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裁判手続のIT化をめぐる司法書士事務所の風景(その1)

 2019年には裁判手続のIT化について法務大臣から法制審議会に諮問される見込みです。このIT化により、裁判手続は抜本から大きく変わることになりそうです。そこで、ここでは架空の司法書士事務所における本職と補助者との会話を通して、裁判手続のIT化について考えてみましょう。

司法書士:登記に続いて、いよいよ裁判もIT化されるようだよ。これからは、当事務所でも定期的に勉強会を開いていくことにしましょう。

補助者 :うちの事務所では、すべての登記をオンライン申請していますので、心配ありませんね。

司法書士:いやいや、登記と裁判は、まるで別物。登記は、一回の申請行為で完了するけれど、裁判は基本的には複数回の審理を経て判決に至るうえ、上級審での審理もある。つまり、申請者としても継続的にかかわっていかなければならない手続だからね。

補助者 :なるほど。そのうえ、登記では申請者と法務局の二者だけで完結しますが、裁判では申請者となる原告と裁判所だけでなく、相手方となる被告も登場しますものね。となると、これからは被告もオンラインで応訴しなければならなくなるんですか。

司法書士:その点は、まだ検討中のようだ。オンラインでの応訴を希望する被告は、当然、オンライン手続をすることができるようになるだろうけれど、すべての被告がインターネットを使えるわけではないからね。

補助者 :オンラインにこだわると、いろいろと難しい問題がありそうですね。となると、送達は、今のままでいいんじゃないかしら。

司法書士:申請の際の真正担保も検討されているよ。

補助者 :私たちは、登記で使っている日司連発行の電子署名をすれば、よいんですよね。

司法書士:いやいや。そうとは限らない。未だに電子署名をすることができる人は限られているからね。電子署名の普及率を踏まえたら、本人訴訟で電子署名を要求することまでは難しいんじゃないかな。裁判を受ける権利は憲法でも保障されているほどの大切な権利だからね。

補助者 :たしかに登記でも本人申請でオンラインを利用している人は、個人では、ほとんどいないですものね。

司法書士:それに、裁判のIT化の議論では、代理人などの資格者であっても、電子署名を申請の都度用いるのではなく、登録の際に電子署名による本人確認をした後は、IDとパスワードを発行して、以降は、IDとパスワードによりオンライン申立てを利用できるようにすることも検討されているんだ。添付する登記識別情報一件一件に電子署名したうえ、申請データにも、さらに電子署名する登記のオンラインシステムとは、えらい違いだね。

補助者 :IDとパスワードっていうと、ネットショッピングでログインするような感じでしょうか。気軽な反面、ちょっと怖い気がするけれど、セキュリティは大丈夫なのかしら。

司法書士:まったく、その通りだと思うよ。電子署名の利用とID・パスワードの利用は、相反するものではなく、両立し得るものだ。登記のオンラインシステムが、まさにそうなっているよね。資格者として、インターネット上、真正担保するための手段としては資格者団体による電子署名が最も優れているのは間違いないよ。

補助者 :オンライン申請が主流になると便利になるんでしょうけれども、便利になりすぎて、私の仕事がなくならないか、心配です。

司法書士:登記の場合、出頭主義が廃止されたので、法務局へ申請書を持ち込む人員が不要となったという側面もあるけれど、裁判の場合、最初から申請時の出頭は不要だからね。もっともIT化によって裁判資料として紙をコピーする手間はなくなりそうだから、補助者が一日中裁判の資料をコピーをしているような大事務所ならともかく、一人の補助者が雑多な仕事をしている、うちのような事務所は影響ないと思うよ。
というわけで、これからも、よろしく頼むよ。次回は、IT化による法廷への影響について勉強してみようか。

補助者 :それを聞いて安心しました。次回も、よろしくお願いします。



ランニングにも、法律問題がたくさん!

