定されているとのことで、その原稿の執筆依頼を受けた。この書籍は、加除式であり、毎年、アプトゥデートの内容を更新できるものとなっている。
 雇用問題の部分は、事例を2つ追加し、既存部分については最新法令等に対応させ、実務上の視点を盛り込むことになっている。
 今年の夏には追録版を送付するとのことであるので、タイトな日程で原稿を書いていかなければならない。
 なお、今回の追録版から、このブログでも何回か登場した司法書士のY氏も、消費者問題の部分の完全書き下ろしを行うようだ。
 内容は主に司法書士試験合格者や新規開業者向けの書籍であるとのことであるが、もちろんベテランの司法書士にとっても有意義なものでなければならない。
 しばらくは、この書籍の執筆に専念したいのだが、はたして・・・

 書籍の案内は、こちら

全青司カンジュニ「労働問題勉強会合宿」

 1月31日は、14時30分に埼玉での講義をおえ、その足で神戸へ。
全青司カンジュニの主催する「労働問題勉強会合宿」に参加するためである。着いたのが19時前であった。
 既に、全青司カンジュニの委員らは、労働問題のなかでも、派遣切り等に対する法的主張の検討をおえ、次年度の委員会事業の打ち合わせ等を行っていた。
 派遣切り等に対しては、緊急を要する事案については、行政等の制度に頼らざるを得ない部分もあるが、わたしたち委員会としては、事案に応じて、派遣元を、場合によっては派遣先を訴え、安易な派遣切りの抑制を図るべきであると考えている。
 そのために、2月1日は、2月15日に行なう「司法書士による派遣社員のための110番」の開催に向けた段取りの確認を行った。
 110番当日は、東京に集まって、全青司委員らが全国からの電話相談にあたり、継続相談が必要な事案については、各地の司法書士にひきつぐというスキームである。相談者の相談に応じるため研修を重ねるのは勿論、電話担当・各地の担当との連携をいかに円滑に図るかという点も重要な課題である。
 今回の成果如何によって、今後、同様のスキームによる相談会を開催できるかどうかにもかかわってくる。司法書士の皆さん!相談会開催に関するご意見等があれば、ぜひコメントをお願いしたい。


「借主のための賃貸トラブル」に関する研修会

 1月31日は、埼玉県浦和市で、埼玉の青司協定時総会の事前研修として、「借主のための賃貸トラブル」に関する研修の講師をした。時間は13時30分から14時30分までである。20名以上の埼玉の司法書士の皆さんが参加してくださった。総会の前であるにもかかわらず、ありがたいことである。

 司法書士が、借主のための賃貸トラブルに取り組む意義は次のとおりである。
① 広義の貧困対策として、住居喪失という究極の生活破壊の局面に司法書士が関与することによ  り、借主のダメージを最小限におさえる。
② 「1日の家賃滞納で鍵の取り換えを行う」という不法行為を容認するかのような賃貸借契約におけ  る不当条項を監視する。
③ 司法書士の関与事件類型の偏在の解消および被告事件の関与率の増加を図る。

 上記の意義を理解してもらうために、いくつかの事例を基にして講義を行った。

 昨年度から賃貸トラブルに関する相談会を全国に呼び掛けており、労働トラブルに関する相談会は4年前から呼び掛けているところである。
 別々の相談会として、事業を行ってきたものの、昨今の社会情勢の中で「派遣切り」等に代表されるように、賃貸トラブルと労働トラブルは、究極のところで重なり合いを見せており、相談内容も複合的なものとなってきている。
 別の相談会として行うべきか、一つの相談会として行うべきか・・・

 さて、埼玉の研修講師をおえ、その足で、全青司カンジュニ主催の労働分野勉強合宿が行われている神戸へ向かう。その内容は、この次。


プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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