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静岡県司法書士会の広報

私の所属する静岡県司法書士会では、広報誌に話題になりそうな趣味をもつ会員を掲載しているのだが、最新号で私が載っているので、ここで紹介しておく。
この広報誌は、関係団体等に配布されているのだが、インターネットで電子データを無償配布もしており、広く一般向けに司法書士の制度広報を行っている。

【静岡県司法書士会のHP】
http://tukasanet.jp/


【広報誌の電子版】
http://tukasanet.heteml.net/wp/wp-content/themes/tsukasanet/ho2/ho2vol117/index.html

記事の中身では、ランニング写真だけでなく、体重が100キロあった頃の写真も掲載されている。
ランニングが及ぼす健康への好影響という趣旨だろうか。

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最高裁判決を忘れない

 今回の最高裁判決は裁判外の和解に関するものであるため、裁判業務をさほどしない司法書士の中には、関心が高くない方もいるかもしれない。
 しかしながら、司法書士である以上、自分には関係ないでは済まされない。
 この最高裁判決は、司法書士制度の敗北というべきであるからだ。
 繰り返すが、立法当初、適法とされていた解釈が10余年の時を経て、最高裁判所によって覆されたのである。司法制度改革の狭間で、まるで、司法書士制度が揺れ動いているかのように。
 これに司法書士にとって肯定的な意味をあえて持たせるのであれば、それは、この敗北を糧にして、将来的に、司法書士制度が目覚ましい発展を遂げ、失った職域を取り戻すこと、さらには、新たな職域をつかみ取ることである。
 一朝一夕に叶うことではないだろう。
 私自身、この悔しさを胸に秘めながら司法書士として生き、そして、おそらくは無念を晴らす機会に恵まれることのないまま、死んでいくだろう。
 しかし、幾代の後には、司法書士業務のうち、司法判断を仰ぐ場面がまたやってくるはずである。その業務は、裁判業務ではなく、登記業務なのかもしれないし、企業法務、後見業務、31条業務なのかもしれない。
その時まで、司法書士が今回の敗北の悔しさを糧にして絶え間ない努力を続けており、その結果、独自の専門職能として社会から求められる存在であり続けていれば、司法書士制度にとって、きっと今回とは異なる結論が出るだろうと信じている。
 だからこそ、今回の最高裁判決を、裁判業務をする司法書士だけの問題としてはならない。
 すべての司法書士が、この敗北を後世の司法書士に伝えていかなければならないのだ。

受益額説に沿った過去の受任事件への影響

 過去に司法書士が140万円を超える債務の裁判外の和解をした業務において依頼者との委任契約および債権者との和解契約の効力が問題となるところだが、最高裁判決で判断された内容は、不法行為による損害賠償請求であり、契約の存続自体は何ら判断されていないため、直接には、いずれの契約の効力にも影響はない。
 また、不法行為による損害賠償請求をされたとしても、請求された司法書士は立法担当者の見解および日本司法書士会連合会の見解に従って業務を行っていたのであるから、不法行為の要件事実となる過失はないし、また、正当業務行為にもあたると考えられる。
 したがって、これらを理由に、司法書士は支払いを拒むことができるだろう。
 もっとも、冒頭に述べたとおり平成26年5月29日の和歌山訴訟控訴審判決で受益額説は否定されており、下級審判決とはいえ、司法書士の関心が高い判決であり、この判決の影響を受け、近年、受益額説による受任は慎重になっていた傾向があるため、最高裁判決による過去の実務への影響は、現実には、ごく限定的と思われる。

最高裁判決により素朴な疑問が生じ得る業務

最高裁判決が出た以上、その判断には従わねばならない。問題は、従うべき最高裁判決の射程である。
 前述のとおり、最高裁判決では、債権の額が140万円を超える場合には、裁判外の和解について代理できないと判断されており、この業務を受任できなくなったのは当然である。
 さらに実務的な側面から掘り下げるため、とくに検討しなければならないのは、①「債権の額」、②「裁判外の和解」の2点である。
①は、約定債務の額なのか、利息制限法引き直し後の額なのかといった債務整理特有の問題にとどまらず、一般民事事件では、とりわけ慰謝料請求等で、相手方主張の額なのか、こちらが妥当と考える額なのかといった問題に影響する。
前者で注意すべきは、たとえば、140万円を超える約定債務において、引き直し計算をすると、140万円以下の過払いとなる不当利得返還請求事件のケースである。このケースでは、一見、基準となる債権の額が約定残債務なのではないかと思われるかもしれないが、依頼の内容が過払い金請求であれば、訴訟物は不当利得返還請求権となり、過払いの額が基準となるので、最高裁判決の射程には含まれない。
もっとも140万円を超える約定債務において、引き直し計算をすると、140万円以下の債務となり、その債務の分割弁済をする任意整理の依頼は、慎重に対応しなければならない。今では債権者が争うケースは少ないと思われるが、仮に引き直し計算による差額に紛争性がある場合には、裁判外の和解業務としての受任は差し控えるべきであろう。
 ②は、債権の額が140万円を超えると、できなくなるのは裁判外の和解だけなのか、債務弁済調停や特定調停の代理であればできるのか、また、裁判外の和解はできないが、それに関する相談だけであればできるのかといった問題が生じる。
 たとえば、140万円を超える債務でも、条文上は、債務弁済調停や特定調停であれば、司法書士法3条1項6号ニを根拠に代理業務として受任できると考えられる一方で、司法書士法3条1項7号として受任できない以上、債務弁済調停や特定調停の代理業務としても、実質上、受任できないとする考えもあろう。
また、債務弁済調停や特定調停の代理業務として受任できるとすると、その前提となる相談は、同項6号ニを根拠に応じることができるとする考えもある一方、同項7号を根拠に応じることができないとする考えもあろう。
以上の問題は、やがて日司連から明快な回答があるだろうが、それまでの間も、司法書士各自が自分の頭で考えて、適切な判断をしておくことが重要である。

最高裁判決当日

平成28年6月27日15時に話を戻そう。
 傍聴席の一番前に座った私は、裁判長が語りだすのを待っていた。
 裁判長は、判決主文のみではなく、判決要旨をも語った。その内容は、私の期待に反して、双方の上告を棄却し、判決要旨において債権者主張額説を認めるものであった。(相手方は、上告受理申立て理由においては、いわゆる総額説の採用を全面に主張しており、控訴審で認められていた債権者主張額説については上告受理申立て理由としていなかった。)
 立法趣旨が最高裁判所によって覆された瞬間である。
 司法書士側の主張と弁護士側の主張が異なるという対立構造で報じられることが多いが、司法書士各位は十分ご承知のとおり、司法書士側の主張である受益額説は、司法書士が独自に考え出した見解ではない。受益額説こそ、法務省立法担当者が執筆した「注釈 司法書士法」に明記された見解であり、受益額説の考え方が、まさに立法趣旨だったのである。実務上も、司法書士は、受益額説により個々の債権が140万円を超えた額を有する多重債務事件を任意整理として数多く受任してきた実績があり、多重債務被害救済に寄与してきたのである。
 すなわち、司法書士側にとっては、勝って当たり前、言い方を変えれば、勝っても職域の範囲という意味においては何も得ることがない争点と言うこともできる。それが公権的解釈によって否定されたのだ。
 いとも簡単に立法趣旨は覆ってしまうものなのだな。
 私は、裁判長の言葉を聞き締めながら、そう考えていた。

プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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