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賃貸借契約における保証契約の締結は、今からご注意を!

 2020年4月に施行される民法(債権関係)改正において、保証人が個人である根保証契約については、極度額を定めなければ、無効と定められた(民法465条の2)。
 この規定に該当する身近な契約としては、たとえば、賃貸借契約における保証契約がある。
 現在、使われている契約書の多くは、「賃貸借契約から生じた一切の債務を保証する。」となっているだろう。
 しかし、2020年4月以降は、「賃貸借契約から生じた債務のうち、極度額●円の限りで保証する。」と定めなければならない。
そうでなければ、保証契約は無効となり、保証人がいなかったことになる。

 こういった規定が定められたのだが、2020年4月までは、今のままの契約書を使っていればよいかというと必ずしもそうではない。
通常、賃貸借契約の契約期間は、「2年」など比較的短期間であり、当事者双方に異議がなければ、自動更新される内容のものが非常に多いからである。(更新の法的性質は、条項により、「法定更新」や「合意更新」とがありうるが、詳述は、ここでは避ける。)
 つまり、2018年5月に締結した賃貸借契約及びその保証契約の契約期間が2年であり、自動更新の条項があった場合、次に更新されるのは、2020年5月であり、このときは既に改正法が施行されているのだ。このときに、改めて契約をし直さないと、保証契約は、極度額の定めのないものとして、無効となる見込みが強い。

 対策としては、次の2つを挙げることができる。
1 これから締結する賃貸借契約における保証契約については、あらかじめ「極度額」を定めておくこと。
2 「極度額」の定めのない賃貸借契約における保証契約については、たとえ自動更新の定めがあったとしても、2020年4月以降の更新の際は契約書を改めること。

 専門家が関与するのであれば、今のうちから上記1を提案し、将来の余分な手間暇をかけないよう配慮しておくべきだろう。

いわて銀河100kmチャレンジ中止を受けて

 平成30年4月24日、「いわて銀河100kmチャレンジ」の中止が発表された。
 http://iwate-ginga100.jp/1524461532893/

 主催者からの発表内容は、次のとおりである。
(引用開始)
 この度、2018年6月10日(日)に開催を予定しておりました「いわて銀河100kmチャレンジマラソン」は県道12号線(通称なめとこライン)で発生した山崩れの為、参加者の安全を考慮した結果。止む無く中止とさせていただくことに致しましたのでお知らせいたします。エントリーを終え、楽しみにされていた皆さまには、多大なるご迷惑をお掛けしますこと、心より深くお詫び申し上げます。
 大会を中止しなければならない経緯は、昨年夏の大雨で岩手県内随所で崖崩れや、道路の崩落などが発生しました。コース内においても雫石町で道路が崩落し、コース変更を余儀なくされ、県道1号線を使用することで大会開催をご案内いたしました。しかし、今月18日に北上土木事務所より県道12号線の開通に向け、除雪作業を進めていたところ、山崩れが発見されとの連絡が入り、直ぐに状況確認と当局の対応策の説明を受けました。結果として大会期日までの復旧は困難であること、安全性の確認が取れない道路使用許可は出せないこと。また、代替えコースの設定には関係機関との調整、時間的な制約などの理由から、総合的な判断として中止との結論に至りました。
 大会実行委員会といたしましても今大会の中止は断腸の思いでの決断です。時期大会の開催に向け、ファーストコース、セカンドコースの設定など関係機関との調整に万全の体制を期し、皆さまにご案内する所存です。
 尚、エントリーフィに付きましては、大会規約にあります通りご返金いたしかねますことをご了承ください。大会記念品など製作いたしました商品は後日発送させていただきます。重ねてお詫び申し上げるとともに、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
(引用終わり)

 


 補足情報としては、この大会のエントリー期間は、平成30年4月20日までである。
 つまり、コースに障害があることが判明した平成30年4月18日から20日までの間にも、エントリーしたランナーが相当数いると思われるのだ。

 倒産事件と同様に考えるのならば、少なくとも同期間にエントリーしたランナーに関しては、参加費を全額返金することが望ましいと思われるのだが、主催者は、そう考えていないようである。
 おそらく、中止を発表した当日までは、開催可能性があったので、問題ないとの解釈を取っているのだろう。
 しかし、大会の開催が困難であると「客観的に」判断可能な時期が基準とされるべきであるし、本件については、それは、主催者も認めている土木事務所が山崩れを発見した平成30年4月18日以外にはないだろう。
 この日以降のエントリーしたランナーは、返還請求を検討してほしい。

 金額の大少の問題ではない。
 何かトラブルがあると、すぐに「規約」を盾に参加費の返還を拒むケースが多い、ランニング大会の規約に関し、不当と思われる条項を改善していくには、当事者が声をあげていかなければならないのだ。

【書籍紹介】一問一答・民法(債権関係)改正

 商事法務から「一問一答・民法(債権関係)改正」がいよいよ出版された。
立案担当者が執筆したものであり、今後の改正法解釈の指針となるものなので、法律実務家は必携の書籍である。
平成21年から始まった一大プロジェクトの集大成といえるだろう。



 一方で、法律実務からならではの視点による解説が求められているのも間違いない。
「この論点は、改正されますが、実務には影響ありません」「この論点は、改正法の内容がダイレクトに反映するとは思われず、実務上、特約によって処理されることになると思われます」など、大胆な見解がいえるのは、法律実務家だけだからである。

【書籍】講義 債権法改正

 商事法務から出版されている「講義 債権法改正」は、法制審議会の委員・幹事となった教授らの執筆によるものであり、改正法を知るために非常に有益な内容なのだが、一か所、誤っているのではないかと思われるところがあった。
 
 281頁の買戻しに関する記述だ。
 「買い戻しの登記は契約と同時出なくても良いとするものです。」とあるが、こういった議論はあったものの、最終的には従来通り買戻しの登記は契約と同時でなければならないとする現行法が維持されているはずである。
 もっとも登記申請に関する知識であり、ただでさえ利用件数が少ないので、登記の専門家でなければ、間違えても仕方ないのかもしれない。


平成29年改正民法(債権関係)と実務への影響

(5)経過措置
 改正法適用の基準時は、原則として、施行日になります。(本校執筆時点では、具体的な施行日は未定ですが、平成32年6月2日までには施行される見込みです。)
 基準となる行為で不動産登記に関連して、特に注意を要するものには、次のようなものがあります。

・代理
 代理権の発生原因が生じた時(代理権授与の表示がされた場合を含む)(附則7条1項)が基準となります。代理人として行為がされた時ではありません。

・消滅時効
 債権の生じた時(附則10条)が基準となります。消滅時効期間の満了した時ではありません。

・債権者代位権
債務者に属する権利(被代位権利)の生じた時(附則18条)が基準となります。債権者に属する権利(被保全権利)の生じた時ではありません。

・保証
 保証契約が締結された時(附則21条)が基準となります。保証債務が請求された時ではありません。

・債権譲渡
 債権譲渡の原因である法律行為(譲渡人と譲受人との間の売買契約等)がされた時(附則22条)が基準となります。譲渡制限の意思表示がされた債権の譲渡では、債務者に対して民法上の通知または承諾がされた時ではありません。

・弁済
債務の生じた時(附則25条1項。ただし、弁済の充当は除く)が基準となります。弁済がされた時ではありません。

・契約の解除
契約が締結された時(附則32条)が基準となります。解除の意思表示がされた時ではありません。

 以上、不動産登記に影響する論点のみを、ごく簡単に紹介いたしました。

プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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