静岡県司法書士会業務研究委員会内ランニング部です。
 東部の司法書士(赤松 茂・山田茂樹・宮内裕光・築地徹弥)が中心となって、マラソン大会に参加したり、トレイルランニングを楽しんだりしています。東京で研修があるときは、120キロを3区間に分けて駅伝しながら走って向かうことも!
と言っても、走っているだけではありません。
 司法書士として、ランニングに関する法律問題の研究もしています。
 たとえば、マラソン大会にエントリーした後、どうしても参加できない事情が生じたとき、多くの大会規約では、エントリー代が返金されない内容になっています。自己都合による不参加だけでなく、台風等の天災で大会が中止となったときも同様です。
コンサート等では公演が中止になるとチケット代が返金されることがあるのと比べると、ちょっと疑問を感じるかもしれません。
こういう規約内容に果たして問題がないのか等が研究テーマです。
 また、トレイルランニングのコースの多くは私道であり、ほとんどが山林や原野であることから、登記上の名義が正確でないことも珍しくありません。
 これらの登記を正しくし、コースとして利用しやすくするのも、私たち司法書士の役目なのです。

4 裁判手続等のIT化と司法書士が担うべき役割

(1)現行制度における司法書士が担うべき役割
 裁判手続等のIT化は、3つのフェーズにしたがって進められるのであるから、司法書士としても、これに沿って責務を果たしていくことを考えると分かりやすい。
 つまり、フェーズ1の現行制度の活用からである。
 まずは代理人として受任した事件について、事案の性質に応じながら裁判所に働きかけていくことになる。
たとえば、「弁論準備手続」における電話会議は、「遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるとき(民訴法170条)(下線筆者)」にすることができるのだから、裁判所が遠隔の地でなくとも電話会議をすることを積極的に希望することが考えられる。また、メリハリのある訴訟運営を実現するために、電話会議にしても、「書面による準備手続」によることを求めるのもIT化のためには有益である。
 また、支払督促の依頼を受けた際には、「督オンシステム」を利用し、代理人としての改善案を裁判所に伝えることも挙げられる(技術面は最高裁判所、個別事件の運用面は東京簡易裁判所が窓口となっている。)。
 テレビ会議については、多くの司法書士にとっては、まず地元の簡易裁判所にテレビ会議をすることができる機器の設置を求めていくことから始める必要がある。本来は、より組織的に、日司連が、裁判所に対し、計画的・段階的な設置を求めていくことが望ましい。さらに、日司連が裁判所と協議のうえ、IT化推進モデル地域を設定し、裁判所は、当該地域に優先的にテレビ会議をすることができる機器を設置し、日司連は、当該地域に事務所を置く司法書士に積極的に電話会議・テレビ会議をするよう支援するといった形態が考えられる。
 このように現行制度を代理人として利用しつくした後に、本人訴訟における現行制度の活用という次の段階の対応を考えていくことになる。
 本人訴訟支援では、法的知識・IT知識に乏しい者でも、スムーズに利用できるかという視点から現行制度を見直すことになるのだから、その前提として法的知識・IT知識に長けた代理人が現行制度を使いこなせていなければ、まだ本人訴訟への対応を考える段階ではない。
 ところで、司法書士がする裁判書類作成関係業務においては、司法書士が訴訟記録である電子情報にオンラインで直接アクセスできるかという問題があり、日司連では、これを求める意見書を提出しているところであるが(注)、検討会では、消極のようである(第3、3(1))。
 業務権限に関する議論は、ともすると職域争いの議論と囚われてしまうおそれがあることから、これから開催される法制審議会では、司法書士側だけでなく常に利用者の声を聴きながら、前述の65%程度の本人訴訟に関するIT化支援策の具体案とともに検討されていくべき課題である。

(注)裁判手続等のIT化検討についての意見
http://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/02/7219a3696b25d15a47885bcdd4226ab4.pdf

(2)司法書士会が担うべき役割
 本人訴訟は、司法書士が法的支援として書類作成をする者のほか、司法書士に依頼せず、自らがすべてをする者も相当数いることは既に述べた。
 これらの層については、司法書士個人によるサポートは困難なので、司法書士会・弁護士会・法テラス等の団体がIT化支援をするしかない。
 個々の団体がそれぞれ支援をすることも考えられるし、対応の必要性・規模などからすれば、各団体が一つのIT化支援センターといったものを創設し、そこで一手に請け負うことも考えられないわけではない。
 本人訴訟の数は、将来的に増加することが予想されるのだから、これの受け皿となる団体も、窓口を相当数拡充する体制を整えておくことが必要となる。

(3)まとめ
 昨今、司法書士業務として司法書士法規則31条を根拠とする広範な業務分野がクローズアップされているが(注1)、その根底には、司法書士が専門的な法律知識を駆使できる職能であるとの利用者の期待があるからに他ならない。
 このような期待は、司法書士が長らく登記だけでなく裁判手続にも取り組んできた実績(注2)があるからこそ、寄せられているのである。
 若手をはじめとした司法書士各位は、こういった歴史的背景を忘れることなく、裁判手続等のIT化に向けて、より一層、簡裁訴訟代理等関係業務・裁判書類作成等関係業務に取り組んでいただきたい。

(注1)日司連では、近年、規則31条業務検討委員会が設置され、法的な管財人のほか、私的契約に基づく管財人としての業務などについても検討されている。
(注2)クレサラ運動を含む。

3 裁判手続等のIT化による本人訴訟への影響

(1)「取りまとめ」における本人訴訟対策
 「取りまとめ」では本人訴訟となることが多い消費者の立場から、「代理人として弁護士等が選任されていない本人訴訟のサポート環境が整備されれば、裁判手続において書面の作成・提出や期日出頭の負担が重い本人訴訟の場合等に、負担軽減につながることが期待される(下線筆者)」との意見があり(第2、1(1))、全件IT化のためには、本人訴訟へのサポートが必要であると述べられている。
 こういった意見を受け、「取りまとめ」では、「適切な担い手による充実したIT面のサポート(ITリテラシー支援策)が必要である。」との方針が示されている(第4、1)。
 本人訴訟の支援形態としては、古くから司法書士が書類作成を通じ法的支援を行っているところ、IT化に伴うIT化支援は、法的支援とは異なるものである。つまり、IT化支援に関する限り、法律実務家に限らず、どういった立場であっても本人訴訟の支援をすることができる。
 IT化支援の内容は、具体的には、紙媒体の電子化、電話会議・テレビ会議へのアクセス環境の提供、事件管理の補助などとなろう。
 もっとも法的支援とIT化支援とを明確に区別することは、理論上は可能としても、実務上は困難であることが明白であり、IT化支援の過程で、訴状の内容について本人から助言を求められることなどが容易に予想される。
 となると、IT化支援をする者が、本来意図していない非弁の誹りを受ける可能性も大いにあり、法的リスクが高い業態と言わざるを得ない。
 こういった法的リスクを考慮するならば、IT化支援は、法的支援をする者が併せて行うことが望ましいといえるだろう。つまり、司法書士が書類作成の依頼を受ける際に、当然にIT化支援をするのである。
司法書士が本人訴訟に関与している件数は、本人訴訟全体のうち65%程度と思われるところ(注)、全国の司法書士各位のこれからの対応如何によることになるが、司法書士がIT化において担うべき役割を全うすることができれば、これら65%程度の本人訴訟については、IT化に関する心配をする必要はないと私は確信している。
 しかしながら、本人訴訟の形態としては、司法書士に書類作成を依頼する者のほか、司法書士に依頼せず、すべてを自らがする者がいることも忘れてはならない。これらの層に対するサポート策私案は、後述する。

(注)司法統計23表から本人訴訟の数を求めると、総数14万8016件―双方弁護士数6万4190件=一方もしくは双方本人訴訟数8万3826件となり、日司連が全国の司法書士から集計している取扱事件数集計表のうち書類作成の数は、5万4805件であるので、5万4805/8万3826×100=約65.3%となる(いずれも平成28年度の数値)。

(2)予想される本人訴訟への影響
 裁判手続等のIT化によって、IT化に対応できない本人訴訟についてサポート体制を整えることがまず求められるが、IT化が浸透すれば、裁判所への出頭回数が減るというメリットにより、本人訴訟の件数は増えると思われる。司法書士としての実務感覚としては、裁判所に出頭することが負担だから本人訴訟をせずに代理人を選任するという層も相当数あると感じているからである。
 つまり、裁判手続等のIT化を考える際には、現状の本人訴訟の数を基準に対策を考えるのではなく、IT化により増加する本人訴訟の数を予想しつつ、その数を基準に対策を考えていくべきである。

2 現行制度の状況

(1)音声の送受信により同時に通話をすることができる方法
 いわゆる電話会議である。スピーカーフォンの状態で、裁判所と当事者双方が同時に通話をすることができる。
「弁論準備手続」に規定されており(民訴法170条3項、規則88条2項3項)、当事者が遠隔の地に居住しているときなどに多く利用されている。ただし、期日には、当事者の一方が出頭していなければならない。電話によって参加する当事者は便利であるものの、その反面、裁判所と出頭当事者によって電話会議の前後に事件に関する協議がされているのではないかとの不安感はどうしても拭えない。電話によって参加した当事者も期日に出頭したものとみなされるので(民訴法170条4項)、当事者は訴えの取下げ、和解、請求の放棄・認諾をすることができる。
電話会議は、「書面による準備手続」にも規定されており(民訴法176条3項、規則91条)、この場合は、当事者のいずれも出頭していなくとも準備手続をすることができる。行われる手続は、期日ではなく、協議のみだからである。
 まずは裁判手続等のIT化に向けて、これらの手続を積極的に利用することが期待されるが、出頭負担を減らしてメリハリの付いた審理を行うというIT化の趣旨に沿うためには、当事者のいずれもが出頭せずともすることができる「書面による準備手続」の一層の活用が求められるだろう。
 裁判手続等のIT化においても、全ての期日をオンラインで完結させることを目指すべきでないことは既に述べたとおりであるが、「書面による準備手続」の電話会議は、当事者等が出頭する期日を充実させるための期日間の制度として活用できる。
もっとも「書面による準備手続」は期日ではないので、相手方が証明責任を負う事実の主張を認めても、裁判上の自白は成立せず、当事者は、協議の結果に基づいた準備書面を改めて次回期日に提出しなければならない。

(2)電子情報処理組織による支払督促の申立て
 平成16年の民事訴訟法改正(平成17年4月1日施行)により、支払督促手続のオンライン化が規定された(民訴法397条から402条まで)。
 これを受けて、平成18年より「督促手続オンラインシステム(以下「督オンシステム」という)」が稼働し、現在では、全国の支払督促事件の処理が可能となっている。
 この「督オンシステム」の特徴は、次のとおりである。
① 書面による手続も残されており、オンラインと書面制度の併存型である。つまり、オンラインへの一本化を図る今回のIT化とは根本が異なる。
②「督オンシステム」の稼働時間は、土日祝日及び年末年始を除いた日の午前9時から午後5時までである。オンラインであっても、365日24時間というわけではない。ただし、当初は365日24時間の受付が目指されていたようであり、裁判所でも、当時の資料が未だ公表されている(注)。
(注)裁判所ホームページ http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20910005.pdf
③「督オンシステム」を利用できる事件類型は、貸金、立替金、求償金、売買代金、通信料、リース料とこれらの複合型に限られる。請負代金(修理代金、工事代金などを売掛金として請求する場合を含む。)、給料、賃料、損害賠償、過払金など前記6類型以外の債権については、利用することができない。
④「督オンシステム」を利用するにあたって、利用者は、あらかじめ法人であれば法務省の商業登記に基づく電子認証制度、個人であれば公的個人認証制度による電子署名を利用できるようにしておかなければならない。
司法書士等の代理人による場合は、本人と代理人双方の電子署名が必要であり(代理人は「督オンシステム」で作成される委任状に電子署名する)、司法書士であっても、日司連発行の電子署名ではなく、公的個人認証制度による電子署名が必要となる。規則上は、日司連発行の電子署名でも利用できる仕組みにはなっているが(民事訴訟法132条の10第1項に規定する電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続に関する規則3条2項3号)、日司連発行の電子署名には司法書士の「住所」が記録されていないこともあり、システム上利用できないようだ。登記申請オンラインシステムにおける代理申請では、代理人のみが電子署名すれば足りることと比較されたい。
⑤「督オンシステム」を使用しても、申立ての際の手数料の額は変わらない。ただし、郵券等の費用の予納とともにインターネットバンキング等を利用して電子納付することができる。なお、東京簡易裁判所の登録を受けた法人であれば、申立て前の事件についても、あらかじめ郵券等の費用を一括して納付しておくことができる(民事訴訟法132条の10第1項に規定する電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続に関する規則8条)。
⑥「督オンシステム」の事件管理は、申立て後に付与される「IDとパスワード」で行う。IDは東京簡易裁判所の書記官が簡易書留もしくは窓口において通知する。パスワードは6文字以上10字以内であり、任意のパスワードのほか、自動生成を求めることもできる(平成18年8月9日最高裁民―第000574号東京地方裁判所長あて民事局長依命通達)。ID付与時のアナログな方法による本人確認と利用時の電子署名による本人確認という2重のセキュリティ対策ともいえる。
⑦「督オンシステム」で申立てをしても、債務者が法人の場合には、後から、資格証明書を書面で送付しなければならない(Q&A2-3)。会社法人等番号には対応していないようである。
⑧「督オンシステム」による処分の告知の到達時期については、処分に係る情報が裁判所の電子計算機に備えられたファイルに記録されて債権者がダウンロード可能な状態となり、その記録に関する通知が債権者に対して発せられた時に債権者に到達したものとみなされる(民事訴訟法399条3項、民事訴訟法132条の19第1項に規定する電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続に関する規則4条)。つまり、債権者が現実にダウンロードしなくとも、裁判所からのメールが送信された時に到達が擬制される。
⑨「督オンシステム」は、平成28年には、督促手続全体は約27万5000件あり、そのうちの約3分の1に相当する9万件余がオンラインで行われた(検討会第1回議事要旨)。
⑩「督オンシステム」による申立ては、東京簡易裁判所で処理されるが、督促異議後の訴訟は、本来の管轄権を有する裁判所に係属する。

 以上が「督オンシステム」の特徴といえるが、司法書士等の代理業務に携わる者の視点からすれば、利用時間・利用できる事件類型が限られているほか、電子署名が本人・代理人ともに必要であるうえ、司法書士は登記で利用している電子署名とは別に個人であれば公的個人認証制度による電子署名を準備しなければならず、こういった点を踏まえるならば、代理人が活用することがほとんど想定されていない制度であると言わざるを得ない。現実にも代理人が利用している件数は極めて少ないようである。
これからIT化の議論が深化するとともに、「督オンシステム」も改善されるだろうから、司法書士としても積極的に活用すべき制度として注視していきたい。

(3)映像等の送受信による通話の方法
 いわゆるテレビ会議である。
 証人尋問、当事者尋問に規定されており(民訴法204条、210条、規則123条)、遠隔地で出頭が困難である場合のほか、事案の性質、年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情による場合にすることができる。当該証人・当事者は別の裁判所(直接、会いたくないような場合に同じ裁判所の別の場所で行うというケースも想定されている)に出頭し、その裁判所と受訴裁判所とでテレビ会議を行う。文書の写しを示す際には、お互いの裁判所でファクシミリを利用することができる。
鑑定にも規定されており(民訴法215条の3)、鑑定人が遠隔地にいる場合に利用することができるが、鑑定人が出頭する場所は裁判所以外であっても裁判所が相当と認めた場所(テレビ会議装置が設置されている大学、病院ないし企業など)であればかまわない(規則132条の5)。
テレビ会議をすることができる機器は、裁判所によると(注)、平成28年1月末時点で、全国106の高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所に設置されている(簡易裁判所では、東京簡易裁判所墨田庁舎のみ)。
これからIT化に向けて裁判所もテレビ会議をすることができる裁判所を増やしていくだろうから、環境が整い次第、司法書士もテレビ会議を積極的に利用する努力をしていくべきだろう。
対面式の尋問と相違ない運用をするためには難しい問題が数多く想定されるが、IT化の趣旨の趣旨に沿うためには、証人・当事者であっても、鑑定の規定のように裁判所に出頭しないことを目指すべきであろう。
また、電話会議よりもテレビ会議の方が意思疎通を円滑に図ることができることは当然なので、「弁論準備手続」や「書面による準備手続」でテレビ会議を活用することも考えられる。
(注)知的財産高等裁判所ホームページ
http://www.ip.courts.go.jp/vcms_lf/terebikaigiitiran.pdf

プロフィール

Author:赤松 茂
あかまつ司法書士事務所
静岡県沼津市下河原町48番地

【TEL】055-963-8002

【Mail】 quick-response@nifty.com

(平成26年5月に事務所移転しました。)

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司法書士 赤松 茂の著書